帝国データバンクが2023年「クリスマスケーキ」価格についての調査分析を公表

2023.12.06

帝国データバンクは、予約販売が本格化する2023年冬シーズンの「クリスマスケーキ」価格について、調査分析を行った。

<調査結果(要旨)>
・今年のクリスマスケーキ、平均4468円 前年から325円アップ、2年で1割超の「大幅値上げ」
・4年ぶりの「平常」クリスマス 消費者の購買意欲アップに期待も「値上げ疲れ」懸念

※1 全国の大手コンビニエンスストア・百貨店・スーパー・洋菓子店などのうち、前年と価格が比較可能なオリジナルケーキブランドを対象に調査を行った。比較対象は100社・ブランド。標準的な苺ショートケーキ5号サイズ(ホール)、または目玉ケーキの税抜価格

※2前年と比較できないケーキ(企業)があるため、一部22年時点と調査対象が変更となっている。なお、入れ替え対象のケーキについては21年に遡って価格データを再集計しており、データの連続性には問題がない

調査機関:株式会社帝国データバンク

■今年のクリスマスケーキ、平均4468円 前年から325円アップ、2年で1割超の「大幅値上げ」

今年のクリスマスケーキは「値上げの波」をより実感することになりそうだ。全国の大手コンビニエンスストアや百貨店、スーパー、著名な洋菓子店など計100社で販売されるクリスマスケーキの価格(ホール型5号、4~6人向けサイズ)を調査した結果、2023年冬シーズンの平均価格は4468円(税抜)だった。

1年前(22年冬、「昨シーズン」)の4143円に比べて325円、率にして7.8%の値上がりとなった。本格的な値上げラッシュが始まる前の21年冬シーズンに比べると、529円・13.4%の値上がりとなり、クリスマスケーキは2年間で1割超の大幅値上げとなった。

前年から価格が上昇したケーキをみると、値上げ幅として最も多いのは「500円以上」と「300円未満」で、それぞれ20社に上った。500円以上の値上げは百貨店や洋菓子店において主力となる4000~5000円台の中高価格帯ケーキで、300円未満の値上げは量販店やスーパーなどで販売される3000円台のケーキに多くみられた。

以下「400円未満」(18社)、「200円未満」(14社)、「500円未満」(9社)と続き、調査対象の100社のケーキのうち、昨シーズンから前年から価格が上昇したケーキは81社に上った。ただ、500円以上値上げした企業は昨シーズンに比べて倍増した一方、値上げ幅を「200円未満」に抑えた企業は14社・10社減となるなど、大幅値上げを決断したクリスマスケーキが目立った。

2023年のクリスマスケーキは、昨シーズンに続き原材料価格の高騰による影響を大きく受けた。ケーキの原材料価格(店頭販売ベース)をみると、スポンジの原料となる小麦粉(強力粉)の価格は比較的落ち着いた水準で推移した。

しかし、春先の「エッグショック」以降、価格が高止まりする鶏卵、砂糖や牛乳など、主要原材料の多くが足元で前年比1.2倍前後の値上げとなったほか、猛暑による植栽遅れといった影響を受けたイチゴは最大で1.5倍超に高騰している。

さらに、12月には大手乳業メーカーでバターが一斉値上げとなり、一層のコストアップが見込まれる。食材以外にも、テイクアウト用の化粧箱や食品フィルムなどの資材費、電気・ガス代、人件費も高騰しており、昨年よりも原材料価格高騰分を上乗せして値付けするケーキが多い要因となっている。

■4年ぶりの「平常」クリスマス 消費者の購買意欲アップに期待も「値上げ疲れ」懸念

クリスマスケーキの平均価格は前年から300円超アップし、前年を上回る値上げとなった。2022年冬シーズンは原材料価格の動向が見通しづらく、値上げ幅を小幅に抑えたケースが多かった。

ただ、今シーズンは「例年通りの価格では利益が見込めない」といった声も聞かれ、ほぼ全ての原材料で価格が高騰したことも、大幅な値上げを後押しした。加えて、4年ぶりにコロナ禍の制限がないクリスマスを迎え、消費者の財布が緩むことを期待した「値付け」も多いとみられる。

一方で、今年1年間で値上げされた食料品はバブル崩壊以降で最大級の3万品目超えとなり、家計では月3700円分の食費「節約」に動くなど、値上げへの抵抗感は昨シーズンに比べて強まっている。

足元では他の食料品同様、クリスマスケーキでも高額品の買い控えや低価格品への人気集中といった「値上げ疲れ」の兆候も一部で聞かれ、大幅な値上げが消費者に受け入れられない可能性もあり、今シーズンのおけるケーキ商戦の成り行きが注目される。

お役立ち資料データ

  • 2023年 下半期 注目店スタディ

    2023年下半期注目のスーパーマーケット7店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・オーケー/銀座店 ・ヨークベニマル/仙台上杉店 ・ベイシア/Foods Park 津田沼ビート店 ・ヤオコー/松戸上本郷店 ・カスミ/…

  • 2023年 上半期 注目店スタディ

    2023年上半期注目のスーパーマーケット5店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・ ヤオコー/トナリエ宇都宮店 ・ サミットストア/川口青木店 ・ 原信/紫竹山店 ・ ライフセントラルスクエア/ららぽーと門真店 ・ …

  • 有力チェーントップ10人が語る「ニューノーマル時代のスーパーマーケット経営論」

    有力スーパーマーケットチェーンの経営者10人にリテール総合研究所所長の竹下がインタビューを実施し、そのエッセンスをまとめています。 インタビューを通じ、日本を代表する有力トップマネジメントのリアルな考えを知ることができ、現在の経営課題の主要テーマを網羅する内容となっています。 変化する経営環境において、各トップマネジメントによる現状整理と方向性を改めて振り返ることは、これからの新しいスーパーマーケットの在り方形を模索する上でも業界にとって大変有用と考えます。 ぜひ、今後のスーパーマーケット業界を考える材料としてご活用ください。 ■掲載インタビュー一覧 ライフコーポレーション 岩崎高治社長 ヨー…