ヨークベニマル今泉店の小型店戦略を体験&分析

2021.03.18

城取フードサービス研究所代表 城取博幸

ヨークベニマルが小型店をオープンした。営業時間は9時30分~21時30分、駐車場台数50台の小型店だ。売場面積は389坪。既存のヨークベニマル泉が丘店からは車で8分、徒歩30分の距離だ。「小型店は採算が合わない」と言われているが、あえて小型店の出店に踏み切った背景とその根拠はどこにあるのか実際に店を視察してみた。

小型店を出店する3つの理由

①消費者の変化

高齢化、人口減、過疎化により、遠くの店へ車で行かなくても近くの店で買物を済ませる傾向が見られる。特にコロナ禍においては買い回りが減っている。過疎地域においてもそれほど大型店は必要なくなった。店があるだけでありがたいという地域もある。

②外的環境の変化

大型店に必要な3000坪、5000坪の土地が確保できなくなった。土地を探して出店を待つより、2000坪以内の土地であればまだ容易に出店することができる。ライフラインであれば300坪ほどでも生活に不自由しないだけの品揃えができる。

③採算が見込める

かつて売場面積は拡大を続け、450坪、600坪へとシフトしていったが、消費者の変化、環境の変化により300坪の店で利益が出るフォーマットを各社模索している。一番の課題は「ローコストオペレーション」。

生鮮部門の作業改善はインストア作業を削減し、アウトパック比重を高める。AI(人工知能)、IT、機械化による作業の削減、店内の組織変更などによってローコストも可能になってきている。

今泉店のレイアウト、品揃えの特徴

今泉店の389坪の売場レイアウトは、大きな正方形と小さな正方形をつなぎ合わせたような形だ。店を見ると4つにゾーニングされている。

入口から壁面沿いに進めば、インストアベーカリー、米飯、寿司の焼きたて、作りたてゾーン。インストアベーカリーは店の入口であるだけに、商品を山積みしてボリーム感を出している。

壁面に沿って寿司、弁当売場。揚げ物、冷惣菜は平台で展開している。惣菜売場近くにはサラダとカットフルーツをまとめた即食コーナーを設置。カウンターのイートインコーナーも設置されている。

入口から右方向に進めば、果物、野菜、和日配、鮮魚、精肉による「生鮮ゾーン」「加工食品ゾーン」。四角い売場であるため360°見渡せば生鮮食品と冷蔵の加工品が見渡せる。

バックヤードもガラス張りであるため、まるで生鮮市場にいるような雰囲気である。鮮魚売場の平台には冷蔵のミールキット、その隣には精肉のマリネーションが並びミールソリーションの提案も行っている。

右側部分の小さな四角は、洋日配と飲料類、冷凍食品を集めた「ウエット加工品ゾーン」。

飲料は紙パックとペットを一緒に陳列している。牛乳と豆乳などのオルタナティブ飲料に比率は1対2であった。1900㎝のハイゴンドラを使っているためℓサイズの商品も中段に陳列できている。

冷凍食品の売場も十分確保し、地元の冷凍ギョーザ3社の商品を縦割りで陳列している。最後はホールセールパンと和洋生菓子コーナーを通りレジへと向かう。

店の中央部分はドライグロサリーゾーン。ハイゴンドラを使っているが中通路を1200㎝は取っているため高さはあまり感じないし圧迫感もない。ケース最上段にストックスペースを確保しているため、バックヤードの在庫スペースも減らすことができる。ちなみにこの店の入口は1つのワンウエーコントロールだ。

オープンから1カ月ほど経過しているが、鮮度よく定番売場を管理し、生鮮食品だけでなく、日配のデザートやパン売場に値引きシールがあまり見られなかった。

鮮魚の切り身を見ると安く売られていた。最初から高い値入れを入れるより、低値入れで最初から安く売って売り切る方針だ。

日配も適正在庫を維持しながら、入、出、残がうまくいっているように見える。

また、個店対応の品揃えも随所に見られる。小型店は大型店の縮小コピーになりがちであるが、どうもこの店は地域に合わせて個店で商品を選択して仕入れているようだ。

プライベートブランド(PB)商品のセブンプレミアムも数多く導入されている。知名度があり利益の取れる商品を販売すれば、ナショナルブランド商品を安く売ることができる。

「ドーナツアラカルト(4コ)」398円(本体価格、以下同)、入口の平台に大陳されていたドーナツ。チョコがけが3種類とオールドファッション1個と人気のアイテムを盛り合わせた。冷凍を解凍した商品をパックに詰めてリボンをかけた
「皮むき果実」(198円)。カットフルーツコーナーの商品。イスラエル産グレープフルーツ(ルビー、ホワイト)、オーストラリア産オレンジは、薄皮が剥がされていて食べやすい。糖度も高い
「太麺ケチャップナポリタン」(298円)。電子レンジ加熱用のライフフーズの商品。3月8日に購入したが、消費期限3月10日と長め。昔ながらの日本風ケチャップナポリタンの味
「ソースヒレかつ丼」(420円)。会津名物のソースカツ丼。ヒレカツはとても柔らかい。ソースは色の割には味が濃くなく食べやすい。ご飯もおいしい
「おむすびセット」(298円)。「いなほ屋」ブランドの赤飯と白おにぎりのおむすびセット。かつてはいなほ屋のおこわ、赤飯の弁当がもう少し品揃えされていたが今泉店では2アイテムの展開。赤飯は少し柔らかめ
「【健】生寿司 藤」(650円)。10カン。平日であるため値頃の握り寿司を品揃え。惣菜の寿司は差別化しにくいが、ライフフーズの寿司飯は米と酢のバランスがよくおいしい
「【健】もっちり皮の肉餃子」(158円)。宇都宮はギョーザで有名な地域。それだけギョーザが食べられているということ。ランチ用として4個158円は買いやすい。皮はもちっとしている
「日替り惣菜」(栃木限定いもフライ)(260円)。小芋(ジャガ芋)に串を刺し、パン粉を付けて揚げたもの。上からソースがかかっている。商品名は「日替り惣菜」となっている
「かぼちゃのあずきがけ」(198円)。カボチャ煮の上に小豆あんをかけた東北、北海道地方の郷土料理。小豆とカボチャを煮込んだ「いとこ煮」も有名。カボチャはあんをかけなくても甘味がしっかりある
「刺身盛合せ(本まぐろ入)」(680円)。本マグロとカンパチかハマチの2点盛り。本マグロであるが部位は脂の乗った「大とろ」に近いもの
「セブンプレミアム鉄板焼でジューシーな大豆ミートと牛肉のハンバーグデミグラスソース」(298円)。原材料表示は玉ネギ、牛肉、牛脂、デミグラスソース、植物性たん白の順だが、あえて品名の頭に「大豆ミート」と表示している。大豆ミートを使うことでふっくらで柔らかい食感を生んでいる
「セブンプレミアム鉄板焼でジューシーな大豆ミートと牛肉のハンバーグトマトチーズソース」(298円)。トマトソースの中に、バター、チーズフード、プロセスチーズなどが入っている。大豆ミートを使うことで1個185gのボリュームを実現
「Shine&Shine」(巨峰・アロエ、グレープフルーツ)(250㎖各298円)。世界のフルーツを絞った香港発のジュース。独自の低温殺菌後、急速冷蔵、4℃以下で日本に輸送しているとある
「関東・栃木レモン」(98円)。レモン果汁は入っていないがレモンのフレーバーがする乳飲料。戦後から学校給食で飲まれていたので古くからのファンがいそうだ。一度なくなったが多くの声が上がり復活。栃木の郷土飲料

ローコストオペレーションの実現度

まず、人員配置はどうか。プレスリリースを見ると、正社員7人(ライフフーズ除く)、地元採用者93人、合計100人の計画である。正社員7人をどう割り振るかが問題だ。ライフフーズの惣菜、ベーカリーの人員は除くが、生鮮にはある程度の人員が必要であることから、グロサリーなどを中心に兼務態勢が敷かれているものと思われる。

AI、IT、機械化への対応として、AIを活用した自動発注、電子棚札の導入などが進めばさらにローコストオペレーションが加速しそうだ。レジは現状でも対面レジ2台、セルレジ6台というローコストの構成だが、今後、お客自身がスキャンするシステムやカートなどの導入によって、さらに踏み込んだローコスト化が可能となるかもしれない。

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