ヤオコー草加松原店がアンダー400坪の小商圏ターゲット小型店としてオープン、生産性向上の実験も

2023.03.27

2023.03.24

ヤオコーは3月23日、埼玉県草加市に草加松原店」をオープンした。東武鉄道が開発した商業施設の「トーブイコート」の核店としてオープンしたが、売場面積は387坪と同社の標準からすると小型。

ストアコンセプトが『「美味しさ」と「楽しさ」でヤングファミリー層に圧倒的に支持される店づくり~極小商圏フォーマットの進化~』となっているとおり、同社として「極小商圏フォーマット」の実験としての位置づけを持つ。足元500m圏を一次商圏として囲い込みを狙う。

東武スカイツリーライン獨協大学前駅から西に約700m、徒歩約12分に立地。周辺は平坦な道のりが続くことから徒歩や自転車での来店がしやすいという。再開発の進む松原団地の他、大学、学校、幼稚園、保育所も多い。

出店2km圏内の人口、世帯数は共に増加傾向で、さらに今後、店舗北側にマンションの建設が計画されている他、西側には戸建て分譲計画が予定されている。そのため、特に30歳代~40 歳代の子育て世代の増加が見込まれるため出店した経緯もある。

1km圏内の世代別の人口では40歳代~50歳代が多く、次いで70歳代以上がボリュームゾーンとなっている。世帯数は単身、次いで2人世帯の割合が高く、全体の7割強に達するという。一方で30歳代~40歳代の子育て中の世帯も多いことから、ヤオコーとしてはメインターゲットとして取り込みたい意向だ。

SKU数は生鮮が920、デリカ290、グロッサリーが1万の合計1万1210。売場面積が限られるため、強化するカテゴリー、整理するカテゴリーを明確にした。ただし、少なめになっているものの、商品、売場を変化させることでバラエティを出していく方針だ。

初年度年商は16億円を予定し、売上高構成比計画は生鮮35%、デリカ20%、グロッサリー45%としている。

足元商圏からの繰り返し来店を重視することもあって、全体的に小量目の商品を強化しているが、これらはメインターゲットの子育て世帯に加え、商圏内に多いシニア層にもマッチするとみる。

内装のデザインは全体的に見直し、新規パターンを採用。次の旗艦店に向けての取り組みだという

今回は、「極小商圏」に対応するとはいえ、販売効率が高い都市型商圏ほどではないため、限られた売上げの中で利益を確保するために、これまでより踏み込んだ生産性向上の取り組みを実施している。

上小町店(さいたま市大宮区)の改装、新店の八百幸成城店(東京都調布市)、また、高崎井野店(群馬県高崎市)の改装など、これまでの小型店の取り組みをベースに進化させた。

精肉は同社で初めて全て熊谷デリカ・生鮮センターからのアウトパックとして作業を発注、陳列に限定、パートタイマーのみの運営とした。それを受け、売場の平ケースの一角を「売り切りコーナー」として新たな便の商品が陳列される段階で売り切っていく運用とする。

牛肉も含め、全てアウトパックとした

関連して、メニュー提案機能の「クッキングサポート」は移動式とした上で専任を設けず、精肉のパートタイマー2人が兼務する形とした。今後、既存店でもアウトパック比率は高まっていく見とおし。

また、レジについては、対面レジはサービスカウンターに一体型を設置するのみで、加えて他店ではメインとなっているセミセルフレジについても3台に限定、他は6台のフルセルフレジでの対応とする(フルセルフの設置は3月31日以降、それまでは臨時にセミセルフレジを設置)。

品揃えは小商圏対応ということで、全般的に来店頻度を重視した商品設計となっている。

まず、精肉では利便性が高い使い切りパックを強化する他、保存性の高い冷凍の品揃えとして生食のローストビーフや馬刺し、ジビエなど品揃えを豊富に提案。

安定した品揃えで提案し、平日はおかずとしての素材、週末は焼肉や盛り合わせ、厚切りなどグレード感あるハレ型の商品の品揃えを強化する。

鮮魚は、近海魚売場をメインに、旬や鮮度感の打ち出しはもちろんのこと、食べやすい骨なし・皮なしといった簡便ニーズにも応える。クッキングサポートとも連動し、切り身を中心としたおかずになるメニューを提案する。

刺身盛り合わせは時間帯別の値引きを強化する。

野菜はトマトを強化。果物は旬商品を使用したカットフルーツ、スイーツをコーナー化。こちらはデリカ売場で展開。

花については、マンスリーフラワーやミニブーケ、観葉植物などさまざまな生活シーンに、彩りを添える品揃え。

また、こちらも時間帯別に午前中は素材提供、午後はカットなど加工して展開するなど変化を付ける。

デリカの惣菜は強化しているローストビーフ丼の新たな提案として、夕方からはローストビーフを使ったサラダ風のつまみを4品、新規展開。

ランチには弁当、夕方からはおかずになる商品を時間帯に合わせた出来たて、さらに平日と週末で量目を変化させ、広告商品や新商品の楽しさが伝わる売場を実現する。

小型店ではあるが、鉄板を設置し、焼き物を出来たてで提供する

寿司は、ランチニーズに向けてちらしやおむすびを手頃な価格で展開。夕方からは握り寿司の品揃えを増やし、ここのところの新店で導入している「寿司屋のおつまみ」コーナーも展開。

各カテゴリーで小量目を強化

小型店ではあるが、インストアベーカリーはしっかりと展開。朝食パンを強化する他、ロイヤルブレッド、北海道小麦のもっちり湯種食パンやプチパンを提供。

ベーカリーはしっかり展開。店内で漬け込んだラムレーズンを使用した食事パンなども標準店と同様に品揃え

また、手に取りやすい満足感のあるバーガー類をランチに合わせて展開。今回、「二層仕立てのメンチかつ」を具として挟んだものや、北海道小麦を使った白いバンズを使った「北海道小麦かつかれー」のバーガーを2種類(共に本体価格298円)、新規投入。

夕方には焼きたて、作り立てのピザを提案する。

ヤオコーが強化するスイーツもしっかりとコーナー化している
カットフルーツなど青果のスイーツも、ベーカリーと関連付けて展開している

グロッサリーでは、まず日配食品は、ひと手間加えるだけでおかずの一品となる豆腐惣菜を強化。

売場面積は限られるが、冷凍食品、アイスは重視。平ケース、リーチインでコーナー化

ドライ食品では、カテゴリー割引を強化する他、子ども向けに菓子を充実させた。また、毎月「おすすめ」のドレッシングを提案、生鮮部門やクッキングサポートとも連動してさまざまなメニュー提案を実施する。

また、足元からの車以外の来店手段での来店を想定し、米は2kg、5kgの小量目をメインとする。

酒では、ヤオコー直輸入ワインを低価格から中高価格帯のワインまで、生活シーンに合わせて選べるラインアップをそろえる他、ノンアルコールを多めに品揃え。小容量の商品もコーナー展開するなど、来店頻度重視の品揃え。

ワインは鍵付きのケース入りで2万円を超えるものも置く

なお、同店はネットスーパーに対応する予定はない。

ヤオコー草加松原店概要

所在地/埼玉県草加市松原3-3-1

オープン日/2023年3月23日

営業時間/9時~21時45分

駐車台数/152台(商業施設全体、終日60分200円、24時間最大500円。最初の90分間無料、店舗によって追加30分サービスあり。最大120分無料)

駐輪台数/344台

店舗面積/1280㎡(387坪、ヤオコー売場面積)

延べ床面積/1886㎡(570坪、ヤオコー床面積)

店長/畑 修

従業員/正社員12人、パートナー・ヘルパー・アルバイト100人(延べ人数)

年間売上げ/初年度16億円(予定)

商圏人口/0.5km圏内7000人(3000世帯)、1km圏内3万8000人(1万9000世帯)、2km圏内13万1000人(6万3000世帯)

お役立ち資料データ

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