旬鮮魚市場クルベ熊谷銀座店が6月17日オープン、ベルクをフォーマット転換、「毎日が驚きの鮮度と安さ」を提供

2026.07.02

ベルクは埼玉県熊谷市のベルク熊谷銀座店を同社の低価格フォーマットである「クルベ」に転換し、6月17日にオープンした。旧ベルク熊谷銀座店は2015年3月にオープンし、11年を経て今年3月27日にいったん閉店していた。

同店はJR、秩父鉄道の熊谷駅からも近い駅近店舗であるが、同店から駅方面に200mほど離れた駅前の大型商業施設の「ニットーモール」内にヤオコーが出店していて、一番の競合店となっている。ヤオコーはベルクが出店する12年前の03年4月にオープンしているが、その意味では今回のベルクのフォーマット転換によって、競合バランスが大きく変わることとなる。

駅近の店ではあるが、前面駐車場を擁しているため、車での来店によるショートタイムショッピングもしやすい

クルベは「Challenging the Limits of Belc(ベルクの限界に挑戦する)」をコンセプトにしたベルクの新フォーマットのスーパーマーケット(SM)の位置づけで、23年7月にこちらも既存店から転換の形でオープンした群馬県高崎市の江木店が1号店。その後、群馬県に2店、埼玉県に1店の3店体制となっていた中、今回、4号店として熊谷銀座店がオープンした形となる。

同社がうたう特徴は3点。1つ目が「驚きの安さ」で、「価値ある商品を提供できるよう努力し、『どこよりも安い』を追求」、2つ目が「潔いサービス」で、「必要最小限のサービスにすることでお客さまの『お得』な生活へ」、3つ目が「幸せゾクゾク提供中」で、「冒険という名のお買い物を通じてお客さまへの買物体験価値を提供」となっている。

基本的にベルクよりサービスを絞ることで販売管理費を低くし、価格原資を作り出した上で低価格で販売するディスカウント業態といえるが、やや意外であったのは3号店の北入曽店は25年2月に新規出店の形でオープンしたことだ。

売場レイアウト図。入口は1カ所で、青果売場と精肉売場が最初に来るようなパターン。青果は内側にゾーンのような形で配置。結果として壁面冷蔵ケースが精肉から始まるというめずらしいパターン。また、青果側から加工食品側への抜け道はなく、結果としてワンウエーコントロールのような形となっている
入口と売場の間には大型の風除室のようなスペースがあり、カートなどの他、掲示、一部特売商品が並ぶ。お客による店内の売場や商品の写真撮影、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)での拡散が可能である点を掲示、販促を「外部化」している
青果は平台主体の売場づくりで、かつ平台はコンテナを積み上げたような簡素なものが中心。陳列もコンテナ単位としている
中には段ボール単位の陳列もある
平台のエンドも、ケースごとにはめ込めるような方式としている
平台の中に一部、冷蔵ケースを差し込み、「おすすめ品」を販売するなど、売場に変化を付けている
青果では多段冷蔵ケースでも、下段においてケース陳列を実施しながら単品量販を心がける
花き売場はないが、青果売場で一部鉢植えを販売
入口最初の壁面冷蔵ケースは精肉の牛肉からスタート。和牛もしっかり売る
売場では和牛の牛脂や豚脂だけのパックも販売。事業者の需要も視野に入っていそうだ
平ケースでは豚肉を量販。熊谷市と隣接する深谷市の銘柄豚である「彩の国黒豚」などを立体的な商品化、売場づくりで売り込む
精肉売場として一部キムチを「肉好き厳選」と銘打って販売している
鶏肉では一部ノントレー商品を展開。アウトパックということもあってコンテナごと陳列している
比較的汎用性の高い商品を大量目で販売
各社強化中の精肉の味付け商品も大量目でしっかり展開
味付け商品は、冷凍のアウトパックも充実させ、さらに「ご当地」を打ち出した展開としている
加工肉では数量限定の商品を「運命の出会い」をコンセプトとして展開するなど、来店動機を作り出す演出が随所にみられる

今回の熊谷銀座店を含め、他店が既存店からの転換によるオープンということもあって、どちらかというと低価格販売による既存店活性化のためのフォーマットの色彩が濃いように見えるが、新規出店の投資に見合う営業利益を稼ぎ出せるビジネスになるかは、関心が寄せられるところではある。

加えて、今回の熊谷銀座店には別の注目点もある。店名に「旬鮮魚市場」を冠していることだ。ベルクによると、「『魚市場』「をテーマに、驚きの鮮度と安さにこだわった鮮魚販売を特長とした店舗」になるという。

フォーマットの特徴にもあるように、サービスを必要最小限にするために1号店では鮮魚売場自体が狭く、さらに調理サービスの対応もなかったが、次第に鮮魚売場は強化されてきた経緯があるが、ついに今回、「魚」を前面に打ち出すことになった。

もっとも、ベルクとしては直近にオープンした標準フォーマットの有明店(東京・江東)で、豊洲市場との近さを生かした形で鮮魚売場の大幅強化が図られていることから、今回のクルベの動きは同社の全社的な動きともリンクしている。

今回、鮮魚売場は通路上の平ケースの他、壁面に対面販売売場も設けられ、大衆魚からめずらしい鮮魚まで幅広い魚種を取りそろえる他、従業員による対面販売を通じた鮮魚の加工からメニュー提案までを実施。鮮魚に関しては必要最小限どころかフルサービスといえる展開で、これまでとは逆の意味での「潔いサービス」となっている。

いままでになかった対面販売がしやすい売場を実現し、のぼりの装飾や大きなマグロの模型を設置するなど、「魚市場」のような「活気のある売場づくり」にこだわったとしている。売場ではグループ会社で青森県八戸市を地盤とする水産食品製造、販売のマルイチ水産LTDの名前を掲げ、その専門店のノウハウを生かしながら、訴求力も高めている。

「旬鮮魚市場」と銘打つだけに、鮮魚売場には力が入る。のぼりやマグロの模型なども活用し、平ケースと対面販売を含む壁面を使って売場づくり。平ケースではマグロをコーナー化したり、エンドでサクの3点セットを本体価格1000円で販売。基本的に単品量販、かつそれほど手をかけない商品化
平ケース先頭のマグロのコーナー
対面販売売場では丸魚を売り込み、調理加工を含め対応する
対面販売の売場では丸魚の他、切り身の盛り売りも実施
ディスカウントではあるが、注力する鮮魚では刺身の盛り合わせなどもコーナー化の上、展開する
ベルクでは惣菜の寿司の他に「鮮魚の寿司」も展開するが、ディスカウントを志向するクルベでもしっかり展開するようになっている。寿司飯に赤酢を使用している点もベルクと共通
揚げ、焼き、煮、温惣菜に加え、米飯を展開する鮮魚の惣菜。こちらもベルクでは定番だが、クルベでおしっかり展開する。熊谷銀座店ではケース後ろに人が立ち、対面販売のような形となっている
定番中の定番といえる冷凍のサケ切り身はしっかりコーナー化。平ケースの組み合わせのため、コーナー化がしやすい上、何より目立つ
鮮魚売場脇のゴンドラエンドでは、魚に関連する調味料などをコーナー展開し、「魚売場」の総合力を高めている
鮮魚売場から続く奥主通路は惣菜売場。ガラス張りではないが、バックヤードとの窓が開いていて、製造する様子が見える。それも踏まえ、専門店の集積のような売場づくりとなっている
ピザと鉄板焼きの間では、ロティサリーグリルを設置しての丸鶏のロティサリーチキンの販売もしている
平台では米飯を展開。以前展開されていたシェアを想定した大容量の商品ではなく、個食の商品のみとなっている
クルベが誕生した当初からある本体価格199円弁当。基本的におかず1品とご飯のシンプルな構成だが、価格のインパクトは大きい。唐揚げや豆腐ハンバーグ、ちくわ磯辺揚げをおかずとしたものの他、チャーハンと揚げギョーザの組み合わせもある
パスタも店内製造でボロネーゼやアラビアータなど凝ったメニューをシリーズで展開
店内で焼いたタイ焼きなど和のスイーツ系の商品もある
1個で本体価格299円の巨大な「XXXLたこ焼き」といった尖った商品も差し込まれる
クルベの他、一部ベルクの既存店でも導入されている惣菜のバックヤードと売場を結ぶローラーコンベアを設置している。バックヤードかコンベア上に流れてきた商品を売場側の従業員が陳列する。行き来がない分、陳列作業に集中できる
焼き鳥はばら売り。後ろ側から陳列できるようになっている
揚げ物のばら販売は派手な売場づくり。こちらも後ろ側から陳列できるようになっている
ベルクは精肉の店内加工の温惣菜も展開するが、クルベでも展開している。握り寿司などと同様、唐揚げも惣菜の商品と生鮮側の商品の2つのラインが存在する
カット野菜やサラダも店内製造の商品を展開する。注力する部分と効率化する部分のめりはりが付いていて、ディスカウント一辺倒でない点は注目だ
クルベの名物商品といえる子会社ホームデリカが製造する巨大なポッポコーンに新たな商品が加わった。「映画を見ながら味わう“あの”味」とうたう「ザ・MOVIEキャラメル」を売り込む
入口すぐの第1主通路に生鮮をまとめ、日配はその反対側、第2主通路から第3主通路にかけて和洋共に展開するレイアウトを採用。ベルクでは定着しているパターンだが、第1主通路に和日配を配置するSMも多いことに加え、平ケースでの展開もあってか、あえて「納豆コーナーはここだけ!」と表示している
日配の冷蔵ケース内でも下段ではケース単位での陳列としている
販売数量が多い牛乳もケース単位の陳列
ばら陳列の場合でも、棚がスライド式になっている什器を採用するなど、陳列作業のしやすさにこだわっている
日配では冷蔵でも一部商品はリーチインケースを使用している
卵はバックヤードから押し出す形で陳列できるようになっている。物量の多いものの移動距離を減らすためのさまざまな取り組みが見られる
パンはバンジュウのままはめ込む方式の陳列什器
冷凍食品は平ケースをリーチインケースが挟むような形で広い売場となっている
グロサリーの加工食品では投げ込み陳列を多用している。水産缶詰でも一部商品を投げ込み陳列している
調味料なども特に下段では投げ込み陳列している。ドレッシングなど比較的重みのある商品でも実施
カップ麺は全面的に投げ込み陳列が採用される
レトルトカレーでも、特売商品は投げ込み陳列
こちらはレトルトカレーの定番売場
常温販売可能なパック飲料では、ケースを陳列什器としても活用するシェルフレディパッケージングとしての陳列もある
吊り下げ商品を集積してコーナー化
輸入シリアルは自社開発が進む分野。オリジナル商品を集積してコーナー展開している
グロサリーのゴンドラエンドには基本的に陳列棚を設けず、かご車陳列などで単品量販を実施している
大型のスポッターを用いて、単品の価格訴求をしているが、一部商品はスポッターにはあえて価格を表記せずに、売場に近づいて初めて価格が分かるような仕掛けとし、売場内にお客を誘導している
日用品も比較的広範に取り扱い、ワンストップショッピングができる商品構成
レジは現金のみ対応。全てセミセルフレジとなっている

もう1つ、同店が立地する「熊谷」のイメージも前面に押し出している。店内には関東一の祇園祭と称される「熊谷うちわ祭」、また、「熊谷スポーツ文化公園ラグビー場」など熊谷をイメージした装飾が随所に施され、また、市内にベルクが7店展開していることを踏まえ、創業から今年の新店までの軌跡を現したポスターなどを掲示している。

熊谷うちわ祭をイメージした装飾を施す。酒売場などはその代表的な売場
酒は他の飲料と同様、ディスカウント的な常温販売がメインだが、一方で冷蔵販売の売場も設けるなど、「すぐ飲む」需要への対応もしている

位置付けとしては、ディスカウント業態となり、実際、作業の軽減などを通じた低経費、低価格販売のための取り組みが随所にみられるが、売場を細かく観察すると、店内加工をふんだんに活用した生鮮、惣菜を中心に、必ずしも一般的なディスカウント業態が取り入れる「割り切り」ばかりではない。このめりはりがクルベの大きな特徴といえる。

ベルクとしては「従来のお買い物体験を刷新する新しいコンセプトの店舗」として「これまでにない利便性と新たな食の楽しさをご提供できる店舗」となることで、既存客に加え、新規客の掘り起こしを目指す意向だ。

旬鮮魚市場クルベ熊谷銀座店

所在地/埼玉県熊谷市銀座2丁目226

営業時間/10時〜21時

駐車場/190台(入庫から30分無料、同店のレシートでさらに60分無料。以降1時間ごとに300円、上限なし)

お役立ち資料データ

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