世界最大級の食品産業見本市「SIAL Paris(シアル・パリ)」の開催迫る! 10月19日~23日、今回は60周年
2024.09.03
2024.06.07
2年ごと、西暦の偶数年に開催される世界最大級の食品産業見本市であるシアル・パリ(主催・コメクスポジウム社)の開催が10月19日~23日に迫った。
食品・飲料見本市の世界最大のネットワークであるシアル・ネットワークによる11に上る定期的な見本市の一環で、同ネットワークではシアル・パリの他、シアル・カナダ(モントリオールおよびトロント)、シアル・チャイナ(上海および深圳)、シアル・インターフード(ジャカルタ)、シアル・インディア(ニューデリー)、フード&ドリンクス・マレーシア・バイ・シアル(クアラルンプール)、グルメ・セレクション・バイ・シアル、チーズ・アンド・デアリー・プロダクツ、ダザグロ(アルジェリア)を開催、205カ国から1万7000の出展者と70万人の来場者を集めている。
今回のシアル・パリ2024は同見本市の節目となる60周年を迎える。コメクスポジウム社では食品・飲料業界関係者にとって60年にわたる画期的なイノベーションを振り返ると共に、食品分野の未来を見据える機会となるとしている。
今回のシアル・パリ2024では、130カ国以上から7500社以上の出展者を迎え約40万店、来場者の75%がフランス国外からの参加となる予定だという。
今回も引き続き「Own the Change(変化の手綱をつかめ!)」とのスローガンを掲げ、業界関係者に活力を与え、現在進行中のさまざまな変化を受け入れ、世界的な食の課題にも果敢に取り組んでいくことを目指す。
出展企業のCSR(企業の社会的責任)に関するイニシアチブ、業界のトレンド分析を行うSIAL Insights(シアル・インサイツ)、将来の食品産業の発展を垣間見ることができるSIAL Innovation(シアル・イノベーション)、起業前も含むアーリーステージのスタートアップ企業に焦点を当て、今回倍増しているSIAL Start-Up(シアル・スタートアップ)2024など、さまざまなイベントも企画されている。
新しいレイアウトを採用、出展者をテーマごとにグループ分け
今回の注目ポイントの1つに、出展企業のブース配置を変更したことがある。バイヤーをはじめとする来場者が見やすいようにレイアウトを改善し、出展者をテーマごとにグループ分けすることとした。
展示面積においてはフランスとイタリアが首位を争う中、イタリアは1万6000㎡以上の展示面積を確保。また、中国が勢いを取り戻し、6000㎡を超える中国パビリオンを出展予定である他、ウクライナとインドも展示面積を増やすなど、グローバルな舞台での影響力を増している。
また、アフリカ地域からの参加国も多く、ホール5aに専用パビリオンが設けられる。
さらに今回はウガンダ、リビア、イラクから初めて出展参加も予定されている。
アメリカやスペインといった強豪国も、このシアル60周年という節目の年に強い存在感を示そうと着々と準備を進めているという。
日本からもJETRO(日本貿易振興機構)によるジャパンパビリオンが設けられる。前回比25%増となる1230㎡を超える規模での展開を予定している。
シアル・パリ2024には、計500億ユーロの購買力を持つ8000人の大手バイヤーを含む28万5000人の業界関係者の来場を見込む。
ジェネラルダイレクターのトラントゾー氏が来日し、シアルを解説
そうした中、5月31日、シアル・ネットワークジェネラルダイレクターのニコラ・トラントゾー氏が来日し、日本の業界関係者に対し、シアル・パリ2024とパンデミック以降のシアルグループについてプレゼンテーションを実施した。
トラントゾー氏は、「世界の食において2つの大きな要素がある。1つ目は数年間における健康的な危機、環境的な危機、さらに政治経済的な危機などさまざまな危機。政治経済の問題は流通にも大変な影響を及ぼしている。さらに環境の問題による食品の生産へ影響もある。こうした数々の危機というのが今世界を取り巻いていて、そのうちの幾つかは今後もまだ続くと予想されている」
「2つ目は2050年にかけて人口が100億人近くに達すると考えられていること。これらのことから、食の主権というのが非常に重要になってきておりまして、各国とも自国民に対して質、量ともに食品をしっかり届けるということがかつてなく重要性を増している」と語り、特に安定した供給量だけでなく、その質、さらに安全性、社会的責任やアクセスのしやすさなど、食品調達に関するさまざまな面での重要性が大きく増している背景を説明した。
その上で、「シアル・インサイツ」から新しい消費者に対応するための「12のトレンドを説明」。①癒しを与えたり感情に訴える食品、②新天地に関連した食品、③免疫力を高める製品、④健康と抗ストレスへのソリューション、⑤アスリート向けの製品、⑥ミニマリストな構成、⑦さらに増える豆果製品、⑧プロテイン・フィーバー、⑨シニア世代向けのケア製品、⑩植物性代替食品のための調理補助食品、⑪カーボンフットプリントが少ない製品、⑫低予算のソリューションがその内容。
また、特に日本におけるイノベーションの軸とトレンドの22年から23年に対する変化として、興味深いデータも示された。それによると、食品に「楽しみ(Pleasure)」を求める軸が23年に大きく前進し、22年比で19.2ポイント上昇、トップとなった。
一方で「健康(Health)」という軸は、22年から23年にかけて10.5ポイント減少、また、「フィジカル(Physical)」と「倫理(Ethics)」の軸も3ポイント低下しているという。
健康やフィジカル、倫理といった要素は、20年からのパンデミックの際、急激に関心が高まったとされる要素とも重なる。今回の結果はパンデミック下で変化した意識が、再び楽しみといった「以前の」要素に向かっているとも考えられるもので、その意味でも日本でも新型コロナウイルスの法的位置づけが変わったことと相まって、食品を含む生活が以前のトレンドに戻ってきていることを感じさせる。
食はドメスティックなものであるが、一方でグローバルなトレンドも確かに存在するといえる。今後の日本での食品産業の展開を考える上でも、グローバルトレンドはぜひ、押さえておきたいものだ。
シアル・パリのような世界的な展示会は、もちろん、グローバルでの調達に大いに役立つものであるが、同時にグローバルのトレンドに触れることにおいても、貴重な機会であることは確かだ。
シアル・パリ2024概要
会期/2024年10月19日(土)~23日(水)10時~18時30分(最終日は17時まで、14時までに要入場)
主催/コメクスポジウム社(フランス)
会場/フランスパリ・ノール見本市会場
出展分野/総合食品・飲料(アルコールを含む)
シアル・パリ2024公式ホームページ(英語/仏語)/https://www.sialparis.com/