スーパーマーケットの仕事とは?部門別の業務内容と職種としての特徴などを解説
2023.06.20
2023.04.19
生鮮、総菜などの食品類から日用品まで、日常生活に欠かせない商品がそろった小売店がスーパーマーケットだ。
スーパーマーケットは全国展開しているチェーン店舗から地元密着型の店舗まで、さまざまな規模がある。多くのものを取り扱うからこそ、現場で働くスーパーマーケットの店員の仕事は多岐にわたる。この記事では、スーパーマーケットの部門別の仕事内容や職種としての特徴を解説する。
スーパーマーケットの部門別の仕事内容
スーパーマーケットは、業務内容や取り扱う商品によって「部門」に分かれている。部門名や区分、具体的な業務内容など企業や店舗によって異なるが、一例として主な仕事内容などを紹介していく。
レジ部門
お客様と金銭のやり取りを行うのがレジ部門だ。各レジでお客様が購入したものをレジに通す会計業務のほか、サービスカウンターでの応対も含まれる。レジ業務のおもな仕事は以下の通り。
・会計業務
・レシート、領収書発行
・ギフト対応
・宅配対応
・予約商品の受付 など
お客様と顔を合わせる機会が多く、レジ部門はその店舗の顔とも言える仕事だ。明るい笑顔を心がける、買い物カゴをサッカー台まで運ぶなどの気遣いをするなど、お客様への丁寧な接客が求められる。
精肉部門
精肉を取り扱う部門では、以下の仕事を行う。
・精肉の加工調理
・精肉の盛り付け
・精肉のパッキング
・精肉パックの値付け
・商品の陳列
・商品の試食販売
精肉の加工調理については技術や知識が必要だが、最初は簡単な仕事から任され、徐々に加工調理に携わるようになることが多い。
鮮魚部門
魚介類や海藻類を取り扱う部門では、以下の仕事を行う。
・鮮魚の加工調理
・鮮魚の盛り付け
・鮮魚のパッキング
・鮮魚パックの値付け
・商品の陳列
鮮魚部門では、魚の三枚おろし、切り身、お造りなどの繊細な調理や加工の技術が求められる。精肉部門と同じく、最初は値付けや陳列などの簡単な仕事から任され、徐々に加工調理に携わるケースが多い。
青果部門
野菜や果物を取り扱う青果部門では、おもに以下の仕事を行う。
・商品の産地確認
・商品の鮮度チェック
・商品の袋詰
・商品の整理
・商品の発注
・売り場への品出し
品出しの際、旬の野菜や果物についてお客様に聞かれることも多い。
惣菜部門
店舗で販売するお弁当、握りずし、巻きずし、揚げ物類、サラダ類などのさまざまなメニューを取り扱う部門が総菜部門だ。総菜部門のおもな仕事は以下の通り。
・商品の調理・製造
・商品の品出し
・商品の値付け
・商品の賞味期限チェック
・商品の整理整頓
調理未経験の人でも仕事ができるように、調理製造に関するマニュアルを整備している店舗が多い。
加食雑貨部門(グロッサリー部門)
菓子、缶詰、調味料などの加工食品や酒類、日用雑貨類など、常温で保存できる商品を取り扱うのが加食雑貨部門(グロッサリー部門)だ。店舗によって呼び方はさまざまで、加食部門と雑貨部門が分類されている場合もある。おもな仕事内容は以下の通り。
・商品の品出し
・商品の補充
・商品の陳列
・商品の発注
・商品の整理
・(店舗によって)清掃、レジの補助
接客業務は少なく、商品の品出しや補充などの単純な作業が中心となる。その代わり、担当する仕事の幅が広く、任される仕事の内容も店舗によって異なる。
日配食品部門(デイリー食品部門)
卵、豆腐、パン、牛乳、漬物、練り物、冷凍、冷蔵食品などの、賞味期限が短く日持ちがしない商品を取り扱う部門が、日配食品部門(デイリー食品部門)だ。おもな仕事は以下の通りとなる。
・商品の品出し
・商品の補充
・商品の陳列
・商品の発注
・商品の整理
・消費期限のチェック
・売り場づくり
主な仕事内容は加食雑貨部門(グロッサリー部門)とほぼ同じだが、日配食品部門で取り扱う商品は日持ちがせず、日次で配送されてくる違いがある。そのため商品の回転率が高く、スピーディな補充な品出しが必須だ。消費期限のチェックも欠かせず、おもに陳列が業務の中でも重視される傾向にある。
ベーカリー部門
店舗でパンを焼いて販売するベーカリー事業を行っている場合、ベーカリー部門を設置しているスーパーも多い。おもな仕事は以下の通りだ。
・パンの製造
・パンの販売
・パンの個装
・パンの陳列
・パンの補充
・賞味期限のチェック
・パンの値付け
・売り場づくり
ベーカリーコーナーが独立している場合には、レジ業務や接客業務も仕事に含まれる。
その他
ほかにもスーパーマーケットによって独自の取り組みやコーナーを設けているときには、独自の部門を設立して業務にあたる。たとえばセブン&アイ・ホールディングスのスーパーマーケットである「ヨークベニマル」には、独自の「キッチンサポート部門」がある。店内に設置された簡易キッチンで従業員自らが考案したメニューを実際に食材を使って作り、試食としてお客様に提供。毎日の献立作りをサポートする取り組みを行っている。
また、現場に立つ従業員以外にも、裏方として店舗の運営や管理を行う仕事、開店作業や閉店作業など、早朝や夜間に行う仕事もある。
スーパーマーケットの仕事の特徴
職種から見たスーパーマーケットの店員の仕事の特徴を解説する。
どの部門でも接客スキルが必須
スーパーマーケットの仕事は、お客様の会計を行うレジ部門はもちろん、ほかの部門も売り場でお客様と接する機会が多い。丁寧な言葉遣いや態度などの接客スキルが求められる。人と話すのが好きな人や、多くの人と接する機会を持ちたいと考えている人に向いている。
専門的なスキルが必要だが、未経験でも比較的挑戦しやすい
スーパーマーケットの仕事は、レジ部門なら素早い対応力と臨機応変に対応できる能力、精肉部門や鮮魚部門なら商品を調理加工するための技術など、専門的なスキルが必要となる。ただし最初は簡単な仕事からはじめ、業務経験を積むごとに専門的な技術を習得していく場合がほとんど。働き始めるにあたって、調理師や栄養士などの特別な資格も必要ない。
自動釣銭機やマニュアルなど、未経験者でも仕事を円滑に進められる仕組みを導入している店舗も多い。
ライフスタイルに合わせた働き方ができる
スーパーマーケットの仕事は、雇用形態にもよるがシフト制が多い。そのため、ライフスタイルに合わせた働き方がしやすい特徴がある。「扶養内で働きたい」「家事や育児と両立できる時間内で働きたい」「テスト期間中は休みが欲しい」などの働き方に関する希望も出しやすいため、主婦や学生のアルバイト先としても候補となる。
スーパーマーケットの仕事は未経験からスキルアップもできる仕事
スーパーマーケットの部門別の仕事内容や、仕事の特徴を解説した。スーパーマーケットの現場に立つ店員は、さまざまな部門に分かれて業務を行っている。部門によっては専門的な技術や知識も必要だが、最初は簡単な仕事から行うため未経験からもはじめられる仕事と言える。マニュアルがある、ライフスタイルに合わせた働き方ができるなど、働きやすい環境が整っていることも、スーパーマーケットの仕事の魅力と言えるだろう。
編集長竹下より
スーパーマーケットの成り立ちを考えると、「性質の異なる幾つかの商品分野が統合され、1つの店で販売されていること」が強みであるといえる。結果としてそれぞれの部門別の管理が行われることになり、それぞれ性質の異なる仕事も発生する。
スーパーマーケットの仕事の種類が多いのは、このように部門が多数あるためでもあるわけだ。実はこの「部門」はスーパーマーケットの経営課題として古くから横たわる大問題でもある。
いわゆる「縦割り」「部門の壁」の問題であり、店舗運営の柔軟性を失わせているとされる。解決のためのさまざまな取り組みが実施されているが、特に経営効率を高める必要性が高まる昨今、この長年の問題の解決が一層求められている。