ヨークベニマルミライト一条店が5月30日オープン、地元宇都宮市が運営主体を公募、ベニマルが選定を受けた施設として一体開発

2025.06.02

ヨークベニマルは、栃木県宇都宮市の複合施設「ミライト一条」にヨークベニマルミライト一条店を5月30日、オープンした。全社では250店体制、栃木県では36店目の出店となる。宇都宮市への出店は、2022年8月オープンの宇都宮テラス店以来、13店目の出店となる。

「ミライト一条」は、宇都宮市が一条中学校跡地を活用する「民間提案施設整備事業」を公募し、ヨークベニマルが選定を受け、運営する複合施設。スーパーマーケットのヨークベニマル館と日常生活をサポートする店舗やクリニック、地域の交流スペースからなる「サービス館」で構成される。ミライト一条の一部施設はヨークベニマルなどのオープン1週間後、6月6日に開業する。

国道119号側からサービス館があり、ヨークベニマル館は奥にある

東武鉄道東武宇都宮線の東武宇都宮駅西口から南側に徒歩約10分に立地、1人、2人世帯が75%を占め、近隣には市役所や学校、病院を始め会社やマンションが多いエリア。施設脇の国道119号には関東自動車バスの一条の停留所がある。年齢層では60代以上など高齢層が多めだという。

「ミライト一条」のコンセプト

「ミライト一条」の名称は、市民からネーミングを募集した際の応募の中から審査を経て決定、命名された。新たな複合施設が「雷都(宇都宮市)」の拠点として、力強く「未来」と共に発展するようにとの願いが込められている。

サービス館にはドラッグストアの①マツモトキヨシ、②100円ショップのダイソーなどの物販や⑥クリニック、⑦カフェなどが出店すると共に、多世代のコミュニティを醸成する多目的スペースなどを設ける。マツモトキヨシとダイソーは5月30日にオープンし、その他は6月6日の開業となっている。テナントとしてはこれら以外にヨークベニマル館にうさちゃんクリーニングが5月30日オープンする。

多目的スペースには市民が本を持ち寄る形の参加型図書施設の「市民ライブラリー」、展示や催事を通して地域の魅力を発信、受信する場としての「市民ギャラリー」、サークル活動や会議など、使用用途に合わせてご利用いただける時間制の貸し会議室となる「多世代交流室・和室」、子どもが遊べる「キッズスペース」が設けられる。

また、ヨークベニマル館とサービス館の間には全天候型でキッチンカーやマルシェなど多様なイベントを開催予定の「大屋根ひろば」、建物の外には「築山遊具」や、「ポッピングウォーター」などを整備した「あおぞら公園」といった多様な施設を設置。

施設マップとテナント
サービス館のマツモトキヨシとダイソーはヨークベニマルと同日の5月30日にオープン

ヨークベニマルは約732坪の大型店で、初年度22億円の年商を見込む。今回、レイアウトに工夫を凝らし、第1主通路のゴンドラ側の日配を一部にとどめ、両サイドを青果にした上で、和日配を含む大部分の日配を第2主通路の精肉の後に配置する形としている。

結果的に利益商材の日配が生鮮食品の後でしっかりと強調される形となり、粗利益の増加が見込める。その分、バジェット商品の比率を高めたり、生鮮で価格を打ち出すなどして「ヨークベニマルの良さ」をしっかり体感してもらい、基礎商圏のお客のロイヤルティを高める方針。

「オープンだけではなく、ゆっくりお買物をしていただいて良さを実感していただけるような、使えば使うほど良い店だなと思っていただけるようなスルメのような店にしていきたい」(近藤圭一店長)

売場レイアウト図。特徴として和日配を含む日配の大部分が生鮮と反対側で展開されていることが挙げられる
第2主通路奥。日配の大部分がこのゾーンに集積

鮮魚では全国の市場を活用した仕入れを行う他、マグロにこだわった売場づくりを実施。精肉では宇都宮市に「ステーキ文化(広く一般的に食べられること)」が根付いていることを捉え、「とちぎ和牛」を一頭買いするなど品質の良い肉の安定供給に努め、さまざまなステーキを提供。また、「ノントレー」商品を品揃えし、環境に配慮した取り組みも実施する。

青果の次は鮮魚売場。第1主通路突き当たりには丸物を加工サービスと共に打ち出す「魚屋さんらしい」売場
牛肉を大きく打ち出しながらも、関東ではベーシックとなる豚、あるいは鶏については大容量で買い得を打ち出す
馬刺しは冷蔵で販売

青果では、宇都宮市が「農業王国うつのみや」を掲げて農業推進をしていることから近郊野菜の品揃えを強化。また、旬の果物のカットフルーツや鮮度にこだわった手作りサラダなどバラエティに富んだ売場づくりを目指す。

地元野菜ではJAうつのみやと組み、収穫から24時間以内で納品する体制を敷いている。初めての取り組みで当面は同店のみで展開
果物では輸入果物含め、品揃えを充実
カットフルーツは青果売場で展開

惣菜では、店内炊飯の白米と健康を意識したおかずを組み合わせた「からだにやさしい」弁当など幅広く取りそろえる他、出来たての惣菜の品揃えで、毎日の食卓の「プラス1品」をサポートする。

約2000人が常駐する宇都宮市役所と隣接していることもあって約1400人程度の昼食需要があると見込み、弁当を強化。また、夕方以降のつまみ需要なども見込む。オープン日も弁当が良く売れた
新型コロナウイルスの影響でイートインコーナーは縮小されていたが、少しずつ広がってきている

寿司では、寿司飯に関して店内炊飯にこだわった上で生マグロを使った上質な握りから海鮮丼、太巻き、いなり寿司などを提供する他、さらに具材たっぷりのおにぎりも提供。ベーカリーでは、こだわりの湯ごね食パンを始め、フランスパン、サンドイッチなどを中心に取りそろえ、「健康的で美味しい食卓」の提案に努める。

グロサリーでは、地元の米菓や日本酒、「宇都宮カクテル(宇都宮市で開発された栃木県産の果物を使ったカクテルのこと)」など、地元でなじみのある商品を取りそろえる他、都道府県別の消費量ランキングで全国2位となったドレッシングの品揃えの充実を図る。

地元の商品を含めドレッシングの品揃えを充実
所々に地元の商品を差し込む。基本的に店長が発掘した商品で100商品ほどを導入したという

デイリーに関しては、宇都宮市が「餃子の街」として有名であると同時に、「焼きそば」も名物であることを受け、ギョーザ、麺の品揃えを充実させる。また、宇都宮市内の老舗の銘菓や洋菓子なども数多く品揃えする。

ギョーザについては、冷凍、冷蔵共にコーナー化で大きく展開

部門別の売上高構成比計画は、鮮魚7.6%、精肉13.8%、果実4.7%、野菜10.6%、日配品21.8%、加工食品26.8%、日用品2.3%、惣菜8%、寿司2.3%、ベーカリー2.1%。

SKU数は、食品1万1127、日用品3988、デリカ(惣菜、寿司、ベーカリー)295で、合計1万5410。

ヨークベニマルミライト一条店概要

所在地/栃木県宇都宮市一条1-4-5

オープン日/2025年5月30日

営業時間/9時30分~21時30分(5月30日から6月1日は9時オープン)

構造/鉄骨造一部RC造地下1階、地上2階建て(屋上駐車場)

駐車台数/220 台(全体)

売場面積/4010㎡(全体)、2419㎡(ヨークベニマル)

店長/近藤圭一

従業員数/170人(正社員20人、地元採用者150人)

年商見込み/22億円(初年度)

商圏/1km圏内人口1万7510人、世帯数8984世帯、2km圏内人口6万2528人、世帯数3万1678世帯、3km圏内13万4670人、世帯数6万5376世帯

ミライト一条概要

所在地/栃木県宇都宮市一条1-4-17

オープン日/2025年6月6日

敷地面積/1万8918㎡(全体)

お役立ち資料データ

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