マルエツプチ港南三丁目店が4月18日オープン、既存店から100mの超近距離出店でドミナント強化

2025.04.18

マルエツは4月18日、東京都港区にマルエツ プチ港南三丁目店をオープンした。売場面積約100坪で、年商目標は5.6億円。全社では307店目、東京都では151店目、港区では18店目となる。小型店を中心に東京でのスーパーマーケット(SM)多店化においては、抜きん出た存在となる。

JR品川駅港南口から北東に約900m、徒歩約13分の距離で、駅からはやや離れるものの、周辺には事業所、マンションがある他、店舗直上にも458戸の分譲マンションがある。また、品川駅周辺は「品川駅周辺地区計画」として開発計画が進ちょくしていることから今後もSMの需要が増加するとみられる。

マンション1階に約100坪の売場で出店。全てアウトパックでSMを出店できる点は同社の大きな強みだ

半径300m圏の人口は8851人、世帯数は4156世帯と都市部らしく多い他、2023年比24年の世帯伸長率は100.1%とわずかではあるが増加傾向にある。世帯当たりの平均人員は2.13人で、港区全体と比較して単身世帯が41.7%と15.2%ポイント低く、2人世帯が25.6%、3人世帯が17.2%、4人以上世帯が15.4%とそれぞれ4.6%ポイント、4.9%ポイント、5.6%ポイント高いことから、2人以上の家族世帯が多い地域となっている。

年齢別人口構成比は0~19歳が22.2%、40~64歳が42.6%で、港区全体と比較してそれぞれ5.6%ポイント、3.6%ポイント高く、一方で20~39歳が19.4%、65歳以上が15.7%で、それぞれ8.1%ポイント、1.2%ポイント低い地域となっている。子育て世帯が多い傾向が見て取れる。

都市型の小型店フォーマットである「マルエツ プチ」を多数出展する同社だが、今回の出店の大きな特徴は「既存店と交差点を隔てた至近距離出店」にある。同店が立地する場所は交差点に面しているが、ちょうどその反対側には売場面積約130坪のマルエツ プチ港南シティタワー店(東京・港)がある。

その距離は100m弱の超至近。さらに600mほどの場所には通常タイプのマルエツ港南ワールドシティ店があるなど、ドミナント化が進むエリアとなっている。品川駅近辺には幾つかのSMがあるが、特にこの港南ワールドシティ店がある範囲である同店から半径600m圏内には他社の競合がないなど、参入障壁の高い、優位性のある展開となっている。

交差点の反対側という至近にある港南シティタワー店は24時間営業。それもあって港南三丁目店は9時~22時の営業とし、すみ分けを図っている

都市部での小型SMの出店という点では、同じイオングループに属する「まいばすけっと」の多店化の事例はあるが、マルエツの場合、売場面積も比較的大きい上、生鮮食品を始めとした商品構成として、通常のSMにかなり近いラインアップを実現している点が強みといえる。

もともと同社は00年という早い段階から都市部の可能性に注目し、小型店フォーマットの形を模索してきた。当初は生鮮や惣菜で部分的に店内加工を実施していたが、自社プロセスセンターやデリカセンターの整備が進んだこと、また、加工設備を持つ他店から供給する体制を築いたことで、現在では全てアウトパックのみで売場がつくれるようになっている。

そのため、港南三丁目店も生鮮、惣菜を含め全てアウトパック。生鮮は全てプロセスセンターからの供給で、惣菜はデリカセンターなどからの商品に加え、港南シティタワー店で製造した商品を運ぶ。

港南シティタワー店で製造した商品を展開する。サテライト供給は1日2回を計画している

また、ベーカリーはマルエツ プチ不動前店(東京・品川)から供給される。特に港南シティタワー店で製造された惣菜、寿司、あるいは不動前店のベーカリーなどは製造時間的にも店内製造に近く、シズル感のある商品になっている。

港南三丁目店の売場総尺数は約445尺。取扱SKU数は、精肉が約260、青果が約180、鮮魚が約160、惣菜・ベーカリーが約190、日配食品が約1100、酒・たばこを含めた一般食品が約2190、生活用品が約300の合計4380。

売上高構成比の計画値は、精肉が10%、青果が16%、鮮魚が7%、惣菜・ベーカリーが15%、日配食品が22%、一般食品が23%、酒・たばこが6%、生活用品が1%。

今回の超至近への出店については、周辺地域の開発による需要増を鑑みると、港南シティタワー店など既存店だけでは需要の取りこぼしが発生するであろうとの見込みもあっての今回の出店という意味もある。

青果では簡便商品としてカットサラダやカット野菜、カットフルーツまで品揃えする
鮮魚はプロセスセンターなどから供給される刺身、お造りの他、「お魚屋さんのおつまみ」などを展開。全てアウトパックながら、にぎわい感のある売場を構築した
精肉も全てアウトパックながら、小量目から中量目をメインに牛、豚、鶏、ひき肉を網羅する品揃え
加工品ではベーシックな商品を中心に品揃えしつつ、自社プライベートブランド(PB)のmaruetsu365商品の品揃えも充実させる

生鮮では、生鮮惣菜の品揃えを強化。鮮魚では鮮魚寿司の他、魚のつまみを集めた「おつなFISH」を品揃えし、惣菜売場で集合展開する他、精肉ではローストビーフ、ローストポークの他、焼き鳥や唐揚げなどの「おつまMEAT」などを精肉、惣菜の両売場で展開。

おつまMEATは精肉売場でも展開する

日配食品では、豆腐や納豆などベーシックな商品を押さえた上で、商圏の需要を意識して簡便性、即食性の高い商品を多数展開。冷凍食品売場でも電子レンジ加熱で完成する一食完結型のワントレー商品の品揃えを強化している。

一般食品では、市場が伸長しているグミやポケット菓子などの品揃えを強化。また、飲料、酒のコーナーに新商品コーナーを展開することで、新発売商品の訴求を強化する。

酎ハイなどレティトゥドリンクは冷やした形でばら売りにも対応

PBでは特にイオンのトップバリュの取り扱いを強化。通常ラインのトップバリュは約60SKU、低価格ラインのベストプライスを約150SKU展開。また、自社PBのmaruetsu365商品は約200SKUを展開。

惣菜では、素材や調理法にこだわり開発、製造した「まいごころ」(米飯商品)、「うまごころ」(惣菜)のオリジナルブランド商品を多数展開。また、冷惣菜としてレンジアップ商品の品揃えを充実。

デリカセンターやプロセスセンターで製造されたレンジアップ前提の冷惣菜が惣菜の品揃えを支える

さらに、生地から焼き上げた自社製造のベーカリー商品の取りそろえる。

ベーカリーは不動前店で製造した商品を運ぶ

また、商品を港南ワールドシティ店から配送する形でネットスーパーの「オンラインデリバリー」も展開する。リアル店舗、ネット共にドミナントで展開していることを生かしている。

レジはグループで展開するスマートフォン決済サービスの「Scan&Go」のラインを設けた上で、対面レジ、フルセルフレジを直線で配置し、売場を極力確保している。全てのレジで各種スマホ決済や商品券、各種ギフト券が利用可能。多様な決済手段を提供することで、お客の利便性向上を図ってきた
売場面積が約100坪と小型ではあるが、近隣にカフェなどが少ないこともあって、イートインスペースをカウンター12席、テーブル12席設けている。木目調の内装にすることで、利用者がリラックスできる空間を意識。屋外の共用スペースであるテラス席にも自由に出入りすることができるようにした

マルエツプチ港南三丁目店概要

所在地/東京都港区港南3-5-21

オープン日/2025年4月18日

営業時間/9時~22時

鉄筋コンクリート造地上28階地下1階建て(店舗は1階)

売場面積/約330㎡(100坪)

店長/圓﨑 剛

従業員数/19人(8時間換算)

年間売上高目標/5.6億円

お役立ち資料データ

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