2024年直前対策 どうする? うなぎ商戦 「土用の丑」編
2024.06.12
今年の「土用の丑」は7月24日(水)。昨年の「土用の丑」は7月30日(日)。
今年の土用入りは7月19日(金)。「二の丑」は8月5日(月)。昨年は国産うなぎ高値の影響で7月前半は厳しかったが、土用期間(土用の丑までの5日間)では前年実績を越えた企業が多かった。
丑当日では土日で購買客が分散したのか、多くの企業が80~90%台と苦戦した。月間を通すと、前半のマイナスをカバーしきれず前年割れした企業が多かった。
昨年の状況をまとめると次のようになる。
①天気…梅雨明けは平年より3日遅かった。全国的に晴れ。東京最高気温36.6℃。
②製品相場…国産1.5割高、中国産1.5割高。大型サイズ中心。大手スーパーマーケットはジャポニカ種中心、市場流通品はロストラータ種中心。
③商品傾向…好調商品・は国産、中国産共に特大サイズが好調。うなぎ弁当も好調。不調商品は国産主力サイズ(60~70匹サイズ)。国産高付加価値商品、中国産小型サイズ、中国産串焼き。
④その他…予約パンフレットは直接的な商品の値引きを避け、限定品、付加価値商品の訴求が増えた。大型サイズの訴求ポイントは「今年は1匹を家族でシェア」といったシェア提案が多かった。また、家族向けにハーフカット3切れパックが多くみられた。中国産の構成比が高まった。一昨年よりも中国産の構成比が5%ほど高まった。
今年も相場高、スライスうなぎを徹底活用
その上で、今年の状況と対策をまとめると次のようになる。
国産が昨年来の高値継続、中国産が昨年よりも1.5割高となり、昨年よりも厳しい相場環境の中でのうなぎ商戦となる。
特に国産の売価は1匹2000円超えが多勢となっており、普段の場面では売りにくい売価となってしまった。ここまでの高値相場となると、店舗で生ウナギから焼き上げ(1匹2580~2980円)、差別化を狙う企業、店舗が増えているのもうなずける。しかし、どの企業でも生ウナギをかば焼きにして販売できるわけでもない。
7月に入ると売価高によるロスが怖くても、売場の面は拡げざるを得なくなる。
今年は7月19日(金)の土用入りまでは真空包装うなぎを拡販してはどうか。真空包装は1匹当たり70円前後、包装経費が余計にかかるが、消費期限をD+4からD+28~30程度に延長できる大きなメリットがある。1匹2000円を超える高額商品が陳列して4日目で値引きが発生し、5日を過ぎれば廃棄となってしまうというリスクが大幅に減る。
値引き、廃棄が5日に1回なのか、30日に1回発生するのかの違いは大きい。当然ながら、真空包装うなぎで売場の陳列量が増せば売上機会も増え、売上げが拡大すればロス率は減る。
昨年の「土用の丑」の傾向として、うなぎを1人1匹でなく、特大サイズ1匹を家族でシェアする購買パターンが増えた。具体的にはハーフカット、3分の1カット、スライスうなぎなどの動きが良かった。
今年もハーフカットやスライス商品を増やす。販売メインはハーフカット3枚入り、他にはスライスうなぎの拡大。スライスうなぎであれば、家庭で3人前、4人前など人数に応じた食べ方が自由にできる。
もう1つの傾向として相場高の中、1匹単価が高くなり過ぎたのを惣菜化、付加価値化することで値頃追求する傾向がみられた。
具体的には、うな丼、うな重、うなぎ寿司、う巻き、ひつまぶしセットなどの1人前1000円未満の展開が増えた。今年も、このような対応が必要と考えられるが、こうした商品の定着には時間がかかり、商品化の習熟にも時間を要す。
7月の「土用の丑」間際になって焦らないためにも商品規格を早めに決定し、7月に入ってからの週末ごとに試し売りをするなど対策が必要と思われる。
今年のうなぎ商戦において7月19日の土用の入りから7月24日「土用の丑」までの6日間が最も重要な期間となる。特に7月20日、21日の週末は「土用の丑」次ぐピークとなるとみられる。
図表 「土用の丑」を100とした場合の売上指数予測
今年も実施したい匂い出しと料理サンプルの提示。中でも匂い出しは昨年、実施した企業、店舗では効果大であったようだ。