連載:
改めて考えたい「よく使っている言葉」の定義

第1回「マーチャンダイジング(MD)」

2022.04.12

2020.09.23

小売企業で働くビジネスマンはメーカーで働くビジネスマンより言葉を曖昧に使う人が多い気がします。

そんな中、「マーチャンダイジング」という言葉を小売企業ではよく聞くのですが、得体の知れない言葉です。使う人によって意味が違う言葉の代表格だと思います。今回はこのマーチャンダイジング(MD)について定義し、考察していこうと思います。

マーチャンダイジングの定義をしてコミュニケーションを円滑に

小売企業の人とコミュニケーションしていると、「わが社のMD(マーチャンダイジング)は…」という表現が出てきます。そのときの意味はほとんどの場合、「品揃え」の意味です。

その他に「商品部の仕事」「商品計画」「仕入計画=仕入実務の上位概念」「商品の組み合せ」「商品部の上司役」などいろいろな意味があり、微妙に違ってきます。また、何となくマーチャンダイジングという言葉を使っている人が多数いるのも事実です。

最近では消費材メーカーの人も「わが社のMDは…」と言い始めているので、気をつけてコミュニケーションしなくてはいけないなと思っています。

この語源はマーチャンダイズ(Merchandise)=商いにingをつけてマーチャンダイジング(Merchandising)­­=商いをすることとなります。マーチャント (Merchant)=商人という言葉からも、小売業独特の言葉であることが分かります。

私の現在のマーチャンダイジングの定義は「小売企業のマーケティング目標を実現するために、品揃え、展開時期、展開場所、提供価格、提供数量、売場づくりツールの6つの要素をマネジメントすること」です。

すると、マーケティングの定義が必要になります。「自社の事業領域、ライバル、顧客を分析し、競争優位、顧客満足獲得のための提供価値をつくり続けること」と定義、また、マネジメントとは「予算達成に十分な問題を明確にし、その問題を解消するための計画を立案、計画を実行するに当たり、実行を阻害する問題を解消すること」と定義します。

マーチャンダイジングの6要素をマネジメントする

従って、マーチャンダイジングは以下の6つの要素をマネジメントすることとなります。

①品揃え

「品揃え」とは売場に陳列するアイテムの種類です。そのアイテムはどんな商品規格がよいのか、品質、容量、形、包装形態や仕入先、仕入形態などをマネジメントします。

また、所属する分類の中でのアイテムのバランス、主力品、品揃え品、比較購買品などの位置づけや定番、特売、スポットなどの売り方をマネジメントします。

②展開時期

品揃えすると計画したアイテムの導入、育成、継続、終了の時期をいいます。週別、店別に顧客が買いやすいと思える、また常に競争優位立てるタイミングで導入、継続、終了をマネジメントします。

また、地域のイベント、旬などに最適なタイミングで商品導入、終了をマネジメントします。

③展開場所

品揃えすると計画したアイテムの展開店舗、売場の陳列場所をいいます。顧客が買いやすい売場をつくるため、売場の棚割りをマネジメントします。売場分類ごとに主力品と「一丁目一番地売場」の関係、陳列数量と販売数量との関係、売り方と陳列位置の関係、フェースバランス、「仕入先分類」ではなく「買いやすい売場分類」、新カテゴリー売場開発をマネジメントします。

④提供価格

品揃えすると計画したアイテムの販売価格です。そのアイテムの価値に合致し、競争優位に立つ販売価格設定をマネジメントします。また、売場分類ごとの中心価格ライン、スタート価格ライン、終了価格ラインをマネジメントし、顧客が比較購買しやすい売場づくりをマネジメントします。

⑤提供数量

品揃えをすると計画したアイテムの仕入計画数量、値入計画数量、販売計画数量、売場計画数量、発注数量、製造数量、陳列数量、販売数量、在庫数量、ロス数量をマネジメントします。顧客が買いやすく、競争優位に立てる売場を実現するため、売場分類ごとにアイテム数バランス、フェーシング数バランス、価格ライン数バランスをマネジメントします。

⑥売場づくりツール

品揃えすると計画したアイテムの視認性を高くするためのツールです。プライスカード、POP、ショーカード、メーカー提供販促ツール、仕切り板など売場づくりの道具やその使い方をマネジメントします。特に、顧客の視認性を高めるために「売場の統一感」をマネジメントします。

マーチャンダイジング活動は、これらの要素を商品部、店舗が切磋琢磨して売場のレベルを上げていくことになります。

注)消費材メーカー:小売業へ消費者が直接使用する製品を販売しているメーカー、生産材メーカー:メーカーへ製品の素材、部品などを販売しているメーカー

お役立ち資料データ

  • 顧客を知り尽くした究極の1to1マーケティングとは

    今の時代消費者は”個人”を中心に動いています。 コロナを経て、「ニューノーマル」といわれる現在、日常生活におけるオンライン時間は急激に増えています。多くの製品をインターネットで見つけることができ、購買に至るまでの検討期間が長くなっています。さらに簡単には店舗来店がなく、直接接客も難しくなっています。個人の行動をリアルタイムに把握しなければ、本当に顧客が「欲しい」と願ったタイミングを捉えることは難しいのではないでしょうか。 では、どうすれば企業は顧客が「欲しい」と願ったタイミングを捉え、コミュニケーションを図ることができるのでしょうか? 本資料では、どのようにお客様の行動を理解し、オンラインとオ…

  • 小売業が顧客体験戦略を進化させるための4つのテーマとは?

    新型コロナウイルスの拡大により、ブランドや小売業者が急ぎ導入した短期的なソリューションは、ショッピング体験に大きな影響をあたえています。結果として、消費者はこれまでにないほど多数のチャネルと選択肢を持ち、小売業者に対して高い期待を抱くようになりました。 Salesforceでは、高まる消費者の期待と小売業界の置かれた現状を分析。世界1,600人の消費者と、1,000人以上の小売業界幹部に調査を実施した結果、以下のことが明らかになりました。 ●顧客対応に関する消費者の期待は増々上がっている ●ブランドを差別化するための新たなポイントはロイヤルティ ●ブランドや小売業者は、顧客体験戦略を進化させつ…

  • Googleマップ対策で集客向上!有名企業8社の成功事例集!

    【PR】株式会社カンリー 「PRONTO」「パリミキ」「てもみん」など、飲食・小売・サービス業における有名店舗も実施!Googleマップの店舗情報を一括管理することで、店舗集客の向上や業務効率化に繋がった事例を8社分ご紹介。 「Canly(カンリー)」は2万店舗以上でご利用いただいている、Googleマップ・SNS・HPの一括管理サービスです。複数店舗を運営する企業様に集客向上・業務効率化を目的としてご活用いただいています。本資料では、Canlyを活用し成果の出た企業様の事例をご紹介します。 ▶︎掲載している企業 【飲食業】 ・ニラックス様(すかいらーくグループで70店舗運営) …