ザ・トップマネジメント 「新」スーパーマーケット論 カスミ 山本慎一郎社長

2023.08.22

2023.08.21

アプリの後にあえてプラスチックカードを導入、デジタルの買物の入口に

――カスミは茨城県地盤で、どちらかというと地方での展開が中心だ。首都圏の人口密集地とは違う難しさがある。

山本 人口動態の問題がある。われわれのところでも、(自社で手掛ける)移動スーパーがどんどん増えていて、いま60台ぐらい展開している。増えていくのは買物アクセス困難者の数が増えているということだろうし、やはり高齢者が増えて、胃袋が小さくなる、あるいは施設に入り家庭内での喫食の機会がどんどん減っていく。

短期ではなくて、中長期的な課題に対して、どうやって対応していくかということが、まずある。1つは高齢者が増えるなど、世代がシフトしていくことに対して、われわれのいまの出店エリアでどのようなことを考えていかないといけないか。

もう1つは、俗にいわれるMZ(ミレニアル、Z)世代、あるいは次のα世代(2010年ごろから20年代中盤にかけて生まれた世代)に対して、これまでの既存のスーパーマーケット(SM)では多分だめなのだろうなという思いが非常に強い。

やはり、ナショナルブランド(NB)を購買する場所とか、機会はもはやSMの独壇場ではないのは当然だろうし、この分野に関してはドラッグストアなどが出てきているし、コンビニエンスストアに関しては、すでにそのNBさえなくしつつある。

どこででも買えるものは本当に、どのチャネルでも買えるようになったというのは、1つ大きな課題。これが競争環境の問題。

顧客を考えてみれば、調理する人がどんどん減っている。これはそう考えれば、われわれが調理しないお客さまに対して、どういう風なサービスを、どういうものを持ち込んでやるか。各社各様のアプローチをしているが、われわれも、われわれ自身でまた別のアプローチを図っていくしかない。

2種類あると思う。調理しないから料理を、というアプローチもあれば、調理というと日々のルーティンだけではなく、料理も1つの文化だみたいなことで考えると、料理教室が繁盛していたり、レシピ本がたくさん出ていたりと、日常の調理に関する関心は失われているかもしれないけれど、料理そのものに対する関心は失われていない。

SMのこれまで生鮮の素材売場は、「日常の生活の原料」ということでやってきたが、それではなかなかフィットしない。これは確実なトレンド。各社、そのような意識の下に、いろいろなアプローチをしているし、われわれもそうだ。

あえてアプリの後にプラスチックカードを発行

――新フォーマットのBLΛNDE(ブランデ)はその答えの1つということか。

山本 1つの実験になる。われわれはR&D(研究開発)をやるのだということだ。なぜR&Dかというと、いままでは日常の原材料の売場しかつくってきていないため、当然、分からない。分からないから、それに関してある意味、振ってしまう。日常の原材料ではないようなものをいっぱい実際に販売し、お客さまのニーズがあるかどうかを考える。

当然、単に原料で販売するだけでなく、それを原料素材に使って、それを加工していくことを店内で続けていく。この両面。

(オープンから)1年半経つが、ある意味でのマーケットの認知は得られたし、一定量のマーケットが存在するという確認もできた。

――有料を含む会員数を設けているのが特徴になっているが、どのぐらいになっているか。

山本 1万1000人を超えている。数はまだ少ないが、東海中央店(茨城県東海村)のように(ブランデ的な)設備があるところはお客さまを募集している。

これについては、いまはまだスキャン&ゴーの会員数に比例する。スキャン&ゴーの会員比率、つまり利用率が高いところは会員も多い。ブランデの2店舗も利用率が高く、会員も増えている。

(会費が年間税込み5000円の最上位の)ゴールドが最も多く、全体の4割以上を占める。次いで無料のブロンズが続く。しかも、ロイヤルティプログラムの一環のため、ゴールドの場合、年間12万円の購買額があれば自動的に更新になる。月間1万円であるため、それほど高いハードルではない。あくまでロイヤルティを重視した施策としている。

2号店ではゴールド会員向けのラウンジを設けている

さらに上のランクをどうするのかという話もあるが、まずはロイヤルティプログラムをどのように動かすかということがある。

これから取り組みを広げていくには、3つの問題がある。まず、明らかに理解できたことは、チェックアウトの方式などを既存のレジの形と違うようにした店はレート(使用率)が上がる。チェックアウト設備によって大きく変わる。

ブランデでは、決済においてスキャン&ゴーを強力にアピールする

例えば、いろんなところでチェックアウトの機械があること。例えば、ベーカリーでパンを買う、もしくはデリカなどで惣菜を(対面などで)買ったとき、普通は離れていても中央レジに行くことになるが、それがその場で決済ができるとすれば利便性が上がる。

有人のレジを置くことは大変だ。いまはどこのスーパーでもベーカリーコーナーのレジはなかなか置けない。だからそこに対して、チェックアウトの設備を設置している店はやはり上がる。従業員にしても、スキャン&ゴー(でセルフサービス)のため、現金の出し入れもない。

一方で、流入策をどうしようという話があって、スキャン&ゴーのサービスの中では通常の特売のサービスをしているわけではない。商品別の電子クーポンを出して、訴求していくみたいなことをやっている。デジタル側の世界は、どちらかというと、チラシのようにマジョリティに向けたものではなくて、購買に応じた、もう少し細かいことをやっていきたいと考えている。

ただ、それだけだとやはりハードルが高い。アプリをインストールし、個人情報、パスワード、決済手段を登録するというのは結構ハードルがまだまだ高い。それはなぜかというと、われわれのお店は顧客層の年齢が高いから。

当然、客層が若い店は(スキャン&ゴーの)レートが高い。そうはいっても、われわれもメインのお客さまも重要だ。

そこで、6月からプラスチックカードの「スキャン&ゴーカード」を始めた。普通はプラスチックカードから始めてアプリに移行するが、われわれは逆。

われわれはサービスと共にアプリが先にできたが、そのサービスを、アプリを使っていないお客さまにも使っていただこうと考えた。実はこれは最初から考えていた。順番にやっていこうと。

それはなぜかというと、まずはスキャン&ゴーのサービスを拡充させていくことを目的にしていたからだ。それができてきたら、それをもっと広く展開していくということで、カードで行う。決済手段として、クレジットカードやスマホなどをひも付ける必要がなく簡単な現金チャージのイグニカマネーを使えるようにしている。

これまでシニア層などには紙のクーポンを出していたが、それをこのカードに持ってこようと思っている。紙のクーポンはやめようと。なぜなら、紙の量、ごみの量がすごい。環境にもよくない。

これを使ってポイントを貯める、それで貯まったポイントをスキャン&ゴーのアプリに移行する、そういった流れで考えたい。アプリはポイントが1ポイント単位で使えたり、ダイレクトにメッセージが来たり、即時にクーポンも配信されたりするなど使い勝手はアプリの方が良いからだ。(アプリへの)入口として取り組もうということだ。

アプリに移行しても、クレジットカードを登録しなくても、決済手段を現金チャージのイグニカマネーでも使えるようにした。大学内の店ではクレジットカードを持てない人も多いためかPayPayの現金チャージを使う人が多かったこともあって、現金チャージに対応した。

だから、このカードをシニアや学生などに対する入口にしようと。それでアプリが意外と便利だと分かってもらえて、移行が促進されればと考えている。

マスメリットは再定義しなければならない

――一方で、セルフレジも無人決済の手段として業界では導入が進む。スマホの優位性は。

山本 セルフレジであってもレジのスペースをそれなりに必要するが、本来、レジのスペースは何も生まない。デバイスがスマホかどうかは別にしても、過去のレジのデバイスではないだろうなと思う。いまのところスマホは情報の発出と、お客さまに情報を受け取ってもらえるという利点がある。

これからいろんなことをやっていく。商品を探したり、ある場所を通りかかったときにクーポンを出したりといったことは、いまのところスマホだからできるという側面がある。

お客さまは何を期待してお店に来ているのか、われわれが本当に提供しなければいけない価値は何かということをもっと直接的につかまえたいということが目的だ。

オンラインデリバリーによるネットスーパーでの買物も含め、キャッシュレスの買物を誰でもできるようにしようと。これはある意味、標語は簡単で「デジタルサービスの民主化」をやろうということだ。「誰でも使えるものに」ということ。

オンラインデリバリーは即日配送も始めたし、オーダー&イーツといって店内外に向けて運ぶサービスも始めた。

われわれの大きな課題はどう認知を上げるか。ネット上でのマーケティング活動がまだまだ弱いという意味では、そこを強化しなければならない。ブランドだとか、ウェブデザインなどを一新していきましょうというのがいま。順番にロゴを変えていったりしている。当然、ウェブ上での露出の在り方も変えていこうと。

ビジネスでいうと、ブランデで追求していた価値はお客さまにある一定数、受け入れられそうだということが分かった。次のわれわれの企業としてのアプローチは、この価値をどうやって広げていくか。

R&Dの拠点であるため、チェーンストアで普通得られるようなメリットを享受していない。例えば加工センターの場合、普通のお店はそのセンターがあるおかげで店内の工数が軽い状態で済む。これはチェーンストア理論のとおり。それとは違う。

それではなぜ、ブランデをつくったのかというと、われわれが過去から持っているアセットのレベルの標準化では、いまのお客さまのニーズには多分対応できなくなりつつあると思っているから。

例えば、精肉の切り方をどうするか。お客さまによっては、バーベキューに行くから塊のままで買いたいという人もいれば、薄切りが良いという人もいる。いろんな用途がある。それをセンターに集約するとある程度、両端を切り捨てるしかない。真ん中しかない。

ブランデでは、直営の精肉で店内加工を大々的に実施

多品種少量ではなくて、品種が少なくて大量販売に向いているパターン。このパターンだとやはり難しい。だから、過去、当社においては例えば精肉でいうと基本的には自社では店内加工はやらない。センタープラスコンセッショナリーということで00年ぐらい以降はフードスクエアの業態をつくってきた。

デリカも同じ。(子会社の)ローズコーポレーションの他に、もっと専門性の高い中華のような分野はみんなコンセッショナリーに振ってきた。

店は本当に標準的な、限定された範囲の中で効率性を高めようとしてきた。これではやはりマーケットにとっての価値は落ちていくという認識を持っている。だから、この価値をもっと多様化しなければいけない。

一方で、「マスのメリットを狙うところはどこになるのか」をもう一回、再定義しないといけない。ただ、いきなりマスメリットの再定義から始めると、(潜在的な)マーケットサイズがどうか考えないといけないという問題が出てくる。そこで、それを探るために、ブランデのような取り組みを行っている。

ブランデでは店内で、どんどん開発している。当然、開発コストはかかるが、ここで研究・開発したものをいかに今度は、マスにしていくか。単純にあるメニューをたくさん作ることもあるだろうし、もっと違う意味でのマスメリットも考えられる。

単に製品を作るだけではなく、例えば、原材料のここからここまでの範囲をマス化したらどうかといったことだ。要するに幾つかのアイデアで、これまでのチェーンストアのベースにあるマスメリットの享受の在り方みたいなことをおそらく考え直す必要があるのだろう。

だから、ブランデをやってみて得た成果の1つに、「マスメリットの作り方をもう1回考え直す必要がある」といったことがある。

お客の利便性を考えた店を、プレーヤーを組み合わせて実現する

――確かに1店でやっていても限界がある。いかに全体に波及させるかが大事だ。

山本 そう。他にもNBの比率を意図的に落とすことによって、お客さまの購買行動がどうなるかといったことの知見も得られた。また、鮮魚についても入ってきたものを加工・調理して回すとどうなるかといったこと。ある一定の確証は得られた。

だから、この後やはり、やらなければいけないことは、新たなマスメリットをどうつくるか。お客さまの需要は分かった。今度は、マスメリットも含めたビジネスとしての採算性をどう高めていくかが次の課題になる。既存店も含めて、その価値をどのように出すのか。

別に(ブランデの)、次の出店計画がないわけではない。今期ではないが、すでに次の出店計画はある。

――地域ごとに店舗のまとまりで、大きな1店で考えるという考え方だ。

山本 茨城県で土地がたくさんあるところで、例えば売場面積600坪、700坪のお店を過去はいっぱいつくれた。だんだんその余地は減っている。しかも、人口が多い商圏に関してはもっと減っている。そんなにお店をいっぱいつくれない。一方で地代家賃、建設コストは全体的に上がっている。

その中で、過去の環境をベースにしたような出店は当然、できない。そのとき、どんな風に変えるのかという問題。

昔からそうではあるが、やはり日常性の高いところと週末の需要の高いところとでは、ある程度、役割分担がある。せっかくチェーンであるので、それぞれの店が1店で全部、フルセットを毎回そろえる必要がないし、役割分担すれば良いと思う。

さらにそれを企業の内部だけではなく、外も含めた役割分担をいっしょにやれば良いと思う。

――他社の商品も物流に載せるといったような。

山本 そうだ。例えば、ブランデ1号店(つくば並木店、茨城県つくば市)では、スキャン&ゴーを(共同出店する)ウエルシアの商品も含めて使えるようにしたし、古河の店ではダイソーの商品も同じレジを通って決済できるようにした。

ブランデつくば並木店は、ウエルシアと売場が一体化している。スキャン&ゴーも共有できている

これまでのネイバーフッドショッピングセンターの壁を越えて、店ごとにやるのではなく、もう少しお客さまの利便性を考えたお店を、いろんなプレーヤーとの組み合わせで、協業でできるのではないかということだ。

まだ、ウエルシアやダイソーはオンラインデリバリーには対応していないものの、それはネットで配達する場合も同じ考えでやっていく。

少しずつでも良いからデジタルの買物を体験してもらう

――U.S.M.Hは企業連合としては大きいが、カスミなど個別の事業会社ごと、地域とのWell-being(ウェルビーイング)をテーマとして重視している。

山本 われわれはビヨンドSMと言っているが、やはり基本的にSMは地域産業。リアルの店舗でいったらせいぜい1、2km、オンラインデリバリーでも5、6kmの商圏。そういうローカルの中でのビジネスだから、販売側もローカルだし、他のお店のピックアップも含め調達側もローカル。

やはり人口が減っていく中では、これまでのSMのやり方が果たして今後も通用するかが問われる。客数が減るわけだから、コスト効率含め、ビジネスの在り方も含め変わらなければいけない。

――移動スーパーは効率面ではどうか。

山本 売れるルートの店はやはり売れる。ただ、当社は買物アクセス困難者のところを回っていて、特に行政とタッグを組んでやっている。「お客さまがいそうだから」ではなく、本当に困っている人がどこにいるのかを聞いて、行政からエリアの各地区に落としてもらって、「ここに来てもらいたい」みたいなものをいただいて、そこにルートを作る。それで時間を決めて、ぐるぐる回っている。

市町村によっては、「こちらも」「こちらも」ということで、車が2台になり3台になりといった形で増える。これは当面の間、続くだろう。

――最終形はどうなるか。

山本 最終形はやはりオーダーをしてもらって、デリバリーになるだろう。ただ、やはり、いま移動スーパーで回っている買物アクセス困難者は、ある種、デジタル困難者でもある。いま、移動スーパーでは実際には予約を受けている。

「次回はこれを持ってきて」とみたいなものがだんだん増えてくる。いまは従業員がデジタルで(代わりに注文などを)やっているが、それが、最終的にお客さまがデジタルでやるようになればもっと良いよねと。

ローカルビジネスと言った意味は、これまではリアルの店舗だけだったが、OMO(Online Merges with Offline)は単に遠くのエリアにシッピング(発送)するということではなくて、まさにローカルのエリアのラストワンマイル、ならぬ0.5マイルといった範囲での物流になる。

ベースにあるのは、このデジタルを使った買物体験をとにかく、入口から少しずつでも良いから皆さんに体験してもらわないと進まない。そのためにスキャン&ゴーカードがある。ちょっとずつでも触れてもらう。

いろいろ考えられる。例えばまだこの機能はないが、自分のスマートフォンでカードのコードを読めば自分のポイントが見えるといったサービスなどが考えられる。それぐらいであれば、デジタルリテラシーが低くてもできる範囲があるはずで、そういったものを今後、段階的に探っていく感じだ。それをやっていくうちにだんだんデジタル生活になっていくといったようなことを描いている。

セルフチェックアウトのセルフレジの比率はすごく増えている。直近のデータでは約66%になっている。高いお店では9割を超えている。有人レジは少ないが、そこに行くよりもお客さまはセルフチェックアウトに並んだ方が早いと分かっている。

高齢者でも銀行のATMや病院の精算について、セルフ化に対応している。できないわけはない。最初は戸惑うかもしれないが、そこだけクリアできればやれる。実は、スマートフォンも同じだと思っている。頭の中で理解できれば、皆さんに使ってもらえる。

1970年代は人口が増えて、「住むところがなくなる」「道路の渋滞はどうする」「受験戦争はどうなる」といった形で「困った、困った」と言っていた。今度は人口が減って、「困った、困った」と言っている。

結局、そのときに、どうやってそれに向かってそれを解決するかしかない。実際、増えたときも実際に解決してきたし、減ったときも同じようにやはり解決していくしかない。

――カスミは先進的にデジタル化に取り組みつつ、移動スーパーのようなアナログの取り組みもしっかり実践している。

山本 移動スーパーもある意味、例えばレジでも、昔は店のPOSレジを1台持って行っていた。いまは1台、1台はソフトウェア的なPLU(読み取り機)が存在するだけ。デジタルが下支えしている部分はある。

われわれは「ビヨンドSM」だと、「壁を越えよう」と言っているわけだが、それは何かというと、人口が減ったら減ったで、ポジティブな未来を考えるしかない。悲観していても前には進まない。

われわれの(ホールディングスの)U.S.M.Hの中堅社員を見ていても、基本的にはこの状況を所与のものとして、どうポジティブに行動するかということがベースにある。

そう言いながらも短期的な部分でどうするのかということに関しては、それは大きな危機意識を持っている。やはり組織が大きければ大きいほど、店舗の数があればあるほど急カーブを曲がれない。

やはり、各店各店が曲がり続けるという意志を持たないとできないので、そこに向かってやるしかない。

組織の在り方とか働き方であるとか、長期的な変革においては最初の時期からやっておかないといけない。効果が出てくるのは数年先だから。

スキャン&ゴーはコストカットだけが目的ではない

――ブランデでは、店内組織の部門を簡素化するなど大きく変えた。

山本 店内組織を変え、次は、がちがちの本部の組織をどう変えていくか。もちろん、そこには多様性も必要だ。

また、スキャン&ゴーの取り組みは従来の考えではコストカットだが、実際はレジの人員を減らすということではなく、より生産性や顧客価値の創造に近いところに人を配置する必要があるということ。チェックアウトのところではなく、対面販売のコーナーで会話できるように人を配置しておくとか、そちらの方が有用だということだ。

今後、人でしかできない生産性をどう確保するか。ルーティンで人が毎日やっていることをどう自動化したり、もっと省力化したりできるか。人がロボットみたいに働いているところは極力、置き換える。

その一方で、今までとは違う人の価値を発見する必要がある。それは店頭もそうだし、供給側、開発側も要求されている。過去のやり方ではだめだということは皆知っている。

――意外とルーティンの作業は多い。

山本 多い。そこに没頭していればしているほど、そこから離れづらい。「自分の仕事を取るのか」「自分の仕事がなくなってしまう」という発想になってしまう。

世の中全般、お客さま、社会が変わる中で小売りはどう変わっていくのか。特にSMは60年、70年の歴史を持つ古い業態だ。こうした古い業態の企業がどう変わるのかということ。

ドラッグストアはそこまでまだ制度疲労していない。われわれSMはそろそろ成熟期を越えて衰退期に入るところ。ポジティブに考えながら改革に取り組んでいきたい。

お役立ち資料データ

  • 2023年 下半期 注目店スタディ

    2023年下半期注目のスーパーマーケット7店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・オーケー/銀座店 ・ヨークベニマル/仙台上杉店 ・ベイシア/Foods Park 津田沼ビート店 ・ヤオコー/松戸上本郷店 ・カスミ/…

  • 2023年 上半期 注目店スタディ

    2023年上半期注目のスーパーマーケット5店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・ ヤオコー/トナリエ宇都宮店 ・ サミットストア/川口青木店 ・ 原信/紫竹山店 ・ ライフセントラルスクエア/ららぽーと門真店 ・ …

  • 有力チェーントップ10人が語る「ニューノーマル時代のスーパーマーケット経営論」

    有力スーパーマーケットチェーンの経営者10人にリテール総合研究所所長の竹下がインタビューを実施し、そのエッセンスをまとめています。 インタビューを通じ、日本を代表する有力トップマネジメントのリアルな考えを知ることができ、現在の経営課題の主要テーマを網羅する内容となっています。 変化する経営環境において、各トップマネジメントによる現状整理と方向性を改めて振り返ることは、これからの新しいスーパーマーケットの在り方形を模索する上でも業界にとって大変有用と考えます。 ぜひ、今後のスーパーマーケット業界を考える材料としてご活用ください。 ■掲載インタビュー一覧 ライフコーポレーション 岩崎高治社長 ヨー…