マルエツが次世代旗艦店としてBLiX茅ヶ崎店をオープン、500坪規模の店の強化に向け、生鮮とデリカ強化に振り切る
2025.12.17
2025.12.15
マルエツは11月27日、神奈川県茅ヶ崎市にBLiX茅ヶ崎店をオープンした。全社308店目、神奈川県50店目、湘南エリア4店目の新店、かつ550坪強の売場での出店で、同社としては「マルエツの次世代旗艦店」と位置付ける。
比較的強みが出せている都市型小型店の「マルエツ プチ」、あるいは即食強化型の2層も含む300坪クラスは今後も引き続き柱として位置付ける一方で、今回は60店ほどある郊外の500坪クラスをどう強化していくかの方向性を探るモデルとなる。
「500坪規模の店について、各社競争がある中で、地域で支持されるかどうか。いままで生鮮でやってきたことを自らやめてきた経緯も多々あると思うが、もう1回掘り起こして、やるものと、店舗運営上効率化していくことのめりはりを付ける」(本間正治社長)
「地域一番の高品質な生鮮・デリカと、お求めやすい価格の商品」を取りそろえる他、地場食材の品揃えや来店宅配サービスなどを通して地域に寄り添うことで、「活気と楽しさがあるふれるお買物体験」を提供するとしている。
JR東海道線と相模線の茅ヶ崎駅から北側170mに位置する地下1階、地上6階建ての商業施設のBLiX茅ヶ崎の地下1階部分への出店。施設はイトーヨーカドー茅ヶ崎店の閉店に伴って再開発したもの。駅からそれなりの距離はあるものの、店前までは駅からペデストリアンデッキでつながり、実質的に駅前店舗となっている。周辺には市役所など行政機関が集積する他、中層マンションなどの住宅地となっている。

店舗は県道45号線沿いに面している他、北側には国道1号線が東西に走る。店舗から700m圏内には単身世帯比率が約4割と高く、2km圏内にはファミリー層を中心とした住宅地が広がっているという。
前述のように湘南エリアは、近隣店舗として約2.1kmの距離に茅ヶ崎店(神奈川県茅ケ崎市)、約2.8kmの距離に香川駅前店(同)、約3.4kmの距離になぎさモール辻堂店(神奈川県藤沢市)の4店が出店しているなど、マルエツとしてドミナントを築くエリア。
そうしたドミナント内の大型店ということで、既存店との差別化の意味も込めた次世代旗艦店として最新のマーチャンダイジング(MD)が展開されているといえる。特に「地域一番」を志向する生鮮とデリカについては、これまで培ってきた取り組みを最大限生かしたものになっている。
売場の総尺数は約1800。SKU数は全体で1万530。部門別では精肉530、青果430、鮮魚320、惣菜・ベーカリーのデリカが350、日配食品2200、一般食品・酒たばこ5500、生活用品1200。
売上高構成比見込みは、精肉12%、青果17%、鮮魚12%、惣菜・ベーカリーのデリカ13%ということで、生鮮・デリカで54%を目指す。他、日配食品20%、一般食品20%、酒たばこ・生活用品6%としている。
本間社長は、「この物件の意思決定をしたのが約1年半前。この期間、レイアウト、商品、いろいろ準備してきた。期中には6店、同タイプなどいろいろなところにトライアルをして、仮説を持って、投資も伴いながら準備もして今日を迎えた」とこの店にかける思いを語る。
既存店を改装しながら幾つかの要素を検証したが、特に生鮮とデリカについてはまずは生鮮強化のMDに振り切ることで生鮮食品の売場を徹底強化。次いでその生鮮を惣菜にする流れも加え、デリカについてはセンター投資も伴ったアウトでの原材料を含めた供給なども強化。結果として、生鮮3部門とデリカの4部門で55%の売上高構成比を目指す。これまで50%をベンチマークとしていたが、これを引き上げた。
生鮮コーナーでは、地元農家直送の新鮮な野菜をはじめ、一頭買いの下、店内手切り加工する焼肉用「横濱ビーフ」や「優夢牛」、小田原市場などから仕入れた丸魚の対面販売など、「地域一番」の生鮮食品売場を構成すべく、鮮度を重視した施策を積極的に取り入れた。

「ポイントとなるのはやはり魚。ここはやはりもう1回、原点に立ち返るということで、この規模であれば対面(販売)の魚(に取り組む)。今日(オープン日)も小田原、江の島(の市場)に買い付けにも行っている。損益が持たずに『3カ月後にはやめてしまう』といったことにならないように、この店の看板として、店長も含め、全員が『マルエツの意志』ということで、しっかりやり切る」(本間社長)




また、その生鮮についてはこれまで一部店舗で取り組んできた「生鮮惣菜」としても訴求力を高める。「鮮魚も精肉も、そこの商品を惣菜化するということで、新しく取り組んでいる。生鮮の鮮度感と、ある意味で回転数を高める取り組み」(本間社長)
マルエツでは生鮮部門の素材を用いて温惣菜を製造する形の魚惣菜、肉惣菜をそれぞれ20店弱の店舗で展開しているが今回、集大成的な売場をつくった。「体制、組織、商品開発をしっかりやっていくということで意思決定した」(本間社長)
売場として、通路上の平台に鮮魚の魚惣菜、レジ側の平台に精肉の肉惣菜を展開している。2つの売場は鮮魚売場と精肉売場の間に位置し、それぞれ生鮮売場と隣接しているため、動線としても生鮮と生鮮惣菜が連続した形となっている。





このゾーニングには、デリカが伸びることを受け、「生鮮強化の中でデリカにつなげる」(本間社長)という意図があり、最終段階まで細かな調整を行いながら売場をつくったという。
一方、鮮魚部門が展開する寿司である「魚悦」については200店近くに展開する同社を代表する寿司商品となっている。当然、BLiX茅ヶ崎店でも魚悦は壁面の平ケースでしっかりとコーナー化されている。


また、「惣菜化」という意味では冷蔵販売のアウトパック惣菜として、これまで鮮魚では「おつなFISH」、精肉では「おつまMEAT」を展開してきたが、今回もしっかり展開。今回、おつなFISH、おつまMEAT両コーナーをデリカ売場に隣接して展開した上で、おつまMEATについては精肉惣菜との連動で面を取った形で展開。


一方で、デリカコーナーでは、店内で焼き上げる「出汁がじゅわっと溢れだす玉子焼」をはじめ、手作りおにぎりや鉄板焼きなど製法にもこだわった商品を展開。






生鮮とデリカの強化に加え、マルエツが「次世代旗艦店」としてもう1つ、強化したのが冒頭でも触れた「お求めやすい価格」の実現だ。日配、加工食品コーナーでは、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)グループでの共同仕入れも活用し、「スペシャル厳選特価」「厳選特価」を約900SKUに拡大。


「ナショナルブランド(NB)については、お客さまが求める購買頻度の高い商品ついてはU.S.M.H共通でしっかりと対応する。この店は最大限のSKUでNBの商品の価格にトライアルしている。会社都合にならないように、あくまで顧客起点でいまの環境下で、お買物が便利で、家計にやさしいもテーマにトライアルしている」(本間社長)
既存店で「ステープル(定番)のNB商品の支持獲得、必要な商品についてはどこまで価格を打ち出せるのか」(本間社長)を実験し、BLiX茅ヶ崎店では3店の既存店で過年度のデータや客数PI(Purchase Index)などから商品を抽出しながらのトライアルを踏まえ、特に500~600弱のSKUについては価格対応を強化したという。
「やはり、マルエツ(の価格)が高いというイメージを持たれているというのは、いろんなアンケートでも正直、ある。そのイメージを払しょくするためには、どういった形で、どういった商品ということを今期、トライアルしてきた。この取り組みを来期の活性化投資と結び付けることで、来期の成長の1つのきっかけとなるようにしたい。来期は投資を伴う形で少なくとも10店は既存店の活性化をこのタイプでトライしていく。来年につながる1つの起点にしていきたい」(本間社長)
また、イオングループのプライベートブランド(PB)のトップバリュについては約1200SKU取りそろえ、特に低価格ラインであるベストプライスなどを活用しながら価格についても打ち出しを強化している。「トップバリュのベストプライスについては、しっかりNBの価格帯に適応するために棚割りに落とし込んだ」(本間社長)

NBの値上げの影響もあって、価格優位性を持つトップバリュの売上げも高まっていて、店舗での欠品が増えるなどしていることから店の認識も変わってきているという。
一方で、日配食品、一般食品の品揃えについては「NBが強い分野」といったカテゴリーごとの特性を踏まえてNB、PBの位置付けを考えていくため、機械的にPBに置き替えていくといったことはしない他、全体のSKU数については絞り込みを進めていく方針。
店舗オペレーション、物流を始めとしたサステナビリティも含めた効率化も見据え、こちらもカテゴリーごとの特性を踏まえてカテゴリー内のSKU数は絞り込んだ。BLiX茅ヶ崎店では同規模既存店と比べて10%程度絞り込んだという。背景には、「商品はいっぱいあるので、増やすのは一番楽。ただ、お客さまには(商品を絞り込んで)フェースで見てもらわないと(買われない)」(本間社長)という認識がある。


買い得感の訴求という面では昨今、多くの企業で強化されている大量目商品にも注力。生鮮各コーナーで果物、豚肉・鶏肉、冷凍の魚介類など、大容量の商品を展開。ファミリーでの買物、あるいはまとめ買いにも便利な商品を豊富に品揃えるなど、お客に寄り添うお店づくり、お客の困りごとに役立つサービスとして重視。


サービス面では、まず、音声で情報の問い合わせができるAI(人工知能)アバターによるコンシェルジュを実験的に導入。

レジについてはフルセルフレジを主力としている他、グループのスマホPOSである「スキャン&ゴー」に対応。フルセルフレジについては導入可能な店には入れているが、利用率が90%を超える店が50店強にまで増えている。高い店ではスキャン&ゴーと合わせて98%といった店もある他、店側のニーズもあるため投資をしていく方向。

また、ラストワンマイル施策としては、店内で買った商品を3時間以内に自宅などまで配達する「らくらくクマさん宅配便」、ネットスーパーの「オンラインデリバリー」の他、即時配達サービスの「Uber Eats」に対応。
その他、デジタル活用としては鮮魚、精肉、惣菜を以外の多くの売場で電子棚札を導入。店舗運営における従業員負担の軽減も踏まえ、今期上期中には1年半前倒しで全店導入を果たしている。
今回、BLiX茅ヶ崎店を次世代旗艦店として既存店での実験を踏まえた取り組みを集大成したが、「完成形では全くない」(本間社長)とはいうものの、今回の取り組みを今後の新店、既存店にも取り入れていく方針。その際、「改装後の数値に対するスタンス」についても、これまでの考え方を変える。
「既存店の活性化ではいままでだと(前年比)105%とか107%といった数値だったが、やはりやるのであれば130%とか150%に活性化で伸びるようなインパクトを示さないと、本当の意味での店舗の活性化にはならない。激戦区にある幸手上高野店(埼玉県幸手市)は7月に改装して1.3倍強に伸びている事実もある」(本間社長)
「やはり、考え方、インプットを変えないと、アウトプットも変え切れない」(同)という考えの下、昨年から外部の知見、グループ内のメンバーと話し合うなど、商品開発におけるインプット、教育についても変えている。商品開発の挑戦を促しながら、「マルエツの理念、大事にするものの軸がぶれなければ、答えをお客さまに聞くのが一番という考え方で仕事をしてもらっている」(同)。
本間社長は、これからのフォーマットづくりにおける考え方を次のように総括する。「競争企業さまを含めて、伸びている店は伸びている。いわゆる『中庸』がだんだんなくなって、お客さまの支持が離れるところは離れ、伸びるところは伸びる。いわゆる中庸で、『とにかく今年こらえれば』ということでは競争環境からすると相当厳しいと思う。来期以降、このインフレ下で既存店の売上高が前年を割るということは、企業経営からしても非常に厳しい数字に向き合うことになると思う。生鮮という来店動機をどこまでやり切って、また、価格についても逃げずに、グループの武器も活用しながら支持が高いお店づくりをしていかないといけない。やはり、客数、総売れ数についていかに高めるかは、お店づくりを通じた1つの大きな課題認識」
BLiX茅ヶ崎店の同社にとって大きな位置付けを持つ店になる。今後の変化も含め、注目の店である。



マルエツBLiX茅ヶ崎店店
所在地/神奈川県茅ヶ崎市新栄町11-8
オープン日/2025年11月27日
営業時間/9時~22時
建物構造/鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上6階建て(マルエツ区画は地下1階)
売場面積/約1843㎡(557.4坪)
店長名/下釜翔平
従業員数/73人(うち正社員約20人、8時間換算)
年間売上高目標/約30億円
駐車場/428台(施設)









