米国ウォルマートがスーパーセンター事業に「チーム重視」の新しい組織運営モデルを導入

2020.09.19

更新:2020.09.30

イメージ写真。画像はウォルマート提供

米国ウォルマートは、9月17日、スーパーセンター事業に新しい組織運営モデルを導入すると発表した。サムズクラブ事業やネイバーフッドマーケット事業で成果を挙げたものと同様のもので、いつでも、どこでもお客に対応するための柔軟性を得るために、新しい役割、スキルの訓練について投資をしていくとしている。それによって従業員はキャリアや昇給の余地を広げることができるという。

具体的には、まず、複数の訓練を受け、自分たちが管轄する売場の在庫から陳列の基準まで、一連の仕事に対する責任を持った従業員たちによる小さなチームを編成する。それによって各人がよりスキルを増加させられると同時に、休みが取りたかったり、忙しい中、手助けを必要としている同僚を助けることができるようになるとしている。

たとえば、生鮮食品の準備をする従業員が、価格や売場の基準を維持する訓練も受けるようになることで、彼らはより多くのスキルを身に付けることができる。それは当然、お客を手助けすると同時に彼ら自身のキャリアを成長させることにもつながるということになる。

この新しいチーム制を推進するために、スーパーセンター事業に将来に焦点を当てた新しいリーダーシップの役割を導入する。それは給与や労働時間にもかかわるものだ。

新しい役割は次の通り

●ストア・リード(以前はコ・マネジャー)

コ・マネジャーは「広範な売場に対して責任を持つ役割」であったのに対し、ストア・リードは「店長見習いのような形で、店長不在時には店舗全体に責任を持つ役割」となる。

●コーチ(以前はアシスタント・ストアマネジャー)

アシスタント・ストアマネジャーは「特定の売場の商品計画に責任を持つ役割」であったのに対し、コーチは「より広範な売場の資金、商品、人員に責任を持つ人材」となる。

●チーム・リード(以前はデパートメントマネジャー)

デパートメントマネジャーの役割が「担当する売場の売価変更などを完結させたり、売場づくりを定める」であったのに対し、チーム・リードは「チームの従業員をリードし、チームの優先事項や目標を定める。チームの仕事の代表者」となる。

出所:プレスキット

特に注目すべきは「チーム・リード」の役割だという。彼らは仕事を完結させることよりもむしろ、チームの人々をリードし、成長させることに重点が置かれる。それによって、彼らにリーダーシップとの直接的なつながりを与えることを目指す。

このチームアプローチを実験したところ、従業員はお互いに助け合いながら同じ目標を共有して働くチームの一員として、結び付きを強め、友情が生まれる状態になったという。

今回の変更に際して、彼らが望む限り、全ての従業員はウォルマートで働き続けることができる。新しい役割に選定されなかった従業員であっても、少なくとも2021年10月までは同じ給与と同様のポジションが維持される。

高度なスキルを前提としているため、ウォルマートとしては、将来の給与の上昇に対する投資をしているとしている。たとえば、スーパーセンターの「チーム・リード」の時給は18~20ドルでスタートし、30ドルまで上がる可能性がある。

ベーカリーのチーム・リードの組織例

また、ピックアップや配送といったお客の選択肢を増やす分野の業務は今後、増加し続けるが、それらに投資をしていく上でも、今回の新しい組織はこれら業務の給与、キャリアアップについても可能性を増やすものであるとしている。

新型コロナウイルスによって、改めて必需品を取り扱う小売業に対して重要性が再認識され、世界的に売上げの高まりがみられた。ウォルマートは従業員に対するボーナスや昇給によって従業員の働きに応えているが、今回の新組織のポイントは「チームの重視」と「スキルの増加」に焦点が当てられていることに注目だ。

業務の完結も重要だが、それだけでなくチームの結び付きを重視することでチーム各人の成長を促し、さらに各人のスキルを増やすことでお互いのカバー範囲を広げるといった取り組みからは、パフォーマンスを高めるのと同時に、リアル店舗だけでなく、配送、店舗ピックアップといった形で増え続けるお客への選択肢提供をよりスムーズに実践するという狙いが感じられる。

デジタル技術などがもたらす「新たな小売業の形」には、それに見合った「新たな組織運営」が必要になるということだろう。

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