イオンスタイル市川コルトンプラザオープン、ダイエーから承継した大型店をフルライン展開GMSとしてリニューアル
2025.11.20
イオンリテールは11月15日、イオンスタイル市川コルトンプラザをオープンした。もともと1988年にオープンした大型商業施設のニッケコルトンプラザ内にダイエーが百貨店のプランタンとしてオープンした店が前身で、その後、総合スーパー(GMS)のダイエーへの転換を経て、イオングループ入り後の2014年11月29日にはスーパーマーケット(SM)とテナントで構成される「フードスタイルストア」のフォーマットの原型のような位置づけを担う改装が施されていた。
その旧ダイエーいちかわコルトンプラザ店は8月31日に閉店し、10月1日にその運営区画をイオンリテールが承継、約2カ月半の休業期間を経て今回のオープンとなった。今回、イオンリテールとしては衣食住フルラインのGMSとして店づくりを実施。
人員面では、ダイエー時代に勤務していたパートタイマー約200人をイオンリテールとして採用した。人手不足の状況下では小売業の経験を積んだ人材を多数確保できたことは、企業としての業務システムや用語の違いはあっても、初期のトレーニングなど戦力化のスピードという点でも大きかった。
佐山幸司店長は同店の商圏の特性を次のように語る。「市川市の特徴は都心から20kmぐらいの位置にあり、都内に通勤、通学されている方が47%ほどおられる。交通利便性が高いことからファミリー世帯が非常に多く、特に20代から40代の子育て世代の構成が非常に高いエリア。また、東京から近いということもあって、単身者の構成も40%以上と非常に高いエリア」。
もともとポテンシャルの高い店であったことに加え、休業期間があったこともあって今回のオープンに際しては開店前に約2000人が並ぶなど、期待の大きさが伺えた。ここのところ日本ではGMSのオープンも減り、さらに既存店では特に衣料と住居関連の販売に課題を抱える店も多くなっているが、佐山店長は、「今回は衣食住のフルラインのお店であることが、一番の集客できているポイントだと思う」と、改めてGMSの業態としての強さを強調した。

ウォルマートが引き続きスーパーセンターを出店し続ける米国とは異なり、日本では「専門店の台頭に押される総合店」といった論調が長らく続いているが、そういった意味では、特に比較的若い子育て世代のファミリー層が多いエリアでは、1つの店で、値頃の商品をワンストップショッピングすることができるGMSがまだまだ力を発揮する可能性があるともいえる。
市川市内には、もともとダイエーとして旧ダイエーいちかわコルトンプラザ店の他に1km弱の至近にイオンフードスタイル市川大和田店、また、3km弱にイオンフードスタイル市川店の2店を抱え、総合スーパー(GMS)のいちかわコルトンプラザ店とその周辺をスーパーマーケット(SM)が囲む態勢となっていた。
ダイエーの関東事業は、旧ピーコックストアのイオンマーケットと共にユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)のマックスバリュ関東と来年3月1日に経営統合することが予定されているが、その意味では今回、GMSをイオンリテールが運営し、来年の3月からは周辺のSMをマックスバリュ関東が運営するようになることで、運営主体が入れ替わる格好になる。
イオングループとしては同じくUSMHのマルエツも近隣に複数店を展開していることもあって、イオングループとしてのドミナントが強固なエリアであるともいえる。
佐山店長は、「目標としては売上げも客数も1.5倍に伸ばしたい」と力を込める。若年層のファミリー世帯が多い商圏の状況を受け、特にファミリー世帯に向けて地場野菜や鮮魚の対面販売、デリカを含む食品を強化。また、特にキッズ用品は「キッズリパブリック」として強化した上で、キッズ用品、カジュアル衣料、住居用品については利用シーン別の提案をしている。キッズ用品については3階部分の約半分を割くなど強化した分野についてはめりはりを付けている。


売場は2階、3階の2層で、2階は食品と、調剤薬局を含むヘルス&ビューティケア、さらに住居余暇で構成。食品は、生鮮の他は店内で焼き上げるパンやピッツァや冷凍食品を拡充するなど即食、簡便、時短需要を重視。イートインコーナーも145席を用意するなど、食べる場所も提供する。
ヘルス&ビューティケアはZ世代を中心に人気のコスメを充実させたビューティ売場と薬の服用や健康状態など相談にも応じる「かかりつけ薬局」としてのイオン薬局を併設。住居余暇はキッチン用品や寝具がメインでGMSとしてはコンパクトだが、「HOME COORDY(ホームコーディ)」のバナーを掲げたショップ形式での展開となっている。
畜産売場に近畿圏で展開する「ミートパーク」の要素を取り入れ
2階で展開される食品はやはり主力になるが、デリカを強化したのには、商圏内には単身者も多く、需要が高いとみられる夜のマーケットの掘り起こしも狙いとしてある。また、売場としては特に畜産売場の強化が目立つ。
イオンリテールでは新たな畜産売場として、選ぶ楽しさ、体験、簡便性の要素を実現する「お肉のテーマパーク」のコンセプトの下、「MEAT PARK(ミートパーク)」と名付けた新しい売場の展開を近畿圏で開始。
具体的にはコーナーごとの専門性を高めたり、対面販売、試食販売を強化したり、さらに展開商品の幅を広げた上で店内加工を強化、店内加工比率を50%程度にまで上昇させるといった取り組みを実践している。今年6月からイオンスタイル鶴見緑地(大阪市鶴見区)にて実験と検証を行い、10月30日のイオンスタイル伊丹(兵庫県伊丹市)のリニューアルに際し1号店をオープンしている。








今回のイオンスタイル市川コルトンプラザでは、「ミートパーク」と銘打たないまでも、売場づくりや取り組みについてはかなりの部分、導入したとしている。店内加工比率も通常の店の10%~20%のところ、50%程度にまで高めている。

インストアベーカリーは直営で、「オレンジローズ」というこの店独自のバナーを掲げる。看板商品のクロワッサンや具材たっぷりのサンドイッチを提供する他、新商品として、量り売り惣菜コーナーのローストビーフを使用したローストビーフサンドやチーズケーキブレッド、手包み牛すじカレーパン、こだわりクリームのロールケーキなど、約70種類を品揃え。


デリカ売場で定番となっているピッツァの「ピッツァソリデラ」。店内で生地の発酵を行い、1枚ずつ丁寧に延ばして高温で短時間で焼き上げるなど製法にこだわっている。もちもち食感と香ばしい小麦の風味を併せ持つことが強み。
イタリア産トマトソースを使用した王道の「マルゲリータ」をはじめ、ポテトサラダを使用した「コクとうまみのポテトベーコンコーンピッツァ」や「具だくさんてりやきチキンとコーンのピッツァ」、4種のおいしさが1枚で楽しめると人気の高い「クワトロ・グラッツィエ」などを提供。


また、こちらもデリカ売場の定番コーナーとして定着している対面量り売り「リワードキッチン」では、約30種類の素材や彩りにこだわったサラダや主菜にもなる惣菜を必要な分だけ量り売りで提供する。今回、新たにサラダやローストビーフの品揃えを拡大した他、人気の「チーズの旨みの海老ブロサラダ」に加えて、「ひじきと揚げ豆腐のサラダ」を新規投入。


米飯は主力商品として平台で売り込む。今回、市川市の特産品「行徳海苔」を使用したのり弁当をオープンに合わせて商品開発。芳醇な磯の香りとつややかな光沢で長年親しまれている「行徳海苔」を使用し、焼きサケなどの具材を載せた。

また、イオンフードサプライがシェフ品質のおいしさを手頃な価格で楽しめることを実現すべく開設したプロセスセンター(Craft Delica Funabashi、クラフトデリカ船橋)供給の送品を前面で展開していることも大きな特徴といえる。



簡便・時短のニーズに対応し、冷凍食品は約1200品目展開。共働き世帯の増加や単身者のライフスタイルの多様化、冷凍技術の進化など多様な背景を受け、冷凍食品の需要は高まっている。冷凍食品売場では主菜と副菜をセットにしたワンプレートやパスタなど、日常使いから専門店のメニュー、また冷凍野菜を取り扱う他、生鮮売場でも肉、魚など素材の冷凍品も展開するなど、調理の利便性を高める。





水産では、前述のように豊洲市場を中心に仕入れた旬の丸魚や切り身を提供する対面販売コーナーを強化。接客販売員を常時配置し、要望に応じて3枚おろしや刺身、切り身などの加工に対応。

売場レイアウトとして、主通路沿いに農産に続いて畜産を配置しているため、その後の水産とデリカが隣接している。これを利用し、水産の刺身盛り合わせと水産部門の寿司、そしてデリカ部門の寿司に流れるように、売場の連動を図っている。



デリカ売場に設置している「魚魚炎(ととえん)」では、水産部門の魚をフライ、焼き魚、唐揚げなどに調理した魚惣菜を販売。


GMSということもあって、ギフト需要に対応する銘店売場にも力が入っている。市川市の特産品「行徳海苔」やブランド銘菓を導入。手土産需要に対応する。市川市と船橋市の沖に広がる浅海域「三番瀬」で取れたのりの製造、販売を行う加藤海苔商店の「行徳海苔」を品揃え。板のりの「やっぱり行徳でしょ!」や海苔玄シリーズギフトも用意する。

他に、「東京ばな奈ワールド」の発酵バターラスク、バタースイーツ専門店「BUTTER STATE’s」のクッキー、ナポレオンパイ専門店「アマンド東京」のボン・ナポレオン、キャラメル菓子専門店の「キャラメルマンデー」のキャラメルバタームーンなど、都内で人気の洋菓子を取りそろえる。


ヘルス&ビューティケアは食品と共にGMS以外の店も含め主力売場となっている。「Glam Beautique(グラムビューティーク)」のバナーで展開するヘルス&ビューティ売場は、特にビューティを強化し、若年層の支持が高い韓国コスメなどを強調しながらフルパターンでの展開としている。

高温多湿な気候でも崩れにくい機能性やカラフルなパッケージデザイン、手に取りやすい価格などからZ世代を含め幅広い年代に人気のアジアンコスメでは、ポイントメイクからベースコスメまで幅広く展開している「fwee(フィー)」や「rom & nd(ロムアンド)」「Anua(アヌア)」などの韓国コスメなどを品揃え。また、「セザンヌ」や「CANMAKE」などのトレンドコスメも品揃えする。
また、売場に設置してある専用タブレットの画面に自身の顔を映し、気になる商品の色味や質感のシミュレーションができるサービス「ARバーチャルメイク」を導入。10ブランド約700品目の化粧品をバーチャルで試すことができる。



3階は前述のように売場の約半分をキッズ用品に割き、子育てファミリーをサポートする衣料品などファッションを提供する。ベビーから大人まで、利用シーンやテイスト別にコーディネート提案する他、キッズ用品は子どもの成長、「ベビー(0~3歳)」「幼園児(3~6歳)」「スクール(7~12歳)」といったように年齢に合わせた分かりやすい売場とした。ベビーでは妊娠、出産期の不安や悩みに応えるため、社内資格の「ベビーアドバイザー」を取得した従業員を配置している。

キッズ以外の衣料品については、商圏の状況に合わせレディスを強化した他、特に20代、30代の若年層をターゲットにした直営ショップの「Doublefocus(ダブルフォーカス)」を広く取った一方、ビジネスは展開を絞り、一部カジュアルなビジネスウェアなどの展開にとどめた他、シニア層向けの展開もやや控えめになっている。
「ダブルフォーカス」はヤングカジュアルウェアの専門店として、10代向けのファッションアイテムを、ウェアからファッショングッズまでトータルコーディネートで提案。流行の韓国ファッション やTシャツなどユニセックスで着られる商品も取りそろえる。

また、ファミリー向けのカジュアルファッションとして、「毎日にフィットする服」をコンセプトとしたイオングループのSPA(製造小売業)ブランドである「TVC(ティーヴィシー)」も展開。

インナー売場でもイオン限定ブランドである「ニルマータ」のソックスを提案。ニルマータのソックスは、「お出かけで履きたい」「友達にプレゼントしたい」「見せたくなる」ようなデザインに仕上げ、「日常の生活にちょっとしたワクワクを提供」することを目指す。

雑貨、トラベル用品売場でもZ世代をターゲットとしたスクールリュックやブランドキャップ(帽子)を拡充して展開。


サービス面では、ネットスーパーを展開する他(12月1日15時受付開始)、買った商品の配送サービスの「即日便」も実施。また、買物が不便な地域を中心に「移動販売車」の運行も行う(12月初旬開始予定)など、選択肢の拡大にも努める。
移動販売車では野菜、肉、魚などの生鮮品、惣菜、菓子、飲料、日用品など約1400品目を軽トラックに積載し、買物不便地域で販売。販売時に載せていない商品は、次回の移動販売時に提供できるように注文も受け付ける。さらに要望に応じて肌着や靴下、フライパンなど店舗の品揃えをお持ちする「御用聞き」も実施する。
イオンスタイル市川コルトンプラザ概要
所在地/千葉県市川市鬼高1-1-1
オープン日/2025年11月15日
営業時間/食品、日用品、暮らしの品8時~23時(イオン薬局の調剤9時~21時)
衣料品9時~21時(平日)、9時~22時(土、日、祝)
建物構造/地上4階建て(ニッケコルトンプラザ)
駐車台数/2500台(ニッケコルトンプラザ共有)
駐輪台数/3000台(ニッケコルトンプラザ共有)
専門店数/7店舗(うち2店舗はATM)
売場面積/約1万3779㎡(直営約1万1809㎡、専門店約1970㎡)
店長/佐山幸司









