価格弾力性とは?具体例や計算方法、活用するシーンを解説

2022.05.17

2022.04.25

商品の適切な価格設定の上で重要となるのが、価格弾力性だ。顧客や市場のニーズを数値として可視化できるため、新商品はもちろん既存商品の価格見直し時にも有効な指標となる。店舗や企業の利益を継続して生み出すためにも重要な価格弾力性の概要や価格弾力性の高い、低い商品の具体例、計算方法、価格弾力性を活用するシーンを解説する。

価格弾力性の概要や計算方法を解説

価格弾力性は価格設定の上で覚えておきたい用語の1つだ。価格弾力性の概要や計算方法を解説する。

価格弾力性とは

価格弾力性とは、商品やサービスの価格変化に伴う需要と供給の変化を数値化したものだ。価格弾性値とも呼ばれている。価格が変化したときの需要の変化を表したものを需要の価格弾力性、供給の変化を表したものを供給の価格弾力性とそれぞれ呼ぶ。価格弾力性は「1」を基準値とし、1を上回ると価格弾力性が高く、1を下回ると価格弾力性が低いと判断される。

価格弾力性が高い場合、価格が変化すると需要と供給それぞれの変化量も多くなる。例えば、ある商品の需要の価格弾力性が高い場合、商品を値上げすると需要が下がる可能性が高いため、値上げには慎重にならなければいけない。

価格弾力性が低い場合、価格が変化しても需要と供給の変化量が少ないことになる。価格弾力性の低い商品を値上げしても、需要に大きな変化はなく売れ行きにも影響は少ない、ということが分かるだろう。

価格弾力性の計算方法

価格弾力性は、以下の計算式で算出できる。

需要・供給の変化率(%)÷価格の変化率(%)

需要の変化率=(価格変更後の売上数-価格変更前の売上数)÷価格変更前の売上数

価格の変化率=(変更後の価格-変更前の価格)÷変更前の価格

価格弾力性を算出するときには、必ず数値は絶対値とすること。例えば、「価格を15%値下げした」場合の価格の変化率は、-15%ではなく15%とする。

計算による価格弾力性の例は、以下の通り。

例1:じゃがいもを5%値上げしたら、需要が1%下がった。

1÷5=0.2

基準値「1」より下のため、価格弾力性は低い。

例2:ダイヤモンドのネックレスを15%値下げしたら、需要が30%上がった。

30÷15=2

基準値「1」よりも上のため、価格弾力性が高い。

価格弾力性の高い・低い商品やサービスの具体例

新商品やサービスの価格設定や価格見直しの際には、価格弾力性を算出するほか商品やサービスの持つ特性から価格弾力性の傾向を把握することも有効だ。価格弾力性の高い、低い商品やサービスの具体例をそれぞれ解説する。

価格弾力性の高い商品やサービスの具体例

一般的に価格弾力性が高い商品やサービスをまとめると以下の通りとなる。

・代替品のある大衆向け商品やサービス

・し好品

日用品をはじめ、代替品のある大衆向け商品は価格弾力性が高い。具体的にいえばシャンプーやボディソープ、洗剤、文房具、衣類などだ。競合が多いため、消費者はひとつの商品で多くの選択肢がある。そのため、値上げをすることで競合他社の商品に消費者が流れてしまうため、価格弾力性が高い傾向にある。

嗜好品は、消費者にとって今すぐ必要でないため価格弾力性が高い。具体的に言えば自動車や不動産、宝石、ブランド品などが該当する。商品やサービスの価格が上がると、消費者にとっては即急に必要なものでないため、購入を我慢する買い控えが増える傾向にある。逆に商品やサービスの価格を下げると、買い控えをしていた消費者の需要がなだれ込むことが多いため、価格弾力性が高いと言えるだろう。

価格弾力性の低い商品やサービスの具体例

価格弾力性が低い商品やサービスは以下の通り。

・生活必需品

・付加価値のある商品やサービス

・競合がいない・少ない商品やサービス

食品、トイレットペーパーなどの生活必需品は、生活に欠かせないもののため値上がりしても消費者の需要が減るわけではない。天候不良や原材料の高騰などによって値上がりをしても、消費者は値上がりをした価格で購入し続けることになる。また、豊作や原材料の値下げなどで値下げをしても、消費者が急に一定の食品を食べたり、日用品を使い始めたりすることもない。そのため、需要・供給の価格弾力性が低いことが分かる。

消費者にとって付加価値のある商品やサービスも、価格弾力性が低い。具体的には流行していて欠品の続く家庭用ゲーム機や家電製品、日本国内での販売数が限定されているブランドアイテム、著名人のライブチケットなどが該当する。

競合がいない、少ない商品やサービスも価格弾力性が低いものに該当する。例えば、ある企業のみが発売しているオリジナル商品や、職人によるオーダーメイドの品物などが該当する。

価格弾力性が活用されるシーン

価格弾力性は、マーケティングのさまざまなシーンで有効活用できる。価格弾力性を活用できる具体的なシーンを解説する。

新商品やサービスの価格設定

新商品やサービスの価格設定時に、価格弾力性が活用できる。価格設定時には利益率を踏まえたうえで価格弾力性を参考にすると、適切な価格設定につながるだろう。例えば、自社と競合の市場の価格弾力性を分析、比較することで以下が分かる。

・自社製品の値上げによる需要の変動

・競合と比較し、値下げによる需要の奪取

価格弾力性が低い新商品やサービスなら、ある程度値上げをしても需要は見込める。価格弾力性が高い新商品やサービスなら、値下げをすることで競合からの顧客の流入も期待できることになる。

既存の商品やサービスの価格を見直すとき

商品の売れ行きが悪いときには、価格設定に問題がある。既存商品やサービスの適切な価格設定にも、価格弾力性が活用できる。競合の商品を分析し、価格弾力性を踏まえると利益率や売上の向上にもつながるだろう。

セールやキャンペーンを実施するとき

集客数や販売数を伸ばす目的でセールやキャンペーンを開催するときも、商品やサービスを一時的に値下げすることになる。商品の値引き率や、値引き対象とする商品やサービスの選定も、価格弾力性が活用出来るシーンのひとつだ。価格弾力性の高い商品やサービスの方が、価格弾力性の低い商品やサービスよりも、値下げした方が集客や販売数の増加が見込めるためといえる。

マーケティングへの活用

商品やサービスの売れ行きが悪い、集客が悪いときには、価格設定だけでなくマーケティングの手法が適切でない場合がある。商品やサービスの価格弾力性によっても、適切なマーケティングの方法は異なる。広告を変える、陳列を考えるなど、適切なプロモーションやマーチャンダイジングにも、価格弾力性は活用できるだろう。

リスク回避

気候変動、災害、原材料の高騰、紛争、パンデミックなど商品やサービスの価格変動につながる要因は多くある。価格変動によって商品やサービスの欠品、大量在庫、利益率の下落など多くのリスクが発生する。

あらかじめ商品やサービスの価格弾力性を分析しておくことで、価格変動によるリスク回避にも役立つ。価格変動が起きても、価格弾力性のデータを分析、競合と比較することで利益を最大化できる価格設定ができるだろう。

価格弾力性へ影響する要因

価格弾力性は商品やサービスの適切な価格設定や、安定した運営にも役立つ。ただし、価格弾力性へ影響を与える要因もある。価格弾力性へ影響する要因を覚えておくことで、より適切な価格設定やマーケティングにつなげることが可能だ。

競合の数

一般的に、食品やトイレットペーパーなどの生活必需品は価格弾力性が低く、値上げをしても一定の需要が見込めると考えられる。ただし、これは市場全体の価格弾力性と比較した場合だ。競合の数が多いと商品やサービスの価格弾力性が低いとしても、競合へ消費者が流れてしまう。

例えば、自店舗がスーパーマーケットで食品を取り扱っている場合、周辺に多くのスーパーマーケットがあれば、価格弾力性が低いとされている食品でも、適切な価格でなければ周辺の競合に需要を取られてしまう。

価格弾力性とともに、周辺環境などを分析し競合の状況なども把握すること。

市場の状況

付加価値の高い商品やサービス、競合のいない商品やサービスは価格弾力性が低いとされている。ところが、時間の流れとともに市場の状況は変化していく。トレンドが終わる、変化することで商品やサービスの付加価値がなくなったり、顧客ニーズをすべて充足したりすると、その後新しい顧客を獲得するのが難しくなる。一定の商品やサービスに頼っている場合、事業の縮小や撤退の原因にもなる。

商品やサービスの属性による価格弾力性だけでなく、市場の状況も把握しておくこと。

顧客心理

価格弾力性へ顧客心理が影響することがある。例えば、嗜好品であるブランド品は、必需品ではないため価格弾力性は高いとされている。一方、ブランド品そのものではなく、ブランドの持つ付加価値に対して顧客が魅力を感じると、付加価値のある商品として価格弾力性が低くなる。

他にも、以下の顧客心理を利用した価格の付け方や販売手法も、価格弾力性へ影響する。

・端数価格

・均一価格

・プライスランニング

・抱き合わせ販売

価格に端数が含まれると、お得に感じる顧客真理を利用したのが端数価格だ。例えば、100g100円の精肉と98g98円の精肉の価格は同じだが、後者の方が心理的にお得に感じ、売れ行きが伸びる傾向にある。

均一価格は、商品の販売価格をすべて均一にすると目的以外のものも購入してしまう顧客心理だ。100均ショップは均一価格をうまく利用した小売店といえるだろう。

プライスランニングは、目的に合わせて予算を設定する心理だ。例えば、お歳暮やお中元、ギフトは多くの価格設定のものがあるが、必ずしももっとも安い価格のものが売れるわけではない。贈り先や人数、用途に応じて顧客が設定する予算が異なるためだ。

抱き合わせ販売とは、単品ではなくセットで購入した方がお得と感じる顧客心理だ。抱き合わせにすることで、顧客の隠れているニーズを引き出すこともできる。

価格弾力性は安定的な利益につながる重要な指標

価格弾力性の概要や計算方法、活用シーンや価格弾力性に影響する要素を解説した。商品の適正価格やマーケティングの手法を考える上で、価格弾力性は有効な指標となる。新商品の導入時はもちろん、既存商品の価格見直し時など、価格弾力性が活用できるシーンは多々ある。他に影響の出る要素とともにマーケティングへ活用していこう。

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