オーケーが関西に700坪超の大型店で初出店、高い売上げで実現する低い経費率が競争力の同社にとって重要な一手
2024.12.18
オーケーが11月26日、関西出店を果たした。大阪府東大阪市高井田に関西1号店となる高井田店をオープン、2022年10月に東大阪市が保有する土地を、子会社を通じて入札によって取得の上、店舗兼関西事務所として開発した。建物は5階建てで、5階に関西事務所が入る。立地開発や商品調達の担当者の拠点となる。
2階~4階は駐車場。駐車場は192台分を確保した。駐車場は基本30分200円の有料だが、1000円以上買い上げで1時間無料、3000円以上買い上げで2時間無料、1万円以上買い上げで3時間無料といった形で、買上金額によって無料になる。

1階にはテナントのダイソーが入り、オーケーは地下1階に売場を設けた。オーケーとしての売場面積は748.10坪と、スーパーマーケットとしては大型の店舗となり関西エリアにおける旗艦店としての役割も果たす。
「やはり1号店ですので、まずはしっかりとした売場と駐車場は欲しいと思っていました」(二宮涼太郎社長)
出店場所自体は大阪メトロ中央線高井田駅、およびJRおおさか東線高井田中央駅の2駅から約350m、徒歩約4分という駅近の店という性質も持つ。
入口に近い 1階部分にテナントのダイソーを誘致したが、それについては「駐車場をさらに何十台か増やすなどの選択肢もありましたが、100円ショップのダイソーさんは非常に集客力がありますし、お客さまとしても来店動機が増えると思いました」(二宮社長)という。

店を営業し続けるためにも土地の取得が理想
オーケーはもともと、関西に多数の店舗網を持っていた関西スーパーマーケット(現関西フードマーケット)の買収を進めることで関西進出を図ろうとしていた。
しかし、阪急オアシス、イズミヤを傘下に抱えるエイチ・ツー・オーリテイリングとの争奪戦の末、最終的に関西スーパーマーケットは阪急オアシス、イズミヤと経営統合することになり、オーケーは買収を断念した経緯がある。これがおよそ3年前の2021年12月のことだ。その後、自前で出店する方針に切り替え、準備を進めてきた。
「3年かかりましたが、ようやく開店することができました。お客さまにも本当にたくさんご来店いただくことができましたので、ホッとしているところです」(二宮社長)

実際、関西スーパーマーケットの買収を試みた一連の経緯を知る人も多く、二宮社長自身、オープン当日、少なくないお客から売場で声をかけられたという。それだけ、オーケーの出店に対する期待が大きいともいえる。
オーケーの場合、EDLP(毎日低価格)が基本のため、チラシは「商品情報紙」の性格が強く、また、足元商圏がメインになるが、駐車場も192台分とそれなりに確保できたことから今回、オープン時のチラシはやや広域の2.5km圏にまいたという。
同社では関東でも基本的に人口密集地に出店する方針で、国道16号線の内側の比較的都市部寄りの立地がメインとなっているが、今回の高井田店も駅至近の比較的人口が多い立地といえる。その上で、高井田店の立地は約1100坪の敷地が確保でき、売場もワンフロアで700坪を超える規模を確保できたこと大きい。
出店に当たっては、土地の取得を含めた形を1つの理想の形と考えていることも同社の特徴といえる。
「オーケーは土地の取得から手がけることが多いスーパーといえます。われわれとしては、オープンしてからはお客さまと一生の付き合いと思っていますので、そのポリシーに則れば、お店を続けられる限りずっと続けるためには、やはり自社の物件が一番良いと思います。また、当然、価格変動によるリスクは多少ありますが、ディスカウンターとしては土地を自分で持って、長期に渡って営業していくことが、コスト競争上も良いのかなと思います」(二宮社長)
もちろん、出店数を確保するためにも賃借での物件も組み合わせているが、「われわれの意気込みとすると、お店を開けた以上は閉めたくない。それが土地から取得する目的の1つだと思います」(二宮社長)という。
土地取得に限らず、賃借を含めた形で出店用地を積極的に探す姿勢は関東でも関西でも変わらない。一方で、発祥の地でもある関東では総合スーパー(GMS)に近い形の大型店も展開する一方で、100坪台という小型店まで手掛けるなど多様な規模での出店が強みにもなっているが、今後の展開となる関西ではそこまで多様な規模は想定していないようだ。
「関東では100坪から、1500坪超える売場の店も展開していますが、関西では200坪台から、大きくても高井田店(700坪強)ぐらいまでのイメージです」(二宮社長)。小型店はともかく、大型の売場については、特に今後はなかなか物件としても出てこないこともあるだろう。
一部関西対応しつつも、商品面では元来の競争力を生かす
商品については会議を重ねながら対応を練ってきたが、基本的に関東との共通項は多くなった。むしろ、オリジナル商品などオーケーとしての強みが生きる商品を前面に出すことで差別化を図ることも有効だろう。
「関西には当然、たくさんの方がお住まいですし、(小売業の)プレイヤーも多彩です。一方でわれわれのようなEDLPのスタイルはあまりないと思いますので、そこにご支持をいただけるチャンスがあるのではないかと思いました」
ただし、グロサリーや菓子など、関西で売れていて、オーケーとして取り扱いがない商品などを導入するなど対応もしてきた。
生鮮についても、特に青果では対応が求められたが、一方で既存のルートも存分に活用している。
「青果はこちら側での仕入体制を採りました。一方で産地そのものは関東でもお取り組みをしているところと同じです。仕入れルートは一部変わるものの、やはり関東での商売を十分に生かしながら、こちらの調達ルートの整備も比較的順調に進んだと思います」(二宮社長)
また、現状は店数も少なく、センターを云々する段階にはないが、今後、店数が増加する中で「店舗の拡大スケジュールも見ながら、適切なタイミングで備えていきたい」(二宮社長)としている。
また、惣菜、寿司では関西ならではの商品を開発し、投入した。例えば関西でよりなじみのあるといえる「粉もん」では「デラックスモダン焼き」(399円、非会員価格、本体価格、以下同)、「いか焼き」(239円)。いずれも高井戸店出店に向けて開発したもので、いか焼きは高井田店の限定商品、モダン焼きは関東の一部店舗で取り扱う。また、こちらも関西ではよりなじみのある「牛すじ焼き」も開発し、高井戸店限定で取り扱う。



弁当、丼系では「中華弁当」(399円)、「塩唐たま海苔明太弁当」(439円)、「醤油豚骨焼きラーメン明太高菜入り」(349円)を開発。こちらは、中華弁当は高井田店限定、塩唐たま海苔明太弁当と醤油豚骨焼きラーメンは関東の一部店舗でも取り扱う。同様に寿司では「オーケー自慢の太巻寿司」(338円)を開発し、高井田店限定で展開する。




「粉物などは関西の出身のオーケーの従業員が魂を込めて作った商品で、やはりおいしいです。また、塩唐たま海苔明太弁当の塩唐揚げは、唐揚げとしても販売している商品で、非常に売れ筋の唐揚げを使っていて、お勧めです」(二宮社長)




高井田店は駅近ということもあって、直線で200m弱のところにライフ高井田店(大阪府東大阪市)、約300mのところには万代森河内店(同)が店を構える。
オーケーとしてはあくまで、「われわれが良いと思う商品をしっかりと売り上げていくということに徹します。あとはお客さまがいろいろ使い分けられると思っています」(二宮社長)と自身の強みに徹する意向だ。
現金払いだと103分の3割引きとなるオーケークラブカードは、年会費は無料だが、200円の発行費用がかかる。関東ではオープン日からの発行となっているが、今回、関西初出店ということもあってオープン日の負荷を減らす目的で事前案内としたが、非常に反響が大きかったという。
また、関東の一部店舗で導入され、今後強化の方針を打ち出しているネットスーパーについては、「店舗出荷型なので、関西でも始めることにもそれほどハードルはないでが、ここはまず、しっかり店舗のオペレーションを整えてからかなと思います」と今後の展開を視野に入れる。
低い経費率実現のために高い売上げを挙げる必要性
高い成長率を誇るオーケーだが、21年度、22年度は増収の一方で2年連続の減益を喫している。だが、23年は再び増益を達成し、さらに24年度上期は増収増益を確保したという。「当然、われわれとしても経費が上がっているので、そこに対する効率化は重要ですが、まだまだわれわれの工夫で売上げを増やせる余地があるので、しっかりとそちらの(売上げを伸ばす)方向で経費の上昇を吸収していきたいと思います」(二宮社長)
オーケーの売上げに対する経費率は約16%とスーパーマーケットとしては極めて低い水準にあり、これが同社の競争力を形成しているが、これにはローコストオペレーションの取り組みに加え、高い売上げを挙げることで相対的に比率が下がっているという側面もある。その点、同社は「売上げ」に強くこだわっている。
関東で一定の存在感になった同社が、今後も高い売上げを挙げ続けるにはやはり新たな商勢圏が必要だったのだろう。首都圏に次ぐ規模を持つ関西での今後の展開は、オーケーにとってはそのビジネスモデルを維持する上でも極めて重要になるといえる。

オーケー高井田店概要
所在地/大阪府東大阪市高井田本通7-5-9オーケー高井田ビル地下1階
オープン日/2024年11月26日
営業時間/8時30分~21時30分
駐車台数/192台
建物概要/地下1階地上5階建て
オーケー売場面積/748.10坪(2473.05㎡)