イオンスタイル大宮西口駅前が6月4日オープン、ダイエー大宮店を転換、直営はSMに特化
2025.06.04
イオンリテールは6月4日、さいたま市大宮区にイオンスタイル大宮西口駅前をオープンした。1982年9月、大宮西口DOMショッピングセンターの核店としてダイエー大宮店が開業し、約42年に渡って営業を続けてきたが、25年3月1日にイオンリテールが承継。今回、イオンスタイル大宮西口駅前としてリニューアルオープンした。
今回の承継の背景には、ダイエーが事業を食品に特化する中で、今回のようなテナントのある物件についてはそれなりの規模でのデベロッパー機能を持つイオンリテールが運営した方が、グループとしての利益の最大化が図れるとの判断がある。
また、グループのデベロッパー企業のイオンモールがあるが、今回、イオンリテールが施設を運営することについては、次のような事情があるという。イオンスタイル大宮西口駅前はテナント数が22という中で、テナントの規模としても多数のテナントが入る大型ショッピングセンターを手がけるイオンモールより、10~20ほどのテナントの施設は実際のところ、イオンリテールの方が得意であるとする。
また、イオンスタイルの岩崎一郎店長がテナントを含む施設のアセットマネジャーになるが、この規模の場合、実際に小売りを見ている店長がテナントのプロモーションとの連動なども考えるということで、小売りとデベロッパーの相乗効果が出しやすいという。
イオンモールの場合、一般的にモールの支配人のポジションが設けられるが、多数のテナントを抱える大型の施設では必須であるその機能も、今回のような規模では兼務した方がメリットがあるということだろう。
なお、大宮西口DOMショッピングセンターはダイエーの他、大宮マルイも商業集積として入るなど、駅前の大型商業施設となっている。今回、イオンリテールとしては承継した旧ダイエーの営業部分のみに出店。


JR東日本、東武鉄道、埼玉新都市交通の鉄道3社12路線と西武バス、東武バスウエスト、高速バスなどのバス路線の利用者を有し、乗降客数は41万人を超えるという日本屈指のターミナル駅である大宮駅の西口に隣接するなど、アクセス環境が極めて良好。埼玉新都市交通ニューシャトルの連絡通路出口から施設入口までは大人の足でわずか20歩の至近距離にある。
以前からの主要客層であった駅周辺で働く20代~40代の若年層の他、駅前の再開発に伴って若年ファミリー層の増加による新たな客層の呼び込みも見込めるエリアだという。
駅前立地のアクセスの良さから、平日は周辺オフィス街の昼食需要や大宮駅利用者の生活需要に応える他、週末はDOMショッピングセンターを含む周辺大型商業施設を利用する層にあえて「普段使い」のニーズに応える商品を取りそろえるなど便利さを打ち出す店舗を目指すという。
DOMショッピングセンター内には複数の衣料品や外食テナントの他、ステーショナリー、生活雑貨、アウトドアを取り扱うハンズ、ドラッグストアと調剤薬局を分けて展開するウエルシア、さらにクリニックなどが入り、普段使いの需要を支える。
テナントに関しては旧ダイエー時代のテナントを基本的に承継。今回のリニューアル期間も営業を継続していたが、食品部分が改装中の中にあっても、それほど売上げは下がらず、しっかりお客が付いていることを実感したという。
今回、イオンリテールとしては、食品主体で、他一部日用消耗品のみを取り扱うスーパーマーケットに特化した形での出店。特に時間帯別に変わっていく客層ごとのニーズに応える「タイパ」(タイムパフォーマンス)に優れた商品を多く取りそろえるようにする他、買物環境としても、短時間で充実した買物ができる「買いパ」(イオンリテールの造語で、買物パフォーマンスの意味)の高い売場を目指す。
弁当の品揃えを充実させたり、レンジアップ商品といった即食型商品、冷凍食品や菓子の品揃えを強化したりするなど、客層のニーズに合わせた「買いパ」に資する商品を取り扱う。
ただし、生活に必要な日用消耗品についても一定程度取りそろえ、「普段使いのワンストップ」のニーズにも応える。取扱品目数は全体で1万4500、うち食品が1万2300とほとんどが食品。今回のイオンリテールの直営スペースには旧ダイエー時代は食品の他、衣料品、住居用品、ビューティ関連も一定程度取り扱っていたが、イオンリテールとしてはテナントの構成も考慮し、食品に特化することにした。
「非食品の部分は大きくは上(の階のテナント)に任せて、食品を拡大することによって館として多くのお客さまにご来店いただけるようにした」(岩崎一郎・イオンスタイル大宮西口駅前店長)

駅前ではあるが、駐車台数は400台、駐輪台数は自転車250台分、バイク25台分を確保。来店手段の想定は自動車15%、自転車30%、バス20%、徒歩30%としている。

20代~40代の単身者に向けて朝は通勤、通学の軽食需要、昼はオフィスのランチタイムに合わせた手軽で時短なデリランチの需要、夕方は小容量の出来たて惣菜、切りたての刺身などを1人用から展開する。夜は仕事帰りの人などに向けてレンジ調理品やフローズン商品など即食型の商品を充実させる。
朝は惣菜売場で通勤、通学者に向けた対応として焼きたてパンやおにぎり、だし巻き卵、唐揚げといった軽食を展開、昼食需要に向けては周辺オフィスで働く人をターゲットに手軽で時短で食べられるサラダや季節ごとに変わる種類豊富な弁当など、毎日約40品目を取りそろえる。カップ食品の売場では、昼食を手早く済ませたい需要に向けて食べ応え抜群のカップスープやカップライスなどを種類豊富に品揃え。


夕方には惣菜売場で「唐揚げ唐王」や豚カツなどでも小容量の出来たてを用意する他、鮮魚売場では鮮魚からのおろしたてとして1人用の刺身や寿司を展開。さらに魚惣菜として「魚魚炎」ブランドで即食商品の品揃えも充実させる。












惣菜以外にも、各売場で簡便時短需要に対応した商品を強化、精肉売場ではトレーのまま電子レンジで加熱するだけで簡単に調理できる「ローストポーク」などレンジアップ商品を展開する他、フローズン売場では1100品目の冷凍食品を品揃え、ご飯と主菜、副菜、デザートなどが1つのトレーに盛り付けられたワントレーミールや話題のスイーツなどを取りそろえる。


冷凍食品売場は旧ダイエー時代と比べ、大きく売場を拡大。旧ダイエー時代に非食品売場にあてられていた部分を大々的に使って展開している。





「買いパ」視点では、短時間で買物ができるように各種取り組みを実施。商品をスキャンしながら買い回り、レジでは精算だけで買物が完結する「レジゴー」に加え、キャッシュレス専用レジと現金にも対応するレジの2種類のセルフレジを用意、レジ待ち時間の短縮とスムーズな会計の実現を図る。

また、加工食品ではオフィスの「置き菓子」の需要が高いといった状況も踏まえ強化。菓子全般を強化し、加工食品売場の実に3割強を割いた。「お菓子は、幅広い世代のお客さまにご認知いただいて、ご愛顧いただいている商品」(岩崎店長)ということで、客層の拡大に期待する。





ネットスーパーは近隣のイオンスタイル与野で注文を受け、同店を受取店舗として指定することで受け取りが可能。ネットで注文し、店内のカウンターで受け取れる「ピックアップ」サービスを買物の時間を短縮する「究極の買いパ」として提案。
また、デジタル化によるペーパーレスの推進として、通常は店頭などに掲示される「お客さまの声」の承りボードを電子化。「デジタルご意見・お返事公開ボード」を設置する。電子化することで、寄せられた声をリアルタイムで確認できる他、データとして分析し、改善することでさらなる顧客満足につなげたいとしている。

イオンスタイル大宮西口駅前概要
所在地/埼玉県さいたま市大宮区桜木町2-3-84
オープン日/2025年6月4日
営業時間/直営売場(地下1階)9時~22時、専門店10時~20時(店舗により異なる)
ショッピングセンター構造/地下3階地上7階建て(屋上あり)
専門店数/21店舗
駐車台数/400台
駐輪台数/自転車250台、バイク25台
敷地面積/9758.66㎡
売場面積/直営2221㎡、専門店計1万1311㎡
店長/岩崎一郎