トレンド
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2022.12.05
第9回 「ポジティブに脱完璧」が求められる時代
今日紹介する世界トレンドは、とても重要だ。もしかしたらいまの時代、これからの時代に一番求められるものかもしれない。 テーマは「ポジティブに脱完璧」。自分たちの企業や製品の不完全さを認め、前向きにオープンにしようという流れだ。まず以下のオーストラリアの植物性ミルクを見てほしい。注目は裏ラベル。 「私たちは完璧ではありませんが、フットプリントを小さく、フレーバーをより良く保つために、最も持続可能なソリューションを見つけるために、懸命に取り組んでいます…」 We’re not perfect…、彼らは自らそう言っている。正直だし、ある意味いさぎよい。 世の中には、自分たちの素晴らしさを自負する製品で…
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2021.12.28
「アヌーガ2021」レポート第2回 コロナ禍の影響が食品トレンドに色濃く反映
2020年の春から世界中に大きな影響を及ぼし続けている新型コロナウイルス。今回のアヌーガの展示を見ると、その影響が少なからず反映していることを実感できる。 その大きなものが「サスティナビリティ」の存在感の大きさだ。もちろん、サスティナビリティは新しい概念ではない。しかしながら、今回のコロナ禍によって在宅時間が増え、改めてこれまでの消費について見つめ直した傾向は世界的なものであったようだ。 特に日本では20年、イオングループのビオセボンやライフコーポレーションが手掛けるビオラルといった有機やサスティナビリティを打ち出したフォーマットの売上げが急増した傾向が見られた。 今後の世界にとっては重要であ…
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2021.10.27
「アヌーガ2021」レポート第1回 ハイブリッド展示会が示した最新「食トレンド」
2年に一度、西暦の奇数年にドイツ・ケルンで開催されている世界最大級の食品の展示会「アヌーガ」(主催/ケルンメッセ)。 大型の食品展示会は、世界の食のトレンドが一堂に集結することから世界中のバイヤーを含む多くの来場者が訪れる。前回、2019年のアヌーガ2019はアヌーガ100周年ということも相まって、世界106カ国から7590の出展者、201カ国から17万人を超える来場者を迎えた。まさに世界最大の規模といえた。 食品小売業が品揃えをする上で、トレンドを押さえること、あるいは商品との出会いは極めて重要なものとなる。その場を提供する大型展示会は貴重な機会といえる。 一方で、昨年から世界中に大きな影響…
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2021.10.01
著しく進化している世界の腸活
腸内環境とは無限に広がる不思議な空間だ。多種多様な菌が複雑に絡まり合って共存しており、世界の食品業界においても近年大きな関心事となっている。 特にコロナの影響で、免疫力に対する意識が高まった結果、腸内環境を整えることを、今まで以上に重要視する人が増えた。「腸活」という言葉を聞いたことがあると思うが、これをさらに体系立てて発展しているのがグローバルの最新動向である。 各国で食品トレンドをリサーチ・分析しているINNOVAが、その注目すべき世界のいまをお伝えする。 4つの「~バイオティック」 世界の商品を見て回っていると、腸内環境のための表現が多様化してきているのが分かる。しかも少々ややこしい言い…
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2021.05.26
注目の「スポーツニュートリション」とは何か? 最新トレンドと併せて解説
現代の消費者はスポーツ栄養食品に何を求めているのか? 2021年以降の未来で、スピード感を持って商品開発を進めていくためのグローバルスタンダード視点を、事例を交えて紹介する。キーとなるコンセプトは次の4つだ。 1 クリーンラベル2 植物性プロテイン3 心と身体の両面アプローチ4 パーソナライズ それでは順に見ていこう。 クリーンラベル クリーンラベルとは、出どころが明確で、「身体に良い原材料を使いましょう」という世界的なトレンドのことをいう。はっきりした定義があるわけではないが、 代表的な考え方としては、「無添加」「ナチュラル」「オーガニック」「Non GMO(遺伝子組み換えでない)」のいずれ…
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2021.02.15
いま、まさに「ローカルこそグローバルトレンドだ!」と言える理由
筆者は仕事柄、いままでに世界中の膨大な数の商品開発事例を見てきた。随時、世界数十カ国の人達とやり取りをしているため、彼らが求めているものも肌感覚で知っている。 こうした世界の最新トレンドを日本の食品企業にお伝えし、商品開発・マーケティング・海外展開などを支援するのが、筆者のメインの仕事である。 プラントベース、プロテイン、サステナビリティなど、現代社会において見逃してはならない、グローバルレベルのあらゆるトレンドを日本国内に発信している。 その中で筆者が最近特に気になっているキーワードがある。それが、「ローカル」だ。地方に根差した食文化のことである。当社の食品データベースで確認してみると、ロー…
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2020.12.14
2021年版:世界の食品トップ10トレンド(後編)
毎年、当社が世界的に発表している「トップ10トレンド」の、トレンド6~10を紹介する。1~5については、前回執筆したので、まだ読んでいない方は、まずそちらから読み進めて欲しい。 繰り返しになるが、このトレンドは単なる表層的ブームを描いたものではない。世界の膨大なデータと深い分析を通して得られた、食品企業が社会に貢献し発展を続けるための、指針となる情報源だ。 トレンド6:栄養テクノロジー テーラーメイド(トレンド3)や免疫力(トレンド5)にも関連するが、消費者は効率的に優れた栄養を摂取したいと考えている。栄養価に富んでいて、体への吸収も良く、砂糖などの余分な原材料は使われていない…。現代における…
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2020.12.01
2021年版:世界の食品トップ10トレンド(前編)
当社では毎年「世界の食品トップ10トレンド」を発表している。つい先日、2021年版の概要が一般公開となった。このトレンドは、世界一精度が高いと言われ、各国の食品関係者から非常に注目されている貴重な情報源だ。 表面的なブームを描いたものではない。Innovaでは、各国の新製品、市場規模、消費者意識の変化・ニーズ、パッケージ、原材料情報、企業の取り組み、特許の動向、サステナブルなど、複雑化した社会を、多面的に深いレベルまで洞察している。 もちろんこれは食ついての分析だが、意味合いは食品業界だけにとどまらない。食文化とは、ライフスタイルを映し出す鏡であり、歴史を紡ぐものだ。今年は新型コロナウイルスの…
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2020.09.21
コロナをきっかけに加速する「世界の食品トレンドTOP5」とは?未来は予想以上に早くやってくる
コロナ時代の食品トレンドの方向性として、重要なトピックを5つ挙げたい。あらかじめ断っておくが、これらはコロナ以前から伸びているトレンドだ。当社の食品データベース(Innova Database)やトレンドレポート集においても、ここ数年、頻繁に目にする内容だし、世界的には何も目新しいことではない。 ただし、見逃してはならないことがある。私は仕事柄、世界中の食品トレンドを常にウオッチしているのだが、ここ数カ月、気になることがあるのだ。 トレンドが予想以上のペースで加速している…。 何となく5年後にやって来ると思っていた未来が、日本ではまだまだ本格化しないと高をくくっていたグローバルトレンドが、あっ…