カスミが茂原マーケットプレイス店をオープン、地元企業ハヤシの店舗を借り受けカスミの店舗に転換1号店

2022.08.01

2022.07.29

カスミは7月29日、千葉県茂原市にカスミ茂原マーケットプレイス店をオープンした。

千葉県茂原市のハヤシが営業していた「フードプラザハヤシ本店」をカスミが借り受けてカスミの店舗として営業するもので、JR外房線茂原駅から徒歩で約20分に立地する。

茂原市役所にも近く、住宅や商業施設が集まっている地域で、若年層世帯を中心に徐々に人口が増加している地域であるという。

ドラッグストアや100円均一ショップ、飲食店などとショッピングセンターを形成。テナントの管理はハヤシが行い、カスミもテナントの位置づけとなる。

今回、地域の食のライフラインを守り、さらに従業員の雇用を維持することを目的に再オープンすることになった。

従業員は1人ずつ面談をへてカスミが雇用する形としたが、もちろん、さまざまな事情で辞めた人はいるものの、およそ7割がそれに応じ従来同様、店舗で働くことになった。

ハヤシは5月10日、スーパーマーケット(SM)事業から撤退し不動産事業に経営資源を集中すると発表。営業中の店舗について秋までに順次閉店し、カスミの他、イオングループの各社が引き継ぐ形でオープンすることを明らかにしていた。

今回、第1号店としてカスミがオープンした形となる。今回のフードプラザハヤシ本店の場合、閉店の6月7日からおよそ2カ月という短期間でのオープンとなった。今後、2号店として6月12日に閉店した旭店が同じく約2カ月の短期間で8月5日にオープンする。

「地区によっては、近隣にハヤシ以外の店がない店もある。だから休業期間を短くして、とにかくまずオープンすることを最優先とした」(塚田英明・専務取締役経営戦略担当(兼)店舗開発部マネジャー(兼)組織人事プロジェクトリーダー)

フードプラザハヤシ本店は2001年のオープンで20年以上が経過しているが、そうした事情から売場のレイアウト、ゴンドラの位置、作業場などはハヤシの時代のものをほぼ踏襲している。

売場面積は約447坪、年商目標は16億円でカスミとしてはやや小ぶりのため、カスミとして地域の旗艦店フォーマットと位置付けられている「フードスクエア」フォーマットではなく、「フードマーケット」フォーマットとなっている。

茂原マーケットプレイス店は千葉県36店目で、他茨城県108店、埼玉県33店、栃木県7店、群馬県4店、東京都2店で合計190店体制となる。

ハヤシは約10店を展開していたが、店舗の規模やハード面、地域の制約などでカスミが手掛けるものは5、6店となる見込み。それ以外はイオングループの各社が対応するという。

カスミは茂原市に今回の茂原マーケットプレイス以外の既存店を4店展開しているが、今回のハヤシの店を借り受けての出店については「外房での展開地域をつないでいく上でも大事。出店戦略上でもありがたい」(塚田専務)とする。

合計のSKU数は1万1580。部門別では野菜315、果物226、鮮魚280、精肉417、惣菜310、和風日配350、洋風日配1081、一般食品3500、菓子1894、酒1853、日用雑貨1354の計1万1580となっている。

ハヤシ時代に支持されていた商品もあることから、今回100アイテムほどは地域商品として対応。また、直接的な商品ではないが、地域の風習、食文化などについても学びがあったという。

それ以外は、規模も小ぶりであることもあって、「日常使いの店」としてベーシックな品揃えに特化。オリジナル商品としては、イオングループのプライベートブランドのトップバリュを952SKU入れている他、カスミが手掛ける新たなブランドのMiiLもところどころに335SKU差し込んでいる。

ハヤシ時代の商品への対応として、例えば強みとしていた鮮魚では、セグロ(カタクチイワシ)のゴマ漬けやアジのなめろうを今回、新たに商品化。

また、寿司では卵で巻いた商品を常時展開するといったこともある。

一方で精肉はカスミの佐倉市のプロセスセンターから全てアウトパックで対応。「肉は銘柄といったことの地域性はあまりない。売れる量目や商品化の形が違うくらいであるため、センターでも十分対応できる」(塚田専務)

デリカは従来のレイアウトを生かした形であるため、青果と隣接した形になっている。カスミのベーシックな商品を導入しているが、今後、地域対応を進めて行く。

また、レジはセルフレジの他、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスとしてカスミも導入を進めるスマホPOSの「スキャン&ゴー」を導入している。

約2年間、新型コロナウイルスの影響もあって、SMの売上げは上振れ傾向にあったが、感染者の多寡にかかわらず、社会経済活動は次第にコロナ前に戻りつつある。同時に、人口減少や高齢化といった以前からの課題が再度表面化してくることになる。

飲食店の再開などの動きも見られる他、原料、あるいは電気代をはじめとしたコストの高騰もあってSMの経営は厳しさを増している。

地域のライフラインをいかに維持していくかが大きな課題となる中、今回のカスミによるオープンは注目の取り組みといえる。

カスミ茂原マーケットプレイス店概要

所在地/千葉県茂原市茂原10-1

オープン日/2022年7月29日

営業時間/9時~21時

駐車台数/250台

売場面積/1479㎡

店長/若林春生

従業員数/正社員14人、パ-ト・アルバイト51人(7.75時間換算)

年商目標/16億円

レジ台数/通常レジ3台、セルフレジ8台

主要商圏/1次商圏(0~0.5km商圏)256世帯525人、2次商圏(0.5~1㎞商圏)4069世帯8612人、3次商圏(1~2km商圏)1万193世帯2万1628人

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