トライアルがアパレルPBを本格展開、RIALT西友三軒茶屋店の売場を拡大、融合店3店と西友40店にも商品導入へ
2026.03.30
トライアルホールディングスは事業会社のトライアルカンパニーを通じて、「RIALT(リアルト)」のブランドを冠したプライベートブランド(PB)によってアパレル事業を強化。リアルトとしては昨年11月には初めて専⾨店として⻄友三軒茶屋店(東京・世⽥⾕)オープンした。その後、有効性の確認期間を経て3月20日のタイミングで新規商品を加えた上で売場自体も拡大させ、多店舗への商品導入による拡大フェーズに入った。

「トライアルの開発商品を専門店業態として、モールなどに出ているブランドと戦っていく業態を作るための屋号を付けたプロジェクト。コンセプトとしては、生活必需店のトライアルの販売する一番良く使う服、コモディティの間口の広い服を、高品質で低価格で提供する。部屋着のような着心地で、外にも行けるようなものを開発した」(加藤 了・トライアルカンパニー執行役員商品本部ソフトグループメガ・専門店プロジェクトリーダー)
快適な「部屋着」とそのまま外出できる「ふだん着」の機能を両⽴させた商品展開を志向。動きやすい着⼼地と、⼈⽬に触れても「恥ずかしくない」デザイン性の両方を追求。豊富なバリエーションとリーズナブルな価格で、現代の日常のライフスタイルに寄り添うことを目指す。
リアルトのコンセプトは「Room&Out」。「部屋着のラクさ」と「外出着のデザイン性」を両立させることが意図されている。基本的に部屋で来ていて、ちょっとした外出にはそのまま出かけるといった位置づけの、いわゆる「ワンマイルウェア」の役割を担う。
今回、3月からはシューズの「よごれにくい、クリーンに履けるスニーカー」のシリーズと、レディスのワークが新規商品として加わった。「シューズは昨年末からデビューして、今年の春に向けて本格的なラインアップになった」(加藤執行役員)



トライアルのアパレルPBは、「⽇常を、機能で⽀える。」をコンセプトに、⽣活密着型リテールの強みを生かしながら、素材、機能、価格の最適なバランスを実現したアイテムを展開。トライアルの既存店舗では⾼いリピート率を記録しており、機能性とファッション性を両⽴した商品として、多くの⽀持を集めているという。トライアルはもともと総合店であるため、衣料品の取り扱いの歴史は長い。
「突然、いま始めた話ではない。もともと自分たちの開発した衣料をトライアル以外のお客さまにも買っていただきたいという思いがあった。今回、西友がいっしょになったので、そうであれば西友の中で衣料を扱っていない店舗でやってみようとなった」(野田大輔・トライアルカンパニーマーケティング部部長)
三軒茶屋店は30代~40代の⼦育て世代を中⼼としたヤングアダルト層の来店動線が確⽴している⼀⽅、従来の購買層であるシニアミセス層からの⽀持も厚い店であることから、これら2つの世代をつなぐ「世代共感型アパレル」の位置づけでPB展開を実施。ロイヤリティ向上と新規顧客獲得を同時に実現していくことが狙いだという。
30代~40代の子育て世代はリアルトのメインターゲットと一致し、既存の西友衣料でカバーしきれなかった層を掘り起こすと共に、三軒茶屋店が都市部にあることから都市型店での受容性を検証するテスト拠点との意味もある。ただ、メインターゲットは30代~40代の子育て世代だが、ターゲット自体は幅広く考えているとする。自体はあえて衣料を強化する背景にはトライアルとしてアパレル事業を新たな成⻑ドライバーと位置づけていることもあるという。
昨年11月の段階では売場面積は87坪、展開商品数は約2500SKUだったが、今回、売場面積は123坪へと130%に拡張した他、展開商品数も約5000SKUにまで200%に拡大。この売場強化によって売場効率を西友の売場時と比較して最大200%にまで改善することを目指す。
「(昨年11月には)トライアルで支持があったものを中心に組んでみたが、予想以上に支持をいただけた。課題としては、やはり売れる数が桁違いで、想定していた数以上に売れたので、もう少し分量をしっかり用意しなければいけないというところ。あとはサイズや色の売れ方が、トライアルのコアとは少し違うといった特徴があった。特にレディスのサイズの合わせ方で、割とトライアルの既存店の方だとゆったり着られる方が多いが、都心の方はジャストサイズで着られる」(加藤執行役員)
「マーケットイン」発想のEDLP、「他社とはビジネスモデルが違う」
今回のアパレル強化は、あくまで長年衣料品を取り扱っているトライアルがデータなどに基づいて顧客ニーズがあるものだけを展開しているという「マーケットイン」の発想であることが大きな特徴だ。「これが売れるだろう」といった予想、あるいは「これを売りたい」「これを売り込む」といった意思などに基づく「プロダクトアウト」発想とは異なるものだ。
トライアルとしては、「顧客起点の商品開発」として、衣食住全ての購買データを活用していることに加え、アンケートで細かな不満を収集したり、AI(人工知能)分析とテスト販売で即改善を図ったりといったことをしながら「一番使う服、一番役に立つ服」の商品開発を実践しているとする。
「(競合企業とのすみ分けなどを意識するといったことではなく)トライアルで支持された実用衣料の重点商品、ヒーローアイテムを集めてブランドを作るというアプローチ。お客さまの支持を得ているのが一番強い商品だと思うので、その商品を軸に組み立てる」(加藤執行役員)
また、価格については、「部屋着のような感覚で買える、お買い求めやすい価格を意識しているところで、どちらかというと原材料費から価格を決めるというよりは、例えばTシャツだったら(本体価格)799円~998円が中心価格帯だよねという価格からものに落とし込んでいる」(加藤執行役員)



お客の視点からの価格設定は買う側からするとうれしい一方、供給する側からすると原材料費や人件費の高騰、あるいは必要な値入れなどの問題があってなかなか難しいのではないかと思えてくる。それについて加藤執行役員は次のように既存アパレルとの違いを強調する。
「ビジネスモデル自体を(他のアパレルと)同じものにしたくないと思っている。アパレルというと、スタイリングがあって、それに沿ったアイテムがあって、価格帯がブランドとして決まっていて、それで最後セールをしても儲かるように利幅の設定をしていることが多い。僕らはどちらかというと、実需品はこれぐらいの価格で買えた方が良い、この価格帯が、支持が一番大きいといったところから作り上げていく。ビジネスモデルが違う」(加藤執行役員)
アパレルにおけるエブリデーロープライス(EDLP)を実践しているというわけだ。例えば閑散期生産によるコスト最適化や糸段階からの素材設計による中間コストの削減、また、必要な機能を絞り込むトレードオフの活用などをすることで「圧倒的低価格の仕組み」を実現しているとする。
今後もあくまでお客の支持に基づいて商品構成も含めて変えていく意向。「『このカテゴリーを攻める』とかそういったことではなく、どちらかというと僕らは支持があったら、そちらの方向に伸ばしていく」(加藤執行役員)
そのため、売場のカラーコーディネートといったことも意識しない。「売れる色をそろえているからで、あまり差し色でロスを出すのもどうかということ。差し色の中でもこういう色が売れるよねということをデータ中心にやっている」(加藤執行役員)
売場にはトライアルが全社的に注力するサイネージが多数設置されているが、これはそれ自体の情報訴求力に加え、ローコストオペレーションにも寄与するという。「基本的にPOPや印刷物はそれだけで手間がかかる。特に大型店になればなるほどすごく印刷のコストもかかる。そうであれば、サイネージはトライアルの強みなので、代用できるところは全部サイネージで代用している」(加藤執行役員)。価格帯がシンプルであることもあるが、結果として売場のPOPなどの販促物は非常に少なくなっている。


現状、リアルトとしてブランドを掲げている店は三軒茶屋店のみだが、商品の取り扱いについてはすでに両社の融合店である「トライアル西友」フォーマット2店へのRoom&Out商品の導入が進んでいる他、26年晩春にグランドオープンするトライアル西友二俣川店にも導入予定となっている。
その他、西友店舗にもRoom&Out商品を順次導入予定で、三軒茶屋店での検証を踏まえ、まずは都心部を中心とした大型店舗での展開を拡大していく。3月下旬から順次導入予定で、導入予定店舗数は40店を想定する。









