ザ・トップマネジメント 「オーケー 二宮涼太郎社長」:2021年新春特別版インタビュー

2022.04.12

2021.01.03

注力分野は「全部」、非食品も強化してワンストップ、ディスカウントの魅力に磨きをかける

オーケー二宮涼太郎社長

——2020年は新型コロナウイルスの影響が大きかった。

二宮 皆さんそうだと思うが、激変だった。需要が変化したり、お客さまの買物行動も、頻度を減らすということが本当に定着してきた。いままで考えていたことと、がらっと変わったように思う。

一方で、われわれがやることはそんなに大きくは変わってはいない。少なくともお店に関しては、いまの新しいお客さまの消費に合っていないということはない。

むしろ、経済環境は非常にこれから厳しくなる。改めてディスカウントはお客さまがお店を選ぶ重要なポイントかなと思うので、ますます磨きをかけたいと思う。

長期的には人手不足であるが、足元では人が採りやすくなったので、将来のためにいま、その面をしっかり態勢を整えていきたい。

——環境的には、EDLP(エブリデーロープライス)でまとめ買いというオーケーの店がマッチしている。

二宮 いまはある程度チラシも復活しているが、われわれはコロナの中でも特に何も変えずにやっていた。明らかにオーケーで買物した方がさらに安いということで、新しいお客さまに少しは来ていただけたかなと思う。やはり、若いお客さまが増えているようだ。

非食品を含めてワンストップショッピングができ、さらにディスカウントの価格政策を採るフォーマットは、まとめ買いが志向される中で大きな支持を得ている。写真は20年から水平展開が始まった防災売場

——客数より客単価が上がる傾向は変わらないか。

二宮 それについてはそう。いままでは(客単価も)、とにかく延べの客数で割って(算出して)いたが、ほとんどのお客さまがオーケー(クラブの)カードを使っていらっしゃるので、改めてIDを見ながら、もともといるお客さまがしっかりお買物をしていただいているか、新しいお客さまがどれぐらい増えているかなどをしっかり見ている。

——来期以降も客数は増えづらいと考えるか。

二宮 そうだろうと思う。いままでとは状況は違うだろう。ただ、とにかく売上げを追いかけてやっていきたい。

惣菜も商品力次第で売上げは伸びる、見直しをどんどんしていく

——足元の売上状況はどうか。

二宮 9月は前年(19年、消費増税前の駆け込み需要で)だいぶ伸びたので、前年で見るとそれまでの月とは違うトレンドではあるが、10月は落ち着いてはきたものの、数字はそれほど悪くはない。9月についても、去年は(非食品の売上高構成比も高いことから)ドラッグストア並みに伸びていたので、なかなか山は高かったが、前年比ではプラスになった。

11月は、10月よりは少し良く、再びアップトレンドという感じは受ける。やはり、10月の、感染自体もちょっと落ち着いてきたという雰囲気から、感染が増えてきたというところでは、(春と同じように)売上げが増えた。ただし、3月とか4月の「とにかくまとめ買い」みたいなものとはだいぶ状況は違うとは思う。

——新型コロナウイルスの影響で、売上高構成比に変化が起こっている。

二宮 伸び率で単純に考えると、コロナの中で生鮮3品は伸びた。グロサリーは部門ごと伸び率はだいぶ違うが、全般的にはグロサリーも好調。惣菜は、前年割れはしていないが、コロナの中でいうと少なくとも波に乗る感じではなかった。いままでの昼ご飯需要が確実に落ちてしまっていることはある。

一方で、社内で言っているのは、「ロースかつ重」など売れている商品は、別に惣菜が悪いからと言って売れ行きが落ちたりしていない。むしろ伸びている。やはり、商品力でまだまだ売上げは伸びるということで、商品の見直しをどんどんしていく。

特に惣菜などは、特に土日にもっと売上げが取れるのではないかというところに課題を感じている。土日には訴求を大きくして、ご家族用として買っていただけるような品揃えは特に意識してやっている。

——今後の注力分野は。

二宮 「全部」になる。基本は食品がメインのスーパーなので、そこはいままで以上に力を入れるのは当たり前のことだが、非食品も、われわれもそれなりに売場を取っているし、割合もそれなりにある。特にワンストップだとか、ドラッグストアがいろいろ拡大してきていることに対しては、改めてわれわれの売場の魅力をもっと高めたい。

例えば、カテゴリーの中で改めて価格帯を見て、商品の見直しを進めている。何となくドラッグストアに取られているところを、しっかりとオーケーである程度の需要を取るようにしていく。

国道16号線の内側に積極的に出店していく

——新型コロナウイルスの影響もあって都心の店が厳しくなり、郊外の出店が注目されている。出店戦略に変化はあるか。

二宮 全く変わらない。「国道16号線の内側全部」という考え方でいままでやってきている。都心にも出店したいし、郊外にも出店したいということで物件を探している。よい物件が出てきたら出店する。やはり、ある程度(都心から)離れても、人口がいて、売上げが見込めるところには出店したい。

もともとわれわれオフィスだとか駅前の店はあまりない。結果としてそういうところ(の売上げ)が落ちているのだろうが。都心もどんどん出したい。

——飲食店の跡地などはどうか。

二宮 飲食(店の跡地)はやはりちょっと狭い。まず、ビルインなどは全然(出店基準に)合わない。例えば、ファミリーレストランの跡地は、なかなか出店できないエリアだったらありかな、という大きさだが、それでも大きさ的にはちょっと小さい。いろいろ探している中にそういうお話も確かにある。

——年間10店ペースの出店を志向しているが。

二宮 10店と言いながら今期は遅れなどもあって6店になりそうで残念だが、21年はがんばる。物件自体がやや停滞傾向にある感じがしなくもない。

——12月1日には埼玉県所沢市に所沢店をオープンした。

二宮 お話をいただいていた。所沢には出店したこともなく、どちらかというと出店したいエリア(首都圏の都市部)からはだいぶ外側だが、いただいたお話だし、新しいマーケットに出てみたいと思った。国道16号線の内側ということもあって出店した。

いまは人手を採用するチャンス、態勢づくりに注力

——今期、経営数値は計画より上振れしているか。

二宮 もちろん、それはそう。他社もそうだろうと思う。特に上期は非常に良い数字で、下期は上期ほどではないと思うが、それでも前年に比べると数字は少し底上げされている感じはする。

——それに伴って投資を増やすなどの計画はあるか。

二宮 例えば改装について、特に早めようということはない。どうしてもある程度本格的な改装をやろうというとき、工事をする上で閉店しないとできないお店があるが、20年はコロナでお客さまの食に対するニーズ自体が非常に高まったので閉店改装を一切やらなかった。もともと計画があったが、改装についてはむしろ来期に後回しにした。

出店については、どんどんしていきたいというところだが、その意味では人手が結構採れるようになったことは前年とだいぶ経営環境が違うかなと思う。特に人手が採りにくかったところなどはしっかり人手を採って、改めてしっかり教育しながら、より売上げが取れる態勢づくりがいまの時期、できると思っている。

中途採用なども本当に採りやすいので、いま非常にチャンスだと思う。そこはしっかり固めながら、物件の方も遅れを取らないようにやって、出店ペースはむしろ上げたいと思っている。

——レジはセミセルフが基本になっている。

二宮 そうだが、店によってはフルセルフを導入している店もある。この時期でも、場所によっては人が採りづらい店もあるので、そういうところはレジが開けやすいフルセルフでやっている。トータルではセミセルフが(チェックアウトの時間は)早いのかなとは思う。

——PayPay、LINE Pay、楽天ペイ、au PAYに加え、11月からはd払い、メルペイの取り扱いを始めるなどスマホ決済を積極的に導入、キャッシュレス決済にも注力している。

二宮 各社の営業もある他、お客さまの声もあって試しに導入している。やはり、トータルでスマホ決済も入れたキャッシュレスの比率はずいぶん上がった。一方でクレジットカードの比率も落ちておらず、ご利用も安定して増えている。まだ、現金のお客さまがマジョリティだが、キャッシュレス比率は3割は超えている。ただ、キャッシュレス比率自体の伸びはだいぶ落ち着いてきたかなとは思う。

スマホ決済は6ブランドの取り扱いにまで拡大

——ネットスーパーへの参入は。

二宮 やはり、コロナで改めてお客さまがすごくご心配をされて、明らかに買物頻度は下がっている。研究中で、タイミングや形はまだ言えないが、ネットスーパーには取り組みたいと思う。

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