サミットストアららテラス北綾瀬店が6月24日オープン、駅連結の商業施設の大型店、年商40億円レベルを見込む旗艦店クラス

2025.06.24

2025.06.23

サミットは、6月24日、東京都足立区にサミットストアららテラス北綾瀬店をオープンする。東京都91店目の出店で、全店では124店体制となる。東京メトロ千代田線始発駅である北綾瀬駅北改札から直結した駅前商業施設「三井ショッピングパークららテラス北綾瀬」の1階に核店として出店。

向かって右手が駅側。2階部分は駅の改札と直結している
サミットは1階の駅側寄りに出店

ららテラス北綾瀬は売場4層の箱型施設で、51店のテナントで構成される比較的大型の施設ではある一方、テナントの顔ぶれはスーパーマーケットのサミットの他、ドラッグストアのトモズ、衣料品ではGUや西松屋など、靴ではABCマート、雑貨では無印良品やダイソーなど、その他、飲食、医療モールを含むサービスなど、日常性の高いものが中心。

家電のノジマも入っているが、機能としてはネイバーフッドショッピングセンターの性格が強いといえる。駅前でワンストップショッピングができる施設として、地域居住者、北綾瀬駅利用者をメインに、幅広い世代の利用が見込まれる。駐車場は屋上などではなく1階と地下1階となっている。

北綾瀬駅前には交通量の多い環状七号線が走るものの、信号や歩道橋があることから横断は比較的容易。店舗の西側約500mには首都高速と綾瀬川があるが、環状七号線があることから首都高速や川の先からもスムーズに往来することができるなど車でのアクセスも良好だという。

周辺は単身世帯比率が高く、年代では20代と50代の構成比が高いという特徴があるが、商圏を広げるごとに複数世帯の比率が高くなっていくような商圏。北綾瀬駅周辺にはマンションが増加中で、子育て世代が増えている他、千代田線を通じての都心へのアクセスが良いことから人口の増加率も高いエリアとなっている。

足元1km商圏内は5年間で人口が105.2%、世帯数は112.0%に伸びているなど単身世帯など少人数世帯を中心に人口、世帯数共に大きく増えている。北綾瀬駅の乗降客数は2023年度で約4.1万人だが、これは19年度比で約3000人の増加となっている。

売場レイアウト図

サミットとしては今期、建て替えを除いて唯一の新規出店、かつ売場面積652坪の大型店として力の入った最新鋭のマーチャンダイジングが存分に投入されているが、今回、特に内装を見直したことが特筆される。

「われわれが大切にしている考え方、当社の使命である『生きる糧を分かち合うお店』とか、(事業ビジョンである)『サミットが日本のスーパーマーケットを楽しくする』という考え方に基づいて、それをデザインに落とし込んだ、まだ完成ではないが、最初の本格導入店舗。店舗内装のブランディングにつなげるための第一歩となる」(服部哲也社長)

それを象徴する代表的なものが、青果売場の柱にサミットのロゴマークを構成する3本の線をモチーフにした緑色の線が書いてある部分だ。そしてそこには「Everyday Summit!」(毎日サミット)と書かれている。

「お客さまが買物をされているのがサミットであるということを、(お客の)どこか頭の隅に残したいということと、働く社員も自分たちがサミットの店で働いているということが時々認識できるような、少しシンボリックなものにしたかった」(服部社長)

また、多くのスーパーマーケットで英語表記が採用されている部門名を日本語表記に変えたこともその1つ。「やはり日本のスーパーマーケットであるということを、意識的に発信するべきであろうと考えた」(服部社長)。ただし、その脇にある部門ごとのコメントは英文にすることでバランスを取った。

マーチャンダイジングは得意とする即食商品、半調理品を充実させた「サミットオリジナル」シリーズを充実させると共に、「案内係」「おためし下さい」などの特徴的な商品、サービスをそろえ、東京都23区の足立、葛飾、江戸川のドミナントを強固なものにしたいとしている。前述のとおり売場面積は652坪と比較的大型ではあるが、1年目の売上高計画は39.1億円の高水準。平均日商は1000万円を超える。

お客の品揃えの要望に応えた商品を集め、それをアピールしながらコーナー化。リクエストを「案内係まで」と案内している。常温と冷蔵ケースを組み合わせている
試食コーナーの「おためし下さい」。自然なコミュニケーションが生まれる

駅直結の利便性と広い売場面積を生かし、チャレンジ商品を投入した上で積極的に打ち出すことでワクワクする買物体験を作り出すと同時に新しい買物の選択肢の提供を試みながら、「○○といえばサミット」と当てにされるマーチャンダイジングを目指す他、2km商圏内に価格に強みを持つ同エリアが地盤のベルクスが5店あることから価格対応も強化する。

青果売場では、21尺と同社として最大級の陳列スペースを有した「フレッシュサラダ&カットフルーツ」コーナーで、インストア製造のサラダやカットフルーツ、そのフルーツを使ったデザートを販売。「サラダを毎日食べたい」人も飽きずに利用できるように月に3~4アイテムを継続的に入れ替えながら、旬の素材を使用した商品など21SKUを基本に品揃えする。

果物売場では、南国フルーツコーナーの展開をはじめ、ドライフルーツ、ナッツバイキングを導入。その他、「農家さんから直送」コーナーでは、地元生産者が栽培する野菜を中心に販売。

ドレッシング売場を青果と隣接させて設置。こちらでも常温と冷蔵のケースを組み合わせている

鮮魚売場では、加工サービスも受け付ける対面販売的な売場である「おさかなキッチン」コーナーで生鮮魚の下氷裸販売を毎日実施。市場直送の「豊洲フェア」を毎月実施する他、産直空輸便の商品も販売。さらに新たな取り組みとして海面養殖魚「青森サーモン」を導入する。

売り込み品を明確にした売場を展開し、生鮮魚を刺身の一点盛りや盛り合わせ、「焼魚・煮魚」コーナーの総菜などに売体変更しながら、お客の「魚を食べたい」気持ちを喚起する売場を目指す。

鮮魚売場にある「焼魚・煮魚」コーナー

また、「調理の手間を省きたい」という需要にも応えて、店舗で味付けするフライパン調理用の味付け魚をエビなどを含め5アイテム用意。

また、たれ付き切り身などのレンジアップ商品については2アイテムを追加した他、カップタイプの「海鮮おつまみ」シリーズなどを提供し、「魚を買うならサミット」と思ってもらえる売場を目指す。

サミットの場合、各生鮮部門が店内製造するレンジアップ商品についてはそれぞれの売場ではなく、総菜売場コーナー化して販売することが定着している
鮮魚のカップタイプのつまみ商材は鮮魚売場で展開

精肉売場ではこれまではステーキに注力しがちだったが、今回は「地域一番の焼肉売場」を目指して「焼肉」商品を強化。セット商品や盛り合わせ商品を充実させる。

また、専用のオーブンや鉄板を使用して店内で調理する「グリルキッチン」を展開。おかずになる肉総菜の他、つまみ商品も種類豊富に品揃え。電気圧力釜で製造する煮豚などの商品に加え、グリルキッチンコーナーで調理した「冷蔵」のつまみ商品なども導入。

他、精肉でも店舗で原料を切り分けて味付けするフライパン調理用味付け肉や生鮮素材を使用したレンジアップ商品なども訴求する。いずれのコーナーも夕方以降にも品揃えを充実させ、帰宅時間帯に来店するお客のニーズに応える。

精肉では生のハンバーグをコーナー化。4アイテムを展開
鮮魚とは異なり、精肉のつまみ商材は総菜売場側で展開

総菜売場では、同社の強みとして各部門からの生鮮原料を店内で調理した弁当、丼物、寿司などを打ち出す。精肉部門の「炭火焼ローストビーフ」を使用したにぎり寿司や、鮮魚部門の切り身を焼き魚にして盛り込んだ弁当など、既存店でも好評な商品を展開。また、新たに素材にこだわったチルド原料のコロッケやグリドルを使用した鉄板焼きメニューなども導入。

核商品の1つである「だし巻き玉子」はフレーバーを拡大して展開。その他、「店内手作り具だくさんおにぎり」、ちょっとぜいたくなのり弁当などを品揃え。アジアン・エスニックメニューにも取り組み、7、8アイテムを展開。

総菜では出来たて商品を20時まで展開するようにすることで、「サミットに行けば、いつでも出来たて商品がある」との認知を作り出したいとしている。

インストアベーカリー「ダン・ブラウン」では、各種パンやバーガー、専用窯で焼き上げたピザなどを販売。冷蔵ケースでは、精肉売場のローストビーフや合鴨スモークを使用したサンドイッチを提供する。

ベーカリーでは「Fuwari」のシリーズを発売。柔らかな食感のパンにさまざまな具を載せ、バラエティを打ち出す

また、ファミリー層に向けて「大容量商品専用コーナー」を設置する他、こちらも夜まで豊富な品揃えを心がける。

グロサリー売場では、特徴ある商品としてプライベートブランド(PB)商品の「サミットオリジナル」や「素材をそのまま」シリーズを随所で売り込むと共にコーナー化も実施。アイテム数がそろってきた上、今回は売場面積も広いことから商品を幾つかくくった上でコーナー化を実験した。

PB商品のコーナー。PB商品は売上高構成比ではグロサリーの加工食品、菓子のドライ系で約0.8%、デイリーで約2%ほどになっている

他、菓子売場では駄菓子や知育菓子、輸入菓子を充実させた他、国産原料・化学調味料無添加にこだわる「ノースカラーズ」も品揃え。

冷凍食品は、同社最大の3尺×44本の売場に700SKUを品揃え。需要が増えている国産の冷凍野菜、ワンプレート商品、ベビーフード、添加物の少ない商品などを取り扱う。韓国を冷凍食品、アイスクリームを連結してコーナー化する他、アイスクリームはご当地の商品を約40アイテム展開するなど強化した。

冷凍食品ではサミットのオリジナル商品の展開も目立つ

また、デイリー売場では、店内でカットしたナチュラルチーズや店内で製造するスモークフィッシュなどを提供。このつまみ商材は総菜や酒と近い場所で展開する。

酒売場ではメイン通路側の冷蔵ケースでクラフトビールやスパークリング清酒、ご当地のレディトゥドリンクなどバラエイティを打ち出し、「ワクワク」の誘発を狙う
サミットでは、売場のPOPの表現において、供給側の理屈ではなく、あくまでお客側に立った内容を心がけているという。遊び心ある文言が並ぶ

広い売場面積を生かし、これまでの反省も踏まえた集大成のようなマーチャンダイジングが展開される同店。今期唯一の純粋な新規出店ということで同社としても力が入っている。オープンから年を経て売上げが伸びていけば、40億円を大きく上回る同社でも屈指の売上規模の店になっていくことが期待される。

サミットストアららテラス北綾瀬店の売上高構成比計画は、青果15.1%、鮮魚7.9%、精肉12.8%、総菜11.0%、加工(食品)22.9%、菓子4.5%、デイリー19.9%、家庭用品2.7%、ベーカリー3.2%となっている。

アイテム数は、青果527、鮮魚420、精肉580、総菜400、加工(食品)5506、菓子1437、デイリー2689、家庭用品1717、ベーカリー85の合計1万3361。

サミットストアららテラス北綾瀬店概要

所在地/東京都足立区谷中4-8-1

オープン日/2025年6月24日

営業時間/9時30分~22時30分(6月24日は10時開店)

駐車台数/約200台(施設共用)

駐輪台数/約600台(施設共用)

建物構造/地上4階地下1階建て

売場面積/2155㎡(652坪)

バックヤード面積/1132㎡(342坪)

レジ台数/25台(セルフ精算レジ5台、セルフレジ20台)

店長/岡 悠一

従業員数/79.0人(レギュラータイム社員19.0人、パートタイム社員60.0人、パートタイム・アルバイト社員は173時間/月=1人で計算)

年商目標/39.1億円

商圏内世帯数(人口)/1次商圏(半径0.5km以内)5751世帯(9925人)、2次商圏(半径 1.0km以内)2万5444世帯(4万6035人)、3次商圏(半径1.5km以内)5万4191世帯(10万696人)

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