ヨークフーズ with ザ・ガーデン自由が丘中野店がオープン、セブン&アイのSM2企業が協業で品揃え強化

2022.10.21

セブン&アイグループに属するスーパーマーケット企業のヨークとシェルガーデンが協業し、新屋号となる「ヨークフーズ with ザ・ガーデン自由が丘中野店」を10月21日にオープンした。

青果売場先頭には「ヨークフーズ with ザ・ガーデン自由が丘」の掲示。シェルガーデンとの協業店舗であることを強調している

JR中央線、東京メトロ東西線の中野駅北口から徒歩4分に立地する駅近店舗だ。もともと同店はイトーヨーカ堂が都市型小型店の「食品館」としてオープンさせた店で、2020年6月のグループ再編の中でヨークに移管されていた。今回、改装の形で新屋号の店舗に生まれ変わった。

「総務省統計局の人口移動報告によると日本の総人口の30%が東京圏に集中している。特に1997年以降、東京都にはより一層、人口集中が進んでいることが読み取れる。このような肥沃なマーケットに対し、店舗モデルを構築して対応していくことがわれわれの最大の課題と考えている」(大竹正人・ヨーク社長)

今回の協業には、消費の2極化が進む中にあってヨークとしてシェルガーデンの輸入、上質商材を組み合わせ、品揃えを再構築する目的がある。

その他、イトーヨーカ堂やヨークベニマルなどのグループ各社の商品開発力を生かしたオリジナル商品も多数導入し、グループシナジーの推進によって従来の枠にとらわれない新たな店舗モデルに挑戦するとしている。

グループでのセントラキッチンやプロセスセンターの整備に加え、ヨークの既存店のコンフォートマーケット中延店(東京・品川)を転換したサテライトキッチンといったインフラ整備を進めるが、さらに「グループの主力商品、本当に磨き込んできたオリジナル商品を入れる」(大竹社長)でグループシナジーをさらに高めていくのが、今回の中野店の取り組みであるという。

狙いは店舗周辺に多い30代~40代の共働き・単身世帯のお客を従来以上に取り込むこと。今回の改装に際し、立地特性の分析に加え、近隣のお客約1000人にアンケートを実施。

それらの結果を受け、要望の多かった酒、デリカ、スイーツ売場を大きく拡大した。特に酒売場はヨーク過去最大規模の売場スペースを取り、輸入ワインなどの品揃えを拡充。

酒売場は改装前よりも約3倍のヨーク最大規模の売場面積で展開。輸入商材の調達に強みを持っているシェルガーデンのバイヤーセレクト商品を中心に約1260点を品揃え。専任担当者が毎日の食事に合うデイリーワインの紹介も実施

デリカ売場は、サテライトキッチン活用や共同開発によって商品数を改装前よりも約1.3倍に拡大。多品目で彩り豊かな弁当や人気のアジアン、洋風メニュー、個食のニーズに対応したサラダ、少量・小型の「プチ弁当」などを品揃えし、「いつも選ぶのが楽しい売場」を目指す。

デリカ強化の目玉の1つ、ヨークベニマルオリジナル開発商品の「レストランデリ」。シェフ監修の「家庭では作りづらい、手の込んだ商品」をコンセプトに開発した洋風中心の惣菜のシリーズ。ベニマルの自社工場で仕込んだ材料を店内で最終調理
「レストランデリ」は中野店に先駆け新宿富久店(東京・新宿)に導入したところ、10万円ほどの日販のアップにつながっているという。下ごしらえに技術を要することからなかなか拡大ができないが、マーケット調査などをしながら都心の需要の高い店については導入をしていきたいとしている
ヨークが売り込むオリジナル指定農場生産の「紅雫たまご」を使って店内で焼いた「紅雫だし巻玉子」に加え、それを盛り込んだ弁当の「店内焼き紅雫のだし巻き玉子入り焼鳥重」など、ラインアップを広げて展開
卵売場で売り込まれる「紅雫」
冷惣菜ではヨークベニマルの自社工場で製造された商品の導入も進む
西武池袋の直営売場の「リトルシェフ」開発メインベンダ-をはじめ、ヨークと各メーカーのオリジナル共同開発商品を「One Up Deli(気分の上がる一皿)」が新登場(左側のエンド)
インストアベーカリーは改装前はなかったが、サテライトキッチンからの供給で売場を設置している
スイーツでも、オリジナル指定農場生産の「紅雫たまご」を使ったプリンや「しらたま本舗クリームぜんざい」などヨークのオリジナル商品を展開
スイーツでは、小型店のコンフォートマーケットで売れ筋の商品「こだわり卵のシュークリーム」や「「ベイクドチーズケーキ」なども展開。現在ではサテライトキッチンに転換されたコンフォートマーケット1号店の中延店で製造し、販売している

一方で、毎日の食事づくりに必要な生鮮素材の青果や精肉、鮮魚についても、特に頻度品の青果、豚肉、鶏肉の鮮度、価格などに対する要望が多かったことから、「家庭で手作りしたくなる鮮度感」をキーワードに商品を日々、値頃価格で提供することに努める。

頻度品の豚肉こま切れなどのベーシックな商品では価格を重視し、インストア加工で原価を下げることで価格を打ち出せるようにした

取扱商品数は、従来比4割ほど増加の9750。精肉が1割増の430、青果も1割増の389、鮮魚は1割減の200、惣菜は3割増の256、ベーカリーは新規導入で20、デイリーが2割増の2555、加食・雑貨は6割増の5900。

品揃えが大幅に増加したが、イートインコーナーをなくし、そこにレジを設置することで売場面積を広げるなどして対応している。

年商水準は、改装前と比べ2割増を見込む。

鮮魚は部門で唯一、品揃えを減少させている。マーケット動向を受けた形だが、簡便商品では追加した商品もある

もともとレジであった場所に酒売場を設置し、レジはイートインがあった場所に移設した。

レジはキャッシュレス対応を含めたセルフレジが14台(うち3台は惣菜売場で昼食時間帯限定で対応)、セミセルフレジ2台とするなど、セルフレジ主体としている。

冷凍食品はリーチインケースを導入することで品揃えを1.4倍に拡大。飲食店を冠した商品など上質の商品を加えている

「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」といった飲食店のブランドの冷凍食品を展開。本体価格1980円といった高単価の商品もある
冷凍食品ではレディミールなどの他、飲食店のブランドの商品を多数導入。グループの「デニーズ」の商品もある
シェルガーデンの商品は酒、菓子・飲料、調味加工、和デイリー、洋デイリーなど約500SKU導入。
店内では1966年当時のガソリンスタンド「シェル」併設の時代の写真を掲示しながら、ガーデン自由が丘を紹介するパネルを複数設置している
イトーヨーカ堂のオリジナル商品では簡便商品の「シェフズレシピ」「イーズアップ」や国産野菜の「顔が見える野菜。」、スイーツの「エニタイムドルチェ」などを展開
ヨークが磨き込んできたオリジナル商品では、青果で販売している季節果実を使ったデザートを展開。写真はフルーツジュレ
ヨークオリジナル商品の「フルーツビネガー」全5種類を初めて展開。青果売場での展開で、生のフルーツを使用していることが特徴。中に入っている砂糖が溶けたら食べごろ、飲みごろ
植物性の代替ミートは精肉売場でコーナー化。ひき肉の隣にひき肉状の大豆ミートを販売するなど比較購買ができるようになっている
新屋号「ヨークフーズ with ザ・ガーデン自由が丘」の発表に臨む大竹正人・ヨーク社長(左)と稲富 仁・シェルガーデン社長

ヨークフーズ with ザ・ガーデン自由が丘中野店概要

所在地/東京都中野区中野4-3-1中野サンクォーレB1F

売場面積/1145㎡

駐車台数/46台

営業時間/10時~22時

従業員数/68人(社員18人、パートタイマー50人、8時間換算)

店長/千葉隆広

商圏人口(半径1kmの基礎商圏内)/約6万9075人(約4万4510世帯)

お役立ち資料データ

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