フードスタイル船堀店が7月3日オープン、「FoodStyle」初の大型店、旧ダイエー店舗の転換第1号として「500坪パターン」を実験
2026.07.07
イオンフードスタイルは7月3日、新フォーマット「FoodStyle(フードスタイル)」の6店舗目となるフードスタイル船堀店を東京都江戸川区にオープンした。売場が入るのは、都営新宿線船堀駅北口から徒歩2〜3分、駅前ロータリーの先にある商業施設「イオン船堀」の1階。

1981年に「忠実屋船堀店」として開業し、「ダイエー船堀店」、直近は「イオンフードスタイル船堀店」と屋号を変えながら約44年にわたり営業を続けてきた店舗の全面刷新となる。
3月7日オープンでフードスタイル1号店となった三田店以降、転換してきた5店はいずれも旧ピーコックストアの都心小規模店であり、旧ダイエー店舗の転換は今回が初めて。売場面積約590坪は従来の転換店舗の約2倍に当たり、新フォーマットのフードスタイルとして初の大型店となる。
フードスタイルとその他テナントを合わせた施設全体は「イオン船堀」との施設名で運営し、1〜3階が商業フロアになる。4階には屋上の自走式立体駐車場323台を備える駅前型の商業施設となる。3月1日のスーパーマーケット(SM)事業再編に伴い、施設管理はイオングループのイオンCREソリューションズへ移管されており、同社に承継された物件は核店をイオンリテールが運営する施設を含め12店に上る。

専門店は、1階にマクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、はなまるうどん、大阪王将、サーティワンアイスクリーム、24時間営業のコインランドリー・マンマチャオなど、2階にセリア、ノジマ、ハニーズ、カーブスなど、3階にしまむら、バースデイ、シュープラザ、市進学院などの23店が名を連ねる。
駅前の店舗ではあるが、車でのアクセスも良く、船堀街道沿いの「船堀駅前」交差点に面し、首都高速中央環状線船堀橋ICから約2分。ネットスーパー、当日宅配、Uber Eatsにも対応する(オープン直後は一時休止し、7月中に順次再開する予定)。

運営会社のイオンフードスタイルは、マックスバリュ関東、ダイエーの関東事業、イオンマーケットの3社が3月1日付で経営統合して発足した、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)傘下の新会社。現在、123店を展開し、2030年までに原則全店舗を新フォーマットのフードスタイルへ転換する方針を掲げる。
転換済みは三田店(3月7日オープン、以下同、東京・港)、代官山店(4月17日、東京・渋谷)、石川台店(5月15日、東京・大田)、文京グリーンコート店(6月5日、東京・文京)、大島店(6月19日、東京・江東)の5店。ペースは月1〜2店舗で、26年度は12〜18店舗の転換を計画する。
転換済み店の滑り出しは、売上高の伸び率が店によって1.3〜1.7倍、客数は平均で1.3〜1.4倍となっている。とりわけ生鮮の売上高の伸び率が高く、農産は前年比約1.5倍、畜産とデリカは1.6〜1.7倍。水産は全店が2倍以上に伸び、平均約220%、最も高い店舗では260〜270%に達するという。
「いままでは都心中心部の小型店舗で、効率化に走った水産の売場づくりが多かった。生鮮強化で品揃えから加工に至るまでインストアの部分を強化したことが、大きな伸びにつながっている」(平田炎社長)

U.S.M.Hは店舗フォーマットをダウンタウン、アーバン、ルーラルの区分で整理するが、今回の船堀店の位置づけは「ある意味例外的なもの」(平田社長)だという。フードスタイルはダウンタウン中心の300坪モデルの確立を主眼に置き、アーバンやルーラルはマルエツ、カスミ、いなげやが中心となって担う建て付けとなっている。
そのため船堀店はこのマトリックスの中ではなく、自社店舗のサイズ別バリエーションとしての「大型店舗バージョンの実験店舗」に位置づける。「300坪のマーチャンダイジング(MD)をそのまま入れ込むと、大型店舗は縮小し、萎縮してしまう。300坪で作り上げてきたものを500坪パターンという形で実験したい」(同)
全123店のうち売場面積500坪以上は旧マックスバリュ関東、旧ダイエー店舗を中心に28店あり、船堀店の検証結果はここへの水平展開に直結する。
この後に転換を進める東大島店(東京・江東)も同クラスの規模で、千葉市緑区のおゆみ野や千葉県野田市にある600〜800坪級の店も視野に入る。オープン当日は大型店舗の店長を売場の応援に呼び、「取り入れられるものは取り入れていく」(同)態勢を敷いた。
転換前の店の課題を、平田社長は「一言で言うと鮮度感がなかった」と総括する。パック商品ばかり目立つ売場からの脱却が転換の起点だ。一方で、三田店や代官山店と同様に都心の特殊な立地であることを指摘されると、確かに品揃えの高級化を求める声もあると認めつつ、「いまは正直、抑えている」(同)とも明かす。
「駐車場に(高級車の)フェラーリやポルシェが停まっていても、3000円、4000円の商品を買ってもらうのではなく、500円のピザ、398円のお弁当をいかに買ってもらうかがまずはいまは大事。目指すべきは高級なスーパーではないし、上質なスーパーでもない。私が目指したいのは『良いか悪いか』の、良質なスーパーマーケット。そのベースをしっかりとつくるまでは、品揃えの幅は広げないでおきたい」(平田社長)
判断基準は「お客さまにとって良いか悪いか。〇か×かであって△はない」と従業員にも徹底し、足元商圏のシェア率向上を最重要ポイントに置く。競合対策を問われても、「われわれは挑戦者。まだスタートラインにすら立っていないだろう」と言い切る。

売場は300坪タイプと同様、生鮮とデリカの強化が軸になる。農産は、市場から毎日届く野菜の鮮度訴求に加え、フルーツコーナーを「スイーツファクトリー」のような空間に仕立てたことが最大の特徴。ダイエーで磨き込んだカットフルーツ売場を踏襲する他、「生フルーツ杏仁」「気まぐれ生フルーツプリン」「気まぐれフルーツタルト」といった店内手作りのフルーツスイーツもそろえる。
トロピカルフルーツやカットフルーツのコーナーは従来店より拡充していて、ターゲットである30代〜40代の獲得は「まずパンとスイーツから」(平田社長)という入口戦略を形にした。三田店以降の転換店では若い客層が目に見えて増え、夕方にはベビーカーを押した子連れ客が増えているという。



水産では、豊洲市場から直送される丸魚がトロ箱のまま並ぶ、市場のような活気の再現を目指す。好みに応じた調理加工を受け付ける他、切り身、刺身盛り合わせ、寿司、海鮮丼、惣菜まで魚料理をバラエティ豊かに展開する。
転換店で軒並み2倍超という水産の伸びを支えるのは、逆転の発想ともいうべきものだ。「魚離れは進んでいるが、『魚を食べたい』人は現実的にいる。分かりやすい例が回転寿司で、どこも長蛇の列。魚をいかに食べやすく提供できるか、いかに食べたいと思ってもらうかの商品化にこだわった。寿司や丼、焼き魚、煮魚、魚を使ったお弁当を目立たせることで、丸魚や刺身の魅力がさらに魅力的に見え始める」(平田社長)







一方のデリカでは、新生フードスタイル開始以来の看板メニューである焼き鳥、フィッシュ&チップス、手作りおはぎなどをアピール。これら新生フードスタイル発の商品は既存店への水平展開が進み、売上げを押し上げているという。


新顔は和スイーツの「CRAFT DANGO」。USEN-NEXT HOLDINGSグループで外食向けのメニュー開発を手掛けるWannaEat(ワナイート)との協業によるだんごコーナーで、これは「われわれが企画した商品ではない。自分たちで考えることにはある意味限界がある。外の意見を取り入れたときにどんな商品が生まれるかという実験」(平田社長)の位置づけだという。

打診したのはオープンの2カ月ほど前で、当初は「無理」と断られたというが、SKUを絞った実験的な形でひとまず立ち上げた。異業種とのコラボレーションは今後の店舗でも仕掛ける構えで、すでに「幾つかボールを投げている」(平田社長)段階だという。
また、今回初めての挑戦として、U.S.M.H4社の人気商品を売場に散りばめる取り組みも実施。POPには「マルエツ監修」「カスミ監修」「いなげや監修」の文字が並ぶ。ただ、マルエツのデリカセンターで加工するナムルやもつ煮は当然、同一商品になるが、いなげや監修の「大海老天重」やカスミ監修の「4種だしの旨み広がる!国産むね塩唐揚げ」などは、あくまで仕様を横展開したものになる。原材料などまではまだ統一していないことから「監修」の表現を用いている。




平田社長は、「U.S.M.Hの商品を売ることが目的ではなく、それぞれが持っている良さをいかに共有し合えるかが目的。これが第一歩」と、その意義を強調する。7月10日に改装オープンするマルエツ三郷中央店でもイオンフードスタイル、いなげや、カスミの商品が展開される予定で、グループ4社の相互乗り入れが動き始めた。
インストアベーカリーも設けるが、一方で自社工場から毎日届く「ホテルブレッド」は既存店でも人気が定着。このこだわり生地を使ったロールパンやぶどうパンをはじめ、バンズで作るバーガーやコッペパンへとシリーズ展開を広げる。店内の石窯で焼き上げる本格ピザやパニーニも並ぶ。
なお、生鮮、デリカなど店内加工もかなり多い一方で、手が付けられるところから順次効率化を進めていて、文京グリーンコート店まで店内焼成だったバーガーやホットドッグのバンズについて、もともとダイエーのベーカリー子会社で、ダイエーと合併したボンテの拠点であった川崎市のプロセスセンターで焼成するように切り替えるなど、店内製造で手応えのあったMDについてアウト製造化による効率化も追求する。

三田店から始まったバックヤードで製造する手作りプリンも、仕様を一部見直した上でセンター製造に切り替えて既存店へ広げるなどしているしている。「人時的にはかなり落ち着いてきている」(平田社長)という。



この間、フードスタイルのフォーマット開発に際しては、取扱品目数は転換前と比べてかなりの絞り込みが図られている。船堀店については、畜産は転換前の約150から約145に、デリカは約365から約350に、インストアベーカリーは約85から約70にと微減といった形で絞り込まれた部門もある一方、農産は約420から約250に、グロサリーは約6210から約5710に、デイリーは約2850から約2500へと大幅に絞り込まれた部門もある。



逆に、強化した水産は約320から約325へと微増している。結果として食品全体の品目数は1万400から9350になった。また、ノンフードについては転換前は約450だったが、焼く1050へと倍増しているが、「このサイズのノンフーズの品揃えからすると、まだまだ物足りない」(平田社長)との認識だという。
現在のところ、フードスタイルの新店は「未来の標準」を創るPOC(概念実証)の実験場であり、成果はエビデンスに基づいて既存店へ水平展開される。300坪で磨いたモデルを500坪へ広げる船堀店は、その射程を28店の大型店群へと一気に伸ばすための試金石となる。
フードスタイル船堀店概要
所在地/東京都江戸川区船堀1-1-51イオン船堀1階
オープン日/2026年7月3日
営業時間/7時〜23時
売場面積/約590坪
駐車台数/323台(4階、屋上、買上金額に応じ最大3時間無料)
駐輪台数/自転車358台、バイク22台(2時間無料)
店長/鈴木 淳
年商目標/約44億円
商圏情報/約7000世帯、約1万3000人(0~500m商圏)、約2万2000世帯、約4万3000人(0~1km商圏)









