明治屋自由が丘ストアーが9月17日オープン、対面含む生鮮3品店内加工で売上高構成比5割狙う
2026.09.18
明治屋は9月17に開業した「JIYUGAOKA MUSE SQUARE(自由が丘ミューズスクエア)」(東京・目黒)の地下1階に自由が丘ストアーをオープンした。自由が丘エリアへの出店は同社として初めてとなる。同施設は東急電鉄の東横線、大井町線の自由が丘駅前に立地する駅前施設だ。
同施設は自由が丘一丁目29番地区市街地再開発組合とヒューリック、鹿島建設が推進した第一種市街地再開発事業によるもので、地上15階、地下3階、延べ床面積約4万6000㎡の複合施設。商業部分は地下1階から5階までの59店で構成し、店舗面積は約1万1000㎡。商業運営は住商アーバン開発が担う。
明治屋は同じ地下1階のマツモトキヨシとともに「GOOD DAILY LIFE」を掲げるフロアの核として位置づけられている。明治屋は1885(明治18)年、創業者の磯野計が横浜万代町で船舶納入業を始めたことに始まり、2025年に創業140周年を迎えた。「いつも いちばん いいものを」を経営理念に掲げる。
今回のストアーコンセプトは「おもてなし ホスピタリティー」。「リアルの店舗の追求」をキーワードに、リアル店舗ならではの価値を最大化したトラディショナルな店づくりを目指すとしている。同社としても今回、駅周辺が再開発されたことで1号店を出店できた側面が大きいと考えていて、あくまで地域に根差した商売をしていきたいという。街の公式キャラクター「ホイップるん」とのコラボレーションもその一環といえる。ベビーカー同士がすれ違えるように通路幅を確保するなど、子育て中のファミリーも多い商圏への対応もしっかり意識した。

売場規模は店舗の総面積が約374坪、売場面積が約217坪。郊外にある大型スーパーマーケット(SM)と比べれば小ぶりではあるが、生鮮、惣菜まで広範に取り扱うフルライン型だ。取扱品目数は約6880。内訳は精肉約160、青果約400、鮮魚約150、保存約3000、菓子約820、日配品約1250、酒類約615、デリカ約210、パン約90、雑貨約185となる。
商圏の捉え方は明確で、磯野太市郎社長は、「われわれのスーパーのお店に関しては、完全に足元商圏をしっかり捉えていく」との考えを示した。自由が丘駅はターミナル駅ではあるものの、それほど大規模ではないこともあって広域商圏というよりは、まずは足元商圏の支持を得ることを前提に置く。施設に69台分の駐車場があるが、周辺の道路が歩行者天国になる時間帯があったり、そもそも駅前という立地のため、やはり足元の徒歩、自転車客がメインになるということもある。
土日祝の鉄道などでの来街者、とりわけ近隣に多いスイーツやベーカリーの店を目当てに遠方から訪れる層も意識するが、あくまで日常利用が軸になるという。同社の最寄りの既存店は二子玉川の玉川ストアー(東京・世田谷)でおよそ4km弱の距離。
また、都心側には恵比寿ストアー(東京・渋谷)、広尾ストアー(同)など同社の主力の店があり、自由が丘はそれらの南西部に商勢圏を拡大する位置にある。商圏内のお客の明治屋既存店の認知も高いものとみられる。足元商圏重視の戦略にはそれら既存店とすみ分けを図る意図もあるが、それでも車と電車の双方で行き来できる二子玉川ストアーには若干の影響があるとみる。
自由が丘駅周辺には駅中の東急ストアを始めピーコックストア、食品館あおば、成城石井、少し離れてライフなど同業のSMが集積していて、磯野社長は競合環境を「レッドオーシャン」と表現する。明治屋としては展開商品のグレードを含めた生鮮を差別化要素として位置づける。実際、生鮮にはかなり注力していて、グレードの高い商品を店内加工による切りたての鮮度で提供することを強みとしていく。鮮魚、精肉では量り売りの対面販売の売場を設けている。
一方で、同店ではデリカを店内製造をせず、全て2024年に開設した辰巳セントラルキッチン(東京・江東)からのアウト供給とし、生鮮とめりはりを付けている。同社としてはグレードの高い商品やオリジナル商品を含む加工食品も大きな強みではあるが、来店動機における差別化の鍵はデリカではなく、生鮮にあると位置づけている。特に自由が丘ストアーの周辺にはSM競合店のデリカや街の飲食店、スイーツの選択肢が豊富であることもあって、あえてデリカではなく生鮮で差別化する判断をしている側面もあるという。


売上高構成比は生鮮3部門で50%程度を想定する。同社の一番店である広尾ストアーは3部門で55%程度に達するといい、それに近い水準まで引き上げたいという。生鮮はその店でのワンストップショッピングの強化に直結するため、客単価を上げるためにも重視しているとする。
精肉は、明治屋が芝浦市場で牛肉の買参権を有する強みを生かす。バイヤーが食肉市場で牛を1頭丸ごと直接仕入れ、黒毛和牛A5ランクの雌牛にこだわって肉質、脂質を厳選する。仕入れ後は市場の冷蔵庫で約2週間の枝肉熟成を行い、うま味を凝縮させた上で店舗が食べ頃を見極めて供給するというこだわりぶり。対面では量や切り方などお客の要望に応える。



鮮魚は豊洲市場、青果は大田市場で仕入れ、適切な温度管理のもと毎朝店舗へ配送し、販売。鮮魚は対面販売も実施する。




また、自由が丘が「ベーカリーとスイーツの街」として認知されていることを受け、この2カテゴリーは大幅に充実させた。ベーカリーはオリジナルブランドの「デリベイク明治屋」に加え、ハードパンを強みとするメゾンカイザーと武蔵小山のヨシナカブレッドを扱う。メゾンカイザーは事前アンケートでも地域からの要望が多かったブランドだという。


また、ブランドスイーツは、ダンデライオン・チョコレート、学芸大学のTaisuke Endo、ミュゼ・ドゥ・ショコラ テオブロマ、世田谷三宿のラ・テール洋菓子店、フルーツ専門店の新宿高野、米価専門店のもち吉が並ぶ。もち吉は直営店以外では初となる定番商品の常設販売で、同店を含む明治屋7店で展開する。周辺エリアの店を大事にしたいという考えから、街の既存店と重複しないことも心がけた。


全国各地の銘菓を集めた「菓子箱」も75アイテムの規模で展開する。新規取り扱いとして鎌倉ウィッチが加わり、選りすぐりの逸品には福井県勝山市のはや川(毎週土曜)、東京・泉岳寺の松島屋(隔週月曜)、京都・祇園の鍵善良房(毎週水曜)、東京・麻布十番の浪花家総本店(毎週木曜)が並ぶ。鍵善良房については、直営店と百貨店等での催事以外での販売は同店を含む明治屋3店舗のみとなる。

ワイン&リカーは、ワインカーブを思わせる落ち着いた空間に独立したコーナーを構えた。試飲カウンターを設置し、ソムリエが用途に合わせて提案する。デイリーでは乳製品、漬け物、豆腐、みそなど日々の食卓に欠かせない商品を幅広くそろえ、デリベイク明治屋のハム、ソーセージや明治屋直輸入のチーズを展開。



冷凍食品は電子レンジや湯せんなど簡単な調理で済む商品を中心に構成する。自社商品では「果実実感ジャム」をはじめとするMYブランド、パスタ、缶詰、調味料などの明治屋直輸入品、老舗メーカーとコラボレーションしたストアー専売の「明治屋ストアー推奨品」を軸に据えた。

レジはフルサービスレジとセミセルフレジのハイブリッドとした。セミセルフ自体は過去に別店舗でテストした経験があるものの、両者を併用する運用は同社として初めてだという。セミセルフはスキャンを従業員が行い、袋詰めのみをお客が行う方式で、周辺環境がほぼ専門店であることを踏まえ、ホスピタリティの水準を落とさずに時代に合わせる折衷案とした。同社担当者は、レジ通過が早くなる効果とサービスレベルのトレードオフを見極めながら運用するとしている。

オープン記念企画としては、自由が丘の公式キャラクター「ホイップるん」と明治屋のイメージキャラクター「マイ坊や」がコラボした限定記念バッグに果実実感ジャムやストアー推奨品を詰め合わせた「オープン記念お楽しみセット」を2000円(本体価格、以下同)で200セット限定販売。また、「果実実感+PLUS SUPER FRUITS マンゴー&パッションフルーツジャム」(150g、380円)を同店限定で先行発売する他、エコフレンドリーなバッグブランドBall&Chainとのコラボバッグ(5500円)も先行販売する。
今後の出店については、具体的な計画はまだないとしながらも、城南エリア(東京23区の南部)を中心に生鮮フルスペック店舗の出店を進めていきたいという。建築費の高騰によって出店ペースを上げにくいが、小型店も含め出店の機会を模索していく意向だ。
明治屋自由が丘ストアー
所在地/東京都目黒区自由が丘1-29-1自由が丘ミューズスクエアB1F
オープン日/2026年9月17日
営業時間/10時〜20時
駐車場/施設共用商業用69台
駐輪場/施設共用商業用361台
売場面積/約217坪(総面積約374坪)
取扱品目数/約6880種









