第1回全国スーパーマーケット「おいしいもの総選挙」金賞商品の開発秘話 肉のひみつ基地博多「驚安‼黒毛和牛サーロインステーキ」
2022.08.16
2022年6月1日~21日、第1回全国スーパーマーケット「おいしいもの総選挙」が実施されました。約4万5000投票+約40万「おいしそう!」によって、全国のスーパーマーケットで販売されているおいしいものの中から各受賞商品が決まりましたが、今回、リテールガイドでは、栄えある「金賞」に輝いた3商品の開発物語を取材しました。今後の商品開発の参考に、ぜひ、ご覧ください!
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目次
その他食品部門 金賞

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肉のひみつ基地博多
驚安‼黒毛和牛サーロインステーキ
1080円(税込み)
黒毛和牛のサーロインステーキが1枚1080円のインパクト、週末の売上げの20%占める人気商品に
北九州市小倉北区に本社を置くパワーミートが展開する「肉のひみつ基地」は、食肉卸の加工工場直売を強みとする精肉専門店。その「肉のひみつ基地」を福岡県博多区でフランチャイズ展開するのが肉のひみつ基地博多である。


今回金賞を受賞した「驚安‼黒毛和牛サーロインステーキ」は黒毛和牛のサーロインステーキが1枚1080円(税込み)で買えるという値頃が人気となっている。
同商品を開発した経緯について、肉のひみつ基地博多の吉岡龍平氏は次のように話す。
「肉が好きで、ステーキ店などでも400~500gを頼んだりするのだが、やはり外食だと4000~5000円かかる。そう思ったとき、この赤身が多い肉であれば1枚1000円(本体価格)で、家族人数分も買えるのではないかと思って開発した」
お客の反響としては、やはり、「安い」「おいしい」というものが多かった。また、和牛であるものの、サシの入り方が適度であることから、「食べやすい」という声も多いという。
週末のハレの食卓やバーベキューでの利用を見込み、平日は販売せず、金曜日、土曜日、日曜日のみ販売している。1人のお客が3、4枚購入することが多いといい、家族分をまとめて購入していることが伺える。
バーベキューなどではお客自身がこの商品をカットするといった使われ方もしているというが、あえて焼肉用など他の商材としては販売せず、基本的にステーキ用のみで販売していることは店側からするとオペレーション的にも好都合であろう。
人気商品であることから、売上高構成比も高く、販売する日には売上げのおよそ20%を占めるナンバーワンの売れ筋商品になるほど。
「おかげさまで、(家族の)イベントなどに使っていただいている」(吉岡氏)ことから、驚安‼黒毛和牛サーロインステーキは今後も販売し続ける意向だ。
「サシが多いと量が食べられない」ことを逆転の発想で生かす
同商品のポイントは幾つかあるが、まず挙げられるのは脂肪、つまり、「サシ」の考え方。
和牛、特にブランド牛はサシが多く入っていることが評価を高め、また、おいしさを生み出している面がある。一方で、サシが多ければ多いほど、脂肪の比率が高まることから、それほど量が食べられないものであることも指摘される。
その点、驚安‼黒毛和牛サーロインステーキは、「ステーキであることから赤身を主体としたい」との考えの下、前述のお客の反響にもあるように、ある意味適度なサシであるため、「食べやすさ」の面で支持されていることも大きな要素となっている。
一般的にサシの程度が抑えられた価格面重視の商品化として、乳用牛と和牛を掛け合わせた交雑牛による商品化も考えられるが、あえて黒毛和牛にこだわっている。やはり「国産牛」の表示ではなく、「黒毛和牛」の表示が強みを打ち出せると考えたためだ。
また、ステーキが「赤身」のおいしさを味わうものとして位置づけられることから、輸入牛による商品化も考えられるが、こちらについても、「しっかり和牛の脂の味を味わってもらいたい」(吉岡氏)と考え、和牛にこだわりつつ、赤身もしっかり感じられる商品化を実現した。
使用する黒毛和牛の産地を九州産にこだわりつつ、サーロインで1枚約150g、1000円の売価を実現した背景には、食肉卸の工場直売といった調達面でのメリットが生かされている。結果的に1枚当たりの量目は150g程度いう水準になったが、これも1人前としてもちょうど良いと考えている。
ちなみに、今回の商品は「サーロイン」に特化しているが、同じ黒毛和牛の別の部位を活用した商品としては、モモを使用したランプステーキ、イチボステーキ、あるいは牛タンステーキ、ミスジステーキなどについても液体急速凍結機を導入し、冷凍で商品化している。
インパクトの大きな商品を続々開発
同社はマルチョウにミンチを腸詰めした生ウインナーの「インパクト大‼‼自家製のオリジナルぐるぐるソーセージ」(430円、税込み)といったインパクトの大きな商品も開発している。

今回、適度なサシの和牛のサーロインステーキが1枚1000円という売価で買える分かりやすさ、そのインパクトの大きさが、金賞を獲得する勝因になったといえるだろう。