フードスクエアカスミ八潮大曽根店が11月1日オープン、スタンダード「タイプA」の位置づけで、フォーマット再構築図る

2024.11.03

カスミは11月1日、埼玉県八潮市にフードスクエアカスミ八潮大曽根店をオープンした。

同店のオープンによってカスミとしては、埼玉県34店、茨城県108店、千葉県40店、栃木県7店、群馬県4店、東京都2店の合計195店となった。

アクセスは、首都高6号三郷線八潮南出口から車で約5分、つくばエクスプレス八潮駅から車で約10分といった位置にある。

近隣には50歳以上の単身、子育てが一段落した夫婦世帯が多く、次いで子ども1人の3人世帯が多い商圏となっている。また、持ち家比率が埼玉県全体よりも15%ポイント程度低い約51%といった商圏だという。

2km弱離れた八潮駅前には、同社でもトップランクの年商40億円超を誇るフードスクエア八潮駅前店があることから有望な立地。

八潮駅前店はショッピングセンターのフレスポ八潮の核店の位置づけだが、今回の八潮大曽根店は隣にホームセンターの島忠が展開するホームズ八潮店があり、一定の集積効果が見込めそうだ。

八潮駅前店が同社の平均を大きく超える売上げのある店ということで、カスミとしても長年、近隣への出店を模索していたこともある。

「フードスクエア」はカスミの地域一番店の位置づけとなる旗艦店フォーマットで、今回の八潮大曽根店、既存店の八潮駅前店は共に同じフォーマット名を冠した店となる。ただし、改装でアップデートしてきたものの、2006年オープンですでに18年が経過している八潮駅前店とは店作りの考え方は異なっている。

八潮大曽根店も商圏の一番店として、「食生活を豊かにする商品や、つながりを創出するサービス」を提供するが、今回は出店拡大を視野に入れたスタンダードタイプとしての「タイプA」の実験となるという。

同社は今年3月、千葉県茂原市にフードスクエアタイプの東茂原店をオープンした。こちらは周囲に既存店がある中での差別化を目指した店作りとするタイプBだった。順番が前後したが今回、タイプAがオープンすることで、この2タイプで「フードスクエア」の実験をしていくことになる。11月15日には東京・江戸川に江戸川区松江店がオープンするが、こちらもタイプAの実験店となる見込みだ。

タイプAの特徴は、同社の新フォーマットの「BLΛNDE(ブランデ)」で実験したマーチャンダイジング(MD)のうち、トレードオフなどをした上で水平展開可能と判断されたものを導入する一方で、既存店と比べ類似商品を絞り込んだ点にある。

八潮大曽根店の総SKU数は1万648。売場面積は574坪で、この面積であれば以前は1万3000など展開するケースもあったというから、かなり絞ったことになる。

特に絞り込んだのは比較購買されがちな加工食品などで、生鮮惣菜を含む生鮮、惣菜といった手をかける分野についてはそれなりに残し、そちらには人時もかける方向性となる。人時のかけ方にめりはりを付けつつ、全体としては減らすことで、水平展開をしやすくする。

フロアレイアウト図

SKU数、売上高構成比

「ドライグロサリーやデイリーといった加工食品は2割以上減らしている。1万SKUでもまだまだ多いのではないか。減らすことで、以前は毎日配送していたものが、いまは週2日休めるようになっているが、これが週に3日休むといった配送頻度で、安定したオペレーションで、品切れしない売場に変えざるを得ない」(塚田英明社長)

品揃えにおいてはデータも活用した。

「アプリで買物をされることで、どんな買われ方をしたのかがひも付けられるものもある。顧客データを見ると、日常的にも買われている商品とか、ある特定の方が頻繁に買われるなど、いろいろあることが分かる。その上でそれらを通常の店に入れ込んでみたりした上で、日常的に置いても良いものは置いてある」(塚田社長)

そのため、生鮮・惣菜についてはブランデも含めた最新のMDの要素が部分的に導入されている。ブランデ的な商品はおおむね1割程度だという。

鮮魚コーナーでは旬の魚の刺身、鮮度ある近海魚の対面販売の他、生のたねを使用した「魚河岸の鮨」コーナーを展開。また、骨取り魚や簡便商品としての熟成漬け魚など種類豊富に品揃えする。

ブランデでは鮮魚を強化したことで高い店では売上高構成比が30%に達するということで、今回のフードスクエアについても、鮮魚については戦略的に強化している
貝の刺身盛り合わせやサザエの刺身など、他社ではあまり見かけない商品もみられた
オープン日は平ケースで本マグロを多SKU、半額で展開
寿司は惣菜部門の助六寿司や握り寿司も含め、鮮魚売場で集合展開。
精肉は牛肉も含め、自社プロセスセンターからのアウト供給
生鮮食品ではところどころPOPでの情報提供が目立つ。栄養素の情報やメニュー提案などが記されている

惣菜コーナーでは店内製造の手づくりおにぎりや揚げ物、天ぷらなどでばら販売を実施。

また、惣菜では同じユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス傘下のマルエツの草加市の「草加デリカセンター」からの商品も全店に入り始めた。冷蔵の商品の他、店内加工の唐揚げや豚カツの原料をカスミの仕様で納品している。

草加デリカセンター製造の冷蔵の商品についてはマルエツと同じブランドで展開
揚げ物の一部は原料を草加デリカセンターでカスミ仕様で製造の上、納品

青果コーナーでは旬の野菜や果物の他、カット野菜、カットフルーツ、さらにフル-ツタルト、店内加工のサラダなど加工度を高めた商品を豊富に展開する。

ブランデでは定番となっている青果売場先頭の作業場を中に持つケースを導入。売場の顔として重視している
中で製造することでシズル感を訴求
カットフルーツにとどまらず、タルトなどスイーツも製造、展開

インストアベーカリーのDELY BREADでは店内で焼き上げるピザやデニッシュなどの他、コーヒーやパスタ、スイーツなども提供し、居心地の良い空間を目指す。

ベーカリーはDELY BREADで、対面販売で展開。アプリや店内の端末から注文できる「Order&Eat」も展開する
青果で製造したスイーツの商品をDELY BREADでも展開する
サンドイッチは茨城県土浦市の専門店から仕入れて展開

さらに商品をアプリから注文できるScan&Goアプリ活用の「Order&Eat」を導入。店内でカフェメニューを注文できるようにしている。こちらは店内設置の注文端末からも注文可能。

ベーカリーはブランデの既存店では売上高構成比で4%ほどに高まっていて、かつイートインが広い三郷店(埼玉県三郷市)では飲食店としてカフェメニューが相当数利用されている。

ベーカリーは人時数がかかるため、一般的に利益を出すことが難しいとされるが、惣菜と一体と考えつつ、売上高構成比を高めることでより利益貢献していく部門にしていく方向性にある。

また、タイプAはスタンダードということで、価格を重視。イオンのプライベートブランド商品のトップバリュの1646SKU展開する。SKU数自体は最近の新店と同レベルだが、全体のSKU数が少ないため比率としては高まり、売場での存在感も大きい。

トップバリュはPOPも付け、分かりやすく訴求
トップバリュの価格強化ラインの「ベストプライス」は随所で訴求されるが、通常ラインの他、付加価値ラインのグリーン アイも展開される。売場での存在感は大きい
エンドのサイドでもトップバリュを訴求
トップバリュの若年層向けの商品も前面に打ち出している
イオンでは、ベストプライスのさらに下をくぐる価格のディスカウントストア(DS)向けのプライベートブランド商品を持つ。八潮大曽根店でもDS商品を展開する。カップ麺ではベストプライスが108円(本体価格、以下同)のところ、DS商品は88円

また、それに加え、ナショナルブランド商品の1300SKUほどについて価格を強化しているため、「比較購買される商品群の中に3000SKUぐらいは価格を重視した商品がある」(塚田社長)。

「地域」を軸にカスミが独自に開発するオリジナル商品「MiiL
KASUMI」も随所で展開
所属するユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスとして展開する商品も積極的に展開。米国から輸入している植物性の代替ミート「ビヨンド・ビーフ」も展開
同じイオングループに属するオーガニック主体のビオセボン・ジャポンの商品もコーナー化して展開。スタンダードタイプとはいえ、付加価値型の商品も一定程度、品揃えする

サービス面では、クッキング・コミュニケーションコーナーを設置し、店内で販売する旬の食材を使った料理の実演とメニュー提案を行うと共に、商品選択に役立つ情報など、食に関する専門的な情報をお客に提供する。

また、ネットスーパーの「Online Delivery」にも対応。店で取り扱う商品をパソコンやスマートフォンアプリで注文し、自宅や配送エリア内の指定先、もしくは店頭で商品を受け取るサービスで、こちらは2025年1月以降開始予定。

レジ台数は通常レジは2台のみで、フルセルフレジが12台と大半を占める
ブランデ同様、イートインコーナーは広く確保。1階に31席の他、中2階を設け、33席、併せて64席分、設けている
中2階のイートインコーナーからは店内を見渡せる。アメリカのウェグマンズやホールフーズ・マーケットなどでもみられる光景。カスミとしては、ブランデの研究学園店(茨城県つくば市)などと同様
同社のボリュームゾーンとなっているフードスクエアのスタンダードタイプとして開発。「フードスクエアだけでなく、フードマーケットを考えるための店の位置づけ。この店を基準にしながら次の提供価値、店の在り方を考えていく位置づけの店になる」と塚田社長

フードスクエアカスミ八潮大曽根店概要

所在地・埼玉県八潮市大曽根1151-3

オープン日/2024年11月1日

営業時間/9時~21時45分

売場面積/1898㎡

駐車台数/168台

駐輪台数/58台

年商目標/23億円

店長/田上雅士

従業員数/正社員17人、パ-トタイマー、アルバイト78人(7.75時間換算)

主要商圏/5万7594世帯12万5019人、1次商圏3936世帯9348人(0~0.5km)、2次商圏7240世帯1万5619人(0.5~1km)、3次商圏4万6418世帯10万52人(1~2km)

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