タイパとは?意味やZ世代が重視する理由、特徴的な消費行動とは
2023.06.16

「タイパ」とはタイムパフォーマンスのこと。Z世代などや共働き世帯などに「タイパ」が意識されているという。例えば、何か他のことをしながら動画を見る「ながら見」や、倍速視聴など、タイパを重視した消費行動はさまざまだ。もしかしたら気が付かないうちにタイパを取り入れている人もいるかもしれない。
本記事では、タイパとはそもそもどのような意味で、重視されている背景や特徴的な消費行動などを紹介していく。
目次
タイパとは?
「タイパ」とは、タイムパフォーマンスの略称で、かけた時間に対してどのくらいの効果や、価値があったのかを指す時間対効果のことだ。
例えば、「動画のながら見」という行動は、動画を視聴しながら食器洗いをするなど、同じ時間で2つのことを行う。他にも倍速視聴では、半分の時間で動画を見られるので元の動画をそのまま見るよりも時間短縮になる。
このようにタイパは、時間を無駄にしないという考えだ。限られた時間の中で、自分が価値を感じることや優先したいことを選び、そこに時間を費やすために他のことにかける時間を短縮すること。もしくは、一定の時間でより多くの行動や、コンテンツを楽しむこともタイパを重視する行動だ。何にどう時間を使いたいかが根底にあるため、タイパが良いのか、悪いのかは人それぞれの感じ方によって変わってくると言える。
タイパとコスパの違い
一方で、「コスパ」という言葉がある。コスパは耳馴染みのある方も多いだろう。「コスパ」はコストパフォーマンスの略称で、費用対効果を意味する。かけたお金に対してどのくらいの価値、効果があったのかだ。
タイパとコスパは似ていると感じやすいが、時間に対してか、金銭に対してか、という対象の違いがある。スーパーをはしごし、合計金額を安く済ませることはコスパが良い。一方で、ミールキットを利用して買い物時間や献立を考える時間を省くことはタイパが良いと言える。
スぺパとは
タイパ、コスパに関連して「スぺパ」というワードを紹介しよう。「スぺパ」はスペースパフォーマンスの略称で、空間対効果のこと。限られた空間に対して、どのくらいの価値や満足度があるか、だ。面積の少ない家でも、うまく収納ができると「スぺパが良い」と表現される。
タイパが重視される背景

注目される「タイパ」
辞書や事典などを出版する「三省堂」の「辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2022』」では「タイパ」が大賞となった。
『今年の新語2022』とは、
”この2022年を代表する言葉(日本語)で、今後の辞書に採録されてもおかしくないもの”
(引用:三省堂「辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2022』」
辞書に採録されてもいいと思えるほど広まった言葉に「タイパ」が選ばれたということだ。
また、マーケティング&イノベーション専門メディアの「日経クロストレンド」が発表した「トレンドマップ 2022下半期」では、注目される消費トレンド分野の新キーワードの一つとして、「タイパ消費」が入っている。
情報過多の時代
「タイパ」を重視しているのはZ世代という見方がある。Z世代は、1990年代後半から2012年頃に生まれた世代のことだ。細かく定義づけされているわけではないが、11〜28歳くらいの、現在10代・20代の人たちだ。iPhoneが日本で最初に発売されたのは、2008年のこと。Z世代はスマートフォンの存在と一緒に育ってきた世代と言っても過言ではない。
Z世代だけでなく、30代以降の人もスマートフォンを持っている方は多くいる。スマートフォン一つで本当に様々な情報を得ることができ、なくてはならないと感じる人もいるのではないだろうか。Web上の検索だけでなく、TwitterやInstagramなど、SNSでの情報収集もでき、商品を使用した感想など、公式の情報だけでないリアルな口コミ情報も得やすい。また、スマートフォンのアプリは様々な種類があり、アプリを通して情報を得ることもできる。
その一方で、情報過多になっているのも事実だ。SNSやインターネットに溢れている様々な情報の中から自分で選択しなければならないが、情報を選択する時間は有限だ。限られた時間の中で、なるべく多くのコンテンツの消費や情報を得たいという思いに繋がり、効率的に時間を使う「タイパ」が重視されるのだろう。
足りない時間
現代は共働きの夫婦が多くなっている。「男女共同参画白書(概要版) 平成30年版」によると、昭和55年には614万世帯だった共働き世帯は、平成29年には1,188万世帯と増加し続けている。
共働きになると、夫婦2人も家を空ける時間が多くなり、家事に時間を割きにくい。食事一つとっても、「献立を考える→買い物に行く→買ってきたものを仕分け・しまう→調理→盛り付け→食べる→片付け」という一連の流れがある。時間のかかる家事をなるべくサービスや家電に頼りながら、時間を捻出していくことで、睡眠時間や余暇の時間など自分が優先したいことに時間を使えるようになる。
タイパにおける特徴的な消費行動やツール

エンタメ
エンタメの楽しみ方には、タイパを重視した行動が表れている。
倍速視聴・ショート動画の視聴
YouTubeなどの動画サイトで倍速設定をして視聴を行うことはタイパを重視する例の一つだ。また、音楽はサビや好きなところだけ聞くなど、コンテンツを要所要所で楽しむ人や、TikTokやYouTubeのショートなど、1分にも満たないような動画も視聴されている。コンテンツをより多く楽しむことができるのも倍速視聴やショート動画ならではの魅力と言える。
ながら見・好きな時間に視聴する
冒頭のタイパとは?でも説明したが、「ながら見」は動画を見ながら何か別のことをする行動だ。一定の時間に動画の視聴と家事など、2つの行動ができ、タイパが良いとされる。
また、どこでも好きなものを視聴できるサブスクの動画配信サービスも、タイパの良いサービスの一つだ。株式会社SHIBUYA109エンタテイメントによる、15〜24歳のZ世代を対象に実施した、「Z世代の映像コンテンツの楽しみ方に関する意識調査」では、「動画配信系サブスクの魅力はなんですか」の質問に対し「自分の好きな時間に視聴できる」の回答が50.3%と半数を占めた。
また、調査に回答した動画配信系サブスク登録者がタイパを重視する理由には「自分が価値を感じているコトに、時間を割きたいから」という理由が全体の49.3%であった。好きな時間に好きなものを見る、というのもサブスク動画配信サービスならではのタイパ重視な楽しみ方なのかもしれない。
出典:株式会社SHIBUYA109エンタテイメント 「Z世代の映像コンテンツの楽しみ方に関する意識調査」
家事
家事には時短というワードが以前から存在していたこともあり、タイパを重視できる商品やサービスがある。
ミールキット・冷凍食品
レシピや食材がセットになったミールキットは、献立を考えて買い物をするという手間を省いてくれる。また、栄養バランスの考えられた冷凍食品は、電子レンジで温めるだけで洗い物も不要なため、手軽に栄養を摂ることができる。食事の準備に時間を割けないが、きちんと栄養や健康を意識したいという方にはぴったりだ。
ネットスーパー
買い物に行く時間がない方にとってネットスーパーはありがたい仕組みだ。家や移動中などに、事前に欲しい商品を注文しておくことで自宅まで商品を届けてくれる。配達だけでなく、店頭でピックアップするサービスもあり、仕事帰りなどに取りに行くだけで済ませられ、店内で買い物をする時間の削減に繋がる。
時短家電
お掃除ロボットは、自分が家にいないときや他の家事をしている間に掃除をしてくれるので、掃除機をかける時間を短縮できる。また、食洗器も同様だ。家事を自動で行ってくれる商品はタイパを高めるために活躍する。
ビジネス
効率が求められることの多いビジネスにおいてもタイパを重視したサービスがある。
書籍要約サービス
「次の会議までに読んでおきたいけど間に合わなそう」、「どんな本なのか知りたい」という方が利用したくなるのが書籍を要約してくれるサービスだ。読むのに時間のかかる本でも短時間で情報を頭に入れられる。中には音声機能の付いたものもあり、移動中でも本の情報を得ることができる。
Web会議やウェビナー
今や当たり前となったWeb会議やウェビナーもタイパの良い参加の仕方だ。会場や職場に行かなくても会議やセミナーに参加でき、移動時間を削減できる。時間を効率的に使いたいと考える社会人にとって、場所を選ばず参加できるWeb会議やウェビナーはありがたい。
自分にとってのタイパを考える
注目されているタイパは、Z世代に限らず様々な世代で取り入れられている。無駄な時間を省くことをタイパと考える人もいれば、一度にたくさんのコンテンツを楽しむタイパもあり、限られた時間の中でどう情報を選択し、何に時間を使うのかは人によって異なる。自分は何に価値を感じるのかを考えることが、自分にとってタイパの良い過ごし方を知る近道になるのかもしれない。