トライアル西友二俣川店が4月24日オープン、都市型GMS再生モデル目指す新フォーマット3号店の完成度
2026.05.06
トライアルホールディングスは4月24日、傘下のSTリテールを通じて新フォーマット「トライアル西友」の第3号店となるトライアル西友二俣川店を横浜市旭区にオープンした。店舗面積は約1500坪、取扱商品数は約3万品目で、西友の大型店を改装する形で新フォーマットに切り替えた。
第1号店のトライアル西友花小金井店(2025年11月オープン、東京都小平市)、第2号店のトライアル西友武蔵新城店(26年2月オープン、川崎市中原区)も同様に西友大型店の改装によるものだが、約5カ月で3店目をオープンさせるなど、スピード感ある展開といえる。二俣川店の改装に伴う閉店期間は約1カ月だった。

新フォーマットは着実に成果を挙げているといえ、例えば1号店の西友花小金井店では、転換後2カ月間(25年12月1日〜26年1月31日)の売上高が前年同期比で約42%増、客数が同36%増と大幅に伸長した。生鮮、惣菜を中心とした売場面積の拡大、プロモーション強化、九州ご当地メニューの提案、インストアサイネージの活用などを通じ、来店動機の創出と回遊性向上を実現したとしている。トライアルのノウハウを移植したことで集客力が強化されたといってよいだろう。
トライアル西友は首都圏における「都市型GMS(総合スーパー)再生モデル」として位置付けられ、両者が得意とする食品に加え、衣料品、住居用品も一定程度取り扱うフォーマットとなる。今回、新フォーマットとしてオープンした二俣川店は、かつて2003年6月に西友に資本参加したウォルマートのノウハウを移植したモデル店として改装された経緯を持つ。その意味では、およそ23年ぶりに再度、より強力な総合フォーマット構築に挑戦するという歴史的な位置付けもある。
もっとも、それ以前に日本においては、かつて小売業界をけん引したGMS企業が西友を含め、食品の売上高構成比を高めてきたこともあって、「GMSは時代の役割を終えた」といった論調がある。消費の成熟や専門店の台頭もあって、「一定の規模で衣食住のワンストップショッピングができる店」が需要に応える余地が減ってきているというわけだ。
実際、西友も昨今では「食品主力のスーパーマーケット企業」であることを明確に宣言し、大型店についてはテナントを入れたり、閉店したりするなどして、店数としては徐々に減っていた。トライアル西友のフォーマットは、結果としてその過程で残った非食品を比較的広範に取り扱う店、現在のところ244店のうちの73店を改装しての転換となる予定だ。
トライアルとしては今期中にあと1店を転換し、今年7月からスタートする3年間の中期経営計画では累計で30店の転換を予定するなど、引き続きスピード感ある展開だが、その意味では日本においてGMSが再び強みを持った業態として成立できるかを問う意味でもトライアル西友の動向は非常に注目すべきといえる。
一方でトライアルは、郊外で衣食住を取り扱うスーパーセンターを主力にさらなる大型店のメガセンターと併せ、非食品も広範に取り扱ってはいるものの、売上高構成比では、直近の26年6月期の上期の実績ではトライアル単体でも食品が75.3%を占める。西友を含むと実に79.3%が食品の売上げとなっているなど、食品が圧倒的な主力商品であることは確かではある。
また、トライアル西友は、スーパーセンターと売場面積的には近いが取扱品目が約3万と、4000㎡(約1209坪)ほどの売場に6万~7万品目品揃えするスーパーセンターと比べ、かなり少ない。これは主に非食品の「衣住」の差となっていて、それは近隣に多数の他店が存在する都市部と、ワンストップショッピングの重要性がより高い郊外の差でもある。都市部に立地するトライアル西友にとって、食品の位置付けはより大きいものになる。
二俣川店の売場は1階のワンフロアに食品と衣料品、日用品、化粧品などを配置していて、2階には医薬品関連と家電などをコンパクトにまとめていることから、野田大輔・トライアルカンパニーマーケティング部部長は「1階で生鮮食料品から衣類、ペット用品に至るまでワンストップで買える。トライアルのスーパーセンターに近い買物体験ができる」と言う。






一方で今回の第3号店のオープンに当たって特に強化されたのはむしろ得意とする「食品」だという。中でも惣菜は既存店と比べて売場を広げ、「これまで以上にトライアルが関東で展開したかった品揃えが出ている状態になっている」(野田部長)という。「(明治屋から)改名したこはく本舗(惣菜グループ会社)に職人がいて、そこで職人が提案して作り出すおいしい惣菜を提供していく」(同)
惣菜売場は既存の2店より広げた。平台も広く設置し、「これまで以上に、トライアルが本当に関東でやりたかった品揃えが出ている。その中でも支持を得てきたピザやホテルブレッド、もちろん、カツ丼、卵サンドも含め随所に展開させている他、スイーツも拡充させている」(同)









また、惣菜だけでなく、生鮮食品についても店内加工の再強化を含めたトライアル流の商品力の強化が図られている。
鮮魚は売場先頭で海鮮丼、寿司などを展開しているが、今回、レイアウト的に青果に続いて惣菜が配置されているため、流れとしても一部、日配を挟むものの、即食としてのまとまりが感じられる構成。その他、エビなどトライアルとして調達を強化した商品をさまざまな品目で展開し、独自性を打ち出している。
精肉も既存のトライアル西友と同様、店内加工を増やした上で、一頭買いを含むトライアル調達の商品をさまざまな商品化で打ち出しながら訴求。今回は特に牛肉の品揃えが強化された。野田部長は「安さは死守しなければいけない」としつつも、あくまで「良いものが安い」(同)ことが重要だと強調する。













また、福岡発の小売業として、首都圏での店舗展開の拡大に際してトライアルが改めて強く打ち出しているのが「九州」の商品となる。売場ではところどころで「九州うまかもん」のPOPを掲げた商品が強く提案されている。
しょうゆ、みそといった調味料から、焼酎、ラーメンなど九州ならではの商品群に加え、佐賀県小城市の竹下製菓の代表的なアイスバー商品である「ブラックモンブラン」など個別商品をフィーチャーした形も含め、九州発の商品が強力にアピールされている。



酒はカテゴリーとしても面積を多く取っている他、特に焼酎について品揃えを深めた。焼酎以外にも洋酒のウイスキーなどでも国産の高価格の商品も取り扱い、専門性を高めている。



また、生鮮食品や惣菜でも「九州」を訴求する商品もところどころで訴求されている。「九州の商品をお求めに来ていただけるお客さまも多い」(野田部長)といい、販売実績も出ていることから広がってきているという。


九州の打ち出しと併せ、今回特に注力したのが、プライベートブランド(PB)商品の売り込みだという。トライアルでは29年6月期までの中期経営計画でPB商品の売上高構成比を25%に高めることを目指しているが、現状は20%を下回る水準。
その点、「陳列は(トライアル西友第1号店のころと比べても)だいぶ変わっている。PBはもともとナショナルブランド(NB)商品と違って認知がないので、お客さまに伝えることで商品を知っていただいて、買っていただくための努力をしてきた」(野田部長)。
確かに売場ではエンドなど売り込みスペースを含め、PB商品の他、留め型商品も含むオリジナル商品が多数、大量陳列で売り込まれている。それはトライアル側の商品だけではなく、西友が持つ「みなさまのお墨付き」、あるいは「きほんのき」も含む。










トライアル西友への転換に際しては、もちろん、ハード面でトライアル流の店舗運営を象徴する設備の導入も実施した。セルフレジ機能を持つタブレットが搭載されたカートであるレジカートは60台導入。
また、現在、トライアルが推進するリテールメディアの拠点の1つとなるインストアサイネージは25台導入。サイネージは音声付きでの店内一斉放送も可能な運用で、出来たての惣菜の案内や、季節、催事に合わせた訴求コンテンツを配信していく。




今回のようなトライアル西友への転換と並行して、西友の中小型店でもモデル店舗の展開を進めている。例えば東陽町店(東京・江東)とひばりヶ丘店(東京都西東京市)は25年8月から施策を導入し、トライアルの惣菜の核商品やPB商品を導入したり、売場レイアウトを見直したりしつつ、販促強化なども実施。両店とも既存店売上高、客数が翌週の9月にはプラス転換し、さらに10月には既存店全体の水準を上回る成長となるなど効果が出ている。
25年12月に実証を開始した仙川店(東京都調布市)では、トライアル西友フォーマットの成功事例も取り入れ、生鮮、惣菜の強化や売場最適化を進化させた。前述の中期経営計画では29年6月期末までの3年間で、西友のスーパーマーケット業態約60店舗に成功モデル要素を取り入れた店舗改装を計画する他、トライアル西友への転換は全73店の計画のうち30店の転換を目指すとしている。
トライアル西友二俣川店概要
所在地/神奈川県横浜市旭区二俣川2-52-1
オープン日/2026年4月24日
営業時間/24時間
店舗面積/約1500坪
商品数/約3万品目









