インタビュー
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「昭和の良き時代のイメージの店」を未来の技術で実現する―ボランタリーチェーンの次なる進化 全日本食品 平野 実社長
設備投資が一巡し、「店舗に還元できる」時代に 地域のスーパーマーケット(SM)、あるいは個人商店の経営者による小売主宰の共同仕入機構、ボランタリーチェーンである全日本食品株式会社(前身は東京フード株式会社)は1962年に誕生した。実に64年前のことである。当時、次第に勢力を拡大しつつあった大手小売業に対抗するために中小の小売店が結束し、26人の志を持った者が集まったという。 「加盟店」「協同組合」「全日本食品」が「三者対等な関係」で協力し合いながら地域商業の発展に貢献してきた。現在、北海道から沖縄まで全国を網羅するナショナルチェーン、また、日本最大級のボランタリーチェーンとしておよそ160…
2026.01.19
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流通業の「ムダ・ムラ・ムリ」をなくし、安さと便利さ、そしておいしさを提供する トライアルホールディングス 永田洋幸代表取締役社長
西友を加えたリテールメディアに大きな可能性 2025年の小売業界に最も大きなインパクトを与えたと言っても過言ではないのが、トライアルグループによる西友買収だ。傘下の事業会社を通じて九州を地盤に全国的にディスカウントストアを展開するトライアルホールディングスが、投資会社であるKKRとウォルマートから西友の株式を取得し、完全子会社化した。24年12月期で4835億円の年商規模を持つ西友を子会社化することで、26年6月期の連結売上高は1兆3225億円を見込むなど、小売業界での存在感は一気に高まった。 店舗網の補完性の面でも大きな注目が集まる。西友は関東、中部、関西、東北に店舗を展開するものの圧倒…
2025.12.19
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GMSに加えてSMを磨き込み、「地域に必要とされる」存在に イズミ 町田繁樹社長
ランサムウェア感染からの1年半 広島県を地盤に中四国、そして九州を深耕し、西日本の一大小売勢力として長年に渡って存在感を高めてきたイズミ。日本の小売業界の成長をけん引した総合スーパー(GMS)を手がけながら、主力フォーマットの「ゆめタウン」を次第に大型のリージョナルショッピングセンター(RSC)へと進化させ、多数の繁盛店を誕生させてきた。21世紀に入り、衣住の売上不振によって収益力が低下してきたGMSの中にあっても、テナント収入を含めた形の高収益のビジネスモデルを築き、高い営業利益率の水準を維持してきたことも大きな特徴となっている。 業界再編の中にあっても、商品力強化の側面でセブン&…
2025.12.01
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お客さまの願いを叶えるために「変わり続ける」ことを楽しむ ひとまいる社長 前垣内洋行
配達の独自性と強みを前面に出す事業再編 「なんでも酒やカクヤス」を展開する業務用酒販店のカクヤスを主力事業とする持ち株会社のカクヤスグループは創業104年目を迎えた今年7月、大きな事業再編を実施した。業務用だけでなく家庭用も含めた酒販事業で成長してきた一方で、その過程で築き上げた物流機能も生かした形での新たな事業モデルを追求するためである。 もっとも、同社は1990年代~2000年代にかけてはバブル崩壊による価格競争や酒類小売免許の緩和による競争激化、また、直近では2020年から新型コロナウイルスの影響など、事業を取り巻く環境が変化する中、都度戦略、あるいは事業そのものの形を変えながら成長…
2025.11.04
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「おいしい感動体験」ができるコンテンツを創る ウジエスーパー 氏家良太郎社長
最南端の美田園店で「コンテンツ」を実験 ウジエスーパーは宮城県北部を地盤とするローカルチェーンのスーパーマーケット(SM)企業だ。創業は戦後間もない1947年にまでさかのぼる。この間、80年弱に渡って店舗網をじわじわ拡大してきた。現在では32店の業容となっている。昨今では「価値訴求型スーパー」を目指すビジョンを掲げ、独自性のあるフォーマットの構築を目指すなど、「地域SMとしての成長戦略」を模索している。 創業家出身で2024年に3代目の社長に就任した氏家良太郎(うじえ・りょうたろう)社長に今後の方針を聞いた。 2025年2月期実績の年商は407億円。利益を含め、トレンドとしてはどうなのだ…
2025.10.14
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「ロフトだからこそ、可能性が広がる」 ロフト 安藤公基社長
大型店の時代から300坪の標準店が主力の時代に 黄色のモチーフで統一された売場にさまざまな雑貨が並ぶ専門店「ロフト」。ロフトはいまから40年近く前の1987年、西武百貨店渋谷店の別館に設けられた「ロフト館(現・渋谷ロフト」として誕生した。当時、新しい生活雑貨の専門大店を構築すべくプロジェクトがスタート、既存の百貨店の趣味雑貨売場を超えたコンセプトを模索したメンバーの中に、現在、社長としてロフトを率いる安藤公基(あんどう・こうき)氏もいた。 「どんなコンセプトにしようかと朝から晩まで他店を偵察し途方に暮れ」(同氏)ながらも、「機能用途一辺倒の売場ではない、トレンド発信を意識した編集型の売場」…
2025.10.08
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食品を提供するプライドを持ち、立派な市民たれ いなげや 本杉吉員社長
「消費の二極化」の実態を見極め、上と下双方で対応 いなげやは東京都西部を地盤とするリージョナルチェーンのスーパーマーケット(SM)企業だ。同社は20年以上の長きに渡ってイオンの資本提携を受けていたが、イオンによる株式公開買付(TOB)を経て2023年11月にイオンの子会社となり、その後、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)との株式交換を経て24年11月、マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東と並ぶU.S.M.Hの完全子会社、グループの一員となった。 首都圏SM連合のU.S.M.Hとしては、年商1兆円を視野に入れた大きな一手となったが、いなげやとしても同社の歴史…
2025.08.25
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「10年後の東急ストア」に向け、続々と施策打つ 東急ストア 大堀左千夫社長
高級フォーマット「プレッセ」をリブランディング 東急ストアは1956年に創業された日本有数のスーパーマーケット(SM)企業である。長らく「東光ストア」として親しまれ、その間、東京急行電鉄の関連会社化、「東急ストア」への商号変更を経ながら東京都、神奈川県を中心とした首都圏の電鉄系SMの一角として存在感を放ってきた。 2008年に東京急行電鉄の完全子会社となったが、その後も親会社の沿線にとどまらずに首都圏でのSM企業として小型店を含むマルチフォーマットを展開しながら着実な成長を続ける他、広く小売事業としてコンビニエンスストア、ドラッグストア、駅売店など多業態の展開を図っている。25年2月末現在…
2025.08.05
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SPA構築、まずは「店舗」の課題解決から トップバリュコレクション㈱ 大迫博文社長
イオンの衣料の中で、TVCはベーシックを担う トップバリュコレクション㈱(TVC)はイオンリテール㈱100%子会社の衣料品の製造小売業(SPA)として、2010年に設立された。その後、社名のブランドの衣料品専門店としてイオンリテール㈱店舗を中心に展開をしてきた。その意味では「トップバリュ」を冠するものの、イオンのプライベートブランド(PB)商品のトップバリュとは一線を画した存在として、商品開発から売場運営まで、一気通貫で手がけてきた。 2024年3月にはイオンリテール㈱のカジュアル部門が移管されるなど、グループの衣料品の再編も行われている。移管に伴って店舗数は移管前の82店から289店に拡…
2025.08.01
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「八ヶ岳のビックリ箱」はこうして生まれた ひまわり市場 那波秀和社長
大手企業との真逆を行く商売に転換し、やり切る ひまわり市場は、八ヶ岳の山麓に、決して広いとは言えない面積のスーパーマーケット(SM)を1店のみ展開している。しかしながら、同店には全国から多数のお客、あるいは視察者が訪れる。 同店のコンセプトは「八ヶ岳のビックリ箱」。ひまわり市場の店舗に訪れると店内には各部門のこだわり商品があふれ、お客が楽しそうに買物をしている光景が広がる。一方で経営の視点でみれば、観光地であるとはいえ山梨県と長野県との県境に位置する山梨県北杜市で全国各地のこだわり商品、しかも日持ちのしない生鮮や惣菜、日配も含めて品揃えするのは、リスクを考えればかなり勇気のいる判断といえる…
2025.07.25
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「近所で生活費が節約できるお店」を磨き込む Genky DrugStores 藤永賢一社長
粗利率20%程度、坪当たり経費20万円で営業利益率4~5% ゲンキーは、福井県を地盤に岐阜県、石川県、愛知県、滋賀県に470店以上のドラッグストアを展開。今期、2025年6月期の年商で2000億円超えが想定されるリージョナルチェーンである。同社が特徴的なのは、商品構成グラフの左側、つまり低価格帯の強化を目指すコモディティ商品のディスカウントフォーマットを志向すると同時に、店舗の標準化を徹底しながらチェーンストアとして急速に多店化を図っていることだ。 小商圏で高シェアを狙うフォーマットは、生鮮、惣菜を含む食品がメイン商材となり、非食品も高価格帯の商品を取り扱わず、さらに医薬品についても薬剤師…
2025.06.03
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「『商売人』として、あくまで『かっこよく』」 八百鮮 市原敬久社長
大手と差別化するために「商売人」の原点に戻る 漆黒の画面に現れる「日本に、鮮度を。」の筆文字。大阪と兵庫、そして名古屋の人口密集地にスーパーマーケット(SM)を10店展開している八百鮮のホームページのトップ画面である。日常の食というベーシックな商材を取り扱うこともあって、明るく、やわらかい雰囲気のホームページがほとんどのSMとしては異例のホームページといえる。 店舗の担当者が市場から商品を仕入れ、販売するスタイルで生鮮食品主体の商売を実践しているが、一方で同社は小売業グループとして日本屈指の企業規模を誇るバローグループの一員でもある。2010年の創業は、老舗が多いスーパーマーケット(SM)…
2025.06.02
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EDLPと高質商品を両立できることが強み いちやまマート 三科雅嗣社長
EDLPの導入、強化で客数増と生産性向上 山梨県と長野県に15店のスーパーマーケット(SM)を展開するいちやまマート。地盤である山梨県にはそのうち13店を出店する山梨県をドミナントとするローカルチェーンだ。一方で、「健康」をコンセプトとし、一部異なるエリアの企業にも取り扱いを拡大するプライベートブランド(PB)の「美味安心」の開発を進めるなど、その売場づくり、商品づくりは特徴的で、ある種、店数以上の存在感を示している。創業家出身であり、かつては一般的なSMだった同社を現在の方向性に転換した三科雅嗣(みしな・まさし)社長の経営論に迫る。 「2024年の11月からEDLP(エブリデーロープライ…
2025.05.27
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「目指すのは地域密着ライフスタイル総合(創造)企業」 平和堂 平松正嗣社長
地域の活性化を目指し、「小売業」を超えた存在に 滋賀県にドミナントを築く一方で関西、北陸、東海にも店舗網を広げるリージョナルチェーン・平和堂。総合小売業主体の単体ベースでは滋賀県内には81店、2府7県で全165店の多様なフォーマットを展開し、フランチャイズを含む外食や専門店などを加えた平和堂グループ全体の店舗数は約400店に上る。2024年度(2025年2月期)は単体で営業収益は増収、営業・経常利益は減益を喫したものの、連結では増収増益を達成した。滋賀県内では約4割の小売りのシェアを持つとされる同社を率いる平松正嗣(ひらまつ・まさし)社長にこれからの小売業の姿、さらに成長戦略を聞く。 平和…
2025.04.30
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独自カラーのフォーマットで、一般的なスーパーとすみ分ける 神戸物産 沼田博和社長
タピオカブームで若年層にまで客層拡大、その後はずっと好調 「業務スーパー」を日本全国に1084店(2024年10月末現在)の他、惣菜店やレストランをフランチャイズチェーン(FC)展開する神戸物産。直近の24年10月期の決算は、売上高が前期比10%増の5078億8300万円、営業利益が同11.8%増の343億5000万円と絶好調だった。同期の売上高営業利益率は前期比0.1%ポイント改善の6.8%。 実際、ここのところ、メディアなどで「業務スーパー」の名前を見る機会は確実に増えているように思える。同社の特徴ある商品開発の考え方、さらにはあえてFC展開による店舗網の拡大にこだわる理由などについて…
2025.03.17







