田中良介

Innova Market Insights(イノーバマーケットインサイツ)社の日本カントリーマネージャー。世界の食品トレンドを読み解き、日本へその知見、視点を伝え、企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。日本と世界をつなぐ懸け橋となり、クライアント企業と一丸となって食産業の発展に貢献することがミッション。INNOVAでは90カ国以上をカバーし、新製品情報、消費者動向、原材料トレンド、市場規模データなど、多様化が進む現代の食品産業を、あらゆる角度から深いレベルまで分析できるデータベースやレポートを提供している。

  • 2022.04.18

    第2回 「Indulgence」が訳せない

    いまの仕事を始めてからずっと悩んでいることがある。 「Indulgence」がうまく訳せないのだ。 私の仕事は世界の食品トレンドを日本の企業にお伝えし、商品開発やマーケティングに活用してもらうことである。世界の情報というのは基本的に英語だ。フレッシュな最新トレンドになればなるほど、情報源の大半は英語じゃないと手に入らない。 講演資料や展示会で掲示するパネルについては、できる限り日本語に訳すようにしている。しかし、ちょっと気取ったクールな英語表現を、翻訳ツールで直訳してしまうと、結局「なんのこっちゃ」になってしまうことが多い。これは翻訳のあるあるだろう。 だから私は前段階で、キートレンドや、製品…

  • 2022.03.25

    第1回 ぐるっと回ってたどり着いた先に「ニッポン」

    今月よりコラムを連載する。私は世界の食品トレンドを日本に伝えて、企業の商品開発やマーケティング活動、また海外展開を支援している。そのため、もちろん、執筆内容は「世界の食」が中心になるが、私が普段仕事を通して感じていることを、番外編的にゆるりと書いていこうと思う。 「へー、こんな意見もあるんだ」くらいに気楽に読んでほしい。ゆるくもあり、真髄に迫っているって言われると、ちょっぴりうれしいかもしない。 一般的に世界、特に欧米の食品トレンドは「進んで」おり、それが数年遅れで日本に入ってくると言われている。あらゆる国の食品を幅広く見ている私の実感としても、確かにそのとおりではあるが、実は日本が昔から最先…

  • 2022.02.28

    世界の健康重視トレンドはここまで来ている!

    いま世界で起こっている、最新の5つの健康トレンドを解説する。世界中の食品データを多面的に収集、分析しているINNOVA(オランダ・フードバレー)の、グローバルスタンダードの知見を、ぜひ学び取ってほしい。 新型コロナウイルスの影響で健康意識が高まっているのは周知の事実だが、これにより世界で起こっている「うねり」を読み解くことは、食品業界で働く人間にとって次の時代を生きぬくヒントとなり得る。 現代のグローバル社会においては、海外のトレンドが遅かれ早かれ日本へ影響を及ぼすことは明らか。この先、国境を越えた人の往来が徐々に再開していくと、トレンドの流れはさらに加速するだろう。だから今備えなければならな…

  • 2021.10.01

    著しく進化している世界の腸活

    腸内環境とは無限に広がる不思議な空間だ。多種多様な菌が複雑に絡まり合って共存しており、世界の食品業界においても近年大きな関心事となっている。 特にコロナの影響で、免疫力に対する意識が高まった結果、腸内環境を整えることを、今まで以上に重要視する人が増えた。「腸活」という言葉を聞いたことがあると思うが、これをさらに体系立てて発展しているのがグローバルの最新動向である。 各国で食品トレンドをリサーチ・分析しているINNOVAが、その注目すべき世界のいまをお伝えする。 4つの「~バイオティック」 世界の商品を見て回っていると、腸内環境のための表現が多様化してきているのが分かる。しかも少々ややこしい言い…

  • 2021.05.26

    注目の「スポーツニュートリション」とは何か? 最新トレンドと併せて解説

    現代の消費者はスポーツ栄養食品に何を求めているのか? 2021年以降の未来で、スピード感を持って商品開発を進めていくためのグローバルスタンダード視点を、事例を交えて紹介する。キーとなるコンセプトは次の4つだ。 1 クリーンラベル2 植物性プロテイン3 心と身体の両面アプローチ4 パーソナライズ それでは順に見ていこう。 クリーンラベル クリーンラベルとは、出どころが明確で、「身体に良い原材料を使いましょう」という世界的なトレンドのことをいう。はっきりした定義があるわけではないが、 代表的な考え方としては、「無添加」「ナチュラル」「オーガニック」「Non GMO(遺伝子組み換えでない)」のいずれ…

  • 2021.03.26

    自分にぴったりの食を好む消費者にどう向き合うか?|世界の動向から学ぶ

    「自分に最適な食事や栄養って何だろう?」。これは、誰もが一度は考えたことがあると思う。オーダーメイドは、もはやスーツや家具だけではない。その流れが本格的に食の分野にも広がってきた。 当社調査によると、世界の消費者の3分の2近くが、個人のスタイル、信条、ニーズに合わせて商品を選択することが増えたと回答している。さらに、自分に適した栄養ニーズ(パーソナライズド・ニュートリション)も高まっており、食のオーダーメイドの気運は高まるばかりだ。 また、技術の進歩もこのトレンドを後押ししている。食品開発の技術だけでなく、例えば遺伝子解析や、ITやAI(人工知能)を組み合わせたサービスもいろいろと見受けられる…

  • 2021.02.15

    いま、まさに「ローカルこそグローバルトレンドだ!」と言える理由

    筆者は仕事柄、いままでに世界中の膨大な数の商品開発事例を見てきた。随時、世界数十カ国の人達とやり取りをしているため、彼らが求めているものも肌感覚で知っている。 こうした世界の最新トレンドを日本の食品企業にお伝えし、商品開発・マーケティング・海外展開などを支援するのが、筆者のメインの仕事である。 プラントベース、プロテイン、サステナビリティなど、現代社会において見逃してはならない、グローバルレベルのあらゆるトレンドを日本国内に発信している。 その中で筆者が最近特に気になっているキーワードがある。それが、「ローカル」だ。地方に根差した食文化のことである。当社の食品データベースで確認してみると、ロー…

  • 2021.01.18

    世界のプラントベースは「ダイバーシティ」の時代へ

    世界のプラントベース(植物由来)食品が、ますます進化を遂げている。 植物性食品に関連した用語としては、ヴィーガン、ヴェジタリアン、そしてプラントベースがあるが、当社のアンケート結果によると、世界の消費者は「プラントベース」という言葉に、味、健康、価格などさまざまな観点で「最も魅力的である」というイメージを持っている。 これは、植物性食品が特定の信条を持つ限られた層から、一般の消費者へと広がってきていることを意味する。プラントベースを訴求した新製品食品点数は、過去5年間で年平均37%の伸びを示しているから驚きだ。当社で毎年発表している「世界の食品トップ10トレンド」でも、毎年このプラントベースが…

  • 2020.12.14

    2021年版:世界の食品トップ10トレンド(後編)

    毎年、当社が世界的に発表している「トップ10トレンド」の、トレンド6~10を紹介する。1~5については、前回執筆したので、まだ読んでいない方は、まずそちらから読み進めて欲しい。 繰り返しになるが、このトレンドは単なる表層的ブームを描いたものではない。世界の膨大なデータと深い分析を通して得られた、食品企業が社会に貢献し発展を続けるための、指針となる情報源だ。 トレンド6:栄養テクノロジー テーラーメイド(トレンド3)や免疫力(トレンド5)にも関連するが、消費者は効率的に優れた栄養を摂取したいと考えている。栄養価に富んでいて、体への吸収も良く、砂糖などの余分な原材料は使われていない…。現代における…

  • 2020.12.01

    2021年版:世界の食品トップ10トレンド(前編)

    当社では毎年「世界の食品トップ10トレンド」を発表している。つい先日、2021年版の概要が一般公開となった。このトレンドは、世界一精度が高いと言われ、各国の食品関係者から非常に注目されている貴重な情報源だ。 表面的なブームを描いたものではない。Innovaでは、各国の新製品、市場規模、消費者意識の変化・ニーズ、パッケージ、原材料情報、企業の取り組み、特許の動向、サステナブルなど、複雑化した社会を、多面的に深いレベルまで洞察している。 もちろんこれは食ついての分析だが、意味合いは食品業界だけにとどまらない。食文化とは、ライフスタイルを映し出す鏡であり、歴史を紡ぐものだ。今年は新型コロナウイルスの…

  • 2020.10.13

    ビヨンドミートをはじめ、「食品ベンチャーの台頭」イノベーティブな商品はどうやって生まれるのか?

    イノベーティブな商品はどうやって生まれるのだろうか? その1つの答えが、スタートアップ企業にある。世界では数々の食品ベンチャーが奮闘中だ。 彼らは小さいが、情熱にあふれ、行動力に長けたリスクテイカー。他社がまだやっていない、新しいことに果敢に挑戦する。そして彼らの中から、世の中に真のインパクトを与える企業が出てくるのだ。 当社のInnovaグローバル食品データベースを見ていて、「あ、この商品、とてもクリエイティブで面白い!」と思うことがある。よくよく調べてみると、創業して間もないスタートアップ企業の商品であることが多い。特にベンチャー大国のアメリカの事例が目立つ。しかも20~30代の若い起業家…

  • 2020.09.21

    コロナをきっかけに加速する「世界の食品トレンドTOP5」とは?未来は予想以上に早くやってくる

    コロナ時代の食品トレンドの方向性として、重要なトピックを5つ挙げたい。あらかじめ断っておくが、これらはコロナ以前から伸びているトレンドだ。当社の食品データベース(Innova Database)やトレンドレポート集においても、ここ数年、頻繁に目にする内容だし、世界的には何も目新しいことではない。 ただし、見逃してはならないことがある。私は仕事柄、世界中の食品トレンドを常にウオッチしているのだが、ここ数カ月、気になることがあるのだ。 トレンドが予想以上のペースで加速している…。 何となく5年後にやって来ると思っていた未来が、日本ではまだまだ本格化しないと高をくくっていたグローバルトレンドが、あっ…

  • 2020.08.20

    メンタルをサポートする世界の食品トレンド、Nootropics(ヌートロピクス)が表す世界の潮流

    ここ数年メンタルの健康をサポートする食品が、世界的に急増している。ストレス軽減、リラックス、睡眠促進、集中力・記憶力の向上など、いわゆる「Brain Health」のカテゴリーだ。さらには、Covid-19(新型コロナウイルス感染症)に起因する社会や生活様式の大きな変化が、このトレンドに拍車をかけている。 身体的な健康だけでなく、メンタルや感情面での健康をもケアすることが、いまの食品に求められているのだ。この注目すべき世界の動向について、食品トレンド分析のリーディングカンパニーであるInnova Market Insightsが解説する。 身体と同様、心が健康であることの重要性 現代人は忙しい…

  • "クリーンラベルとは? アフターコロナで、食のグローバルトレンドはこう変わる"

    2020.08.07

    クリーンラベルとは?アフターコロナで、食のグローバルトレンドはこう変わる

    最近、Innovaへの問い合わせで最も多いのが「Covid-19(新型コロナウイルス)により、食品トレンドはどうなっていくのか」といったもの。急激な変化の時代を迎え、どの企業担当者も今後の方向性について頭を悩ませている。 健康志向はどのように変容するのか? プラントベース食品にブレーキがかかるのでは? サステナビリティへの影響は? などなど、検討しなければならない項目は多岐に及ぶ。その「読み」次第で、新型コロナは大きなリスクにもなり、チャンスにもなり得る。では、これだけ不確定要素が多い状況下で、何をどう考えれば良いのだろうか? 世界中の食品を隈なく分析してきたInnovaだからこそ言える、重要…