ライフ西荻窪店・売場詳細解説、杉並区再出店、住宅地に2層&衣食住フルライン店が狙う都市部ワンストップショッピング

2022.08.17

2022.08.16

ライフコーポレーションは7月23日、ライフ西荻窪店をオープンした。東京ガスの施設跡地への出店。

売場は2940㎡で、久しぶりの非食品をある程度の規模でそろえる大型店となる。年商見込みは36億円。2層で、1階に衣料品と生活関連、エスカレーターで下がった地下1階に食品売場が広がる。

食品は地下1階。エスカレーターで降りるときの風景を重視している

取扱アイテム数は3万4460で、うち食品が1万4180。

西荻窪店のオープンで、全社店数は291店、首都圏が129店、近畿圏が162店となった。杉並区には2000年に杉並宮前店をオープンしたが、03年に閉店して以来のため、久々の出店となった。

JR中央線、総武線の西荻窪駅から北方面に約700mの場所に位置。1km圏内は単身世帯比率が54.0%と高く、2人世帯比率の22.3%と併せ全体の8割弱が少人数世帯となっている。年齢別人口構成は40代が16.9%と最も高く、次いで30代が16.3%。

荻窪周辺は世帯数、人口共に増加傾向にあり、JR中央線の各駅を起点とした路線バスが多数運行する地域となっている。

周辺には単身世帯が多いが、来店客には家族連れが非常に多いという。さらに20時以降の夜の時間にも比較的来店が多く、勤務帰りのお客などが訪れている。

1km商圏の人口は約5万5000人。周辺は住宅地で、さらに最も近い自社店が2.2km離れたビオラル丸井吉祥寺店で、フォーマットも異なることもあって自社競合もほぼないとみる。

他社の競合店としては、大きいものが620mほどの距離にある西荻窪駅前の西友となるが、他、他大型店の競合としては約870m離れたサミットストア善福寺店なども影響があるとみる。

都市部、衣食住フルラインの売場で狙うワンストップショッピング

農産は730アイテム。内訳は野菜500、果実200、花30。先頭には、「お店で作った新鮮サラダ」として、店内製造したサラダを展開。蒸し野菜も手間はかかるが継続的に展開している。

地元商品として、「東京育ち」の野菜コーナーを展開。

また、健康志向の高まりから注目度が上がっている有機農産物をコーナー化。常温の売場では有機JASマークの野菜を下ゆで加工し、オリジナル商品として開発した「ビオラル」の商品も展開する。常温保存で賞味期限も長い簡便商品だ。

スイーツの位置づけで夏でも販売される焼き芋は「紅天使」「紅こがね」「紅はるか」(全て茨城県産)の3品種を展開するなど強化。

冷蔵のミールキットはオイシックスと留め型の2種類を展開。

水産では刺身やサクなどではなく、水産部門が手掛ける寿司である「うを鮨」を先頭に持ってきている。水産は350アイテム、内訳は鮮魚200、塩干150。

水産では冷凍の商品を強化。干物や漬魚などを平ケースで展開。ニーズが高まっている冷凍の商品を豊富に取りそろえる。

冷凍の漬け魚については、真空包装機を導入し、店内での小分けの商品化について真空パックとすることで、トレー包装に比べプラスチックごみを削減することができるなど、環境面にも配慮。

また、同様に冷凍の商品として埼玉県加須市の自社プロセスセンターで製造したミールキットも展開。3、4人前で本体価格1980円の値頃感と、冷蔵より日持ちのするメリットを訴求

水産ではもちろん、「対面生魚」コーナーも設置。「魚屋さんらしい売場」として競合優位を作り出す。お客の要望に応じて調理するサービスも実施。

水産売場と畜産売場の間には「魚屋さん」「肉屋さん」の手づくりおかずコーナーを展開。既存店では壁面で展開されることが多いが、今回は精肉の壁面の前で、平台で展開する形となった。

旬の魚を使用した煮付けや焼き魚、オリジナルの「あまに豚」「鶏」を使用した惣菜などを展開。

畜産でも冷凍の商品を強化。「生焼鳥コーナー」として、国産の鶏肉を使用した冷凍の生焼鳥をコーナー展開。火を通す必要がある商品だが、売上げが伸びており、家飲みのつまみやバーベキューなどで使用されているとみている。

冷凍では「馬刺し」コーナーを設け、馬刺しの他、「牛ユッケ生ハム」「牛レバー生ハム」「鶏ささみ生ハム」などを販売。

畜産は480アイテム。精肉は330アイテムで、牛肉の売上高構成比が高い。加工は150アイテム。店全体としては、「特売商品というよりは定番が確実に動く店」という傾向がみられるという。

惣菜では、壁面の目玉コーナーとして、「天ぷら・サラダ対面」コーナーを展開。恵比寿ガーデンプレイス店では焼き鳥を対面販売したが、今回は新たな挑戦として天ぷらを対面販売する。惣菜は320アイテム。

農産部門の国産の野菜などを素材として店内で衣付けし、キャノーラ油とオリーブオイルの混合油で揚げた天ぷらを対面で販売。天ぷらはバイオーダーにも対応する。隣ではビオラルのサラダの量り売りコーナーも設置している。

惣菜の寿司は35アイテム。「漬けにぎり」や「肉寿司」などで特徴を出す。店内で白だしに漬け込んだ漬けにぎりや、食べ応えのあるローストビーフを使用した肉寿司などを品揃え。

弁当を強化し、72アイテムそろえる。弁当強化の恵比寿ガーデンプレイス店と同程度のアイテム数。ビオラルの商品も同時に展開し、1カ所で選べるようにしている。

インストアベーカリーの「小麦の郷」は70アイテム。バーガーを強化し、惣菜コーナーの「あまに豚入りコロッケ」を小麦の郷自慢のパンで挟んだバーガーに、純和赤鶏むね塩唐揚げ、ポテトをセットにした「バーガーBOX」なども販売する。

「もっちり」とした食感を打ち出す米粉を使用した「お米パン」も販売する。

チーズ専門売場の「CHEESE HOUSE(チーズハウス)」コーナーは首都圏10店目、全社15店目で20アイテムそろえる。

店内でカットする対面タイプで、惣菜と酒に挟まれた場所にあるレイアウトの効果もあってか売上好調で、首都圏の同コーナーでトップクラスの売上げを挙げているという。

レイアウト上、壁面に沿って惣菜➡インストアベーカリー➡ドライフルーツ&ナッツバイキング➡チーズハウス➡酒となっていることから、惣菜、つまみと酒のイメージができる。「夕食のシーン」の提案ができているとみる。

酒売場は惣菜売場を超えた最後に設置した。ニーズが高まっているワインやクラフトビールなどを強化。

酒のアイテム数は1850で、うちワインは1000ほどに上るなどワインの品揃えはかなり充実させている。酒は他にビオラルコーナーでも20アイテムそろえる。

酒部門では、ノンアルコールの売上げが日本酒の売上げを超えたという。

ウイスキーは照明で色が鮮やかに見える演出。

「オーガニック・ローカル・ヘルシー・サステナビリティ」をコンセプトとする「ビオラルコーナー」を設置。ビオラルの商品は、他の売場でも展開されている他、こちらでまとめてショップのような形としても展開。恵比寿ガーデンプレイス店と同程度の約1620アイテム品揃えする。

国産の有機ワインは希少だが、「ビオラルコーナー」で品揃えしている。

加工食品では、地元商品の販売を強化。杉並のご当地カレー「THE 井ノ頭カレー」や「米屋が作ったお菓子 米ぬかクッキー」などを品揃えする他、南荻窪に1933年の創業した精米店「小張精米店」の商品を展開したり、パンコーナーでは「パッサテンポのマドレーヌ」(吉祥寺)、「コボコボ」(府中)、「ヌクムク」(三軒茶屋)、「菓心たちばな」(千歳烏山)などをそろえたりしている。

冷凍食品はライフコーポレーションとしては最大級の品揃え。専門店の商品からご当地商品、世界のグルメ、大豆ミートを使用した商品などを展開。

冷凍食品は平ケースではなくリーチインケースのみで展開しているため、売場スペースをそれほど取らずに陳列量を確保できるというメリットがある。

加工食品では韓国商品などをコーナー化している。インスタント商品や調味料など人気の商品を豊富に集めたコーナーを展開する他、菓子でも韓国商品を展開。

また、レモネードやコーラなど自分で作る「MYクラフトドリンク」コーナーといったコンセプトでくくった売場を多数設置しながら提案性を高めている。

地下1階の食品売場では、首都圏では桜新町店に続く2店目のカートPOSを導入。約30台導入しているが、夕方のピーク時には全て出払うほどの利用がある。お客が自身でスキャンしていき、最後に精算機にデータを転送し、支払う形。

入口から入った1階はノンフーズのフロアとなる。都市部での「ワンストップショッピング」機能を担う。中でも生活関連の「ベビー用品」コーナーを強化した。

子育て中のお客に向け、機能性を謳う高質なおむつや素材にこだわった「はたけのみかた」「味千汐路」などのベビーフードまで幅広く取りそろえる。

冷凍ケースを導入し、冷凍のベビーフードも品揃えしている。

また、同様に生活関連ではペットフード、ペット用品の売場を「LIFE pet」コーナーとして特に強化。冷凍ペットフード、健康や美容をサポートするサプリメントなども品揃えする。冷凍ペットフードではカンガルー肉なども品揃え。

ペット用品は需要が高まっていて、既存店でも強化すればするほど売上げが伸びる傾向にあることから思い切って強化した。品揃えを強化し、ワンストップ性を高めることで、ホームセンターなどからラインロビングを狙う。

店頭には「コスメ」コーナーを設置。低価格帯のコスメから素材にこだわったナチュラルコスメ、韓国コスメなどを幅広く取りそろえる。

オリジナル商品のビオラルを含め、健康軸などで編成した売場も設けている。

その他、調理器具などではフィルター不要のコーヒードリッパー、ダイヤモンドコーティングのフライパンなど機能性にこだわった商品も展開するなど、生活関連では全般的に付加価値の高い商品まで品揃えしている。

衣料品は850アイテム。雑貨を中心に集めた「ブリーズガーデン」や人気の「tutu anna」の靴下などを展開。キャラクターグッズを集積したコーナーなど展開。

衣料品では、オリジナルの「スマイルライフベーシック」を開発。綿100%のTシャツなどベーシックなワンマイルウェアの商品を開発。

衣料品は商品を「面」で見せるフェースアウト陳列を多用して、商品の種類などが良く見えるような工夫をしている。

イートインコーナーは2階の駐車場からの動線に設置している。今後、認知度を上げて利用を促したい意向だ。

ライフ西荻窪店概要

所在地/東京都杉並区西荻北5-8-22

オープン日/2022年7月23日

売場面積/2940㎡

営業時間/9時30分~24時

駐車場/70台

売上目標/36億円

店長/渡辺 純

従業員数/128人(社員18人、パートナー110人)

レジ台数/セミセルフレジ8台、カートPOS用レジ5台(カートPOSは約30台)

お役立ち資料データ

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