マミーマートが生鮮市場TOPコーナン京葉船橋インター店をオープン、3年ぶりの新店、生鮮市場TOP!旗艦店の位置づけ
2024.09.12
マミーマートが3年ぶりに出店を再開した。8月10日、生鮮市場TOPコーナン京葉船橋インター店をオープン。今回のオープンで同社は埼玉県、千葉県を中心にスーパーマーケット77店体制となった。
同社3年ぶりの新店は、高い販売効率で同社をリードする生鮮市場TOP!となった。同フォーマットとしては26店目で、今回、マミーマートとしては同店を旗艦店と位置付ける。
8月7日にオープンしたホームセンターコーナン京葉船橋インター店内で、15店のテナントで構成されるショッピングセンターのサブ核店クラスとして建物2階部分に出店した。
京成線海神駅から徒歩約15分、JR線船橋駅、京成線京成船橋駅から徒歩約20分、京成バス海神陸橋下バス停から徒歩約5分の場所に立地。京葉道路船橋インターからは車で約3分といった距離にある。
商圏は京成船橋駅や海神駅を利用する周辺移住者、就業者の他、京葉道路を利用しての広域からの集客も見込む。
ヤングファミリー層向けのまとめ買いを狙う
生鮮市場TOP!は同社が2019年から転換を強く推し進めているディスカウントフォーマット。もともと同名のフォーマットは1996年に増尾台店(千葉県柏市)を1号店として開発されたが、その後、年月を経る中で生鮮売場にコンセッショナリーを導入した「生鮮ディスカウント」として成功を収めた。
現在の生鮮市場TOP!は2019年に新タイプとして開発された坂戸入西店(埼玉県坂戸市)からの流れを汲むもので、コンセプトは生鮮のコンセッショナリーのような売場に自営で取り組むというものだった。
今回、コーナン京葉船橋インター店では生鮮市場TOP!らしさにより磨きをかけた商品展開をしたという。生鮮部門を中心に「価値が価格を上まわる」ことを掲げ、最新の商品を導入し、豊富な品揃えを提供する。
「店舗数がこの5年の中で25店舗まで拡大してきたので、ここで1回、フラッグシップ(旗艦)店舗という形で、モデルとなるようなお店を作り上げようと考えた。どうしても改装店が多かったが、今回、新店が3年ぶりということもあるので、区切りという意味も含めて、先のことも考えて旗艦店という位置づけで出店した」(清水大輔・取締役執行役員TOP!事業部長兼マミーマート事業部長)
マミーマートは、「生鮮市場TOP!」に加え、標準店の「マミーマート」、加工食品などコモディティ商品をディスカウント販売する「マミープラス」の3つのフォーマットを展開する。
出店を抑えていたこの3年間には、主に改装を進めていたが、やはり3つのフォーマットの中でも生鮮市場TOP!の売上げが右肩上がりに伸びる中、全社的にも位置づけが高まったということになる。
今後は、新フォーマットを主力としていくため、生鮮市場TOP!とマミープラスの2つが中心になっていく。マミープラスが半径2km圏の小~中商圏の、商圏内の全ての人をターゲットとして来店頻度を高めていくフォーマットであるのに対し、生鮮市場TOP!は半径5km程度までと広域狙いで、特に料理好き、プロ、さらに家族連れの車客のどちらかといえばハレ需要をターゲットとするフォーマットとなる。
この2つのフォーマットを配置することで、商圏内のシェアを高めていくのが同社の基本方針となる。
特に生鮮市場TOP!は、30代~40代の子育て中のヤングファミリー層に向けた品揃えを重視。全般的に少し尖った商品を取り入れたり、生鮮では味付けの商品を充実させる他、精肉を強化し、特に購買頻度の高い豚肉、鶏肉について買いやすい価格帯にしたり、さらに惣菜の商品を充実させて売場を広げたりといった取り組みを実施している。
また、生鮮については量目でも「主力の商品に関しては大中小の3SKUを持って、特に大が、一番ユニット単価が安くなるような設定にする。できる限り、安さでまとめ買いをしてもらう」(清水取締役)。
生鮮を強化することで売上げを高めていき、生産性も高めていくが、その分、売場比率としては日配、グロサリーは狭くなる。日配、グロサリーでも、まとめ買いを促すようなケース売りをするなどマーチャンダイジング上の工夫を実施しているが、オペレーション面でも特に量販する商品についてはケース単位の陳列とし、補充の態勢でも日配、グロサリー横断で行えるように、パートタイマーを「フロア部門」という形で大部屋化している。
640坪の売場で初年度45億円の年商を目指す
そのため、生鮮市場TOP!では買物頻度ではなく、客単価を重視する。「客単価をしっかり上げる。週に1回でも2回でもまとめ買いをしていただければと考えている」(清水取締役)。結果として重視されるのは駐車台数であったり、商業集積であることだったりする。
一方で売場面積は現状、600坪程度が適正だという。
その点、コーナン京葉船橋インター店は640坪とやや大型となっている。今回、生鮮部門では、健康志向の高まりに新たな商品提案を目指し、「ナッツと食べるサラダ」「薄切り鉄板焼肉」「具!具!具!まぐろ太巻き」など青果、精肉、鮮魚において、さらに種類を増やした展開を進めている。
広域商圏を視野に入れているということで、特に生鮮においてはハレの日用の商品から日常使いの手頃な商品まで、しっかりと品揃えがされていることが重要になるという。
新商品は50品ほど投入。特に精肉の味付けの商品は15種類ほど新規投入した。また、惣菜ではアジア系のエスニックメニューの米飯を開発。同社は米飯に用いるご飯は惣菜子会社の彩裕フーズの工場から納品していて店内炊飯はしていないが、今回、店内にジャスミンライスを炊くための設備を導入して開発した。もちろん、これら新商品は既存店で実験を経た上で本格投入という流れとなっている。
寿司に関しては、生鮮TOP!の場合、鮮魚部門が主体となって展開。惣菜では一部工場製造の巻き物のみで、握り寿司などは鮮魚のみでの展開としている。
惣菜部門では、「お弁当・お惣菜大賞」受賞商品に加え、今回同店から販売開始となる「旅ごはん」「惣菜ドック」などを展開。サイズ展開では、個食、小パックに加えて大パックの展開も広げている。
惣菜売場は売場が拡大傾向で、今回、既存店と比べ平台1台分広がった。ただし、売上高構成比では6%台にとどまる。寿司の大部分が鮮魚で取り扱われていることも大きいが、一方でそれだけ生鮮食品の売上高構成比が高いということ、さらに全体の売上規模自体が大きいことも、この売上高構成比に表れているといえる。
今回のコーナン京葉船橋インター店は初年度年商45億円を見込む。もちろん、認知度向上などによってその後はさらに年商を伸ばしたいところで将来的には50億円も視野に入るなど、売場面積からすれば高い販売効率が想定されていることになる。
マミーマートは9月期決算だが、今期は今回、8月にオープンしたコーナン京葉船橋インター店ともう1店、9月下旬に生鮮市場TOP!のオープンを予定するなど2店の出店となる予定。さらに来期以降にも新規出店が予定されるなど、3年の充電期間を経て再度、出店フェーズに入る。
小商圏型のマミープラスと併せ、磨き込んできたディスカウントフォーマットの競争力が威力を発揮しそうだ。
生鮮市場TOPコーナン京葉船橋インター店概要
営業時間/9時~21時
所在地/千葉県船橋市海神町3-124-3
駐車場/複合施設駐車場あり
売場面積/640坪
年商予定/45億円(初年度)