ITFコードとは?意味や表示位置や規定、作成方法、JANコードとの違いなどを解説
2023.06.15

IFTコードは、メーカーや小売業、卸売業などの物流で入出荷や商品を管理するときに欠かせないバーコードだ。例えば物流センターに商品を入荷したとき、一つ一つ箱の中身をあけて商品の個数を確認することはできないが、IFTコードを読み込めば何の商品が何個入ってきたのかがわかる。
本記事では、IFTコードとはそもそもどのようなバーコードで、IFTコードの規定や表示位置、JANコードとの違い、作成方法やメリット、デメリットを解説していく。
目次
ITFコードとは
ITFコードは物流で使用される識別コード
ITFコードとは日本の物流で使用されている識別コードのこと。お菓子やペットボトルなど、商品に付いているバーコードを想像してほしい。IFTもバーコードの一種で、14本の線で構成されている。使われている場所は商品がまとめて入っている段ボールなどだ。
IFTコードには物流で必要となる商品の情報が盛り込まれており、物流の受発注、入出荷、納品、棚卸の管理などで主に使われている。例えば、商品が入荷したときに、段ボールに何の商品がいくつ入っているかは、実際に開けてみないと分からない。
しかし、段ボールに印字されたITFコードをバーコードリーダーで読み取ることで商品点数や商品の種類などの商品情報が分かるため、読み込まれた情報で発注した分がきちんと入荷されているかなどの確認ができる。
GS1とは
GS1とは、ベルギーのブリュッセルに本部があり、世界110か国以上の国と地域が加盟している流通コードの管理及び流通標準に関する国際機関のこと。2005年に国際EAN協会、米国UCC、カナダECCCが統合しGS1が誕生した。
IFTコードはGS1が発足されたときに、14桁が国際標準であると定められた。日本のIFTコードは元々、14桁と16桁のものがあったが、2010年3月までに14桁に切り替えることとなった背景がある。
JANコードとの違い
IFTコードと、商品に書かれているJANコードは何が違うのだろうか。JANコードは、商品に対して、どの事業者のもので、どの商品なのかを識別するコードのこと。買い物をするときにレジでピッと読み込んでいるものがJANコードだ。日本ではJANと呼ばれるが、国際的にはEANと呼ばれている。
一方でIFTコードは、物流で使用される商品情報が組み込まれているコード。お菓子の袋に付いているバーコードがJANコードで、お菓子の袋がたくさん入った段ボールに付いているバーコードがIFTコードというイメージだ。
商品情報が盛り込まれているバーコードという点ではどちらも似ているが、JANコードに組み込まれているのはどの商品で、どの事業者のものかという商品単体の情報で、IFTコードは段ボールなど箱の中にどの商品が何個入っているかなどの商品情報が組み込まれている。「IFTコードの作成方法」で詳しく説明するが、段ボールの中に複数個入っている商品のJANコードを、IFTコードの14桁に含めることでIFTコードは成立している。
ITFコードの作成方法
IFTコードの種類と構成
IFTコードには次の2種類ある。それぞれどのように構成されているか見ていこう。
ITF-14
14桁の数字で表すIFTコードだ。標準ではこれが使われている。
番号の構成は、物流識別コード+JANコード+チェックデジットだ。
桁数を見ていくと次の通り。
物流識別コード・・・1桁(1~8の間のどれか)
JANコード・・・12桁(JANコードの先頭の12桁で最後の桁は使わない)
チェックデジット・・・1桁
ITF-6
ITF-6は重量などで表示するコードで、6桁で構成されている。IFT-14と組み合わせて使用される。
桁数は次の通り。
計量値・・・5桁
チェックデジット・・・1桁
作成方法
標準で使われているITF-14(物流識別コード+JANコード+チェックデジット)の具体的な作成方法は次の通りだ。
①GS1事業者コードの登録をする
IFTコードを作るには、まずGS1事業者コードを申請し、貸与を受ける必要がある。一度受けた事業者は新たに申請する必要はない。
②商品ごとにJANコードを設定する
IFTコードは段ボールなどに入れる商品と同じJANコードを使う。
③物流識別コードを決める
1から8から選ぶことができ、入数や荷姿が変わるときに数字を変更していく。
④チェックデジットを再計算する
JANコードのチェックデジットとは異なるため、チェックデジットを再計算しなければいけない。
IFTコードが作成出来たら、印刷会社などにお願いをして段ボールに印刷をしてもらう。
ケース商品を販売するには
ペットボトル飲料など、ケースごと売られている商品はどうやってIFTコードやJANコードを併記するのか。これは、まずケース商品として新たに13桁のJANコードを設定する必要がある。そして設定したJANコードに0を付けて14桁で表示することで、併記できるようになる。
ITFコードの表示位置や規定
縮小サイズ
ITFコードは、高さは変更できないが横幅のみ縮小ができるため、段ボールのデザインに合わせた大きさのIFTコードにできる。範囲は国際標準で、基本の寸法から0.625倍〜1.0倍。
日本では0.625倍〜1.2倍で縮小・拡大ができるとされているが、GS1国際基準では、0.625倍〜1.0倍の範囲となっている。現在、日本国内で1.2倍サイズで表示することは問題ないが、国際標準に当てはめると1.0倍となる。
表示位置
どこに表示するかにも決まりがある。次の3点だ。
・原則箱の4側面、少なくとも長手の2側面に表示すること
・ベアラバーの下幅と箱の側面に32mm±3㎜の幅があること
・ベアラバーの左右は19mm以上の幅があること
ベアラバーとは、IFTコードを囲んでいる太線のことだ。バーコードリーダーや自動倉庫などでの読み取りが難しくならないように、縮小サイズ、表示位置を守らなければならない。
ITFコードのメリット、デメリット
IFTコードは、作成時や利用時にメリット・デメリットがそれぞれある。
IFTコードのメリット
スピーディーな作業に繋がる
入出荷時の検品作業や、ピッキング作業時では、IFTコードを読み取ることで正確に商品名や個数などのデータを取得できる。精度高く、スピーディーな作業ができ、作業をする方の負担軽減にも繋がる。
縮小できる
バーコードは、黒い線だけに情報が書かれていると思われるが、IFTコードに関しては黒い線の間にあるスペース部分にも情報が入っている。それだけ情報密度が高いバーコードであるため、縮小しても読み取ることができる。
印刷の質に左右されない
段ボールなど印刷がきれいにしにくい箇所でも読み取ることができる。
IFTコードのデメリット
桁落ちの可能性
IFTコードをバーコードリーダーなどで読み取る際に、斜めに読み取ってしまう、一部しか読み取っていないなど、IFTコードをすべて読み取れないと部分的にしか情報を読み込めず、誤認識に繋がってしまう恐れがある。桁落ちを防ぐためには、バーコードリーダーやスキャナをあらかじめ決めた桁数以外は読み取らないように設定しておく必要がある。
IFTコードを活かしてスムーズな入出荷の作業を
受発注や入出荷、棚卸などの物流業務では正確に管理ができないとその後のミスに繋がる恐れがある。IFTコードでは、段ボールに入った商品情報を簡単に読み込むことで作業がスムーズにできるようになる。IFTコードの作成や段ボールへの印刷といった手間がかかるが、IFTコードを導入して円滑な作業にしていくことを考えてみてはいかがだろうか。