QUICPay(クイックペイ)とは? 使い方や利用メリットなどを解説

2022.04.22

2022.02.17

クイックペイ
出所:www.quicpay.jp

現金いらずで商品代金の決済を行える手軽さや、政府のキャッシュレス推進も後押しし、導入が進む電子マネー。交通系ICカードや流通系電子マネーなど、種類はさまざまであるが、利用者数、加盟店数が著しく伸長しているサービスがQUICPay(クイックペイ)だ(※QUICPayは、JCB の登録商標)。

本記事では、QUICPayの基本情報から、消費者、事業者がQUICPayを利用するメリット、実際の使い方まで解説していく。

QUICPay(クイックペイ)とは?

QUICPay(クイックペイ)とは、JCBが2005年より日本国内で提供している電子決済サービス。Apple Pay、Google Payに対応し、端末に専用カードやスマートフォンなどをかざすだけで簡単に決済ができる。

電子決済は大きく分けると、前払いのプリペイド型、即時払いのデビット型、後払いのポストペイ型の3種類が存在する。

Suicaやnanacoなど、チャージしてから使用するプリペイド型の電子マネーも多いが、QUICPayはクレジットカード決済を利用するため、後払いとなる。

なお、16年に登場したQUICPay+(クイックペイプラス)では、クレジットカードだけでなく、デビットカード、プリペイドカードとも連携可能。QUICPayの拡張版とも言えるサービスで、所有カードに合わせて支払い方法を選べる。

QUICPay(クイックペイ)の対応カード

QUICPayに連携できるクレジットカード、デビットカード、プリペイドカードは、2022年2月時点で182社以上となっている。JCBやアメリカン・エキスプレスをはじめ、出光クレジット、オリコ、PayPayカードなど対応の幅は非常に広い。

事前にQUICPayの公式サイトから、所有するカードを連携できるか確認しておこう。なお、後述するクレジットカード一体型やコイン型など、QUICPayの種類によって対応カードは異なってくるため、注意が必要だ。

QUICPay(クイックペイ)を使えるお店

QUICPayは21年9月末時点において、全国167万カ所以上で利用できる。加盟店はコンビニ、スーパー、ドラッグストアなどの小売店から、ガソリンスタンド、タクシー、レジャー施設などさまざまであり、QUICPayを私生活におけるメインの決済サービスとすることも可能だ。

QUICPayを利用可能な店舗は、下記マークが目印となる。

出所:www.quicpay.jp

ただし、デビットカード、プリペイドカードを連携したQUICPay+は、QUICPayマークの店舗で利用できない。QUICPay+マークのある店舗で利用しよう。

なお、QUICPay決済に対応する店舗は公式サイトからもチェック可能なため、事前に確認しておきたい。

QUICPay(クイックペイ)の種類

スマホから手軽に利用できるタイプをはじめ、QUICPayには多種多様な種類が存在する。

  • QUICPayカード
  • QUICPayクレジットカード一体型
  • QUICPayコイン
  • QUICPay+
  • QUICPay(nanaco)
  • ANA QUICPay+nanaco

それぞれの特徴を簡単に見ていこう。

QUICPayカード

専用カードを使用し、電子決済を行えるタイプが、QUICPayカードだ。クレジットカードとは別に発行、所有しなければならないが、クレジットカードを常に携帯しておくのが不安という人にぴったり。

QUICPayカードを上着ポケット、スマホケース、社員証ケースなどに入れておき、気軽にコンビニで使用するのも良いだろう。対応カードも幅広く、JCB、オリコ、トヨタファイナンスなどと連携可能だ。

QUICPayクレジットカード一体型

QUICPay機能に加え、クレジットカード機能も搭載したタイプが、QUICPayクレジットカード一体型だ。先述のQUICPayカードと比較すると、1枚しかカードを持たずに済むため、管理が煩雑化しにくい。

QUICPayコイン

500円玉より一回り大きいサイズで、電子決済を行えるタイプが、QUICPayコインだ。JCBのみが取り扱っているタイプで、発行手数料は無料である。

QUICPayコインはコンパクト設計で、携帯性に優れているのが最大のポイント。コインケースやポケットに入れてもかさばらず、スポーツ中にリストバントへ装着するのも1つだ。

QUICPay+

Apple Payや Google Payで利用する場合の支払い方法、QUICPay+となり、その他カードタイプ等で利用する場合は、QUICPayとなる。QUICPay+は、プリペイドカード、デビットカードでも利用できるという違いがある。

また、QUICPayの1回の上限支払金額は2万円となっているが、QUICPay+は連携するカード、店舗ごとの上限を超えない限り、支払金額に制限はない。高額な買い物をする機会がある人に、QUICPay+は使い勝手が良いと言える。。

iOSのApple Pay、AndroidのGoogle Payで電子決済を行えるタイプ。下記デバイスであれば、サインレス、非接触決済で支払いを済ませられる。

  • iPhone 8以降
  • 国内で販売されたiPhone 7・iPhone 7 Plus
  • Apple Watch Series 3以降
  • 国内で販売されたApple Watch Series 2
  • Android 5.0以降
  • Felica搭載端末おサイフケータイアプリ6.1.5以上

古いデバイスの場合、QUICPay+決済は利用できないので注意が必要だ。

QUICPay(nanaco)

QUICPayとnanacoの機能を一体化させたタイプが、QUICPay(nanaco)だ。決済時に、QUICPay、nanacoどちらの電子マネーを使用するか、選ぶことができる。

QUICPay(nanaco)は、QUICPay、nanaco加盟店の両方で利用可能。167万以上の店舗で採用されるQUICPayに加え、nanacoも全国約87万店舗で利用できるため、多様なショップで決済可能。

ANA QUICPay+nanaco

QUICPayとnanacoを一体化した機能に加え、ANA国内線の搭乗をタッチで行える「スキップサービス」の機能も搭載するタイプが、ANA QUICPay+nanacoだ。飛行機の翼をモチーフにしたキーホルダー型のデザインで、バッグやカギなどにも装着できるよう留め金具が付いている。

ANAのJCBカードにしか対応していないが、旅行時に重宝できるタイプ。

QUICPay(クイックペイ)を利用するメリットとは?

クレジットカードと異なり、QUICPayには特有のメリットが存在する。QUICPayの利用を悩んでいる人は、ぜひ参考にしてほしい。

スピーディに決済を済ませられる

QUICPayは、カードやスマホを専用端末にかざすだけで、支払いを済ませられるのが最大のメリットだ。スマートに買物できるため、朝の時間がないときの決済にもお勧め。財布から硬貨、お札を取り出す必要がなく、店舗従業員と現金のやり取りが発生しないのもポイント。コロナ禍においては、トレーを介して現金の受け渡しが行われるケースも多いが、間接的に他人が触れた硬貨、お札に触れてしまう。しかし、QUICPayは非接触で決済でき、新型コロナウイルスの感染予防にもつながるといえる。

高い安全性で買物できる

QUICPayは安全性が高く、安心して買物を行えるのが特徴。決済時、iPhoneであれば生体認証を行うだけでロック解除され、パスワードを入力する必要がない。

クレジットカード決済の場合、端末機に入力するパスワードを盗み見される、もしくはカード番号情報を店舗従業員に覚えられ、悪用される可能性もある。このような個人情報漏洩のリスクを、QUICPayでは低減可能だ。

また、決済時はクレジットカード不要で携帯せずに済むので、紛失のリスクもなくなるといえる。

クレジットカードのポイント還元を受けられる

PayPayや楽天ペイなど、独自のポイント還元を実施するスマホ決済サービスは多いが、QUICPayはポイント還元サービスを提供していない。しかし、ひも付けるカードのポイント、マイルを貯めることは可能。

QUICPay対応カードのうち、高還元率のカード利用をおすすめする。

定期的にキャンペーンを実施

QUICPayは定期的に、お得なキャンペーンを行っている。例えば、22年2月1日~22年3月31日にかけて、トヨタファイナンスは「TOYOTA Wallet QUICPay」で月間5000円(税込み)以上利用すると、2人に1人5000円分のQUICPay残高をプレゼントするキャンペーンを実施。

またファミリーマートで、、22年2月15日~22年3月14日の期間、1回の買物で、税込み1000円以上の決済をすると抽選で5000人に1000円のキャッシュバック、もしくは期間内の累計決済金額が税込み5000円以上の場合に、抽選で50人に10万円のキャッシュバックを行うキャンペーンを実施している。

また、22年1月9日〜22年3月29日のうち9のつく日にQUICPayを利用すると抽選で、対象日のQuicpayriの利用分を全額キャッシュバックするキャンペーンも実施している(上限金額1万円)。

クレジットカードを併せ、お得な還元の仕組みがそろっているのも人気の理由だ。

QUICPay(クイックペイ)を店舗に導入するメリットとは?

消費者の利便性アップを図れるQUICPayだが、導入する店舗にもメリットがある。ここでは、事業者のメリットを解説していく。

店舗集客を図れる

QUICPayは2021年9月末時点で、1900万人以上が利用する人気決済サービスとなっている。スマホ決済をメインに使用する消費者にアプローチでき、店舗集客に繋げることが可能だ。

また、コロナの感染予防に対する意識が高まる中では、現金決済に抵抗を示す消費者も多い。ウィズコロナ時代において、QUICPayは非常に有効な店舗集客手段と言えるだろう。

機会損失を防げる

QUICPayでは、クレジットカードを利用した後払い決済により、消費者は手持ちの現金が足りない場合でも商品の購入を行える。つまり、事業者側としては、消費者の現金不足による機会損失を防ぐことが可能だ。

店舗集客を図りつつ、機会損失も防止して売上向上を見込めるだろう。

QUICPay(クイックペイ)の初期設定・登録方法とは?

先述の通り、QUICPayにはさまざまなタイプが存在するが、ここではiPhoneのApple Payを利用し、初期設定・登録方法を画像付きで解説していく。

まず、QUICPayに対応したiPhoneを用意し、標準でインストールされている『ウォレット』アプリを起動する。

ウォレット』アプリが起動したら、画面右上の『+』ボタン、もしくは中央の『追加』ボタンをタップ。

クイックペイ

続く画面で、『ウォレット』アプリに追加するカード種別を選ぶ。ここでは、『クレジットカードなど』を選択する。

Apple Payの簡単な説明画面が入るので、『続ける』をタップする。

次の画面では、iPhoneのカメラが起動し、カード情報の読み取りを行える。カメラの枠内にカードを合わせることで、カード情報を自動で認識可能。

正しく認識しない場合は、画面下の『カード情報を手動で入力』をタップしよう。

出所:QUICPay

カード情報の読み取り結果に問題がない、または自分でカード情報を入力後、『次へ』をタップする。

クレジットカードに記載の有効期限・セキュリティコードを入力し、『次へ』をタップ。

Apple Payの利用規約が表示されるので、内容に問題がなければ、画面右下の『同意する』をタップする。

クレジットカードが『ウォレット』アプリに追加された旨の画面を確認し、『次へ』をタップ。

続く画面では表示された方法で、登録するクレジットカードの認証を行う。ここでは、楽天カードを認証するSMS認証、電話認証のうち、SMS認証を選択する。

SMSで認証コードが届くので、入力して『次へ』をタップする。

認証が完了すれば、『ウォレット』アプリにクレジットカードが登録される。トップ画面にも、登録したカードが表示されていることを確認しよう。

QUICPayの初期設定方法は以上だ。

QUICPay(クイックペイ)の使い方とは?

iPhoneをベースに、実店舗でQUICPayを使用する方法を解説していく。QUICPay加盟店のレジにて、支払い方法にQUICPayを利用すると従業員へ口頭で伝える。

出所:www.quicpay.jp

次に、iPhoneのサイドボタンをダブルクリックして顔認証、もしくはホームボタンをダブルクリックして指紋認証を行う。決済時は『ウォレット』アプリを起動する必要がなく、ロック画面から認証を行っても問題ない。

出所:www.quicpay.jp

iPhoneに『リーダーにかざしてください』の画面が表示されることを確認する。

最後に、店舗の決済端末にスマホをかざす。iPhoneの場合、カメラ周辺にFelicaチップが埋め込まれているので、先頭部分を決済端末にかざそう。『クイックペイ』という決済音が鳴れば、支払いは完了だ。

出所:www.quicpay.jp

Androidに関しても、『Google Pay』アプリからクレジットカードを設定し、実店舗でスマホを決済端末にかざせば、支払いを済ませられる。QUICPayの使い方は以上だ。

QUICPay(クイックペイ)のまとめ

QUICPayは豊富な連携カードにより、前払い、即時払い、後払いの全てに対応できる。商品を好きなタイミングで購入したい人は後払い、使いすぎを防ぎたい人は前払いなど、自身に適した決済手段を選択可能なのは、大きな魅力と言えるだろう。

また、利用者数が1900万人を超えるQUICPayを事業者が導入することには、店舗集客や機会損失の防止など、売上向上につながるメリットもある。新型コロナウイルスの感染予防にも寄与するQUICPayの利用を、消費者、事業者ともにぜひ検討してみてほしい。

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