クラウド防犯カメラとは?メリットや製品の比較・導入のポイントなどを交えて解説
2023.01.05
2022.12.05
クラウド防犯カメラとは、防犯カメラで撮影した映像のデータを、インターネットを利用してクラウド上で保存するサービスのことである。近年、防犯カメラのクラウド化がすすみ、セキュリティ対策としてのクラウド防犯カメラの導入が容易になっている。
この記事ではクラウド防犯カメラの特徴や主な用途、代表的なクラウド防犯カメラ製品を紹介する。クラウド防犯カメラはサービスや製品によって異なる特徴を持つため、自社のニーズにマッチしたサービスの導入が欠かせない。クラウド防犯カメラの導入を検討しているなら、ぜひ参考にしていただきたい。
クラウド防犯カメラとは
防犯カメラの導入を検討している際に、クラウド防犯カメラの存在について初めて知った人も多いのではないだろうか。
導入のメリットがあるならクラウド防犯カメラを検討したいと考えている企業向けに、今回はクラウド防犯カメラについて紹介していこう。クラウド防犯カメラの特徴と仕組み、通常の防犯カメラとの違いを解説する。
また、クラウド防犯カメラに最適な用途も紹介するので、自社で展開する業種・業態にマッチするかどうかを判断する際の参考にしていただきたい。
クラウド防犯カメラの特徴と仕組み
まずは、クラウド防犯カメラの特徴と仕組みについて理解しよう。企業活動を行うなかで、店舗や社屋、倉庫などに防犯カメラを設置する必要性が出ることは珍しくない。犯罪予防の観点だけではなく、社員や顧客を守るためにも、防犯カメラの設置が必須なシーンは多いものだ。
防犯カメラで撮影した映像を蓄積していくと、膨大なデータ量となる。撮影したデータを、インターネットなどのネットワークを通じてクラウド上に保管するシステムがクラウド防犯カメラだ。ネットワーク技術の発達により、クラウド防犯カメラを導入する企業は増加傾向にある。
クラウド防犯カメラと通常の防犯カメラとの違い
クラウド防犯カメラと通常の防犯カメラとの違いはどこにあるのだろうか。監視したい場所をビデオカメラで撮影しデータを保管しておく仕組み自体は、クラウド防犯カメラも通常の防犯カメラも同様である。
両者の違いは、データの保管場所にある。従来方式の監視カメラでは、録画したデータを自社で購入した録画機器に保管するため、機器を設置する場所と自社での危機管理が必要となる。
一方、録画したデータをインターネットなどのネットワークを通じてクラウド上に保管する方式のクラウド防犯カメラは、物理的なハードウエアの設置は必要ない。つまり、機器の保管スペースが不要で、ハードウエアの管理やメンテナンスも発生しないのが特徴といえる。
クラウド防犯カメラの用途
クラウド防犯カメラは、どのような用途が考えられるだろうか。実際の導入例を紹介していこう。まずは、防犯対策を目的として、オフィスや店舗、倉庫や駐車場などの監視をする目的での使用が考えられる。
防犯カメラの映像がある場合、犯罪の証拠として通用するので、犯罪抑止効果もある。また小売業では、店舗のモニタリング目的で設置して、売り場を録画することで、マーケティングや店舗改善などに活用できる。
工場や生産の現場に設置すれば、機械や作業員のオペレーション監視にも利用できる。大規模な工場では、現場の様子を遠隔で確認できることは、リアルタイムでの現場の情報の把握と改善につながるメリットがある。さらに、社員の不正などを監視する目的でのオフィス内への設置、入退室の管理等への活用も可能だ。
クラウド防犯カメラ導入のメリット
クラウド防犯カメラ導入のメリットは、クラウド防犯カメラの導入目的と用途によって異なる。具体的には、遠隔地からの確認とコストダウン、マーケティングへの活用やデータ消失防止などである。また、トラブル抑止や業務効率化も可能である。
ここではクラウド防犯カメラ導入のメリットについて、それぞれ解説していこう。実際に自社にクラウド監視カメラを導入するケースを想定し、導入目的と用途、どのようなメリットがあるのかを想定しつつ読み進めてほしい。
遠隔地からの確認・コストダウン
クラウド防犯カメラのメリットは、遠隔地からの確認が可能な点が挙げられる。クラウド防犯カメラは、パソコンやスマホ、タブレット端末などの電子機器でも画像の確認が可能である。そのため、防犯カメラの映像を確認するために、わざわざ現地に行く必要がない。
複数の店舗を経営する小売業などでは、各店舗に足を運ばずともクラウド防犯カメラの映像が一気に確認できるようになる。移動が不要になることで、業務効率化とコスト削減につながるだろう。
また、クラウド防犯カメラを導入する場合、カメラは設置が必要だが、録画機器などのハードウエアを購入する必要がない。機器の定期メンテナンスと管理も不要なので、導入時の初期費用がかからず、コストダウンが可能である。
マーケティングへの活用
防犯カメラの録画データをマーケティングに活用できるのも、クラウド防犯カメラの導入メリットのひとつである。近年では画像解析の技術力が飛躍的に向上しているため、クラウド防犯カメラで録画した画像を、ほかのさまざまな用途に活用可能だ。
例えば、POSレジとのデータ連携機能や、店舗を撮影したクラウド防犯カメラの映像から来店した顧客の行動を分析できる。
画像に写っている人の数をカウントすることで、店舗内で顧客が集中するエリアを確認して、レイアウト変更や販促活動用のブースの設置場所の選定などにも役立てられる。
トラブル抑止・データ消失防止
クラウド防犯カメラの導入には、トラブル抑止の効果もある。最新の技術で録画した映像の解析までできるクラウド防犯カメラを利用すれば、トラブル発生時に検知機能などを利用して対応が可能だ。
店舗内に防犯カメラが設置してあることは、犯罪発生率の低下にも効果的である。さらに、不審な動きを検知させるよう設定をすることで、犯罪や被害を最小限に抑えることも可能だ。
また、クラウド防犯カメラはデータ消失防止にも効果的である。クラウド防犯カメラは、自社内に防犯カメラで撮影したデータを保管しているわけではなく、インターネットなどのネットワークを通じてクラウド上にデータを保管する。
そのため、社内や店舗内などで保管されているデータを不正に持ち出される懸念がない。新たに防犯カメラの導入を検討している場合、コンプライアンスの観点から、クラウド防犯カメラを選択する企業が増えているのだ。
クラウド防犯カメラ導入のデメリット
クラウド防犯カメラ導入には多くのメリットがあるが、もちろんデメリットも存在する。導入前にメリットとデメリットの両方を把握しておくことが重要だ。クラウド防犯カメラ導入のデメリットには、ネット環境に左右されること、データ流出のリスクがアップすることがある。また、ランニングコストが発生することもデメリットといえるだろう。
ここではそれぞれのデメリットについて解説するので、自社に導入したときのイメージをしながら確認してほしい。
ネット環境に左右される
ネット環境に左右されるのが、クラウド防犯カメラのデメリットのひとつである。インターネット回線を利用したサービスのクラウド防犯カメラは、回線の通信が遅かったり通信状況が悪かったりすると、映像が正常に録画されない事態が発生する。
そのため、インターネット回線が安定していないエリアでのクラウド防犯カメラの利用は難しいケースもあるのだ。
クラウド防犯カメラを導入する際には、インターネット回線がクラウド防犯カメラの運用に耐えられるだけのスペックを持っているかどうかを事前に確認することが欠かせない。
回線が不安定な際には、より安定した回線に自動的に接続するような設定をしておく、内蔵SDカードへのデータ保存に切り替えるなど、ネット環境に左右されず一定のパフォーマンスが維持できる仕組みを検討しておくこともおすすめである。
データ流出のリスクがアップする
データ流出のリスクがアップするのも、クラウド防犯カメラ導入のデメリットのひとつである。
特に防犯カメラで撮影・録画する映像に個人情報や機密情報などのセンシティブな内容が含まれる場合には、録画データのセキュリティに関して考慮しておくことが必要だ。データ流出はトラブルの元になるだけではなく、自社の評判を下げる原因にもなりかねないからである。
クラウド防犯カメラのセキュリティレベルを上げるには、セキュリティ対策がしっかりしているサービスを利用することが重要だ。また、クラウド防犯カメラに利用するインターネット回線のセキュリティ対策も十分におこなうなど、データ流出のリスクを徹底的に低減する努力が求められる。
ランニングコストが発生する
クラウド防犯カメラ導入のデメリットとして、ランニングコストが発生することも挙げられる。クラウド防犯カメラサービスは、月額利用料金を支払う仕組みを採用している商品が多いため、利用期間中は毎月費用が発生することになる。
クラウド防犯カメラを導入する場合、カメラ自体を購入するか、月額利用料を支払ってレンタルするかを選択する。
そのほかにクラウドの使用料金、インターネット回線の料金については、月額使用料が発生する。クラウド上に保管するデータの容量と保存期間、契約するカメラの台数によっても合計の金額が変動する。
さらに、POSレジとの連携など便利な付加サービスがオプションとして準備されている場合には、利用によってオプション利用料が加算されることもある。自社のニーズにマッチするサービス内容と規模での導入をしっかりと検討したいものだ。
クラウド防犯カメラの導入・比較のポイント
映像の解像度
画素数が低い場合は、おおまかな人の動きは把握できても、詳細な内容までは確認できない場合がある。
顔の識別も車のナンバーの識別、必要や、工場や現場における作業ミスの確認や、製品・商品に欠損がないか監視・記録が必要な場合など、利用シーン目的に応じて、映像の解像度も考慮する必要があるだろう。
撮影範囲
防犯カメラによっては180度や360度など撮影範囲が決まっており、防犯カメラを設置する際には、死角についても考慮する必要がある。
死角についてはどこに設置するかによっても変わってくるので、事前に設置の場所と、撮影したい範囲を考慮しておくとよいだろう。死角がカバーするために、二つの防犯カメラでカバーするということも考えられる。
外部連携機能の有無
クラウド防犯カメラの場合は、クラウドを介して様々な機器と連携できる拡張性が一つの強みといえる。
スマホと連携してスマホからカメラの映像を確認したり、またPOSレジと連携してPOSデータと映像データを組み合わせて、店舗運営の改善に活かすといった活用方法もできる。
連携に関しては自社で利用しているシステムやセキュリティの設定も影響する場合もあり得るので、自社の既存システムと連携が可能かどうかも考慮しておくとよいだろう。
代表的なクラウド防犯カメラの製品紹介
続いては、代表的なクラウド防犯カメラを紹介していく。クラウド防犯カメラサービスは多数あるので、自社への導入を検討している場合には、複数のサービスを比較検討することをおすすめする。
クラウド防犯カメラは月々の利用料金のほかに、初期費用が発生することもある。
例えばカメラやルーター、ケーブル類、インターネット回線の導入や、設置の際の工事費用、事務手数料などである。かかるコストには差があるため、各社のコストをしっかり把握したうえで検討したい。また、オプションとして利用できる付加サービスも、各社さまざまな特徴がある。
クラウド防犯カメラの利用目的に応じて最適なサービスを選ぶことが重要なため、本項で紹介するクラウド防犯カメラのサービスに関する情報を、ぜひ検討する際の参考にしていただきたい。
Safie(セーフィー株式会社)
セーフィー株式会社が提供する「Safie」は、導入実績が4万台を超えるクラウド防犯カメラである。高画質でクリアな画像と高いセキュリティ、利用しやすい価格設定が特徴だ。発生する費用はカメラの本体料金とクラウド録画に関する利用料金だけなので、気軽に導入できるだろう。
企業によってクラウド防犯カメラの設置を希望する場所がさまざまであるニーズに対応するため、「Safie」はカメラの種類が豊富なことも魅力だ。なんと、約200種類もの中から希望するタイプが選択できる。屋内での使用はもちろん、屋外用や360度の画角のカメラ、Wi-FiタイプやPoE給電仕様のカメラも選択可能だ。
セキュリティレベルも高く、最新の暗号化技術によってデータが保護されるため、安心して利用できるのがメリットといえる。また、スマホやパソコン、タブレット端末から画像の確認が可能で、1台につき15人まで映像を共有できるのも嬉しいポイントである。
ギガらくカメラ(NTT東日本)
「ギガらくカメラ」は、通信大手のNTT東日本が提供するクラウド防犯カメラサービスである。大手ならではの手厚いサポート体制が充実しているのが特徴で、年中無休で専任の担当スタッフが電話サポートをしてくれる。利用時のトラブルもすぐに解決できるため、クラウド防犯カメラを導入後のサポートを重視する企業におすすめだ。
また、「ギガらくカメラ」は難しい初期設定は必要なく、簡単な設定のみですぐに利用を始められる点もメリットである。価格体系がわかりやすく、必要なサービスだけを選んで利用できるもの魅力的だ。
さらに、店舗での利用に特化したPOSレジとの連携機能や、画像解析機能などのオプションも選択可能だ。オプションとして「PLACE AI」サービスを追加すれば、映像内の人物をマスキングできるので、プライバシーに配慮する必要がある業種でもクラウド防犯カメラの利用が容易になる。
クラウド型カメラとれ~る(NTT西日本)
NTT西日本のクラウド防犯カメラサービス「クラウド型カメラとれ~る」は、はじめてクラウド防犯カメラを導入する企業でも安心して利用できるのが特徴である。選べるカメラの種類は9種類あり、屋外用、屋内用をはじめ、PoE給電やWi-Fi対応といった設置場所が自由に選択できるタイプがある。
また、赤外線対応やズーム対応のカメラもあるので、特殊な用途での導入を検討している場合には、ぜひ「クラウド型カメラとれ~る」の利用を検討するのがおすすめである。
店舗での導入に最適なPOSレジ連携したタイプなら、トラブルの予防や早期解決、接客に関する社員教育にも役立てられるであろう。365日利用可能なサポートセンターが丁寧に対応してくれるので、利用時の不安をすぐに解消したい企業には最適なサービスである。
セコム画像クラウドサービス(セコム)
セコムが提供する「セコム画像クラウドサービス」は、パソコンやスマホ、タブレット端末からいつでも映像を確認できるクラウド防犯カメラである。情報セキュリティを最優先に構築されたシステムなので、情報漏洩の心配がなく、安心して使用できる。暗号化技術によってデータや通信経路が保護されているため、漏洩はもちろん、データ改ざんの危険性がない。
クラウドにデータを保管する日数に応じた月額料金制となっているため、プランの選択がしやすい。月額料金のほかに、初期費用としてカメラの初期設定費用と、カメラの取り付け工事の料金が必要となる。モバイル回線(LTE回線)での利用も可能である。
みえますねっと(パナソニック)
「みえますねっと」は、パナソニックが提供するクラウド防犯カメラサービスである。さまざまな目的でのクラウド防犯カメラ利用企業に支持されており、店舗やオフィス、医療施設などへの導入実績が豊富だ。国内のシェアがNo.1の総合セキュリティメーカーであるパナソニックのサービスなので、信頼感があるのも魅力的だ。
カメラのタイプは10種類で、基本サービスプランでは、加入1台につき10台までリアルタイムでライブ映像視聴が無料である。離れた場所で現場の管理をしたい業種には最適だろう。また、録画データの保管日数と、保管するデータの容量によって利用料金が変動するので、自社の利用方法と発生する費用をシミュレートしやすい。
自社のニーズにマッチするクラウド防犯カメラを導入しよう
クラウド防犯カメラは導入が容易で、かつ初期費用が抑えられるメリットが大きいため、近年特に導入する企業が増えているサービスである。クラウド防犯カメラを導入する際には、メリットとデメリットを事前に把握しておくことが望ましい。さまざまなサービスの特徴やコストを比較検討し、自社のニーズにもっともマッチするクラウド防犯カメラを導入しよう。