RPAの意味とは?導入メリット、DXとの違いなどを事例を交えて簡単に解説
2022.10.05
2022.03.18
日本の労働力不足や、働き方改革、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進なども影響し、最新のデジタル技術に注目する企業が増加している。AI(人工知能)をはじめ、先進テクノロジーはさまざまであるが、各企業で導入が進む技術の1つが、RPAだ。
本記事では、RPAの概要から導入するメリット、DXとの違いをまとめた後、RPAの事例を解説していく。
RPAの概要・意味とは?
RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略称で、日本語では「ロボットによる業務自動化」を指す。別名、「仮想知的労働者」「デジタルレイバー」とも呼ばれている。
人間が行ってきた単純作業や定型業務などを、パソコン、サーバー上のロボットがルールエンジン、AI、機械学習といった認知技術を活用し、代行、自動化する目的で採用されている。RPAはあくまでソフトウェア型のロボットを指し、Pepper、ASIMOなどの人型ロボットではない。
仕組みとしては、パソコン上で業務手順をRPAソリューションに登録し、アプリケーションを通じて業務の自動化を図る。一例として、RPAソリューションのシナリオ構築は、ドラッグ&ドロップなど簡単な操作で行えるため、プログラミングといった専門知識は不要。直感的に設定できるため、比較的導入のハードルが低い。
RPAが活用される業界としては、金融業界をはじめ、保険業界、製造業界、通信業界、医療業界など多岐に渡る。業務効率化を図る上で、非常に有用なツールといえるだろう。
RPAが注目されてきた背景
ICT市場調査コンサルティングのMM総研が実施した調査によると、年商50億円以上の大手・中堅企業において、2021年1月時点のRPA導入率は37%、22年には50%まで伸長すると予測されている。ここでは、RPAの導入が増え、注目される背景について解説していく。
労働人口の減少
昨今の少子高齢化が影響し、日本の労働人口は減少の一途をたどっている。総務省が試算したデータによると、65歳以上の人口は約40年後も、ほぼ横ばいで推移すると見込まれている。
一方で、21年における20~64歳の人口は6801万人となっているが、65年には4189万人まで減少すると試算。日本の少子高齢化は、今後も加速すると予測されている。
労働人口の絶対数が減る中では、人手不足対策を講じることが必須。労働条件や職場環境の見直しなど、人手不足対策はさまざまであるが、業務プロセスの改善も極めて重要といえる。限られたリソースの中で、業務効率、生産性の向上を図るために、RPAの導入が一層注目を集めていると考えられる。
働き方改革の推進
政府が掲げる働き方改革の推進も、RPAの導入を後押ししている。働き方改革では、目的の達成に向け、「長時間労働の是正」を解決すべき課題の1つに挙げている。
長時間労働の原因としては、長時間労働を暗黙する企業文化や、管理職のマネジメント不足など複数存在するが、根本的な人手不足による従業員の業務負担増も大きな要因だ。
そこで、新たな労働力として業務を担うRPAを導入すれば、業務時間の短縮につながり、残業時間の削減も期待できる。長時間労働の是正実現に、RPAは寄与するといえるだろう。
DXの推進
RPAの導入は、DX推進の一環としても実施されている。DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略称。AI、IoT(モノのインターネット)といったデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや組織を変革することで、競争上の優位性を確立する施策をいう。
RPAを利用すれば、データ収集、分析業務を自動化でき、部署にくくられない全社横断的なデータ活用にも生かせる。さらに、RPAで業務プロセスを最適化し、生産性を向上できれば、多くの時間を創出可能。結果的に、DX実現に向けたコア業務に取り組むことができ、新たなビジネスモデルの変革にもつなげられる。
RPAの導入メリット
RPAはソフトウェア型ロボットの活用により、業務の効率化を図れるが、他にも導入するメリットは存在する。次に、RPAの導入メリットを見ていこう。
人件費の削減につながる
RPAはロボットを利用し、人間が実施していた多様な業務を代行してくれる。例えば、RPAでできることとしては、下記のような業務が挙げられる。
- 情報収集、照合、集計、分析
- 電話、メール対応などのサポート業務
- 請求書、領収書、納品書の作成
RPAは、事前に定めた業務プロセス以外は実行しないため、イレギュラーな業務への対応は困難。しかし、ホワイトカラー業務を中心に、RPAで効率化を図れるので、人材不足解消につなげられるのはもちろん、人件費の削減も見込める。
ヒューマンエラーを防止できる
人的に業務を行う上で、発生するのがヒューマンエラー。思い込みや注意力の散漫などが原因であり、ヒューマンエラーを完全になくすことはできないといえる。
しかし、ヒューマンエラーを誘発させる業務を、RPAの導入で「やめる」「なくす」「減らす」のも1つである。これは機会最小と呼ばれ、ヒューマンエラー対策として非常に有効。
人的ミスのリスクを排除することで、サービス品質の向上につなげられる。
テレワーク時も利用可能
RPAツールは大きく分けて、自社内のサーバ上にシステムを構築して運用するサーバ型、パソコン1台に構築するデスクトップ型、インターネット上の仮想サーバに構築するクラウド型の3種類が存在する。
サーバ型でも、VPNなどで社外から接続することは可能だが、クラウド型ならインターネット環境さえあれば、いつでもアクセスできる。
自宅からRPAツールのメンテナンスも実施でき、テレワークに有効活用可能だ。
24時間365日稼働できる
RPAは業務の自動化設定を行えば、24時間365日稼働し続けられるのが大きなメリット。会社の営業時間外であっても、作業を代行するため、業務スケジュールの短縮や残業時間削減にも貢献できる。
ただし、業務シナリオを設定した後でも、定期的なメンテナンスは必須である点に注意したい。
小規模単位から導入できる
パソコン1台から導入できるデスクトップ型や、ライセンス提供するクラウド型のRPAツールは、小規模単位の運用に適している。全社的に導入する場合、管理体制も煩雑化してしまうが、部署単位などスモールスタートを切りたい企業には最適といえる。
ただし、担当者レベルの運用では、属人的な管理になってしまうため、担当者不在時の運用ルールなどを事前に決めておきたい。
RPAとDXの違い
DXは先述の通り、最新のデジタル技術によってビジネスや組織を変革して競争力の維持、向上を図る施策である。RPAもデジタル技術のソフトウエアロボットを活用した業務効率化、生産性向上を図る点において、RPAとDXは密接に関わっている。
しかし、DXはビジネスモデルの変革などより全社的な改革を意味する一方、RPAは実務レベルでの効率化や改善も含む。つまり、RPAはDXを推進していく上での1つの手段であり、DXはRPAを内包しているというイメージに近い。
DXを推進するためのデジタル技術は、RPAだけではない。AI、IoT、クラウド、5Gなど、先端技術は多岐に渡る。
昨今、経済産業省は「2025年の崖」という問題を提起し、各事業者に対してDXの実現を推進している。DXの一環として、RPAの導入を進める企業も多いかもしれないが、RPAを運用するだけではDXに成功したといえず、業務のデジタル化による生産性向上を達成するに過ぎない。RPAの導入により、ビジネス、組織の変革にも繋げていくことが、DXを推進する上では重要だ。
RPAの事例
大手企業をはじめとして、自治体、教育機関などさまざまな場所でRPAは導入されている。ここでは、RPAの導入事例を解説していく。
平均約8割の業務時間削減に成功した「セブン-イレブン・ジャパン」
エル・ティー・エス(LTS)は、セブン-イレブン・ジャパンへのRPA導入支援を実施した。業務の可視化、アセスメントによる課題分析を通じて、本部機能の業務を見直し、システム入力の自動化などを実現している。
さらに、LTSが導入したRPAソリューションは、場所を問わずシステムの操作が可能。セブン-イレブン・ジャパンは、リモートワークを導入しているが、場所、時間に縛られず、効率的なRPAの運用を行える。
また、LTSはRPAの開発、導入から保守、運用はもちろん、社内展開に向けた教材作成、説明会を実施した。RPAは業務を属人化させず、一元管理していくことが重要。適切な社内展開によって導入効果の拡大を図っている。
18年4月からLTSによるRPA支援は開始されているが、これまで自動化した業務の数は31種類に上る。その結果、各業務において平均約8割の業務時間削減に成功。現在はRPAソリューションに加え、最新のデジタルテクノロジーを活用した施策の選定、実行を支援し、トータルな業務変革を目指している。
申込書関連業務の6~7割を自動化した「KDDIエボルバ」
KDDIエボルバは、KDDIの法人事務契約センターに、業務の効率化、平準化を目指してRPAを導入した。法人事務契約センターでは、毎月3万件以上の申込書を取り扱っており、受付、登録業務は付帯業務も合わせると、約200種類に及んでいる。申込書1件当たりに、30分の作業時間がかかるケースもあり、課題の1つとして挙げていた。
法人事務契約センターの運用を受託したKDDIエボルバは、業務の効率化を阻害している要因を抽出し、分析を実施。約200種類の業務のうち、6~7割でRPAが活用されるようになった。
PG、RPA未経験者中心でも成果につなげた「マツモトキヨシHD」
マツモトキヨシホールディングス(マツモトキヨシHD)は、RPAテクノロジーズが提供するRPAツール「BizRobo!」を、働き方改革を実現するため18年夏に導入した。RPA化を実施した業務としては、下記のような例が挙げられる。
- 現場の商品検索システムの改善
- 商品部の買い付けのための資料収集、データ抽出、加工
- 財務経理部の経費振替業務
- 経理部からのデータを総務部で台帳にまとめる作業
現場のシステムからバックオフィス部門のシステムまで、RPA化を実施した業務領域は多様であると分かる。
マツモトキヨシHDでは、プログラミングやRPA未経験者を中心に、開発・運用を実施してきたが、導入から3年間でRPA化を実現した業務は約500種類。RPAツールにもよるが、プログラミングが不要である点や、優れたGUI設計により、導入する難易度は比較的低いといえる。
「BizRobo!」を導入した結果、商品部では約9割の単純作業をロボットが代替。空いた労働力は、データ分析や今後の対策へ回せるようになった。
さらに、財務経理部では、経費の振替業務をRPA化。全11工程のうち、3工程をロボットが担当することによって作業時間は従来から約半分まで削減された。
現場担当者は早朝対応から解放され、繁忙期も業務負担の軽減に成功。当初の目的であった働き方改革の実現に向けて、大きな成果につながった好例と言える。
既存のRPAツールとの連携を図る「早稲田大学」
早稲田大学は、業務効率の向上、トランスフォーメーションの一環として、電子署名を行える「SAP Signature Management by DocuSign」を導入した。学生アルバイト、学生スタッフ、臨時職員などとの契約時における、雇用条件通知書の作成、配送にかかる工数を課題としていたが、本ツールで業務のペーパーレス化を推進している。
さらに、既存のRPAツールとの連携も実施。同大学では、支払業務や臨時雇用業務など、多様な領域においてRPA適用を行っている。全学で推進される働き方改革・業務効率化を達成すべく、ソリューションのさらなる活用を推し進める。
RPAのまとめ
RPAでは、ロボット型ソフトウエアを活用し、業務効率の改善を期待できる。定型作業など、自動化できる業務領域に制限はあるものの、人材不足や働き方改革など様々な課題を抱える企業の一助となる。近年のDX推進の盛り上がりを受けて、今後も注目される領域の1つだ。