クリーンラベルとは?アフターコロナで、食のグローバルトレンドはこう変わる

2020.08.07

更新:2020.10.13

Innova Market Insights 田中良介

最近、Innovaへの問い合わせで最も多いのが「Covid-19(新型コロナウイルス)により、食品トレンドはどうなっていくのか」といったもの。急激な変化の時代を迎え、どの企業担当者も今後の方向性について頭を悩ませている。

健康志向はどのように変容するのか? プラントベース食品にブレーキがかかるのでは? サステナビリティへの影響は? などなど、検討しなければならない項目は多岐に及ぶ。その「読み」次第で、新型コロナは大きなリスクにもなり、チャンスにもなり得る。では、これだけ不確定要素が多い状況下で、何をどう考えれば良いのだろうか?

世界中の食品を隈なく分析してきたInnovaだからこそ言える、重要なヒントをお伝えしたい。それは、あれこれ枝葉の変化に振り回されるのではなく、変わらないものに着目する方法だ。食品トレンドには、過去から現在に向けて、長い時間をかけ醸成された、バックボーンともいえる潮流がある。これには、消費者の根源的な欲求が大きく関係しており、非常に頑丈だ。そう簡単には崩れない。

それではグローバルトレンドの流れを、時間軸で見てみよう。

Clean Labelが表す世界の食品トレンド

Clean Label(クリーンラベル)とは、「出どころの明確な体に良いとされる原材料を使いましょう」、というトレンドのことを言う。欧米を中心に確立された、極めて重要なトレンドだ。ただし明確な定義があるわけではない。何を「クリーン」と捉えるかは、会社のターゲット顧客次第だが、Innovaでは代表的な考え方として、無添加、ナチュラル、オーガニック、non-GMOとして分析することが多い。

このグローバルトレンドの背景にあるのは、過去に起こった食品の事件や事故。日本だけでなく中国、欧米諸国でも、振り返ってみてさまざまな食品問題が発生したのは、記憶に新しいだろう。食品企業に対する不信感の高まりが、このトレンドの引き金となっているのだ。

もちろん現代社会では消費者はインターネットであらゆる食の情報を集められる。しかしだ。情報が多すぎる。さまざまな専門家が、異なる意見を発しており、一般人には何を信じて良いか分かりにくい。だから、使われている原材料がどのようにクリーンなのか、可能な限りシンプルに知りたいという欲求が高まっているのだ。

クリーンラベル製品においては、使用する原材料は少ない方が良いとされる。できれば5個以下だ。Less is More――少ないことはより豊かなこと。今の消費者はシンプルな豊かさ求めている。

スプーンで食べられるカッテージチーズ。ロサンゼルスで筆者購入。「5 simple ingredients」というメッセージに注目。世界で見られる典型的なクリーンラベルの表現だ

From Clean to Clear Label

クリーンな原材料を使用するのは素晴らしいことだが、それだけだと作り手(販売者)の自己満足になりがち。原材料の情報を、いかにお客にクリアに伝えるかが同時に重要となる。この概念はクリーンラベルの次に出てきたトレンドであり、Innovaでは「From Clean to Clear Label」と呼んでいる。

Innovaで行った調査によると、世界の3分の2の消費者が、自分に理解できない原材料を使った食品を避ける傾向にある。消費者への透明性を高めるためには、一般的に知られている原材料を使う、またその原料がどこでどのように作られたのかを、分かりやすく提示することが大切。添加物を使っている場合も、それが一体何由来で、どのような意味があるのか、伝える努力があった方が良いだろう。製造加工プロセスもシンプルで分かりやすい方が好まれる。

最近ではオンラインで製品情報を詳しく確認できるよう、パッケージにQRコードを貼り付けた食品が、世界的に増えている。仮想通貨のブロックチェーン技術を、食品のトレーサビリティに活用しようという動きも始まった。

また、「加工度合いの高い代替肉は果たして本当に健康的なのか」、という不安も随所で聞かれる。ここからも分かるように、消費者にクリアに情報を伝えることが、商品の差別化には欠かせない。プラントベース+クリーン(クリア)ラベルも、今後求められる見逃せないニーズの一つだ。

食品 が含まれている画像

自動的に生成された説明
「What’s so good about it?」。
何が入っていて、何が入っていないかを消費者目線でクリアに伝える。

Storytellingで差別化を図る

Innovaでは毎年徹底的な分析に基づき「世界の食品トップ10トレンド」を発表している。2020年のナンバーワントレンドは「Storytelling(ストーリーテリング)」。食品の背景にあるストーリーが、今まで以上に重要視されているのだ。これは上述トレンドの続編だと思ってもらうとよい。

Innovaの調査によると、世界の消費者の56%が、ブランドの背景にあるストーリーが購買決定要因に影響すると答えている。人の感情は非常にアナログ的。感動したい、体験したい、共感したい、不安を取り除きたい…。そう、売り手は食品情報を、単なる情報として伝えるのでは不十分。いかに魅力的なストーリーに乗せて語れるかが鍵となる。

ストーリーテリングの切り口を考える上で、ベースとなる概念はやはり「From Clean to Clear Label」。消費者が知りたがっている原料産地情報や、健康面でのベネフィット、またサステナビリティの取り組みなどを、独自のストーリーとして組み立てよう。それが消費者からの信頼を勝ち取り、長期的に企業ブランド確立に役立つことは言うまでもない。

世界の食品トレンドのバックボーンであるClean Label→Clear Label→Storytellingという流れを、時間軸に沿って紹介した。この潮流はこの先、枝葉のトレンドに変化があろうとも、決して変わらないものだ。

むしろ、今までにも増して重要性が高まっていくだろう。新型コロナウイルスの影響で、あらゆる情報があふれ、消費者も企業も混乱している。健康や衛生面の意識も高まっている。メンタル的に不安定な人も増えている。だからこそ企業は透明性をもって、誠実に、誠実に、消費者に自社製品のことを伝え続けなければならない。感情に寄り添うストーリーも欠かせない。この考え方を軸に、アフター・ウィズコロナを乗り切る商品戦略を考えてみてほしい。

カップ, 瓶, テーブル, 屋内 が含まれている画像

自動的に生成された説明
「この惑星を愛し、そしてカッテージチーズを心から愛する人間が、あなたが発音のできる(知っている)原料を使い、製造した商品です。」――シンプルながらも突き刺さるメッセージ。作り手の個性がにじみ出ている印象だ

たなか りょうすけ Innova Market Insightsの日本カントリーマネージャー。世界の食品トレンドを読み解き、日本へその知見・視点を伝え、企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。日本と世界をつなぐ懸け橋となり、クライアント企業と一丸となって食産業の発展に貢献することがミッション。Innovaでは90カ国以上をカバーし、新製品情報、消費者動向、原材料トレンド、市場規模データなど、多様化が進む現代の食品産業を、あらゆる角度から深いレベルまで分析できるデータベースを提供している。

HP: https://www.innovamarketinsights.com/

世界の最新食品トレンド情報: https://55auto.biz/innovami-japan/registp.php?pid=1

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