AR(拡張現実)とは? 最新のARグラスや活用事例を交えてを解説

2022.04.22

2022.02.10

現実世界にデジタル情報を融合し、拡張現実を体験できるとして、各業界で導入が進んでいるAR。業務効率の大幅な改善に寄与するtoB向けのAR技術や、スマホアプリ向けに開発されたtoC向けのAR技術など、さまざまである。

本記事では、ARの概要と、混同されがちなVR、MRとの違いをまとめた後、AR技術の活用事例を紹介していく。

AR(拡張現実)とは?

ARとは、「Augmented Reality」の略称で、日本語では「拡張現実」を意味する。スマホやARグラス越しに、3Dデータ、動画などのデジタルコンテンツを、現実世界に重ねて表示できる。

ARの技術は、建設業界、観光業界、美容業界、エンターテインメント業界など、幅広く活用されているのが特徴だ。例えば、建設業界において、更地の現場に物件を建築する際、ARで建物のイメージを再現。建物の外観が周辺環境とマッチングしているか、着工前に親和性を確認できる。

ARでは、現実世界とバーチャルな世界の共存を実現できるが、技術を大別すると下記4種類が存在する。

  • 画像認識型:画像を読み込み、ARコンテンツを表示する
  • 位置認識型:GPSで位置情報を読み取り、ARコンテンツを表示する
  • 空間認識型:空間情報を読み込み、ARコンテンツを表示する
  • 物体認識型:三次元の立体物を認識し、ARコンテンツを表示する

先述の建設業界の例は、更地の空間に立体的な建造物を組み合わせるため、空間認識型に該当する。

近年では、Apple、Google、Meta(旧Facebook)、Amazonといった企業も、ARアプリの開発ツールを提供している。加えて、人気のプログラミング言語でARアプリを実装可能なため、参入のハードルも下がっているのが特徴。

小売業、サービス業、製造業など、一般消費者にもかかわりの深い業界でAR技術は活用され、生活の質も向上していくだろう。

VR、MRの違いとは?

ARと類似した言葉として、VR、MRが存在する。ここでは、ARとVR、MRの違いを解説していく。

ARとVRの違い

VRとは、「Virtual Reality」の略称で、日本語では「仮想現実」を意味する。専用のVRゴーグルを頭に装着し、高い没入感で臨場感溢れる仮想現実を楽しめるとして、ゲーム業界で広く採用されている。また、教育用コンテンツも充実している。ARよりVRの方が、身近に感じる人もいるのではないだろうか。

一見、バーチャルな世界を実現できるものとして、ARとVRは酷似しているようだが、本質は大きく異なる。まず、ARは現実をベースに、デジタルコンテンツを重ね合わせ、バーチャルな世界を再現する。

一方、VRでは、非現実的かつ完全な仮想空間を再現。同じく建設業界を例に挙げると、VRは設計時の建築物と、完成時の建築物のイメージギャップを埋める際に役立つ。

VRで内観や外観を立体的にモデル化しておけば、実際に完成後の物件にいるかのような体験が可能。事前に顧客へ提示しておくことで、設計時とイメージが違うといったクレームも発生しにくくなるだろう。

現実世界と画像、映像などの視覚情報を組み合わせ、部分的に仮想現実を拡張するARと、完全な仮想現実を実現するVRという認識を持っておきたい。

ARとMRの違い

MRとは、「Mixed Reality」の略称で、日本語では「複合現実」を意味する。ARと同様、現実世界と仮想世界を重ねる技術であり、ARを発展させたものがMRとも言われている。

その理由は、現実世界と仮想現実の物体が、相互に干渉するからだ。MRはVRゴーグルのように、頭部にデバイスを装着するのが基本となっている。

物体の位置情報などを取得し、直接デジタル情報にタッチ、入力、操作することや後ろに回り込んでデジタル情報を視認することも可能。ARの場合、デジタル情報を直接操作することはできないが、MRでは三次元形状で空間認識し、仮想現実の物体も操作できる。

MRは同じ仮想空間を、複数人で同時に体験可能なのもポイント。例えば、バーチャル空間を複数人で共有し、一緒の資料や映像を見ながらミーティングも可能だ。

さらに、MRは頭部に装着する専用デバイス以外に、物理的なコントローラーを必要としない。手のジェスチャー動作だけで、仮想空間の物体を操作できる。

現実世界にデジタル情報を再現できるのは、ARとMRで同じだが、自由度は大きく異なると言えるだろう。

ARを体験できる身近なアプリ

昨今では、事業や業務にARを採用する企業も多いが、消費者の身近でもARの技術は活用されている。次に、ARを体験可能なスマホアプリを見ていこう。

ポケモンGO

出所:apps.apple.com

人気のARアプリとして挙げられるのが、ポケモンGOだ。現実世界の街中を歩くことでポケモンに遭遇し、タッチスクリーン操作でゲットできる。単純にゲームを楽しめるのはもちろんだが、ウオーキングの機会も与えられるとして、若者だけでなく中高年からも高い支持を得ている。

ポケモンGOは、位置認識型のAR技術を搭載しているのが特徴。ある拠点とポケモンをひも付けておき、ユーザーが特定の位置に近づけば、スマホの地図上にポケモンが表示される仕組みだ。

ポケモンに近づき捕獲画面へ遷移すると、現実世界にポケモンが現れて画面内を動く。これには、現実環境や物体を空間的に認識し、ポケモンの描画位置を特定するマーカーレス型ARという技術が利用されている。

さらに、ポケモンGOはアップデートされ、AR+という追加機能が実装された。従来、捕獲画面において、現実世界に出現したポケモンとは、距離を縮めることができなかった。しかし、AR+の実装により、ポケモンに近づく、背後に回るといったMR的要素も加わっている。

SNOW

出所:apps.apple.com

加工写真を撮れるとして、若年層を中心に人気の自撮りアプリSNOWにも、ARの技術が導入されている。自撮りを行う際、ARカメラが自分の顔を認識し、動物の耳や眼鏡などのエフェクトを追加可能。

数百種類にも及ぶエフェクトが搭載されており、細かく顔の位置や角度を調節せずとも、写真をかわいくアレンジできる。無料で手軽にCGを合成でき、娯楽として楽しめるアプリだ。

星座早見AR

出所:apps.apple.com

学習用にも活用できるARアプリが、星座早見ARだ。星座早見ARとは、星空にスマホを向けることで、向けた方角にある星座の名前と位置を調べられるアプリ。ARで実際の星座が表示され、夜空の観察に最適なアプリとなっている。

また、ナビゲーション機能で、探したい星座を見つけられるのも魅力。純粋に、星空を観測したい人はもちろん、AR画面と併せて星座のエピソードも表示されるため、教育向けのコンテンツとしても優れているARアプリだ。

最新のARグラス

ARグラスとは、眼鏡型やゴーグル型の専用デバイスを装着し、グラス越しに拡張現実を視認できるウエアラブル機器だ。デバイスに搭載されたセンサーが、現実空間を認識し、デジタル情報と重ねて表示。

スマホ画面を介する必要がなく、作業時やスポーツ時に利用できるデバイスも登場している。ここでは、最新のARグラスを3選紹介する。

Microsoft「HoloLens 2」

出所:www.microsoft.com/ja-jp/hololens

大幅な生産性の向上を図れる製品が、Microsoftの「HoloLens 2」だ。ハンドトラッキング機能を搭載しており、グラス越しに表示される物体を手でつかみ、移動させることも可能。現実世界とそん色ない自然な感覚で、物体を操作できる。

医療現場でも、「HoloLens 2」は活用されている。各病院に点在する、さまざまな分野の専門医が一同に会すのは容易ではないが、リモートで患者の診断情報をリアルタイム共有。バーチャル診断を行うことで、治療までの時間を短縮できる。Microsoftのデータでは、「HoloLens 2」の活用で、病棟回診の時間を30%短縮可能とある。

画面を注視せず、加えて両手もふさがないため、高い精度で作業をこなせる製品だ。

RideOn「Goggles」

出所:https://rideonvision.eu/

スキーやスノーボード時に活用できるARグラスが、RideOnの「Goggles」だ。ゴーグルタイプの製品で、ゲレンデを滑走中にコースのナビゲーションをARで表示。初めてのゲレンデであっても、コースやリフトの場所に迷うこともない。

また、ゲレンデにゲートがAR表示され、くぐることで得点を加算できる。ゲーム感覚でスポーツを楽しめるだけでなく、近くの仲間と会話やメッセージ交換ができたりと、ウィンタースポーツを楽しめる工夫が凝らされたARグラスだ。

Google「Glass Enterprise Edition 2」

出所:https://www.google.com/glass/start/

エンタープライズ向けのARグラスが、Google Glass Enterprise Edition 2だ。46gの小型設計でスタイリッシュながら、800万画素カメラ、タッチパッド、電池パックを搭載。

ビジネスでの活用事例としては、機器のメンテナンス時にARグラスをとおし、作業員が実際に見ている光景を別の作業員に送信。リモートで指示を出せるため、移動コストの削減につながる。

また、倉庫業務において、ARグラスを通して二次元コードをスキャンすれば、荷物の配置位置をチェックできる。両手が荷物でふさがった状態でも、ARグラスで位置を確認でき、作業効率も向上すると言えるだろう。

ARの活用事例まとめ

さまざまな業界において、ARコンテンツの提供やARの実証実験が行われている。ここでは、ARの活用事例を解説していく。

小田急百貨店

株式会社MESONは小田急百貨店新宿店にて、2021年12月8日から1週間、展示されるARアプリケーションの企画、開発を行った。

顧客はブース内の専用スマホを利用し、画面越しにハルクスポーツで販売されているシューズを、デジタル試着できる。実際にシューズを履かずとも、履いた時のイメージを付けられるだけでなく、衛生面にも配慮されたARだ。

デジタル試着をとおし、気に入ったシューズが見つかれば、現実世界の床一面に広がる「氷の惑星」をモチーフとした空間に浸れる。氷床やクリスタルの色の変化を楽しむことができ、幻想的なデジタルヒーリングの空間で、リラックスしながらの購買が可能。また、シューズはそのまま小田急百貨店内で実物を購入できる。

顧客側としては、何度もシューズを履き替え、自分にぴったりな商品を見つけるという手間が一切ない。いやしの空間で買物を楽しみつつ、新型コロナウイルスにも配慮された新しい購買体験と言えるだろう。

店舗側としては、EC(電子商取引)市場が伸長する中、新たな購買体験を提供することで、来店促進を図れる。滞在時間も増え、売上げアップに貢献できると言えるだろう。

新宿謎解きウオーク

SoVeC株式会社は新宿駅周辺の謎解きイベントにて、日常空間にARを表示できる「XR CHANNEL」のアプリを活用し、ARコンテンツを提供した。

「XR CHANNEL」とは、街の奥行きまで認識することで、看板、ナビゲーション、広告、エンターテインメント、教育などのデジタルコンテンツを表示できる3DマップARアプリ。立体の建物の形状を認識し、臨場感あふれるダイナミックな映像を楽しめるのが特徴だ。

謎解きイベントでは、新宿駅近くの5つのスポットを巡り、無料アプリの「XR CHANNEL」でスマホをかざす。新宿の街並みにARコンテンツが表示され、謎解きに挑戦できる。

ARと新宿が融合した拡張現実を楽しみつつ、ゲームにもチャレンジ可能。謎解きイベントは全国各地で開催されているが、ARでこれまでにない没入感を味わえるイベントとなっただろう。

タカショー、KDDI

ガーデニング関連製品を手掛ける株式会社タカショーは、KDDIと共同で、XR体験アプリ「メタバガーデン for MRグラス」の提供を開始した。

KDDIのMRグラス「Nreal Light」と、コントローラーの役割を持つ5Gスマホを利用することで、多様なガーデン、エクステリア商品を実際の物件に、バーチャルで設置可能。顧客は物件の内観、外観に合わせ、さまざまな商品を設置でき、完成イメージのシミュレーションを行える

本アプリは、メーカー側のメリットも非常に大きい。全てバーチャルで施工後のイメージをシミュレーションできるため、展示スペースを確保せずとも、デザイン、カラー、サイズなど多種多様なバリエーションの商品を紹介できる。

また、新商品発売の度に実施するショールームの入れ替えコストや、廃棄物の発生も抑制可能。新たな顧客体験を提供しつつ、環境保全にも貢献できる取り組みだ。

アイリスオーヤマ

アイリスオーヤマはスマホやタブレットから、バーチャルでカラーマスクの試着体験を行えるAR機能をリリースした。全10色、15商品を、実際に顔へ着用せずとも、AR試着できる。

昨今では、ファッション性を意識したおしゃれなカラー、デザインのマスクが登場しているが、実店舗でマスクの試着はできない。しかし、再現性が非常に高いアイリスオーヤマのマスクAR機能を利用すれば、手軽に好みのカラーやファッションに合うカラーを発見できるだろう。

本機能は、スマホでQRコードを読み取り、「マスクフィッティングAR機能」のサイトへ遷移することで利用可能。アイリスグループのダイシン、ユニディの店頭および全国のドラッグストアなどでQRコードは展開されており、気軽にAR試着を行えるのも魅力だ。

イオンファンタジー

株式会社イオンファンタジーは、子どもがタブレットを使用して遊べるARコンテンツを導入し、実証実験を行った。

「キッズーナARどうぶつえん」では、タブレットで店舗内をかざすと、実物大の動物がAR上で表示される仕組み。加えて、動物に関するクイズも出題される。実際の動物の大きさを視認しつつ、クイズにも解答していくことで、動物への興味関心を引ける。

また、「大人気のなりきりタウン」では、AR上で巨大なアイスクリームや寿司を作成でき、新たな遊びを体験可能。普段の日常と違った驚きを体験しつつ、学びにもつなげられるARコンテンツと言えるだろう。

ARのまとめ

現実を超えた世界を体験できるAR技術は、今や業界問わず、企業、消費者向けのさまざまなサービスに活用されている。業務的には、作業補助や人材不足の解消に繋がり、企業が抱える課題の解決も期待できるだろう。

また、商品・サービスにAR技術を搭載することで、顧客体験価値を向上させ、競合他社との差別化や販促にも生かせると言える。昨今においては豊富なARサービスで、比較的導入しやすい技術であるため、自社ビジネスに活用することも検討してみてほしい。

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