「ニューノーマル」で変わるリアル店舗での新しい働き方とは?

2021.04.19

世界経済の根底を揺るがす新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、「ニューノーマル」という言葉が定着してきた。ここでは、リアル店舗におけるニューノーマルへの取り組みや対応、新しい働き方などを解説していく。

ニューノーマルの働き方とは?

新型コロナウイルスの感染拡大は深刻な事態となり、ビジネスも大きく変化した。人々はニューノーマルに向けて大きく舵を切ることを迫られている。それではいま、たびたびメディアにも取り上げられるニューノーマルとは何であろうか? 改めて考えてみたい。

ニューノーマルの概要

「ニューノーマル」という言葉自体は、いま初めて語られる言葉ではない。初めて語られたのは、本格的にネットが普及した2000年代の初頭であり、投資家のロジャー・マクナミー氏が用いた言葉とされる。

同氏はネット社会の到来によって、従来の経済論理やビジネスモデルが通用しなくなるだろうとの考えを示した。実際、私たちは水や電気、ガスと同じように新しいビジネスモデルやデジタル通信などを自分たちの生活や社会基盤として受け入れ、すぐに使用するようになって行った。

2回目にニューノーマルが語られたのは、08年に起きたリーマンショック後だ。このときは、エコノミストであるアメリカのモハメド・エラリアン氏の著書によってニューノーマルの概念が提唱された。

世界経済が回復しても以前と同じ社会には戻らないとするのがニューノーマルの概念であり、景気循環論では論じ得ない時代が来ることを予告した。以来、ニューノーマルは世界経済を語るキーワードの1つとなった。そして、3回目にニューノーマルが語られているのが、まさにいまである。

ニューノーマルの働き方がなぜいま求められるのか?

ニューノーマルの働き方が求められる理由の1つには、経済構造の変化が挙げられる。従来のビジネスモデルは人々が集まることが大前提であり、人が集まることでビジネスが成り立ち利益をもたらす格好となっていた。

しかしいまは、コロナ禍によって家にこもる経済(シャットインエコノミー)へと大きく変化している。人との接触が否応なく制限され、人が集まらない状況が新しい日常「新常態」となった。

そのために、3回目のニューノーマルの時代へと進まざるを得ず、ニューノーマルの働き方が必要となっているのだ。

加えて、18年6月に成立した働き方改革関連法が19年から施行され始めた影響も大きいだろう。雇用主は法律に合わせた対応を求められ、就業者側の意識もワークライフバランスなどを考慮した働き方へと大きく変わってきている。

リアル店舗に必要なニューノーマルの働き方とは?

新しい日常において、ニューノーマルの働き方はリアル店舗でも必要とされ求められている。それでは、ニューノーマルの働き方とはどのようなものであろうか?

コロナの感染拡大の際の緊急事態宣言を受ける形で、多くの企業が舵を切ったリモートワークは、ニューノーマルの働き方の1つである。リモートワーク推進に見られる業務のオンライン化やITツールなどを積極的に活用した働き方、店舗内の省人化、無人化などの非対面型の働き方などは、ニューノーマルの働き方といえるだろう。業種や職種、業態により差はあるが、これらはニューノーマルの働き方として常態化することが予想される。

新型コロナ禍で社会環境が大きく変わり、暮らし方も巣ごもりやステイホームと呼ばれる生活へと変化してきている。消費者の購買意識もニューノーマルの生活に関するものの購買検討へと変わってきている。

「密」を避けた新しいショッピングスタイルに呼応する対応としては、例えばEC(電子商取引)サイトで商品を購入し、リアル店舗で受け取るBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)の普及なども挙げられる。ネットショッピングの場合、配送費用や配送時間の制限など、実は何かと負担も大きい。密を避けながらこうした負担を減らす取り組みとして、BOPISに注目する企業は多い。

また、飲食店でのオンライン接客やモバイルオーダーの導入なども挙げられるだろう。買物代行やセルフ決済、ドライブスルーなどにも関心が高まっている。倉庫業務や食品配膳のロボット化、書類の電子化などは、以前から取り組みが進んでいたものではあるが、ある面ではニューノーマルへの取り組みといえなくもない。

ニューノーマルの働き方で導入されたシステムとそのメリット

新型コロナウイルスの登場によってニューノーマルの時代へ突入したことで、以前のような日常に回帰する可能性は低くなっているといえる。すべてのものが前には戻れない生き方を求められるだろう。リアル店舗ももちろん例外ではなく、以前のような体制やサービスではないものが求められる。

導入されたシステム

以前は、多数のお客へ広く一律なサービスを提供することで何らかのトレンドを生み出す成果を期待できた。だが、家にこもる経済、巣ごもり社会では求められたときに、各々1人1人のお客が求めるものを的確に提供することが必要となる。リアル店舗に導入されている主なシステムなどを見ていこう。

1. 自動温度測定システム

非接触でスピーディかつ正確に体温が測定できる。体温を検出し、温度をディスプレーに直接表示。異常時にライトの色と音声アラームで警告する。また、マスクを着用しているかどうかを自動で認識し、マスクを着用していない場合、音声でアラートを通知することなどもできる。

2. デジタル・アバター遠隔接客ソリューション

省スペース、限られたスペースでもお客とのコミュニケーションが可能な売場が成立する。その際、デジタルサイネージなどのデジタルデバイスに表示されるアバターを通してお客と遠隔対話でき、それらの結果を評価するAI(人工知能)を備えたサービス。

3. セルフレジとキャッシュレス決済

店内で買物をしながら、お客自身のスマホで商品のコードをスキャンする。セルフ運用なら最少人数での非対面、キャッシュレス決済が可能。また、対面セルフレジ、フルセルフレジ、セルフなどの運用にも変更できる。

4. BOPIS

「ボピス」と読み「Buy Online Pick-up In Store」の略。ECサイトで購入した商品を客自身が店舗で受け取ることができるシステム。

5. モバイルオーダーシステム

注文から決済までを事前にスマホで行い、店舗で商品を受け取ることができるシステム。

6. 倉庫業務・食品配膳などのロボット化

倉庫内で荷物の運搬作業や補充業務、ピッキング業務をするロボットの導入。また、飲食店や小売店、ホテルなどでの配膳、運搬などの際に、従業員のサポートを目的に開発されたロボットの導入。これらは倉庫の省人化、無人化や店舗の業務効率化、お客との接触削減の対応が期待できる。

7. 書類や資料のデジタル化

書類がデジタル化されることで情報が共有できるため、会社に出社しなくても業務が継続可能となる。その意味では、ペーパーレス化はリモートワーク導入に欠かせない条件の1つとなる。また、デジタル化された書類は会社内でスピーディに共有することができ、業務の効率化が期待できる。

システム導入による小売業界のメリット

ここでメリットとして挙げられることは、上記で紹介したシステムを導入することで、三密と接触を避け消費者と店舗従業員双方の感染対策ができることだ。自動温度測定システムの導入によって消費者に安全性も訴求できたり、デジタル・アバター接客の導入によって小規模・省力化店舗が運営されることで人手不足の解消や非対面の接客の実現が可能となったりする。

また、BOPISを導入することで、導入していない他のEC事業者との差別化が図れる。店舗受け取りでは当然消費者が店舗まで出向くため、物流コストと商品出荷などの工程が抑えられる。モバイルオーダーシステムの導入では、人員削減や作業効率の向上が期待できる。

ポストコロナ時代のニューノーマルの働き方とその課題

ニューノーマル時代には、BOPISやセルフレジ、モバイルオーダーなどの店舗のデジタル化が大きく役に立ったことは確かである。初期費用はかかるが、長期的にみれば従業員の作業負担を軽減できる他、最終的には人件費の削減にもつながる可能性がある。従業員の負担が軽くなることで接客の質が高くなり、顧客満足度も上昇することも期待できる。

お役立ち資料データ

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    企業活動において、非常に重要となる価格設定ですが、その原理原則についてポイントをまとめたのが本資料です。 ニューノーマルが求められる現在においても、基本的なことを改めて振り返っていただければと思います。 ①値入ミックスとは何か? ②活用しやすい業態、条件 ③具体シミュレーション方法  

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