消費行動で約3割が「コスパ」「節約と贅沢のメリハリ」意識が増加したと回答、デロイトトーマツ調査
2024.07.30
デロイトトーマツグループは、消費者の価値観・マインド、購買行動の決定要因などを調査した2024年度「国内消費者意識・購買行動調査」を公開した。
2024年4月、全国20歳~79歳の男女5000人を対象にウェブアンケート「国内消費者意識・購買行動調査」を実施。回答結果をまとめた。
調査結果全体を通じて、消費者の購買意欲は拡大の傾向にあるものの、物価高の影響による「コスパ」「メリハリ」「節約」を意識した価値観への変化がうかがえるとしている。
「この数年で変化した価値観」について、約3割が「コスパを意識するように」「節約と贅沢のメリハリをつけるように」と回答。経済的側面に関するシビアさが強まる傾向にある。
結果として、約3割弱の人が「コストパフォーマンスを意識するようになった」「節約と贅沢のメリハリをつけるようになった」と回答している。昨年に続き経済的側面に対してのシビアさは強い傾向にあるとしている。
また、「節約志向が高まり、より低価格なものを購入するようになった」の回答は、世帯年収が少ないほど高い傾向にあり、昨年の調査結果と変化はないものの、高所得層(600-1000万円、1000万円以上)においても昨年調査(13.9%)よりも回答割合が増加(16.6%)している。全体的に昨年より節約志向の傾向が高まったといえる結果になったとしている。
図表① 価値観の変化

昨年と比較し、全ての商品カテゴリー(昨年度調査と比較可能な全てのカテゴリー)において「消費金額が増えた/大幅に増えた」の回答が拡大した。外向き消費の「外食」は15.1%(前年比2.3ポイント増)、「旅行」は14.5%(同2.1ポイント増)など、全ての年代で消費が活発化している。
一方、昨年に引き続き、消費金額の増減の理由として「物価高騰」が上位を占めており、特に「食料品」「日用品」などの生活必需品においては、相次ぐ値上げにより必要に迫られて消費金額が増加していると考えられる。
また各カテゴリで1~3割は「消費金額が減った/大幅に減った」と回答していることから、消費を控える傾向は依然として続いているとしている。
図表② 商品カテゴリ別昨年と比較した消費金額の変化

サステナビリティの言葉や、その意味の認知度は年々向上の傾向にあるものの、「興味・関心がある」の回答は約4割と横ばいとなった。興味・関心の回答を性別・世代別にみると、60~70代の女性、続いて60~70代の男性、40~50代の女性の順番で比較的多い傾向にある。
また、商品購入時に「サステナビリティを意識して商品を選択している」の回答が、各商品カテゴリーでわずかながら増加している。一方で、前回同様に約7割が「サステナビリティを意識して商品を選択していない」と回答。その理由として、2割以上が「サステナビリティを意識した商品がわからない」と回答した。
図表③ サステナビリティへの関心と消費行動

「サステナビリティに関して取り組みを行っている企業に対する意識」では、「サステナビリティに取り組む企業を応援したい」と63.6%の人が回答する一方で、実際にその企業の商品やサービス購入に至る人は14.6%にとどまった。
49%が「サステナビリティに取り組む企業を応援したいが、商品購入やサービス利用まで至らない」と回答し、これについては昨年と大きな変化は見られなかった。
性別・年代別で見ると、女性の各世代では「応援したいと思い、その企業の商品購入やサービスを積極的に利用したい」の回答が増加傾向にある。特に女性の60~70代では、約2割が「応援し商品やサービスを利用する」と回答。「応援したいと思わない」「興味がない」理由の上位は、「役に立つと思わないから」「実態が伴わず上辺だけの取り組みに感じてしまうから」などサステナビリティへの取り組み自体への意義を感じられないことが挙げられるとしている。
一方で、消費者が企業のサステナビリティの取り組みに関して、食品ロス低減の値下げ、リサイクルBOXの設置といった店頭での具体策を見て評価する傾向も示された。企業は、消費者がサステナビリティの重要性や自社の取り組みに共感し、購買に至るまでの施策を検討する必要があるとしている。
図表④ サステナビリティに取り組む企業への意識

調査概要
調査日/2024年4月下旬
調査方法/インターネットを利用したパネル調査(47都道府県)
※総務省統計局2024年4月発行の人口データを元にウエイトバック値を反映