いなげや保谷駅前店が6月11日オープン、東京西部のドミナント固めの一環の駅前店舗

2025.06.16

いなげやは6月11日、東京都西東京市にいなげや保谷駅前店をオープンした。重点出店地域である東京都の練馬・西東京エリアのドミナントを強化する意味もある。西東京市内の店数は4店体制に、練馬区と合わせた店数は12店体制となる。全社では131店体制となった。いなげやとして、今期の新規出店は今回の保谷駅前店を含む3店の予定のため、緊急の場合を除く、計画上、今期最後の新店となる。

同店を中心に東側に小型フォーマットのina21練馬東大泉店(東京・練馬)、西側に高グレードフォーマットのブルーミングブルーミーひばりが丘パルコ店(東京都西東京市)、南側に保谷駅南店(東京・練馬)と練馬南大泉店(同)、西東京富士見町店(東京都西東京市)、保谷町店(同)、北側に練馬西大泉店(東京・練馬)、新座野寺店(埼玉県新座市)、大泉学園店(同)が半径3km強の圏内に存在するなど、同社としてのかなり大規模なドミナントを形成している。特に保谷駅から1km圏内には保谷駅前店を含む3店が立地するなど、密度の濃い出店となっている。

「当社の場合、メインは住宅地の店が多いが、やはり駅前に大きな競合店が出るとダメージを受ける。その意味では競合対策も含めた形で、この商圏の中のシェアを取りにいくための出店。当社としてこのエリアは郊外型、駅前も含めて、全て(のマーケットを)取りにいくエリアと判断しての出店」(杉本吉員社長)

そうした中出店した保谷駅前店は、東西に走る西武池袋線保谷駅の北口ロータリー沿いに位置する駅前立地。そのため、線路の北側が主な商圏となる。駅前ではあるが、商業集積地というほどには店がなく、周辺は繁華街の少ない宅地エリアとなっている他、大小さまざまな規模の公園も多く存在する。

駅出口からすぐの場所に立地。いなげやで初めて、店頭にデジタルサイネージを設置。駅の利用者の取り込みを図る目的で導入。同社ではYouTubeの公式チャンネルの「いなちゃんTV」などにも取り組んでいることもあって、そうした情報を発信をしていく

足元商圏は戸建てが大半を占める他、人口は増加傾向にあるという。商圏全体では30代~50代のファミリーのヤング層が多く居住し、「夫婦」「夫婦+学生」世帯が東京都平均よりも多いことが特徴となっている。世帯数は半径500m圏で5490世帯、同1km圏で2万548世帯と厚い。ドミナントの他店と併せ、この中でどれだけのシェアが取れるかが重要になる。

保谷駅北口の乗降客数は1日約1万人あることから駅からの多数の集客が期待できるが、反対側の南口の乗降客数は約1万7000人と多く、また、駅前には西友保谷店が立地していることから、北口に加え、南口を利用していたお客をいかに取り込めるかが集客上の鍵となるとみている。

駅利用者の集客のピークは19時~20時になることが予想されるため、17時~20時を売上げボリュームの高い時間帯と想定。曜日別にはやはり休日よりは平日が多くなると見込んでおり、月曜日、水曜日、金曜日の客数が高いと想定。特売の立ち上がり日が中心だが、中でも週末に向けた金曜日の集客が最大になると考えている。一方で、週末にも集客を図るため、独自のチラシを導入する予定だという。

売場は2層で、1階のいなげやの他、2階にはクリニックモールと調剤薬局などが入る。2階部分は7月1日から開業

店舗のコンセプトは「時間帯毎の『鮮度・品質・サービス』にこだわりお客様の『欲しい』をタイムリーに提供するお店」。出入口は2カ所設置しているが、駅側の出入口がメインとなることもあってか売場レイアウトでは惣菜と青果を駅側の出入口付近に集積。簡便、即食需要のお客は駅側の出入口付近で惣菜だけ買って帰るショートタイムショッピングが可能となっている。

部門別には、店頭の青果は「店の顔」として、鮮度にこだわった野菜や旬のフルーツを日替わりの値打ち価格で提供。また、糖度、熟度、産地(生産者)、品種の切り口でこだわったフルーツを「こだわりま撰せん果か」の名称で販売する。

鮮魚ではマグロにこだわる他、鮮魚部門の寿司である「お魚屋さんの鮨」を導入し、旬の魚などのたねを盛り込んだ鮮魚部門ならではの握り寿司や海鮮丼、太巻きなどを取りそろえる。また、西京漬けやみりん干しなど、味付けの上、トレイのままレンジ調理が可能な商品を集めた「タイパでい~な」コーナーも導入。

精肉では、飼料や健康にこだわった黒毛和種の「鹿児島県産さつまビーフ」をはじめ、希少な「北海道産赤豚」を常時展開。加工肉では健康志向への対応として、発色剤不使用(無塩せき)の商品を拡大した。また、時短需要「タイパ(タイムパフォーマンス)」を意識した電子レンジ調理商品や即食商品の「ミートデリカ」も「タイパでい~な」コーナー化。駅前立地に合わせた商品を展開する。

大容量の商品も品揃え。「大きいーな」ということで、他のコーナーと同様、「いなげや」流のコーナー名

青果同様、出入口至近に配置された惣菜では、厚焼き卵を中心とした「鉄板メニュー」コーナーを展開。また、複数の惣菜を選んで買ってもらう取り組みとして少量パックを壁面でコーナー化した。既存店でも人気のおにぎり売場の「偉大なおむすび」コーナーは、いなげや最大級の品揃えで展開。また、惣菜の寿司では、「店内炙り」の握り寿司を展開する。

惣菜は一部壁面で展開する他は、通路を広く取り、多数の平台、平ケースでカテゴリーごと展開する。主力になってきている米飯では本体価格599円のこだわりののり弁なども開発

インストアベーカリーでは、専用窯で焼く「石窯ピッツァ」をはじめ、毎日店内手作りのパンやサンドイッチ類を販売する。

デイリー食品では、冷凍食品はレイアウト的に売場の一番奥になってしまっているが、広大な冷凍コーナーを形成するなど、磁石を作り出している。米の高騰もあって需要が高まっている米飯やプレート類を最大規模で展開する他、外食系商品も充実させた。

ワンプレートを含む米飯を強化
昨今、開発が活発化している外食系の商品

アイスは、個食やレトロ、ご当地商品を強化した。

チルドでは、だしにこだわった電子レンジ対応のおかゆや発芽玄米粉使用、ノンフライの焼きドーナツなどを展開。

一般食品でも「タイパ」への対応として、レンジアップ商品をコーナー化すると共に、パスタソースの電子レンジ対応商品やバイヤー一押しのレトルトカレーなどの品揃えを充実させた。

また、プライベートブランドは、いなげやの「食卓応援」シリーズの他、イオングループの「トップバリュ」シリーズ、さらにユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの「eatime」も加えながら、独自商品での差別化策として活用する。

特にトップバリュは、ベストプライスを筆頭にコモディティの部分の価格対応の武器として取扱アイテムを増やしながら活用していきたいという。

いなげやの「食卓応援」は共にこだわりを打ち出すが、世界各国から優れた商品を調達した通常ラインと国産原料にこだわった「セレクト」の2ライン展開

いなげや保谷駅前店概要

所在地/東京都西東京市下保谷4-14-20

オープン日/2025年6月11日

営業時間/9時30分~22時45分

駐車場/36台

駐輪場/114台(バイク4台含む)

延べ床面積/3419㎡(1034坪)

売場面積/1451.28㎡(439.01坪)

店長/井垣泰幸

従業員数/61.5人(社員11.8人、パートナー社員49.7人、166時間/月換算)

年商目標/17.8億円(日商489万円)

お役立ち資料データ

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