セブン-イレブンが「フェア」を連発! 販促&ワンストップショッピング強化でスーパーマーケットに近づくコンビニ
2022.09.26
2022.05.09
「北海道フェア」「アジアングルメフェア」「カレーパーティ」…。
セブン-イレブン・ジャパンが、地域やメニューなど、さまざまな切り口の「フェア」を連続して打ち出し、手応えを得ている。

「フェア」といえば、スーパーマーケット(SM)、あるいは百貨店では良く用いられる販促だが、今回のセブン-イレブンのものは切れ目なく連続して実施され、さらにコンビニらしく一部商品開発まで踏み込んでいる点で特筆される。
なぜ、「フェア」なのか。実施に至った背景には、新型コロナウイルスをへて改めてコンビニの位置づけを変えていかなければいけないという同社の危機感があった。
ワクワク・驚きを実現するために「フェア」を実施
新型コロナウイルスの影響が出始めた前々期の2020年度、セブン-イレブン・ジャパンは既存店売上高前年比で97.6%と苦戦を強いられた。この間の多くの必需品主体の店がそうであったように、客単価は108.4%と大幅に増加した一方で客数が90.1%と減少したことによるものだ。
続く前期、21年度は売上高で100.7%とわずかではあるが前年を上回ったものの、やはり19年度には届かずといった状況だった。
これは同期間、特需ともいえる売上げの高まりを見せたSMとは対照的といえ、同社としても危機感を持つに至る。
そうした中迎えた今期、22年度初月の22年3月は前年比100.8%になった上、19年度比でも100.6%と上回り、4月についても前年を上回る感触を得た。
同社はどのような対策を打ったのか。セブン-イレブン・ジャパン取締役執行役員商品本部長で物流管理本部長とQC 室管掌を兼務する青山誠一氏は、「21年にさまざまな施策の種まきをしてきた。いま一度商品政策を改めて共有した」と語る。
具体的にはお客に喜んでもらえる商品や品揃えを実現するために、上質な品質、立地別・地域別の品揃え、ワンストップショッピング、安心・安全・健康、環境・資源といった新型コロナウイルスをへて意識が高まったポイントに対応したが、その中には「ワクワク・驚き」も含まれた。
そのワクワク・驚きを実現するために実施したものがフェアやイベントだった。
第一弾として、1月11日から「北海道フェア」を実施。「テレワークであり、オンライン会議であり、人が動くことが少なくなっているのであれば、われわれの方から動いて少しでも来店動機を高めていこうという目的で始めた」(青山取締役)。国内も含め、なかなか旅行などもできない中、地域の味を体験してもらうという考え方もあった。
店内で大々的に告知をした他、テレビCMやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)など多様な情報発信に努めた結果、名店を打ち出した「ぶたはげ監修炭火焼豚丼」(580円、本体価格、以下同)や「函館星龍軒監修塩ラーメン」(498円)といった商品が好評になるなど手応えを得た。
その後、2月7日からは「アジアングルメフェア」として13品、2月23日からは「ご当地有名店麺大集合」として各地区3品、3月15日からは「九州フェア」として12品、4月6日からは「カレーパーティ」として12品など、「切らすことなくフェア・イベントを進めている」(青山取締役)。
「スーパー、百貨店も北海道フェアなどさまざまなフェアをやっているが、ナショナルブランド、あるいはメーカーの商品が中心となっている。やはり、セブン-イレブンならではのフェアを実現しようという考えで進めてきた」(同)

コロナ禍のお客の生活様式の変化に十分に対応できなかったこともあり、マーチャンダイザー、あるいは取引先の商品開発担当者が仕事に自信が持てなくなっているようにも感じられるようになっていたという。
そこで、改めてセブン-イレブン・ジャパンの最大の強みは何かと考えた結果が、「おにぎり、お弁当などのフレッシュフード、デイリー商品を日本全国176の工場からお客さま、あるいはお店に供給している仕組みであると考えた」(青山取締役)。
「これらの工場で作るデイリー商品こそ、フェアにふさわしいと考えた。もう一度、セブン-イレブンが過去から築いてきた商品の品質、設備、技術といったものをフェアを通じてお客さまに紹介していこうと」(青山取締役)
「いかにオリジナルに近づけるか」追求に工場の設備を生かす
セブン-イレブンのデイリー商品は65社が加盟する日本デリカフーズ協同組合(NDF)の工場が製造しているが、その176拠点の工場のうち実に92%の162拠点がセブン-イレブンの専用工場となっている。この専用工場比率の高さはその設備面の充実などの点で大きな強みとなっている。
例えば、北海道フェアのぶたはげ監修炭火焼豚丼は、もともと米飯工場に連続炭火焼成器が備わっていることから、それを活用することでオリジナルに近づけることができた他、たれも日本全国に7社、9拠点を持つインフラを生かした。
函館星龍軒監修塩ラーメンについても、中華麺については熟成庫を活用してうま味を高める技術、内側のやわらかい麺を外側でこしのある麺が包む構造の三層中華麺を作る技術といった工場の強みを生かしたという。
5月16日からは「太陽と大地のおくりものイタリア気分」として、16品を用意してイタリアンフェアを実施するが、こちらでも例えばパスタについては持ち帰りの商品の課題である経時劣化を防ぐために工場の設備を活用。喫食時にこしが残るように製麺に工夫を凝らした経時劣化を抑制する専用のパスタを使用した上で、下味を付け、食味を改善するための塩水ボイル、麺のうま味を維持するための冷風での冷却といった技術を用いている。
さらに容器についても、従来の皿状のものから二段容器に替えることでパスタとソースとの接触を抑える他、電子レンジでの再加熱時のむらを防ぐといった工夫を実施。
「にぎやかし的なフェアで終わらせず、いま一度、セブン-イレブンの商品の品質を確認してもらうフェアにしていきたい」(青山取締役)
デイリー商品の工場や技術は、グループのプライベートブランド(PB)商品であるセブンプレミアムの製造にも生かす取り組みも今春から始まっていて、例えば今回の「イタリアンフェア」のラインアップでもある冷凍食品の「セブンプレミアムゴールド金の蟹トマトクリームパスタ」「セブンプレミアムゴールド金のボロネーゼ」「セブンプレミアムゴールド金のマルゲリータ」「セブンプレミアムゴールド金の4種チーズピッツァ」、あるいはカレーフェアの冷凍のセブンプレミアムのカレーはデイリーメーカーの工場で製造している。

商品の内容についても、東京都港区西麻布のイタリア料理店「アルポルト」の片岡護シェフ監修の商品を用意するなどより上質を目指す。製造過程でシェフの製法を取り入れることで、「シェフのこだわりの直伝製法を学びながら、いかに工業化に結び付けていくかという取り組みも併せて行っている」(青山取締役)という。
セブン-イレブン・ジャパンの予告ページ
https://www.sej.co.jp/products/italy2205.html
一方、フェアの展開においてはセブン-イレブンが17の国と地域で展開するというグローバルネットワークも生かした。
「アジアングルメフェア」では韓国のコリアセブンと打ち合わせることで、現地の商品開発担当者から本場のレシピを伝授したり、コチュジャンの知見を得たりしながら、コチュジャン産地として有名な淳昌(スンチャン)のものを使用した商品開発を実施。
青山取締役は今回のフェアを実施したことが、「お客さまに支持もいただいた。確実に売上効果、集客効果があったと考えている。お店の人もいま一度ものを売る喜びを感じていただいたと考えているし、私どもの商品担当者、あるいはお取引先の開発担当者の方々もいま一度、原点に立ち戻って品質を追求できたと考えている」と語る。
すでに6月のフェアもほぼ決まっている上、22年は12月まで切れ目なくフェアを実施していく予定で、今後も多くの商品を仕込んでいるという。
テーマ設定についても精度を高めていく。この間のフェアは、新型コロナウイルスによる行動制限を受け、なかなか旅行に行けない中でのニーズを捉える形で旅行先として人気の北海道、九州、沖縄、東南アジアといった切り口で商品開発をしたが、「うまくいったこともあれば、うまくいかなかったこともある」(青山取締役)。
例えば、沖縄のソーキそばを開発したが、果たしてニーズがあるのかが疑問だったという。一方でカレーフェアでは本体価格750円という高単価の商品を初めて開発したが、予想以上の好評を得たといったこともある。
そうしたことを受け、今後は「地域」を切り口にしたフェアだけでなく、メニューを絞ったフェアなどを組み合わせながら展開していきたいという。
青果ではイトーヨーカ堂、非食品ではダイソーの商品の導入を急拡大
フェア実施に手応えを得たことで、セブン-イレブンの販促に新たな切り口が加わったが、それ以外にも新たな商品分野が加わる動きがある。
1つは生鮮食品の青果。最近では多くのコンビニで取り扱われるようになってきているが、基本的にはコンビニでは取り扱いがない、もしくは限定される商品である。
その青果についてはイトーヨーカ堂のPB商品である「顔が見える野菜」については現在の約2700店の導入店を上期中に約4700店、期末までに約9000店に拡大予定だという。
また、非食品の商品について100円均一店のダイソーの商品の導入が始まっているが、こちらも導入のペースを上げ、上期までに全店展開に近い約2万店への導入にまで拡大予定。

「やはり、ワンストップショッピングにきちっと対応していかないといけないと思っている。お店の使われ方が、1つの店舗でいろいろな商品を買い、そこで全て完結したいというニーズがある」(青山取締役)
フェアの実施、青果や非食品の強化によるワンストップショッピング。こう見てくると、セブン-イレブンが「店の機能」として、「日常使いの必需品がワンストップで買える店」、つまりSMに近づいているように見えてくる。

コロナ禍をへて、改めてSMなどワンストップショッピングの強みに注目が集まった。もちろん、店の機能は時代の変化に合わせて変わっていくものであるが、現在のところセブン-イレブンまさにこのSMのようなワンストップの店に向かっている。
国内2万1000店を超える存在感を持つセブン-イレブンのこの変化は、日本の必需品を取り扱う業態の勢力図にとって大きなものといえるだろう。