カスミ阿見よしわら店が4月11日オープン、6月から併設の子会社ローズコーポレーション工場から中華惣菜を提供予定

2025.04.11

カスミは4月11日、茨城県稲敷郡阿見町にカスミ阿見よしわら店をオープンした。アウトレットモールのあみプレミアム・アウトレットから近い場所への出店で、JR荒川沖駅からあみプレミアム・アウトレットまでバスで約22分、下車徒歩10分、圏央道阿見東I.Cから車で3分といったアクセス環境。

売場面積約191坪の小型店

今回のオープンによってカスミの店舗数は、茨城県109店、千葉県40店、埼玉県34店、栃木県7店、群馬県4店、東京都3店、合計197店体制となる。

今回、グループ会社で惣菜、米飯、サラダなどの食品製造工場を運営するローズコーポレーションと協業し、特に弁当や惣菜などの商品を多く取りそろえ、地域住民の買物不便の解消に努める。設備面でも大型車両の駐車スペースを設置し、近隣で働く人の昼食需要にも応えられる売場づくりを実践するという。

また、オープン後はローズコーポレーションが「ROSE AMI BASE」として同店に工場を併設、そこで製造した中華惣菜の提供を計画している。

デリカ商品は6月から展開予定で、ギョーザ、シューマイ、春巻きに加え、オリジナル中華惣菜を使用した弁当などを品揃えする。

画像はイメージ

また、冷凍食品は9月ごろ販売予定で、原料にこだわった上で、オリジナル商品のブランドであるMiiLとして「ローズポークの肉汁溢れる大粒餃子」「ローズポーク肉汁の溢れる焼売」「ローズポーク使用具材たっぷり春巻」を展開する。

画像はイメージ

今回、こうした店を設置するに至ったのには事情がある。もともとは行政側から出店依頼があった物件だが、立地する場所は「あみプレミアム・アウトレット」からほど近いとはいえ、周囲は工業団地のようなところで、住む人も3km圏でも1721世帯、3953人と極めて少ない。

近隣には比較的新しい戸建てと集合住宅があるが、全般的に60歳代の比率が高い地域で、2km圏からは古くからある戸建てが点在するといった商圏環境になっている。

地域の要望は高いものの、商圏人口が少ない中で、カスミとして採算ベースに乗せるための店づくりを構築する必要があった。そのため、売場を少なくし、ローズコーポレーションの工場を併設することにした。ローズコーポレーションの工場が手狭になっていたこともあり、今回、「中華」の機能に絞った形でデリカと冷凍食品の供給源にすることにした。

ローズコーポレーションの商品を同店でまずは試売できるということもあるが、商品自体は将来的にカスミにとどまらず、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの他の企業にも供給していく予定。

中華に絞った形でデリカと冷凍食品を供給する工場「ROSE AMI BASE」は6月からデリカの商品を供給開始予定

一方で、200坪弱の小型店となった店舗の方は、商品は絞り込みつつも、生鮮や日用品を含め、ひととおりそろうスーパーマーケットの品揃えを実現している。

総SKU数、売上高構成比計画

また、小型店といえば品揃えを充実させようとして「ゴンドラを高くし、商品を詰め込む」といった手法を用いがちだが、今回、郊外ということもあってあえてその逆の発想で売場をつくった。通路は広めに取っている他、ゴンドラは低くし、その分横に広げている。これは周囲に多い高齢者の買物のしやすさに配慮したものでもある。

売場が約191坪で、年商計画は3.5億円。通常のスーパーマーケットと比べかなり小規模であることから正社員の配置は3人としている。

さまざまな経緯で今回の形となった阿見よしわら店だが、カスミとしては今回の店の結果を既存の改装や居抜き出店に生かしていく意向だ。人口が減る局面に入った日本では、商圏人口が次第に少なくなる地域も少なくない。一方で、そこで暮らす人にとっては食品を販売している店は常に求められる。

損益分岐点を下げた、少ない商圏人口でも成立する店づくりの重要性は今後、ますます重要になることは間違いない。

売場レイアウト図。工場のROSE AMI BASEは同じ建物内の右側に隣接して設置される
特に売場中央、菓子などのゴンドラは一段低くしている。商品の取りやすさの他に見通しを良くする目的もある
デリカ売場は奥に設置。生鮮、惣菜のバックヤードはかなり限定的ではあるが、デリカは店内製造も交え強化している。ただし、米飯の他、一部温惣菜などに機能は集約している
ローズコーポレーションンの工場からご飯と一部おかずがセットされた状態で納品される「カセット弁当」を6アイテム展開。焼きサケや白身魚フライ、豚カツなどメインのおかずのみ店内で製造して盛り付け、仕上げる。効率はかなり高まるという
店内製造の商品を打ち出す一方で、アウトパックも活用し、品揃えを充実させている
寿司はデリカ部門のみの展開で、鮮魚部門の寿司は手がけない
デリカを強化していることもあって、限られた売場の中でもイートインコーナーを19席分確保している
精肉はカスミの他の標準店同様、アウトパックの商品で売場を構築
簡単調理のための商品として味付け商品やミールキットなども展開
鮮魚はアウトパックでの供給だが、店内加工の設備自体は設けてある。アウトとはいえ、丸物も品揃えしている
アイテムは少ないが、刺身も取り扱っている
鮮魚と精肉では冷凍の商品も充実させている
イオンのプライベートブランドのトップバリュは価格の面、品揃えの補助の面で活用する。阿見よしわら店では1117SKUを取り扱う
野菜、果物も一通りそろえている。平台はなく、全て冷蔵ケースでの売場づくり
カットフルーツも品揃え
メインの入口から入った壁面側の先頭には牛乳をレイアウトしている
酎ハイなどレディトゥドリンクは冷蔵でも販売し、「すぐに飲む」需要にも対応している
それぞれカテゴリーごとに品揃えは限られるが、調味料など素材から調理をすることができるような品揃えをしている
ワインなど、酒の品揃えは売場に対してかなり充実させている
冷凍食品は入口とは反対側の奥の壁面で展開。平ケースはなく、リーチインケースのみで販売している
わずかではあるが、日用品も品揃えし、ワンストップショッピングの実現を図っている
レジはセルフレジのみ、6台設置。スマホPOSの「スキャン&ゴー」を主軸にした「無人店舗」については利益も出るようになってきているが、レジの人時効率化は大きなポイントになっている

カスミ阿見よしわら店概要

オープン日/2025年4月11日

所在地/茨城県稲敷郡阿見町よしわら2-16-5

営業時間/9時~19時

駐車台数/260台(うち大型9台)

駐輪台数/20台

売場面積/632㎡

店長/井上賢一

従業員数/正社員3人、パ-トタイマー、アルバイト10人(7.75時間換算)

主要商圏/1721世帯3953人、1次商圏(0~1km)399世帯899人、2次商圏(1~2km)466世帯1078人、3次商圏(2~3km)856世帯1983人

お役立ち資料データ

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