ウエルシア薬局ハックドラッグ戸塚店がリニューアルオープン、「ドラッグ&フード」と「ヘルス&ウエルネス」のハイブリッド旗艦店
2026.10.28
ウエルシア薬局は10月24日、横浜市戸塚区のハックドラッグ戸塚店をリニューアルオープンした。同店は1979年3月の開店以来、40年以上にわたって地域で営業を続けてきた店舗で、同社は今回の改装店を「大型のフラッグシップ店舗」と位置づける。昨年から推進してきた食品強化型の「ドラッグ&フード」と、薬剤師を中心に健康サービスを提供する「ヘルス&ウエルネス」という2つの新フォーマットを、売場面積約601坪の1店舗に組み合わせたのが最大の特徴だ。


同社としては2つのフォーマットは本来、それぞれ単独で出店し、商圏内で組み合わせて展開するのが基本になるという。今回は600坪という売場面積があったことから、1店舗に両フォーマットを組み合わせた「ハイブリッド」に踏み込んだ。さらに100円均一ショップのCan Do(キャンドゥ)の売場も設け、「いままで取り組んできたことを全て詰め込んだ」(島田 諭・執行役員業態開発本部長)店舗としている。
ウエルシア薬局を傘下に持つウエルシアホールディングスは、2025年12月に株式交換によりツルハホールディングスの完全子会社となり、ツルハホールディングスは26年1月にイオンの連結子会社となった。島田氏は同店を、新生ツルハホールディングスが目指す「ライフストア」の1つであり、ウエルシアが2030年のありたい姿として掲げる「地域No.1の健康ステーション」を具現化する店舗だと説明する。
ドラッグ&フードフォーマットは、25年8月に茨城県のウエルシア稲敷釜井店(稲敷市)、ウエルシアつくば小茎店(つくば市)をリニューアルオープンしたのが始まりで、ハックドラッグ戸塚店は59店目になる。改装を伴わずに惣菜、弁当などを導入する「ドラッグ&フードサテライト」店舗もすでに24店あり、合計で83店となった(10月26日時点)。
島田執行役員によると、下期に入って週に4店を改装するなど展開を加速しており、今期は改装を伴うドラッグ&フードフォーマットで100店、サテライトで50店以上の増加を見込む。将来的にはドラッグ&フードフォーマットで1000店程度を目標とするという。
出店拡大を支えるのが物流網の整備である。ウエルシアの物流とイオングループの物流を組み合わせることで、惣菜、弁当や日配品の供給が首都圏から近畿、東海、東北へと広がり、ほぼ全国で展開できる体制が整ったという。配送は1日1便で運用している。
ドラッグ&フードフォーマットのKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)は客数で、既存店では客数が10%ほど伸びているという。戸塚店も同様だが、さらにキャンドゥやヘルス&ウエルネスの要素が付加されていることもあってさらなる10%を超える伸びを期待する。食品の売上げを125%に伸ばしつつ、シナジーでHBC(ヘルス&ビューティケア)の売上げも105〜107%程度を目標とし、それを実現していることから、食品の構成比が過度に上がらない点が特徴だとする。また、食品とはいえ、惣菜や日配品の比率が高いこともあって、店舗全体の粗利益率はドラッグストアと比べてもほとんど落ちていないとしている。
一方のヘルス&ウエルネスフォーマットは、従来のドラッグストアや調剤薬局の枠を超え、未病、予防、治療、介護のライフステージで地域の健康づくりを支える店舗モデルだ。薬剤師、管理栄養士、登録販売者、ビューティアドバイザー、ケアマネジャーなどの専門職が連携し、店内の健康測定、相談スペースを拠点に、1人1人の健康状態や生活課題に応じたサービスを提供する。その機能の総称が「Care Capsule(ケアカプセル)」で、設置店舗は同店を含め5店となった。既存の展開店舗では、ヘルス&ビューティの売上高構成比が10%ポイント程度、粗利益率も4%ポイントほど上がる実績が出ているという。
さらに同フォーマットの店長は薬剤師が務めるのが原則だという。同社には約7300人の薬剤師が在籍し、正社員の約半数を占めている。調剤室の中だけで働くことが多かった薬剤師の活躍の場を広げ、店舗運営としても生産性を高めることで、他社との差別化と利益率向上を目指す。実際、今回の戸塚店の店長はドラッグ部門の店長経験を持ち、その後約9年間調剤に携わってきた薬剤師が就任している。
ドミナント展開の中での位置づけも明確だ。おおむね10店程度のドミナントエリアの中心にヘルス&ウエルネスの拠点店を置き、その周囲に通常のドラッグストア、ドラッグ&フードといった各店を配置する構想を描く。商圏は一般的に半径2km程度を想定。
戸塚店の場合、周辺は昔からのベッドタウンで高齢者も多いが、当然、若いファミリー層も多数いるわけで、従来来店していなかった若い客層を取り込むことで、10%超の客数増を目標とする。年間売上高は公表していないが、2桁以上の伸びを目指す考えだ。
従業員数は47人で、うち登録販売者12人、薬剤師6人、管理栄養士1人、ケアマネジャー1人。営業時間は8時から22時までで、調剤は平日9時〜19時、土曜10時〜19時。今回の戸塚店は薬局と店舗販売業の併設パターン。ヘルス&ウエルネスの他店では薬局として24時まで営業する店舗もあり、同店でも要指導医薬品や第1類医薬品のニーズが高まる夜間を見据え、調剤時間の延長を検討しているという。
売場レイアウトでは、売場先頭に食品ではなく、ドラッグストアとしての顔を前面に打ち出したことが特徴だ。食品を強化した店では入口付近に食品、特に生鮮を強化した店では青果を並べるのが一般的だが、同店は入口を入ってすぐの場所にヘアケア、シャンプーの売場を設け、その右側に化粧品、医薬品が続くなど、ドラッグストアとして強化したい商品群を配置している。
その上で集客力の高い食品をあえて左奥に、また、こちらも品揃えと集客力の強化を見込んでフランチャージ―として導入したキャンドゥを右側に配置し、両サイドに強いマグネットを置くことで店内全体を回遊させる狙いがあるという。

ヘルスケアの売場では、調剤の投薬カウンターと一般用医薬品(OTC)などの相談カウンターをひとつながりにした。通常の店舗では両者は離れているが、調剤から例えば管理栄養士への相談、逆に健康相談から薬剤師への相談がつながることを想定し、あえて薬剤師、登録販売者、管理栄養士が密に連携を取れるように一体化したという。奥には薬剤師が血液を測定する検体測定室、その他、薬剤師、管理栄養士による有料の測定、カウンセリングなどを行うカウンセリングルームも設けている。



また、居宅介護支援の相談窓口も設置し、専任のケアマネジャーによるサービスを27年2月に開始する予定。ケアマネジャーは主任ケアマネジャー1人でスタートし、認知度の向上に応じて半年ほどで2人体制にする予定など、様子を見ながら増員するという。

化粧品は、従来のカウンセリング化粧品中心の構成から、若い世代に支持されるプチプラ(安くて手ごろな価格)のブランドメイクを大幅に拡充した。売場の象徴として、もともと柱のない場所に偽柱を立て、周囲をガラス板と照明で装飾した売場をベンダーと協力して作り込んだ。対面カウンターに加え、お客が自ら商品を試せるセルフカウンターも新設した。プチプラ化粧品は改装前に比べて2割ほど増えたという。




ヘルス&ウエルネスの先行店では、ルーラル立地でこれまで化粧品の需要があまり顕在化していなかった店であっても、商品を置くことで食品の買物ついでに化粧品を手に取る若いお客が増え、メーカーの想定を上回る販売実績が出ているという。今回も商品の入れ替えによる客層の若返りを狙う。
食品は、これまでのドラッグ&フード店舗と基本的に同じ構成としながら、売場面積に余裕があったことで、ウエルシアの強みである飲料と酒を縮小せずに惣菜、日配品、冷凍食品を拡充できた。同社によれば、品目数は冷凍食品が通常店舗の2倍、日配品が1.1倍、惣菜・デリカが250SKU増となっている。

今回はイオングループのトップバリュ商品をこれまで以上に導入したことに加え、ツルハグループの新しいプライベートブランド「からだとくらしに+1(プラスワン)」の商品も一部で展開を始めた。

また、生鮮食品については、ドラッグ&フードフォーマットとしてあえて深く踏み込まない方針だ。「われわれはSMの考え方とは違い、惣菜、日配品、冷凍を強化していくのが基本的な考え。お客さまにとって必要な食品は何かを考え、ドラッグストアして展開できる商品としてはこれがベストかなと考えている」(島田執行役員)。
例えば農産ではトマトやバナナなどベーシックな品目に絞った上で、SKU展開でもキャベツは2分の1カット、大根もカットのみの品揃えといった形で絞っている。畜産も当然、A5の牛肉といったハレの商品は扱わず、豚肉、牛肉などベーシックな商品を中心に限定した品揃えに特化。特に生鮮食品は売場の管理やロス管理について技術が必要で、そもそも人手もかかるため、深掘りしないようにしている。
一方でイオングループの供給力の強化によって菌タケ類を含むトップバリュの野菜など、これまでそろえられなかった品揃えも可能になるなど供給面の進化は大きい。特にカット野菜など簡便商品については「ウエルシアがやるべき商品」(島田執行役員)と位置づけているが、品揃えでも十分にスーパーマーケット(SM)と戦えるとみる。他、発芽野菜やオーガニック商品も展開する。




惣菜、弁当についても、支持される商品がはっきり見えてきていて、管理栄養士監修といった栄養などのバランスを考慮した弁当、カツなどのボリュームを打ち出した弁当、そしてメインのおかずの「肉」を強調した弁当といった形で方向性を明確化した。



サンドイッチとサラダは同時展開を継続し、サンドイッチは本体価格298円に加え同198円の商品もそろえるなど、価格面での訴求も強める。ロングライフで扱いやすいトップバリュなどのレディミールのサラダやおかず、煮物は、従来の2倍の規模で展開する。



また、即食性の高いパンを日常品として重視する。同店では静岡県の「掛川メロンパン」(本体価格298円)をスポット商品として販売。「地産全消」のような取り組みはドラッグストアではあまり行われてこなかったが、こうしたスポット的な商品展開も月1回程度の企画として継続する考えだ。


日配品は客数を増やす商品群として位置づけ、価格訴求だけでなく、「管理栄養士おすすめ!」といった情報提供も実施しながらドラッグストアならではの訴求を強化している。


冷凍食品はリーチインケースを使って大々的に展開し、SM並みの売場を実現している。アイスクリームではご当地アイスのコーナーも設けた。









キャンドゥの売場は約100坪で、5500SKUを導入したという。同社にとってキャンドゥのフランチャイズとしては2店目。改装前の同店は売場面積も広かったことから比較的広範にホームセンター商材を扱っていたが、今回それをキャンドゥに置き換えた。食器、収納、文具、ネイルケア、さらにハロウィーンやクリスマスといった季節商品のように従来のドラッグストアでは扱ってこなかった商品群でウエルシアの非食品を補完し、来店目的を増やして客数増につなげる。




ドラッグ部門のSKU数は改装前の3万1819から3万2770に微増となり、キャンドゥと合わせて3万8000SKU強となった。

アメリカでは多くのSMに自然にファーマシー機能が付いていて「日常使い」の業態として定着している。その影響で日本でも古くから食品と医薬品を含むドラッグストアの機能を掛け合わせた「フード&ドラッグ」の業態を模索する動きが続いて来た。さらに薬剤師以外にも一部医薬品の販売を開放する動きとなった09年の登録販売者制度の開始によって、その動きは多くのSM企業を巻き込んだ形で活発化したが、結果として現在では医薬品を販売するSMはかなり限られた存在になってしまっている。
これらの動きを踏まえると、「日本においてフード&ドラッグ業態を成立させることは難しい」との考えに至るが、その意味でイオングループがあえて「ドラッグ&フード」というように「ドラッグ」を先に持ってくる形で業態を模索していることに特別なこだわりが感じられる。それは非常に手間がかかり技術も求められる生鮮食品を含む食品をあえて深掘りしない方針にも表れているようにも思える。
一方で、現在ではクスリのアオキのようにM&A(合併、買収)を用いて時にSMを内包することで本格的なSMとドラッグストアを融合させたフォーマットを志向する企業もある。フォーマット、業態がどのように定着していくかはさまざまな要素によって決まるといえるが、前述でのルーラルでの化粧品のように、展開商品の変化によってその店舗の需要が作り出され、お客の購買行動が変わることもあることを考えると、時代の変化も含めた「お客の変化」によって、以前は難しかった業態が成立可能になったりすることもあり得るといえる。
基本は「いかに便利な業態を、採算が取れる形で運営できるか」であるが、その意味でも今後の日本でのフード&ドラッグの可能性も含め、イオングループとしてのドラッグ&フード戦略についても大いに注目したい。損益分岐点を考えると当然、SMよりは低くなることもあって、「ドラッグ&フードの役割としては、ルーラルエリア、SMが成り立たないエリアでの展開はすごく考えられる」(島田執行役員)。

ハックドラッグ戸塚店
所在地/神奈川県横浜市戸塚区下倉田町190-1
リニューアルオープン日/2026年10月24日
営業時間/店舗:8時〜22時、調剤:月〜金9時〜19時、土10時〜19時(日、祝休)
駐車台数/88台(共有駐車場)
売場面積/1988.16㎡(約601坪)、うちCan Do売場約100坪
従業員数/47人(登録販売者12人、薬剤師6人、管理栄養士1人、ケアマネジャー1人)
商圏/半径約2km









