TOUCH TO GOが次世代無人オーダー決済端末「TTG-MONSTAR」の運用を開始
2022.04.21
2020.11.26
TOUCH TO GO(タッチ・トゥ・ゴー、TTG)は11月25日、自社開発した無人オーダー決済端末「TTG-MONSTAR」をJR東日本フーズが運営するハンバーガーショップの「R・ベッカーズ田町店」に導入し、運用を開始した。12月12日にはガーラ湯沢が運営する「GALA湯沢スキー場」にも導入される予定。
R・ベッカーズの入口付近に2台のTTG-MONSTARを設置。商品の注文から決済まで、お客と従業員が対面することなく無人で済ませることができる。GALA湯沢スキー場では、スキー用品のレンタル時の申し込みから決済までを、お客と従業員が対面することなく無人で済ませることができる。
TTGは、JR高輪ゲートウェイ駅内に無人決済店舗のTOUCH TO GO 1号店を3月にオープンさせ、10月には外部導入店としてJR目白駅改札外のKINOKUNIYA Sutto(キノクニヤスット)目白駅店をオープンさせてきた。
また、TTGはファミリーマートと業務提携し、2021年春にファミリーマートへの導入1号店をオープンする予定となっている。阿久津智紀・TTG社長は「導入の標準化とかコストダウンを図っている。精度を上げつつだが、コストを下げて導入をもっと簡単にしていく」と語る。ファミリーマートでは基本的に既存店に導入し、省人化を図っていくという。
券売機の弱点をカバーする仕様
今回のTTG-MONSTARの取り組みは、これまで同社が展開してきた店舗の「無人決済システムのレジ部分だけを取り出したようなもの」(阿久津社長)だという。
TTGが無人決済システムの開発で培った非対面決済の技術を活用して開発。新型コロナウイルスの広まりによって関心が高まった非対面、あるいは運営する店舗としては省人化に対応できるとしている。ターゲットは飲食店、物販店の他、サービス業などとなる
無人でのオーダー、決済といえば従来から「券売機」があり、多数活用されているが、TTG-MONSTARはその弱点をカバーするように開発した。
「券売機は1台200万円ぐらいかかり、さらにメニューの改変が大変、またウェブにつながらないというデメリットがあるが、それを改修したシステム」(阿久津社長)
提供は初期費用なし、サブスクリプション(定額サービス)による方式で、システム利用料は1台月額3万5000円から。モバイルオーダーを利用する場合は別途費用がかかるが、初期費用がかからずに、大きな費用をかけずに導入できることを強みとしたい意向だ。
「飲食店のテイクアウト部分だけで導入していただくことも可能。無線で決済等ができるので、イベントの物販だとか、外でも手軽に使っていただける」(阿久津社長)
端末はウィンドウズのパソコンと同じでウェブにもつながっているため、メニュー更新も容易。メニュー更新はインターネット回線を通して行う。「朝、昼、夜でメニューを変えることもできる。これは券売機ではできない」(阿久津社長)
さらに券売機ではセットを購入する場合、1つずつ個別に購入する必要があるケースが多いが、TTG-MONSTARの場合、注文時に複数の階層ごとに選択できる機能を付加している。その機能を生かし、実験ではセットを購入する途中にお薦め商品を提案するなどすることで、客単価が2割程度上がった事例もあるという。
また、現在、飲食店でも導入が進むタブレット端末によるオーダーシステムがあるが、TTG-MONSTARでは決済までできることが強みとなる。
お客自身のスマホなどを活用した決済については、お客がアプリをダウンロードして、クレジットカードなどを登録してといった事前作業があるため動線が長いというデメリットがある。「駅で商売するには一見さんを相手にしなければいけないので、クレジットカードや交通系電子マネーで手軽に決済していただく仕様にしている」(阿久津社長)
決済は、現在のところ交通系電子マネーとクレジットカードが使えるが、2021年1月めどで現金の釣銭機も導入する他、以後順次QRコード決済などにも対応していく予定。ちなみに無人決済店舗1号店の高輪ゲートウェイの店では8割が交通系電子マネー、2割がクレジットカードといった状況だという。
池袋の実験ではほぼ半数が利用
今回、ハンバーガーショップのR・ベッカーズ田町店に導入したJR東日本フーズの外食事業本部ベックス・ベッカーズ営業部部長ベッカーズグループリーダー兼営業開発部成長戦略室の森 大祐氏は、「売上げが減ってきて、さらなるスモールマーケットにさらされている店が出てきている。そうした店で使えるシステムを何とか開発しようとしている」と言う。
ベッカーズの場合、飲料を作る人が必要のため、必ず1人はレジに配置しなければならいが、これが繁忙期には2人態勢となる。TTG-MONSTARを導入することで、この2人目が必要なくなるという。
JR東日本フーズは、今回のTTG-MONSTARと機器は異なるものの、池袋駅の店でも無人オーダー決済端末の実験をしているが、無人オーダー決済端末の利用率はおよそ半数に上り、2台あるレジのうち1台がほぼ不要になった。そのため、田町店には現状2台のレジがあるが、1台はほぼ不要になるとみている。
現在のところ、JR東日本フーズとしては、停電など緊急事態のときのために完全にレジをなくすということは考えていないというが、TTGの阿久津社長が目指す「海外のようにタッチパネルが並んでいて、商品は受け取るだけの世界」の実現に着実に近づいている。
今回のプロジェクトは、もともとレジを介さない受注を追求することから始まり、モバイルオーダーのプラットフォームを提供するShowcase Gig(ショーケース・ギグ)とも連携して進めてきた。それもあって同社のモバイルオーダー機能も実装できる。
また、データ分析上も、端末がウェブとつながっていてデータがリアルタイムで吸い上げられるため、常にリアルタイムでの分析ができることも強みだ。