決済サービスStripe(ストライプ)とは?手数料や利用メリットなど事例を交えてを解説

2022.09.14

2022.09.08

「Stripe(ストライプ)」とは事業者向けのオンライン決済システムだ。Amazonなどの大手企業でも導入されている。「Stripe」には時間のかかる審査等がなく、スピーディーに導入できると言った魅力がある。

本記事では「Stripe」の特徴や、運営会社、導入するメリットや実際に導入している企業の事例を紹介していく。ECを立ち上げる方や、新しい決済システムを導入したい方は参考にしてほしい。

Stripe(ストライプ)とは?

出所:stripe.com

Stripeの特徴

「Stripe」は事業者向けのオンライン決済システムのこと。オンライン販売や対面販売の小売業者や、サブスクリプション、ソフトウェアプラットフォームやマーケットプレイスなどのサービスを提供する事業者を対象としている。年間に処理される金額は数兆円ほど。導入する企業は、スタートアップからAmazonやGoogle、トヨタ自動車KDDIなどの大手企業までさまざまだ。

登録手数料や月額手数料などは無料で、処理される支払いに基づいた従量課金の料金体系になっている。APIをわかりやすくしているため、開発チームがさまざまなシステムを統合するなど、何か月も時間をかけなくてすむと言う特徴がある。

独自でカスタマイズできるものもあるため、企業に合ったオンライン決済システムとして導入できる。また、毎年多数の機能がリリースされ、常に業界の最先端の仕組みを利用できるように改善もされている。

審査時間にも大きな特徴がある。通常、オンライン決済システムを使用するまでには、登録してから審査に時間が設けられるが、「Stripe」ではアカウント承認はほぼ即時完了する。そのため登録後に短時間で使用できるのだ。

Stripeの運営会社は?

「Stripe」を運営する会社はサービス名のまま「Stripe」という会社だ。サンフランシスコとダブリンに本社を持っている。その他にも、シカゴ、ニューヨーク、シアトル、アムステルダム、バンガロール、ベルリン、ロンドン、パリ、メルボルン、シンガポール、メキシコシティ、東京にオフィスがあり、社員数は8,000名を超えている(2022年9月時点)。

Stripe(ストライプ)のメリット

Stripeを決済システムとして取り入れるメリットにはどのようなものがあるだろうか。5つ紹介しよう。

最短1日で利用が可能

アカウントを登録してから承認されるまで、承認に時間がかかるサービスもあるが、Stripeでは承認がすぐに行われることが大きな特徴だ。スピーディーにサービスを利用できるため、急いでいる場合やスタートアップ企業なども利用しやすい。

柔軟なカスタマイズが可能

構築済みの UI コンポーネントを組み合わせることで「Stripe Elements」を使用することで、自社サイトにあった独自の決済フォームを設計できる。独自のUIにAPIベースで機能を組み込むことも可能。ある程度、実装スキルは求められるが、自社の状況に併せて柔軟に組み込むことができるようになっている。

一方で、コンバージョンのために最適化された構築済み決済ページ「Stripe Checkout」も用意されている。実装の知見がなくても、フォントやカラーなどのスタイルも調整でき、レスポンシブデザインにも対応。

出所:stripe.com

サポート体制の充実

メール、チャット、電話での24時間365日のサポート体制が整っている。メールでは、日本語でも対応可能なため英語が苦手な方でも安心して利用できる。チャット、電話では英語での対応となる。公式サイトによると、メールは24 時間以内、チャットの平均待ち時間は3分とある。

海外展開がしやすい

Stripeでは、135以上の通貨の支払い方法、50 カ国以上のユーザーへの法定通貨または仮想通貨による入金に対応している。日本以外にもビジネス展開をしたい企業が使いやすいシステムだ。

支払い以外の機能も充実

不正使用への対応や、請求書の送付、資金調達やコンバージョン率などさまざまな機能がある。また、起業に関するサポートも行っている。

Stripe(ストライプ)の手数料・料金体系

出所:stripe.com

以下では、主にStripe Paymentsの料金について解説していく。

料金体系の概要

Stripeでは、登録手数料は無料のため初期費用が掛からない。手数料は、月額でかかるのではなく、処理される支払いに基づいた従量課金となっていて、一律3.6%だ。

また、この3.6%で手数料がかかるプラン以外にも、「カスタマイズ機能」としてカスタムパッケージを設計できるプランもあり、これは別途相談が必要。決済額が大きい企業や、独自のビジネスモデルがある企業で導入されている。

Paymentsの料金体系

Stripeには全般的な決済プラットフォーム以外にも、プラットフォームのための決済サービスや、不正使用の防止、税金の計算・徴収、収益レポート等の作成などさまざまな機能があるが、中心となる決済サービスの「Payments」の料金体系を紹介する。

「Payments」では、さまざまなカード、デジタルウォレットに対応をしている。だが、この種類に関係なく手数料は支払いごとに一律3.6%。また、コンビニ決済においても同様の3.6%の手数料だ。

対応しているカード・デジタルウォレットは、VISA、マスターカード、アメリカンエクスプレス、Diners Club、DISCOVER、JCB、Apple Pay、Google Payなど。コンビニ決済はファミリーマート、ローソン、ミニストップ、セイコーマートで利用可能だ。

また、銀行振込は1.5%の手数料でBtoBや大口での支払いにも対応している。

カスタマイズや利用状況によっても料金が異なるため詳細は公式サイトにてご確認を。

Stripe(ストライプ)の導入事例

Stripeは世界中で様々な企業で利用されている。

Flower Chimp

「Flower Chimp」は、東南アジアの花屋が全区域でサービスを提供するようにしている企業だ。Stripe導入以前は、支払い時に別のウェブサイトにリダイレクトされており、顧客はカートに商品を残したままページから離脱されるケースが発生していた。

そこでFlower Chimpは、StripeをシンガポールとマレーシアのShopifyに組み込んだ。Stripeにより購入までのプロセスがシンプルになり、支払いが完了するまでのユーザーのクリック回数が減少。結果的に購入のコンバージョン率は 2.5% から 8% に増加した。

また、アカウントの照合、注文データのエクスポートなど、面倒な財務タスクもシンプルになり、顧客だけでなく会計チームの負荷の減少にも繋がった。また、「Stripe Radar」も導入し、不正行為を特定し、未然に防ぐことにも成功した。

「Flower Chimp」では、「Cake Rush」というケーキの即日配達の新しいサービスを始めた際にも、Stripeを導入。サービスの拡大に合わせてStripeが利用できるといったメリットもあった。

KeyMe 

「KeyMe」は家やオフィス、自動車などさまざまな鍵やRFIDアクセスカードのコピーを、キオスク端末で作成できるサービスだ。

KeyMeのプラットフォームで鍵をスキャンしておくことで、数分でコピーが作成可能。利用シーンには鍵を忘れてしまったときなど、緊急事態のシーンも想定される。こういったことからもKeyMeでは、顧客がスピーディーにサービスを利用できるように支払いにおけるプロセスもシンプルにしたいという思いが元々あった。

Stripeを導入後は、顧客はクレジットカードの情報が保存できるため、鍵の再注文も簡単にできるようになる。クレジットカードの情報が更新されると、Stripeに保存された情報も自動更新されるので、継続してサービスを利用してもらえるようになった。

また、導入には複雑な処理を行う必要もなかったためKeyMeのエンジニアの負荷が軽減された。財務においても不正使用の把握・管理や、リアルタイムでビジネスに必要なデータにアクセスできるように。結果として顧客対応に集中でき、市場シェアとしては過去の2年間で倍増した。

Bikes Online

「Bikes Online」はオーストラリア、シドニーでスタートした会社だ。工場から直接購入した自転車を小売価格より安く提供するというD2Cビジネスだ。高品質の自転車をさまざまな層の顧客に販売している。

市場としてオーストラリア以外の国を視野に入れ始めた際に、商品管理や決済サービスを各地域の顧客に合ったものにできるか、ビジネスの成長規模に合わせて拡大できる不正防止システムはあるか、探していたという。

そこで、オンラインストアの運営には在庫、注文、配送ラベルを一括で管理できる「Maropost Commerce Cloud」を、決済サービスにはStripeを導入した。「Maropost Commerce Cloud」とStripeと連携させることで、決済フローをシームレスにし、決済完了までの時間を短縮した。また、Apple Pay や Google Pay など、決済手段も広がった。結果としてサイクリング初心者から、子育て世代、サイクリングの愛好家など幅広い層にも利用してもらえるようになる。

Bikes OnlineではさらにStripeの不正防止システムである「Stripe Radar for Teams」や、3Dセキュア等も導入。不正防止と企業のリスク許容度のバランスを取り、コスト削減とコンバージョン率増加の両方が実現できた。

また、Stripe Atlasによって銀行口座の開設、法的要件の把握などができ、アメリカ進出に成功。アメリカでは10倍にもビジネスが拡大した。また、2020年から2021年にかけてはビジネス全体で3倍に成長。従業員数も100人以上に増え、拠点もさらにカリフォルニアなどに広げていった。

GAIA Design

メキシコに拠点を置く「GAIA Design」は高級家具の設計・販売を行う大手小売業者だ。Eコマースのスタートアップとしてメキシコで成功したが、使用していた決済プラットフォームで不正使用が増加し、コンバージョン率も低下。当時は決済プロセスの詳細が把握できないなど、ユーザーを知ろうにもデータがない状態だった。また、不正使用を誤って検出してしまっていたこともあり、オーソリ率も低下。顧客はスムーズに買い物ができず、売上にも悪影響を及ぼしていた。

そこでStripeのPaymentsとRadarを導入し、支払いを妨げず不正使用対策の強化を図る。

また、 Stripe Adaptive Acceptanceも導入し、不正確なカード情報や、不正使用の疑いのある支払いの拒否を自動的に管理した。自動で行ってくれるため、カスタマーサービスでは不正の対処ではなく、顧客に集中して対応ができるようになる。Stripeを導入したことで決済のデータが可視化され、不正防止対策も強化。スムーズな顧客体験の提供ができるようになった。結果的に80%だったオーソリ率は89%に達した。

参照:https://stripe.com/jp/customers

Stripeは安心して利用できる決済サービス

Stripeはスピーディーに利用ができる側面がありながら、不正使用の防止ができるシステムもあり、安心して利用ができるオンライン決済サービスだ。導入事例にもあったように、顧客の決済をスムーズにするだけでなく、顧客データが可視化されることにより顧客が知れるという側面や、財務など社内の業務についての負担が減少するなど、使用するサービスによってさまざまなメリットが得られる。StripeにはPayments以外にも製品があるので、気になる方は調べてみてはいかがだろうか。

お役立ち資料データ

  • 2023年 下半期 注目店スタディ

    2023年下半期注目のスーパーマーケット7店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・オーケー/銀座店 ・ヨークベニマル/仙台上杉店 ・ベイシア/Foods Park 津田沼ビート店 ・ヤオコー/松戸上本郷店 ・カスミ/…

  • 2023年 上半期 注目店スタディ

    2023年上半期注目のスーパーマーケット5店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・ ヤオコー/トナリエ宇都宮店 ・ サミットストア/川口青木店 ・ 原信/紫竹山店 ・ ライフセントラルスクエア/ららぽーと門真店 ・ …

  • 有力チェーントップ10人が語る「ニューノーマル時代のスーパーマーケット経営論」

    有力スーパーマーケットチェーンの経営者10人にリテール総合研究所所長の竹下がインタビューを実施し、そのエッセンスをまとめています。 インタビューを通じ、日本を代表する有力トップマネジメントのリアルな考えを知ることができ、現在の経営課題の主要テーマを網羅する内容となっています。 変化する経営環境において、各トップマネジメントによる現状整理と方向性を改めて振り返ることは、これからの新しいスーパーマーケットの在り方形を模索する上でも業界にとって大変有用と考えます。 ぜひ、今後のスーパーマーケット業界を考える材料としてご活用ください。 ■掲載インタビュー一覧 ライフコーポレーション 岩崎高治社長 ヨー…