値入れとは?意味と使用するシーン、計算方法と粗利との違いを解説
2023.01.04
2022.09.30
自社で小売業を営んでいる場合、利益に関する数値の把握が重要である。今回は値入れの意味や使用するシーン、値入れ率の計算方法を紹介していく。
値入れについて数値管理をする場合には、値入れ高と値入れ率の違い、値入れ率と粗利益率の違いについても、正しく把握しておきたいポイントである。値入れの意味や計算方法を理解して、自社の安定経営に役立てて欲しい。
値入れとは?読み方と意味、使用するシーンは?
小売業を営んでいるなら、売上などに関する数値管理が欠かせない。数値管理の方法を知っているつもりでも、いざ計算してみようとした場合に、計算式が出てこないことがあるかもしれない。だが、日々の店舗経営をする上で、売上に関する数値の計算方法はひととおりおさえておきたいものだ。
商品の価格には原価と売価がある。原価は商品の元値を指す。また、売価は商品を売る際の価格である。売価から原価を差し引き、手元に残るのが利益となる。利益を表す数値として用いられるのが、今回紹介する値入れや粗利である。
値入れは「ねいれ」と読む。商品を仕入れて販売する際などの販売管理の現場で、耳にしたことがある人も多いだろう。
値入れとは、商品の販売前に「売価を決定すること」である。つまり、仕入れた商品にいくらの利幅を加えるかを決めることだ。そして値入率とは、売価に占める利益の割合を指す。利益に直結する重要な数値だ。
値入れ率の計算方法
それでは実際に、値入れに関する値を計算してみよう。値入れ率は以下の数式で求められる。
値入れ率=(売価-原価)÷売価×100
売価と原価に具体的な金額を当てはめて計算してみよう。売価が100円、原価が60円のケースでは値入れ率はいくらになるだろうか。
売価100円-原価60円=40円
40円÷売価100円=0.4
0.4×100=40%
計算の結果、値入れ率は40%であることがわかった。
値入れ高と値入れ率の違い
続いては、値入れ高と値入れ率の違いについて解説していく。値入れという言葉を使用する際に、値入れ率とともに耳にすることがあるのが、値入れ高である。
よく似た言葉であるように感じられるが、両者はイコールではない。値入れ高と値入れ率を混同せず正確に使用することが、店舗経営で利益を出すためには必要だ。
値入れ高とは、売価と原価の差額のことを指す。つまり、売価から原価を差し引いた数値が値入れ高ということだ。以下のように計算できることを確認しておこう。
売価=原価+値入れ高
値入れ高=売価-原価
先ほどと同様、売価が100円、原価が60円のケースで値入れ高を計算してみよう。
売価100円-原価60円=40円
一方の値入れ率は、先ほども解説したとおり、売価に占める売価と原価の差額、すなわち売価に占める値入れ高の割合を指す。
値入れ率=値入れ高(売価-原価)÷売価×100
混同しないよう、上記の数式を覚えておこう。
値入れ率と粗利益率の違い
最後に、値入れ率と粗利益率の違いについても確認しておこう。
まず前提として、値入れ率と粗利益率の計算式は同じで、売価に占める売価と原価の差額の割合を求めるものになる。計算式が同じなら、値入れ率と粗利益率は同じものを指す数値なのでは?という疑問を持つ人もいるのではないだろうか。だが、このふたつはイコールではないので注意が必要だ。
値入れ率は、売価を設定した時点での売価のうちに占める利益の割合を指す。一方、粗利益率とは、売上高のうちに占める粗利益高の割合を指す。値入率は事前に使うもの、粗利益は結果を受けて算出されるものということだ。
手元にある商品を予定通りすべて売り切れれば、値入れ率と粗利益率はイコールとなる。だが多くの場合、売りきれずに値下げや廃棄を行うことになったり、管理ミスや万引きなどで在庫が足りなくなったりと、なんらかのロスが発生するのが一般的である。
つまり、粗利益率は期末などに棚卸作業を行い、ロス後に在庫が確定した状態での数値ということだ。数式で示すと、以下のようになる。
粗利益率=粗利益高÷売上高
粗利益高=売上高-売上原価
売上原価=期首原価棚卸高+期中原価仕入高-期末原価棚卸高
正確な粗利益率を算出するためには、正確な在庫管理、棚卸し作業が重要である。正確な数値管理のために、棚卸し作業の重要性についてもしっかり意識しておきたい。
また、目標とする粗利益に到達するためには、ロスが発生することを見込んで値入れ率を決めることが大切になってくる。値入れの際には、どの程度のロスが発生しそうかを考えて計算してみよう。
値入れの意味と計算方法を理解して、自社経営に役立てよう
小売業として利益を上げるには、日々の数値管理が欠かせない。値入れに関する数値の計算方法を理解して、正確な数値管理を行い、目標の達成につなげてほしい。適切な数値管理を実施することは、さらに高い目標を掲げて達成することにもつながる。現場の社員すべてに値入れや粗利の数値を共有し、自社のさらなる利益拡大に役立てよう。