第2回全国スーパーマーケット「おいしいもの総選挙」金賞商品の開発秘話 セイミヤ「三元豚のとんかつ」
2023.09.12
2023.09.07
くふうカンパニーグループにおいて、チラシ・買い物情報サービス「トクバイ」を運営するロコガイドは第2回全国スーパーマーケット「おいしいもの総選挙」を実施しました。2023年5月1日(月)〜24日(水)の期間で集まった一般生活者からの投票件数は、昨年の約3倍となる12万6313票。今回、リテールガイドでは4部門の「金賞」に輝いた商品の開発物語を取材しました。今後の商品開発の参考に、ぜひ、ご覧ください!
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目次
デリカ部門 金賞

セイミヤ
三元豚のとんかつ
321円(税込み)
総菜部門の断トツ売上げナンバーワンのロングセラー&売れ筋、確かな品質と値頃売価で競争力発揮
デリカ部門で金賞に輝いたのは茨城県地盤のセイミヤのオリジナル商品「三元豚のとんかつ」。同社のロングセラー商品で、1枚322円(税込み)の値頃もあって総菜部門で長年、断トツの売上げナンバーワン商品になっている。
ロングセラーだけに、リニューアルを重ねて現在に至るが、大きなものは10年ほど前に原料をチルドから冷凍に切り替えたこと。人気商品だけに当時、販売量が増えてきて、パン粉付けなど頻度高く製造しなければならないチルドではオペレーションが難しくなってきたこともあって切り替えた。
一般的にはチルドの方が、手作り感があって良いと考える向きもあるが、最近では冷凍技術も向上し、商品の品質は高まっている。セイミヤでは一度しか冷凍していないワンフローズンで、さらにアルコール凍結による急速冷凍を活用しているため品質の維持ができているという。結果的に冷めてもしっとりしていて柔らかい豚カツに仕上がっている。
冷凍だと品質が安定する上、数量の確保がしやすいことも、大量に販売する売れ筋商品にとっては重要な要素になる。豚肉はアメリカ産、あるいはカナダ産を使用している。
「豚カツは、最近では1枚(本体価格)398円、348円などで販売されていたり、逆に安いところでは198円で販売されたりしているが、やはり、食べると安い商品は味がだいぶ違うと思う。だから、ある程度価格が安価で、たべておいしい豚カツということで支持を得ていると思う」と現在、この商品を担当する同社商品部の田口明彦氏は語る。
同社では総菜部門では値入率50%を基準としているが、この商品については包材を原価に含め42%程度と値入率を落として、値頃を実現している。
同社は19店の店舗展開であるが、「三元豚のとんかつ」の月間販売額はおよそ1000万円、年間では約1億円に達する。


ロングセラーの「三元豚のとんかつ」だが、核商品の水平展開の原則どおり、商品ラインアップはメインとなる通常商品に加え、たれ付け商品としておろしカツとみそカツの2種類を用意している。
ただし、売れ行きは圧倒的にメインの商品ということで、それだけ強力な商品ということになる。まさに来店動機となる核商品といえるだろう。なお、前述の月間約1000万円、年間約1億円の売上げはこのメインの商品のみの金額である。
ロングセラーが改めて評価される意義
豚カツの類似商品にチキンカツがあり、スーパーマーケットなどではボリューム感と低価格による値打ち感を実現する商材として活用されることが多いが、セイミヤの場合、チキンカツは千葉県の銘柄鳥の「錦爽(きんそう)どり」を使用した「お肉にこだわったチキンカツ」(田口氏)ということで、品質訴求型の商品となっている。錦爽どりは精肉部門でもメインで販売している主力商品で、それを総菜でも活用して味わってもらう位置づけの商品となる。
売上げもそれなりに高い商品ではあるが、通常の商品が本体価格250円、甘酢南蛮だれをかけた商品が348円ということで、必然的に豚カツの値打ち感は大きくなる。「三元豚のとんかつ」が断トツの売上げナンバーワンになる背景にはこの商品構成も影響しているとみられる。
今回の金賞受賞を受け、売場での打ち出しを強化していることもあって、「三元豚のとんかつ」の売上げは好調に推移しているという。ロングセラー商品は、いかにリニューアルをしながら商品力を高めるかが重要になるが、一方で売上げナンバーワンの売れ筋商品ということで全体に対する影響も大きいことから、リニューアル担当の役割は極めて重要になる。
田口氏は総菜全般の商品開発を担当しているが、今後の商品開発の方針として、「他にもセイミヤオリジナル商品を手掛けていきたい」と語る。現在は、こちらも豚カツと並ぶ定番商品の唐揚げのリニューアルなどに取り組んでいる。これまでもリニューアルを重ねてきているが、さらにおいしいものの追求をする作業となる。
いずれにしても、今回のセイミヤの「三元豚のとんかつ」の金賞受賞は、主力商品、しかもロングセラーの商品がしっかりと評価されたという点で大きな意義があるといえるだろう。