マルエツ大宮サクラスクエア店オープン、大宮駅西口側、売場約330坪だが、生鮮店内加工の生鮮強化

2024.07.29

マルエツは7月26日、さいたま市大宮区に大宮サクラスクエア店をオープンした。

埼玉県を代表するターミナル駅であるJR大宮駅の西口再開発地区に立地、今後も成長が期待される地域だという。周辺には大小のイベントホールや会議室などを有したソニックシティがあり、多くの人が集まる活気あるエリア。

オープン後は、東口側にあるマルエツ大宮店と共に商圏内のシェアを高めていく方針。埼玉県さいたま市大宮区のほぼ中央に位置し、大宮駅から西側約300mの距離。大宮駅西口再開発の中のB地区に該当し、住宅、商業が一体となった施設である大宮サクラスクエアの1階への出店。店舗がある商業棟と、上階および裏手の総戸数582戸のマンションからなる再開発地区となる。

マンションについては7月から一部、入居が始まっていて、8月から本格的に入居が始まるとしている。

マルエツ調べによる500m圏内の人口は5828人、世帯数は3046世帯で、世帯伸長率は2023年対比の24年の数値は99.8%と微減。世帯当たり平均人員は1.91人で、世帯人員比率は単身世帯が50.7%と、大宮区全体と比較して9.9%ポイント高く、2人世帯が23.0%、3人世帯が13.5%、4人以上世帯が12.8%と、それぞれ同3.7%ポイント、3.3%ポイント、2.9%ポイント低い地域となっている。

年齢別人口構成比は20歳~49歳が47.1%と同5.1%ポイント高く、19歳以下が15.3%と同0.9%ポイント、50歳以上が37.6%と同4.2%ポイント低い地域だという。

今回のオープンで埼玉県内では56店目体制、全社では306店体制となる。

売場面積は328坪で、総尺数は約1200尺。目標売上高は年間14億7000万円となっている。

マルエツでは、マルエツ プチなど都市型小型フォーマットを開発し、積極的に出店する中でプロセスセンター、もしくは他店からのサテライト供給などアウト供給のインフラを整備してきた。結果、生鮮3品から惣菜、ベーカリーなどスーパーマーケットの品揃えのかなりの部分を店内加工をせずに品揃えすることができるようになっている。

一方で、今回の大宮サクラスクエア店は、都市部の約330坪と大型店とは言えない規模だが、生鮮3品、惣菜、ベーカリーまで店内加工を実施する。この辺りについて本間正治社長は、「地域の食品スーパーマーケットとしてのバランスを考えたときにアウトパックを用いながら利便性を重視する店もあるが、この店は競争の差別化としてイン加工も一定、必要であろうと考えた」と語る。

結果、商圏特性や競争環境を踏まえ大宮サクラスクエア店は店内加工の強みを生かす生鮮強化型の位置づけとなった。「その地域にどのような売場が必要か」という発想で、後方を設計していることになるが、その意味ではアウト、店内の両方に対応できること、特にアウト供給のインフラは強みとなる。

大宮サクラスクエア店の取扱SKU数、売上高構成比の計画値の概数は次のとおり。

部門SKU数売上高構成比
(%、計画値)
精肉38010
青果41017
鮮魚2207
惣菜23014
ベーカリー402
日配食品197021
一般食品
(酒、たばこ含む)
598028
(うち酒、たばこ 7)
生活用品7201
9950100

マルエツでは現在、「鮮度」「商品との出会い」「多様な買物体験」「繋がり」の4つの価値を提供すると共に、サステナブルな社会の実現に貢献する店づくりを進めている。今回も改めて、リアル店舗ならではの強みを生かすとしている。

青果では、カット野菜やレンジアップ対応商品などの簡便商品を強化する他、ハーブ類を多数品揃えする。地元埼玉県産の野菜をはじめとした「農家さんの直売所」、さらにオーガニック商品の展開や機能性表示食品として特定の栄養価が高い商品を集合展開する。

鮮魚ではマグロやサーモンの他、刺身盛り合わせ、単品の造りまで種類豊富に展開。また、鮮魚寿司の「魚悦」も展開。たねにこだわったボリュームある海鮮丼や握り盛り合わせを品揃えする。冷凍魚では、干物や漬け魚に加え、アヒージョなどフライパンで簡単に調理ができるミールキットを販売する。

精肉では、オリジナル「優夢牛」に加え、盛り合わせやブラックアンガス牛タンなど、焼肉用商品を多数取りそろえる。味付け肉は、新商品を含め集合展開。また、ローストビーフなどの「お肉屋さんのオードブル」の他、冷凍肉では、馬刺しやひき肉、コロッケなどの「ハーフメイド」商品の品揃えを強化する。

マルエツは精肉はアウトパックを多用しているが、同店では一部商品を店内加工している。スライサーはないものの、一部商品の手切りによる商品化を実施
精肉で販売している冷蔵のつまみ商材の「おつまMEAT」(右側)は家飲み需要もあって、マルエツ プチなど小型店では精肉内での売上高構成比10%近くを占める店もあるなど、「強い商品群」になってきている

その他、オリジナルの「みちのく森林鶏」で、機能性表示食品のムネ肉、ささ身を環境に配慮したノントレーパックで販売する。

惣菜では、自社センターで素材から取っただしを使用した「玉子焼」「ロースカツ丼」や「親子丼」などを「マルエツの味」として品揃え。また、450℃の高温窯で焼き上げた「本格窯焼きピッツァ」を販売する。

3月から自社のデリカセンターが埼玉県草加市に稼働したことで、たれなど原料の他、アウトパック商品も含め、オリジナル商品が充実してきた

ベーカリーでは、ホテルブレッドや5種のチーズフランスなどの食事用パンに加え、昼食需要として、各種パーカーを品揃え。

最小パターンではあるが、インストアベーカリーを設置
マルエツでは、「バーガー」ではなく、「パーカー」を展開。生地を2つ折りにしたパンを「パーカーハウス」と呼ぶということで、そこに具を挟んだものを「パーカー」として販売

日配食品では、トレー入りの弁当やパスタ、弁当材料などの冷凍食品を多数品揃え。豆腐は、よせ豆腐の種類を拡大すると共に、練り製品ではつまみ商材の品揃えも強化。また、キムチや韓国アイスの品揃えを強化するほか、カップデザートやワンハンドデザートなどのスイーツを展開する。

一般食品では、Z世代を意識した商品として、トップバリュの「トキメクおやつ部」シリーズやナッツとドライフルーツが主役の「Nuts&Joy」シリーズなどを導入。

また、全国名産麺やご飯のおかずとなる「たべる調味料」の品揃えも強化する。

酒は、埼玉地酒の小山本家酒造の金紋世界鷹などの日本酒を販売。

酎ハイなどの缶のレディトゥドリンクは常温で販売する店も多いが、同店ではしっかり冷蔵で販売。「すぐ飲む」という需要に応える

その他、所属するユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスのサステナブルなプライベートブランド「グリーングロワーズ」から、自社工場の密閉された衛生的な栽培棚で、科学的に制御され育った「洗わずに食べられるレタス」を品揃えする他、エンドウ豆のタンパク質を主原料とした米国発の「ビヨンド・ビーフ」も品揃え。

買物体験の点では、多様な決済手段と受け取り手段の提供にも努める。スマートフォン決済サービス「Scan&Go」やフルセルフレジを導入する他、すべてのレジで各種スマホ決済や商品券、各種ギフト券が利用できるようにしている。多様な決済手段を提供することで、お客の利便性向上を図る。

マルエツ大宮サクラスクエア店概要

所在地/埼玉県さいたま市大宮区桜木町2-902

オープン日/2024年7月26日

営業時間/9時~24時

駐車場/60台(商業施設共用)

駐輪場/364台(商業施設共用)

建物構造/鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)地下2階、地上28階建て(マルエツ店舗1階)

売場面積/1084㎡(328坪)

店長/川中智晶

従業員数/57人(8時間換算)

年間売上高目標/14.7億円

お役立ち資料データ

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